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ストラテラの副作用と対策・飲み合わせ -医師が教えるADHDの治療薬-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
ストラテラの副作用と対策・飲み合わせ -医師が教えるADHDの治療薬-

注意欠如・多動症ちゅういけつじょ・たどうしょう(attention deficit/hyperacrivity disorder; ADHD)は不注意(うっかりミスが多い)・多動(落ち着きがない)・衝動(感情的になりやすい、後先考えず行動してしまう)を基本症状とする疾患です。

ADHDの治療薬の1つにストラテラ(アトモキセチン)があります。
ストラテラは大人はもちろん、6歳以上の子供も服用するADHDの治療薬で、薬への依存性がないことやある程度の期間きちんと飲めば終日きちんと安定して作用するという特徴があります。

ストラテラには抗うつ薬と似た作用機序があり、抗うつ薬に似た副作用が出てしまうこともあります。
そのストラテラの副作用と対処法、他の薬との飲み合わせについて解説します。


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ストラテラの副作用の特徴

ADHDに対して使用されるお薬(抗ADHD薬)は大きく2種類、2017年11月現在で3種類が発売されています。

<ADHDの治療薬>

大きく2種類というのは「中枢神経刺激薬(精神刺激薬)」「非中枢神経刺激薬(非精神刺激薬)」のことです。
これらの中でストラテラは非中枢神経刺激薬の方に分類されており、他にインチュニブというお薬もあります。

中枢神経刺激薬はその名の通り覚醒効果が強いわけですが、その分依存性も高いのですべての医師が処方できるわけではありません(登録制)。
一方ストラテラは非中枢神経刺激薬ですから、効果は前者のメチルフェニデートよりも弱いものの依存性もないため処方はどの医師でもできます。

ストラテラの副作用を列挙してみましょう。

ストラテラの主な副作用

  • 心拍数が上がる
  • 血圧が上がる
  • 不眠
  • 眠気
  • めまい
  • 不安
  • イライラ・攻撃性が上がる
  • 口が渇く
  • 吐き気・嘔吐
  • 腹痛
  • 食欲減退
  • 排尿障害
  • 発汗(異常に汗が出る)
  • 性機能障害(性欲減退、男性では勃起不全)

ストラテラの目立つ副作用としては、腹痛・食欲低下・吐き気・便秘などのお腹の症状(消化器症状)、ねむけやだるさなどの鎮静ちんせい症状などがあります。

これらの副作用は飲み初めた最初のころに多いのが特徴で、長期に飲んでいるうちに気にならなくなることが多いです。
また血中の濃度が一気に上がりすぎないように、食後に飲むことでも症状は軽減できます。

ストラテラは神経伝達物質のノルアドレナリンを増強する方向に作用することから、心臓の働きを強める方向に作用し心拍数が上がって動悸がしたり、血圧が上がることがあります(動悸が出ることがあったとしても、明らかにおかしな血圧や心拍数まで上がってしまうわけではありません)。

その他の副作用に排尿障害と性機能障害もあります。

排尿障害は尿の出ずらい感覚を指します(高齢者などでは膀胱に溜まっているのにでない尿閉と言われる症状も起こしかねません)。

性機能障害も地味に相談しにくい副作用です。
減らすか、男性の場合ならバイアグラに代表されるようなED薬を使用してもらうのが良いでしょう。

ストラテラの注意が必要な副作用

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①躁状態を招いたり、自殺企図がでる

ノルアドレナリンを増強する作用は、一部の抗うつ薬と同じ作用です。
上記では「イライラ・興奮度を上げる」としましたが、イライラするだけならまだしも、興奮度を上げてしまうことでかえって感情が不安定になり死にたいという考えが出てきてしまうようなこともあるので注意が必要です。
背景に双極性障害の可能性もあります。

②重篤な肝障害

ストラテラは肝臓で代謝され体外に出されます。
頻度は多くはないですが、肝臓に負担となって重篤な肝障害に発展する可能性はなくはないです。

この場合、ひどいだるさや吐き気、黄疸おうだん(皮膚や白目の部分が黄色っぽくなる)がでたりします。

③一部の緑内障に注意

緑内障の中でも閉塞隅角へいそくぐうかく緑内障と呼ばれる緑内障では眼圧を高めてしまう可能性があります。
瞳孔を広げるお薬を使用されている場合はこの可能性がありますので、眼科医との相談が必要です。

ストラテラは子供の成長に影響する?

子供のADHDに対してストラテラを服用した場合、一時的に成長に影響を与えることがあります。
しかし、これはあくまで一時的で最終的には身長も追いつき影響はないとされています(ただあまりにも食欲が抑えられてしまっている場合は注意です)。


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ストラテラの副作用への対処法

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ストラテラは原則、少ない量から徐々に増やしていくことが副作用予防の点で重要です。
また1日1回の服用でも安定して効果を出しますが、1日に何回かに分けて服用することでも副作用を軽減できます。

Dr.G
では具体的に見ていきましょう。

基本的にストラテラの量の調整と慣れで副作用は軽減する

ストラテラの副作用は基本的に飲むお薬の量と飲み始めてどれくらいの期間がったかが重要です。
つまり、内服量が多くなればなるほど、飲み初め初期であればあるほど副作用が出やすい特徴があるのです。

中でも食欲や眠気、心拍数、血圧に関しては内服量が多くなればなるほど症状が出やすいのです。

ですからほとんどのストラテラによる副作用に関しては量の調整(少ない量からゆっくり増量していくこと)と、もし副作用がでても最初だけですので副作用が耐えられるレベルであれば経過をみるだけでやり過ごせることがほとんどなのです。

Dr.G
ストラテラの多くの副作用は用量と時間(飲み始め初期がいちばんひどい)に依存しています。

吐き気や嘔吐、食欲不振などの胃腸症状はどうする?

胃腸症状(消化器症状)はストラテラの飲み初めに最も起こりやすい副作用の1つで、飲み続けることを困難にさせてしまいます。

これもストラテラの量を少なくすること、1日1回の内服であれば2回以上に分ける事、食後に内服するようにすることで軽減できます。
それでもお腹の症状の場合、飲み始めたばかりのころは完全によくなることはないかもしれませんが、2週間から1ヶ月の経過の中では気にならなくなることが多いです。

同じ非精神刺激薬の抗ADHD薬である「インチュニブ(グアンファシン)」は2017年11月現在は子供にのみ適応がありますが、これは消化器系の副作用は少ないのが特徴ですので子供のADHDではこちらに変更するのも手です。

日中の眠気には、ストラテラを飲むタイミングを変えてみる

眠気の逆に不眠になることもありますが、精神刺激薬(コンサータ)に比べストラテラは眠気の方が出やすい傾向にあります。

眠気も基本的には慣れてくると軽減はしますが、それでも仕事に支障が出る場合はストラテラの内服タイミングを朝ではなく夕に持ってくることで対応できます(1日2回にしていたなら夕のみ1回にまとめてしまうなど)。

ストラテラで血圧や心拍数が上がっても大丈夫?

ノルアドレナリンを増強することで、心臓の働きを強める方向に作用します。
それによって心拍数が上がって動悸がしたり、血圧が上がることがあります。

しかし多少動悸がすることがあったとしても、明らかにおかしな血圧や心拍数まで上がってしまうわけではありませんので通常は様子をみていて大丈夫です。

血圧のお薬を飲んでいる方は、日常的に血圧手帳をつけているでしょうからそのチェックだけで十分だと思います。
どうしても血圧が高くなりすぎる場合には、ストラテラの減薬で対応します(高血圧のお薬を増やすのは抵抗があるでしょう)。

血圧上昇の原因の背景に褐色細胞腫かっしょくさいぼうしゅ(主に副腎の腫瘍の1つ)がある場合は禁忌となります。

興奮性や自殺企図が出た場合

ストラテラは抗ADHD薬ですが、ノルアドレナリンを増強させる方向に作用する(ノルアドレナリン再取り込み阻害作用)点で抗うつ薬のような一面を持ちます。
これによってイライラや興奮性が増して、不安定になることで自殺念慮がでてしまう場合があります(とはいっても臨床試験の段階では自殺した例はなし)。

この場合は一旦中止し、すぐに主治医に相談しましょう。
双極性障害などが併存している可能性もあります。


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ストラテラの他のお薬との飲み合わせ

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エフピー(セレギリン)と併用は禁忌!

エフピー(セレギリン)はパーキンソン病に使われるお薬です。

両方の薬剤がともに強く増強してしまう可能性が高く、ストラテラの添付文書(説明書)でも禁忌事項として挙げられています。
エフピー(セレギリン)を内服し中止していても、14日間の間はストラテラを飲めません。

ストラテラに限らず、エフピー(セレギリン)は抗うつ薬とは相性の悪いお薬なのです。

トラマール・ワントラム・トラムセットとの併用に注意

いずれも、慢性の痛みに対して処方されるお薬です。
整形外科で使用されることが多く、精神科でもうつ病に伴う慢性疼痛に処方されていることも多いです。

トラマドールという成分が入っており、ストラテラとの併用はてんかん発作を起こす可能性が言われています。

パキシル(パロキセチン)との併用に注意

ストラテラは肝臓で代謝され、尿から排泄されます。
肝臓の酵素(CYP450 2D6)に影響を与えるお薬によって飲み合わせが悪くなる(ストラテラもしくは一緒に飲んでいるの作用が強まったり弱まったりする)ことがあります。

パキシル(パロキセチン)はSSRIと呼ばれる抗うつ薬の1つです。
肝臓の酵素の働きを抑えるため、ストラテラの排泄が遅れストラテラの作用が強くでて副作用が目立ってしまう可能性があります。

血圧・心拍を上昇させるお薬に注意

ストラテラ自体がノルアドレナリンを増強させますので、同じくノルアドレナリンに作用させるお薬や、そうでなくても心臓を強めたりぜんそくなどで気管支拡張させるお薬などは、動悸や血圧上昇を助長する可能性があります。

ただほとんどの場合、入院中などで注射剤として体内に入らない限りはそこまで問題にはならないでしょう。

まとめ「ストラテラの副作用と飲み合わせ」

ストラテラは非精神刺激薬に分類される抗ADHD薬です。
子供と大人のADHDに適応があります。

ストラテラの主な副作用には、腹痛・食欲低下・吐き気・便秘などのお腹の症状(消化器症状)、ねむけやだるさなどの鎮静ちんせい症状などがあります。

これらの副作用は飲み初めた最初のころに多いのが特徴で、長期に飲んでいるうちに気にならなくなることが多いです。

他のお薬との飲み合わせでは、パーキンソン病薬(エフピー)が禁忌です。
その他、抗うつ薬ではSSRIのパキシル(パロキセチン)、うつに伴う慢性疼痛でトラマール・ワントラム・トラムセットなどを服用している場合は副作用により注意が必要になります。

 

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