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【抗ADHD薬】コンサータの効果 -医師が教えるADHD治療薬-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
【抗ADHD薬】コンサータの効果 -医師が教えるADHD治療薬-

注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder; ADHD)は、不注意・多動・衝動性を基本症状とする疾患です。
ADHDの典型的な症状は子供のころから不注意が多い、じっとしていられず絶えず身体を動かしている、衝動性が高くキレやすかったり、衝動買いや依存性が強いのが特徴です。

このADHDの治療薬にはいくつかありますが、中でもコンサータ(メチルフェニデート)はADHD治療に最も使用されているお薬です。

ただし、乱用のリスクのあるお薬でもあるので第三者委員会によってその流通が管理されています。
ですから登録された医師が、登録された医療機関(病院やクリニック)で処方箋を出して、同じく登録された薬局で調剤する必要があるのでどこでも処方してもらえるお薬ではありません。

ここでは、ADHD治療薬の1つ「コンサータ」について解説しましょう。

参考文献
齋藤 万比古.「注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版」じほう(2016)
功刀 浩.「精神疾患の薬物療法講義」金剛出版(2013)


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コンサータの効果と特徴

コンサータの成分は「メチルフェニデート」で精神刺激薬に分類されます。
精神刺激薬は動機づけ、気分、行動力、そして覚醒度を高めます。

この結果、以下の症状を改善させます。

  • 集中力
  • 過活動
  • 衝動性
  • 疲労感
  • 日中の眠気
  • 抑うつ

しかし、精神刺激という名前のとおり覚醒剤のように脳の報酬に関わる部分に作用させるため、依存性や乱用のリスクがあることになります。
平たく言ってしまえば合法の覚醒剤なのですが、正しく使用している限りはメリットが大きいのでちゃんとした医薬品なのです。

そのため、すべての医師が処方できるわけではありません。
精神神経学会認定専門医が講習を受け処方医として医師も登録されている必要があり、さらに同時に医療機関も処方せん薬局も登録されたところでなければ出してもらうことはできないのです。
それぐらい厳重に管理されている薬剤なのです。

また「メチルフェニデート」にはコンサータだけでなくもう一つのお薬があります。
それがリタリンです。

リタリンとコンサータの違い

リタリンとコンサータは同じ「メチルフェニデート」という成分なのですが、コンサータはADHDに適応があるのに対して、リタリンはナルコレプシーに処方されるお薬です。

※ナルコレプシー:日中でも急激な睡眠発作に襲われ、場所や状況を選ばずに眠ってしまう病気

もちろん販売会社も違います(リタリンはノバルティス、コンサータはヤンセンファーマから発売されています)。

コンサータの適応:ADHD
リタリンの適応:ナルコレプシー

リタリンとコンサータの違いは錠剤の仕様です。
簡単に言えば通常の仕様がリタリンで、ゆっくり吸収され長時間安定して作用するように作られているのがコンサータなのです。

コンサータは徐放じょほう錠になっており、4~5時間かけてゆっくり血液中の濃度が上昇し12時間以上効果が持続するようにできています。
これに対し、一方のリタリンは1~2時間程度で最高血中濃度に到達し、2~3時間後には濃度は半分に減り効果は長くもたないのです。

このため同じメチルフェニデートでも速効性の高いリタリンは依存性がより高いものとして扱われています(長い時間作用することは乱用のリスクを抑えます)。
そしてコンサータは長い時間作用するため、例えば子供が学校で追加で飲む必要がないというのもメリットになります。

ここまでで、メチルフェニデートの徐放錠(ゆっくり放出されて吸収されていくタイプのお薬)がコンサータであることがお分かりいただけたと思います。

コンサータの効果

コンサータは即効性があるのが特徴で、内服後数十分程度で効果を出し始めます。
それでも、最大の治療効果を出すためには数週間飲み続ける必要があります。

個人差はあるものの、基本的には用量が多いほどADHDの症状はコントロールされやすい傾向にあり、不注意症状に関しては少ない量でも有効性がある場合があります。

すべてのADHDの方に有効とまではいきませんが効果のある方にとっては、ADHDの過活動による多動やおしゃべりを抑え、注意力を高め、衝動性も抑えてくれます。
仮にADHDで反抗的な行動・態度をとるような性質を持っていたとしても、コンサータが効く場合にはこれも改善が認められます。

ADHDの基本症状である「不注意」「多動」「衝動性」のいずれにも効果を発揮し、周囲の人とのトラブルが減ることは本人の生きやすさにとってとても大事なことなのです。

ただし全員にコンサータが効くわけではありません。
次にコンサータに効果があった場合となかった場合にどうするのかを見てみましょう。

コンサータの効果がADHDに対しあった場合

ADHDの根幹は、社会や学校、職場での適応を邪魔してしまうところにあります。
治療目標はすべての症状が安定するまで用量を調整しながら、改善が続いているなら続けていくのが望ましいです。

子供のときに始めたお薬でも、成人になってもそのまま飲み続けていた方が良い場合もあります。
大人になるにつれて症状がコントロールされてくる場合もあるので、ずっと同じ量のコンサータを飲み続けるのではなく適宜増減しながら調整していきます。

コンサータの効果が出なかった場合

コンサータの増量をして十分量にして経過を見るか、他の抗ADHD薬へ変更をします。
コンサータが無効であっても、他のADHDのお薬に切り替えると有効性を示す場合はあるのです。

場合によってはコンサータとあわせて他の抗ADHD薬を使いますが、原則は抗ADHD薬は1剤の単剤使用が望ましいです。

<ADHDの治療薬>

ADHDではしばしばうつ病や躁うつ病を合併していることもありそういった場合に効果が出にくい、もしくは特に躁うつ病で多いですがかえって不安定になる場合もあります。
この場合には気分安定薬などが必要です。

コンサータの服用で注意すべき点

子供の使用に関して
  • 6歳未満では安全性と有効性が確立していない
  • 作用時間が短くなることがある
  • 成長ホルモンへの作用がいわれており、身長体重の成長に影響を与えないとは言い切れないがごくわずかであるとされている
チックを悪化させることがある

チックとは、幼児期から学童期にみられる突発的で反復性のある運動または発声のことをさします。
不規則に身体の一部を素早く動かしたり(パチパチまばたきを不必要に繰り返したり)、声を出すことを繰り返すような発作的な動きをします。

少量のコンサータであれば影響を与えないかもしれませんが、この場合はストラテラなど他の抗ADHD薬の方が良いでしょう。


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コンサータの用法・用量

コンサータ錠剤型
18mg・27mg・36㎎錠の3種類の剤型があります。


子供
基本的に、1日1回朝内服します。

初回は1日量18mgで始めます。
1週間以上空けて9㎎(18㎎錠を半分)もしくは18㎎ずつ増量します。
維持量は1日18~45㎎(最大量54㎎


成人
子供と同じですが、最大量が異なります。

基本的に、1日1回朝内服します。

初回は1日量18mgで始めます。
1週間以上空けて9㎎(18㎎錠を半分)もしくは18㎎ずつ増量します。
維持量は1日18~45㎎(最大量72㎎


コンサータの値段(薬価)

(2016年4月1日 薬価基準改定)

18mg錠

0円(1錠あたり)
27mg錠

0円(1錠あたり)
36mg錠

0円(1錠あたり)

用量:(子供)1日 18mg-54㎎、(大人)1日 18mg-72mg

3割負担で1ヶ月内服時の目安(薬価のみ):(子供)約3040 – 6664円、(大人)約3040 – 7247円

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コンサータに関するツイート

コンサータが効果を示す作用機序

Dr.G
最後に少し難しいですが作用機序について解説します。

ADHDと脳の機能

ADHDは、実行機能と報酬系の脳の機能の障害であると考えられています。

実行機能というのは、ある目的を達成するために行動の計画を立てて、順序だててそれを実行し、行動の結果を見ながらフィードバックしてまた次の行動の計画を立てる機能のことをいいます。
こういった司令塔としての役割を果たすのは、脳の前頭前野と呼ばれる脳の領域が関わっています。

ADHDと脳の機能

実行機能が上手く働かないと、順序だてて行動したり、行動を抑制することができません。
結果的に時間の管理もできないことになります(ギリギリになってしまう)。

一方で報酬系とは、リスクが高いとかもっと待てばより大きな報酬が入るなど待つべき時には待てるための機能です。
脳の側坐核そくざかくと呼ばれる脳の領域が関与します。

(再掲)
ADHDと脳の機能

報酬系に機能異常があると、待てずに目の前の利益を優先してしまうようになります。
例えそのあと不利益があるとわかっていてもです。

これらの脳の働きは、神経伝達物質であるドパミンやノルアドレナリンによって調整されています。
ADHDではドパミン系の機能が弱まることで実行系と報酬系の機能が、ノルアドレナリン系の機能が弱まることで実行系の機能に問題をきたしていると考えられます。

つまりADHDのお薬はドパミンやノルアドレナリンの働きを強めることで症状を改善させるのです。

コンサータの薬理作用

神経伝達は基本的に電気活動ですが、神経と次の神経のやり取りは神経伝達物質によってなされています。

神経伝達

ここで次の神経に伝えるドパミンやノルアドレナリンなどの物質を神経伝達物質といいます。
神経間に放出されたドパミンとノルアドレナリンは次の神経に取り込まれます。

ところが次の神経に過剰にこれらの神経伝達物質が取り込まれすぎないようにするための調節機能があります。
ドパミンとノルアドレナリンを回収して減らしてしまう「トランスポーター」です。

コンサータは、このドパミンとノルアドレナリンを回収して減らしてしまう「トランスポーター」と呼ばれる機能を邪魔することで、神経間のドパミンとノルアドレナリンを増やし、実行系の機能と報酬系の機能を高めADHDの症状を緩和させるのです。

まとめ「コンサータの効果と特徴」

コンサータは精神刺激薬に分類されるADHDのお薬です。
神経伝達物質のドパミンやノルアドレナリンを増強し、ADHDの全般的な症状を改善させます。

1日1回の服用で良く、子供が学校で再度服用しなくてよいところも利点です。

ただし効果には個人差がかなりあり、どれくらいの量を飲めば効くかも飲んでみないとわかりません。
不十分な量では多少の改善がみられたとしても、結果的に社会的な機能の改善には結びつきません。

うまく効果を認めない場合には他の抗ADHD薬(ストラテラやインチュニブなど)に切り替えることで改善することがあります。

コンサータの注意点は、依存性と乱用のリスクがあることです。
このため医師も医療機関も調剤薬局も登録された場所でないと処方して出してもらうことができないお薬なのです。

 

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