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【大人のADHD】仕事上の困りごとと対処法 -医師が教えるADHD-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
【大人のADHD】仕事上の困りごとと対処法 -医師が教えるADHD-

注意欠如多動症(attention deficit/hyperactivity disorder; ADHD)などの発達障害は行動や認知の特性によって様々な障害に分類されていますが、それぞれの障害は症状がかぶる部分もあり、結局複数の障害の特性をあわせ持っていることがほとんどです(下図のようなイメージ)。

発達障害関連図

ADHDは不注意(ミスが多い)・多動(じっとしていられない・落ち着きがない)・衝動性(感情的にトラブルになりやすい)を基本的な症状とするものですが、自閉症スペクトラム障害(以前ではアスペルガー症候群)と重ねって対人過敏であったりこだわりが強かったりするケースも多いのです。

クリニックで発達障害の可能性を患者さんにお伝えしたときにもよく「私は発達障害の中のどれですか?」と聞かれることがあります。
しかし具体的に分類することの意味よりも、上図の中で大体どのへんの位置づけなのかというイメージをつかむことの方が自分の状態を知る意味で重要なのかもしれません。

ここでは大人のADHDをベースにお話します。
とはいっても上の図できれいにADHDに分布されているところではなく、自閉症スペクトラム障害(ASD、以前のアスペルガー)の性質もあわせ持ったようなイメージで理解していただくと良いでしょう。

大人のADHDかも?と思っている方も実際に診断されている方も、仕事での困りごと・生きづらさを感じていることが多く、結果出勤できなくなったり、転職が多くなったりしてしまっています。

Dr.G
それでは、大人のADHDによって起こる仕事上の問題についてお話していきましょう。

参考文献
「高機能発達障害の職場における課題と精神科医療の取り組み」精神神経学雑誌 117;3, 2015


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大人のADHDが仕事でトラブルになりやすい原因と対処法

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ADHDの基本的な特性として不注意・多動性・衝動性があります。

不注意によりミスや物忘れが多くなりがちです。
小さいころから目立っている場合もあれば、ストレス下だけで目立つようなこともあります。

多動性による症状はいつも身体のどこかをうごかしていないとだめでじっとしていられない、会議のような特にじっとしていなくてはいけない状況では落ち着かない気持ちになってしまいがちです。

衝動性に関しては軽はずみな言動をしてしまったり、相手が最後まで話す前に待てずにしゃべってしまったりなど感情的にもなりやすいのと相まってトラブルになりやすいのが問題です。

これらの症状があまりにも目立ち、うつ症状や気分の波が強い場合には自分で対処できる範囲を超えているときもありますので医療機関で相談の上でお薬を飲んでみるのもひとつです。

ここでは、なんとか自分でもこれらの症状はコントロールできているけどいまひとつうまくいかない場合の対処法についてお話します。

仕事の段取りが悪く、マルチタスクができない

Dr.G
仕事はほとんどがマルチタスクで、学生時代のようにひとつずつ1から順序だてて体系的にやらせてくれることはありません。
研修医Ji郎
臨機応変の連続ですよね。
Dr.G
そう。
だから学生時代になんともない人が、社会にでてから急に「もしかして大人のADHDでは?」と思うのはこれが1つの原因なのです。

複数の仕事を同時進行で行おうとすると中途半端になってしまうのです。
頭では一つずつ確実に仕事を終わらせることを心がけていても、どうしても難しくなってしまうのです。

なぜそうなるかというと、大人のADHDでは以下のような感覚を持っていることが多いためです。

大人のADHDがマルチタスクをこなせない理由
  • こうでなければいけない・気が済まない・納得できないという意識が強くでてしまう
  • 利益になりやすい優先すべきことがあってわかっていても優先できない
  • 納得してからでないと動けない
  • 音や人の目線に敏感ですぐに注意がそれてしまいやすい
  • 気付くと木の幹とは関係ない枝の部分にこだわってしまっている

大事なことはこの感覚の自覚があり、もしくは指摘してあげれば理解はできるのに、マルチタスクを臨機応変にできないのです。
わかっていてもこの感覚は強制的にでてしまい、わかっちゃいるのにやめられない感覚なのです。

研修医Ji郎
ではどのように対処したら良いでしょうか?
Dr.G
この感覚があることを知っておくこと自覚することはもちろん大事なことですが、これを修正しようとするのはなかなか容易ではありません。
ですので逆に利用しましょう。

強迫的にこうでなければだめ・納得できなきゃだめという特性が少なからずあります。
そして始めるまではすごく面倒な感覚があれど、始めてしまえば意外とできてしまうのです。

さらに自由に自分で考えてこなすのは難しくても、学校の教科書のように基本のことから徐々に教えてもらえれば、ある程度レールが敷かれている安心感があるとこなせたりするのです。

研修医Ji郎
なるほど言い換えれば、教えてもらってないことは「そんなの聞いてない!」と怒りになるのでしょうね。
Dr.G
そうなのです。
逆に、教科書のようにひとつずつ順を追ってこなせると喜びすら味わうことができるのです。

ではどう工夫すればよいでしょうか?

大人のADHDで仕事の段取りをよくするコツ
  • 仕事の内容でパターン化できるものはパターン化する(作業内容や時間など)
  • 「to doリスト」を必ずつくり終わったら消す(リストが消えて少なくなる喜びを感じられる。付箋を使っても良い。)
  • 急な仕事が入っても(これがかなりイライラする)、その場で考えることなく機械的に「to doリスト」に追加する
  • 「to doリスト」は1日に何回か時間を決めて優先順位を振りなおし、必ずその順で消していく(学校では1時限目・2時限目と時間やチャイムで国語からいきなり英語や体育などに強制的に切り替えられていましたね。時間が来てリストの順位が変わったら必ず途中でもやめてそちらにとりかかりましょう。学校の授業のパターンをもう一度利用しましょう。)
研修医Ji郎
パターン化に強い特性を活かすわけですね。

もし、仕事の優先順位が分からない場合には、上司や周りの人に相談して優先順位を決めてもらうのが良いでしょう。

Dr.G
でも大事なことがあって、「話し方」を間違えるとまた問題がおきます。
それを次にお話しましょう。

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大人のADHDでは自分の話し方いかんで仕事ができるようになる?

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「話し方」の問題について2つの視点からお話します。
当たり前のようで、意識しないと当たり前でなくなっていることが多いと思います。

話すタイミング、連絡と報告

ADHDの衝動性によって、相手が話しているにもかかわらず割って入ってしまうことが多々あります。
それはある程度意識すれば何とかなるかもしれませんが、仕事の場で問題になりやすいのは話しかけるタイミングにもあります。

相手が何かやっているときに話しかけると、相手はその作業を中断しなくてはいけません。

自分では今報告しなくてはと思っていることも、相手にとっては後でいいのに何で今なんだと思わせていることもあるでしょう。

次の事に意識を置いておきましょう。

  1. 必ず相手が話終わってから自分の話をはじめる
  2. 話し出すタイミングがかぶるときはゆずる
  3. ビジネスの相手に話しかけるときは「今よろしいでしょうか?」と挨拶のように決まり文句をつかう

話している最中にかぶして話し出すのは不快ですし、相手が今している仕事を中断してあなたの話に耳を向けるのもまた不快なことなのです。
(特にADHDでは)すぐに伝えないと忘れてしまう内容もあるでしょうが、場合によってはメールやメモで伝え、あとでタイミングをみて直接話すこともとても重要なことなのです。

話し方で同じことを伝えても相手の反応は変わる

同じことを伝えるにも、少し表現を変えるだけで結果が180度変わるのです。

具体的な例を挙げてみましょう。

もし仕事の優先順位がわからなければどこからやればよいか聞けば良いと先ほどいいましたね。
でももし単純に上司や同僚に「どこからやれば良いですか?」と聞いたら、おそらく大半の人は「自分で考えろ!」と怒るでしょう。

「私は〇〇からやろうと思いますが、最初にやっておいた方が助かるところはありますか?」

と聞いてみてください。

これで怒る人は相手のタイミングが悪くない限り、「うーん、〇〇より△△からやってもらう方が助かるなあ」となるでしょう。

別に「明日は〇〇さん(相手)のプレゼンがあるので、△△からやろうと思いますけどいいですか?」でもいいです。

Dr.G
怒られる言い方と怒られない言い方と何が違うか分かりますか?
研修医Ji郎
相手の目線で話しているところですか?
Dr.G
その通り!

最初の聞き方を思い出して下さい。

「(私は)どこからやればいいですか?」

これを聞くと相手は「えっ、それを私があなたのために考えるの?」と思うはずです。
しかしそこに相手の目線を入れてみましょう。

「(私は)〇〇からやろうと思いますが、(相手が)最初にやっておいた方が助かるところはありますか?」

となります。もしくは、

「明日は〇〇さん(相手)のプレゼンがあるので、(相手のために)△△からやろうと思いますけどいいですか?」

とたずねると、どんなに忙しくて相手がイライラしても「お、おう。(自分に気を遣ってくれて)ありがとう。」となるのがわかりますね。

研修医Ji郎
でもそれじゃあいつも相手に気遣いして疲れますね・・・。
Dr.G
そこが重要なポイントです。
相手に気を遣うからです。

相手に気を遣うのではなく、相手の目線・建前をいれるだけです。
「建前って嘘じゃないですか?」とよく言われますが、建前は自分を守るのに重要なことです。

そしてそれがあることによって人は動きますし、伝えたいことも純粋に伝わるのです。

相手の顔色をうかがうのではなく、どんな建前で話すと自分の言いたいことが伝わるかが大事なのです。
自分の伝えたいこと・聞きたいことをできるだけ相手に有利にとってもらえることは自身を守るのに重要なことです。

多くの大人のADHDの方で、この感覚なくストレートに話されている方は非常に多いのです。

研修医Ji郎
なるほど、本音と建て前ですね。
Dr.G
仕事だけでなく家庭も一緒です。
違う例を挙げてみましょう。

患者
今日は僕が夕食を用意するよ。
患者家族
ありがとう。
18時には帰ります。

18時半になっても帰宅する気配がない・・・

患者
遅いなあ、ご飯できてるのに何やってるんだよ!
患者家族
(電話)もしもし、ごめんね。出先で知り合いにつかまっちゃって。
患者
何やってるんだよ!
こっちはずっとまってたんだぞ!!
患者家族
はあ?
だってしょうがないでしょ!!
あなただって〇△%$”%

さてこの後はどうなるかわかると思いますがこれはどこがいけなかったかと言えば・・・

研修医Ji郎
イライラしたところですか?
Dr.G
イライラしなければよかったと言いたいのですが、特にADHDのある方ですと待つのは苦手ですからそれを求めるのは難しいかもですね。
問題はこれです。
言い方が相手目線でないのが問題

イライラして怒るにも、言い方が少し変わると相手への伝わり方が違います。
例えば・・・

何やってるんだよ、こっちは(私は)ずっとまってんだぞ!

これは明らかに自分主体です。

相手に伝えたかった意図は「遅れるなら連絡ぐらいしなさい」なのですがこれでは伝わっても相手の感情を逆なでして怒らせてしまい、結局伝わってないも同然ですね。

相手目線に変えると同じ怒りでもこうなります。

患者
お前の身になにかあったらと思って心配してたんだぞ(本当は待っているのが気に入らない)。
患者家族
ごめんなさい。
ご飯まで作って待っていてくれたのに。
患者
ご飯はいいけど(本当はよくないけど)、心配してたんだから今度から連絡してよ!

もしかしたらこれでも相手を怒らせて「だってしょうがない」となるかもしれませんが、おそらくあとあと反省すると思います。
相手からすると「自分の身を心配させてしまって申し訳ない、今度から連絡します」となります。

本当はイライラさせやがってというのが背景にあるかもしれませんが、それを相手に伝えたら元も子もありません。
本音は置いておいて、建前をうまく使って相手目線での会話をこころがけると社会でも家庭でもうまくいきやすくなります。

もちろん大人のADHDに関係なくすべての人に言えるのかもしれませんが、特に大人のADHDでは目先のことで発言してしまいやすく言い方を間違って損していることが多いのです。

大人のADHDで暴走しやすい「怒り」の感情は致命的

少し難しいかもしれませんが、大人のADHDで知っておいて欲しい言葉として「優格観念ゆうかくかんねん」というものがあります。
優格観念とは、他のすべてに優先して出てきて支配される観念をいいます。
ひとことで言えば頭の中がその考えだけで支配されてしまうことです。

Dr.G
支配されてしまうというところに注目です。

この観念は多少は日常的にもあるのでわかるかもしれませんが、ある考えや思考が感情的な反応にのっかって、他のすべての思考をおさえてその考えに支配されてしまうものを優格観念というわけです。

感情的になっているときはそのときの考えに支配されていますよね?
通常はあとで気付いて後悔することもあると思いますが・・・。

「強いこだわり」「固執する傾向」はADHDに独特な特性ではないのですが(むしろ自閉スペクトラム)、オーバーラップする発達障害の特徴も噛んで目立つことがあります。
それが優格観念化すると激しい妄想とも言えるべき状態になり(被害関係妄想)、そしてそれが揺らぐことのない「強い怒り」になります。

優格観念となるともう誰が何を言っても訂正できません。
ここにADHDの衝動性が絡むと社会適応は困難になり、たちまちトラブルが起こりやすくなってしまうことはわかると思います。

優格観念が発達障害の一部の特性であるこだわり・固執・執着心と重なって、そこにADHDのような衝動性がからむとトラブルの種にしかならないのです。
トラブルが起こった後も、本人の優格観念となった思考は正しいものと思っていますので修正され反省することはなく、むしろ相手がおかしい(場合によってはあれはパワハラだ、いじめだ)となってしまいやすいのです。

大人のADHDでは優格観念化した怒りは手の付けようがなく、考えを訂正することは非常に困難です。
自らこうなりやすい特性を知り、あとでかえりみる準備がなければこれによるトラブルをいくつも無意識にかかえてしまうことになるでしょう。

ですので自分の考えが優格観念化していないかという感覚を持つためにこの言葉は難しいですが是非知っておいていただきたいのです。


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ADHDであることを会社に知ってもらうべきか

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すでに子供のころからADHDの診断がされていたり、精神障害者保険福祉手帳もお持ちであれば、精神障害者として障害者雇用促進法に基づく「障害者雇用制度」 の対象になります。

最初から障害者雇用枠で採用されている場合はもちろん、子供のころにADHDと診断されている場合(これまで学校など環境調整しながらクリアーしてきた実績がすでにある場合)にはADHDに対する会社側の配慮は比較的受けやすいでしょう。

しかし、特に大人になってからADHDを疑うような「大人のADHD」という障害は、会社では単に「できない人」のレッテルが張られがちです。
さらにそのレッテルをはがそうとして医療機関に相談できたとしても、明らかに不注意が職場で連発していても「ADHD」として診断されずらいことが多いのです。

この場合、そんなはずはないとたくさんの医療機関に意見を求めて駆け回ることになりますし、1つ1つのクリニックや病院を受診するのにもかなりの時間を費やすことになります。
そしてなんとしてもADHDの診断を受けて会社や周囲の人にわかってもらいたい、「何でなまけているわけではないことを周囲は理解してくれないんだ!」という怒りと葛藤が頭をかけめぐることになりやすいのです。

研修医Ji郎
大人になってからのADHDは必ずしも診断されることに意義があると思う必要はないのですね?
Dr.G
もちろん大人のADHDに使えるお薬などもありますから、そうとは言い切れませんがそもそも大人になってからのADHDは診断しずらく、医師によっても意見に相違がでやすいのです。
さてその問題について少し触れておきましょう!

大人のADHDが診断されずらい問題

発達障害の中で自閉症スペクトラム障害(ASD、以前のアスペルガー)は有病率ゆうびょうりつ(発達障害がある率)は1%、ADHDで3-4%と言われています。

しかし診断基準を明確に満たすものばかりでなく、発達障害の特性を一部もしくは全体的に弱く持っているだけの方もおり実際には潜在的にもっと多い可能性もあります。

そしてそういった潜在的なものの場合は、はっきりと診断がつかないでしょうし、最初にお話しした通り発達障害の特性はオーバーラップしますので余計に特性があいまいになりやすいのです。

それでも本人は確かに生きづらさを持っていたとしても周囲は「怠けているだけ」「できない人」などととらえていたりしていて、職場に適応しづらくなりやすいのです。
そして潜在的な発達障害の特性はストレス下でより顕著にでやすく悪循環に入りやすいのです。

二次的にうつ症状なども出しやすくなります。

そもそも大人のADHDなどの「大人の発達障害」という言い回しはこの診断基準を満たさないまでも、弱く持っている発達障害の特性で社会適応できない人が増えている?ことからでてきた部分もあります。

症状を落ち着かせ、安定して就労できるようにするには発達障害の特性が診断基準を満たすかどうかのみでなく、(周囲が悪いというより)自身の特性こそがストレス要因になり悪循環におちいっていること、社会生活の障害になりうることを知っておくことが必要です(それこそ病名がつくことにこだわってしまっている方も多いと思います)。

そしてその特性も個々によって強弱が異なっていますので、個別に対処法を練ることも重要です(大人のADHD全般にこうすれば良いという言い方はしづらい)。

会社にどう伝えるのが良いか

大人のADHDが仮に診断された場合には、もちろん診断書をもって職場と相談するのが良いでしょう。
ただし、うつ病と違って休職するという単純な手続きではないですから、職場もどのように配慮すれば良いか困惑することもあるでしょう。
また会社によっては診断書をもってしても非協力的なこともあります。

診断されない場合には、セカンドオピニオンに行くことは良いのですがあまりにもADHDと診断されることに意義を求めすぎないことも重要です。

最近は職場の上司から「ADHDかもしれないから病院に行ってみたら?」と言われてくる方も多くなっており、この場合には上司と相談して仮に診断を受けれなかったとしても配慮してもらえる可能性はあるでしょう。

大人のADHD(もしくはそのグレーゾーン)とうまく付き合うには、診断書を「水戸黄門の印籠いんろう」のようにして使うことで周囲の理解を得ることを中心にするのではなく、自身でどのように工夫していくことでうまくやれるかを中心に考え、可能であれば周囲の理解を得られたらくらいのスタンスが大事です。

そのスタンスでいかないと、問題や怒りの感情が芽生えるだけになってしまいやすいのです。

現在の職場がそれでも難しく転職するにしても、自身で勝手に決めるのではなく、大人のADHD(もしくはそのグレーゾーン)に適正のある職を相談していくのが良いでしょう。


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大人のADHDではどんな仕事が適応しやすい?

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ADHDをはじめ発達障害の方は、(特に自分を)客観的にみたり振り返ることが難しく、自分の特性に気づいていないことがしばしばあります(逆にその特性に気づいているだけでも生きづらさが変わることがあります)。

診断がついていればまだ良いですが、大人のADHDは診断がついていないことの方が多く、運よく職場で「ADHDじゃない?病院に行ってみるのが良いよ」と言われればまだしも、単純に「できない人」のレッテルだけが張られたり自分で低く評価をつけていることも少なくありません。

病院に行ったとしても発達障害においては、医師によって診断の定義のとらえ方に差があり様々な評価がされやすくなります。
「適応障害によるうつ状態ですね」とか「うつ病」「ストレスですね」と言われている方も多いでしょう。

最初にも説明しました通り、発達障害の診断を明確にすることが、その方の社会適応のしやすさを改善させることに非常に重要というわけではありません。
むしろオーバーラップした症状であることが多いので、その診断をもらうためだけに病院をめぐることにもなりかねず、そうなるとかなりしんどいものです。

(再掲)
発達障害関連図

診断基準はさておき、仕事の観点からは簡単に以下のような特徴があると言えます。


自閉症スペクトラム障害(ASD、以前のアスペルガー)

  • 想像力が弱い(経時的に追ったり、手順などを想像しにくい)
  • 客観的に自分を正しく認知できない
  • 瞬時に視点を変えるのが難しい
  • 認知がずれる(空気が読めない、逆に読みにいこうとしすぎるときも)

注意欠如多動性障害(ADHD)

  • 衝動的に不利益な行動をしがち
  • 気持ちの切り替えが難しい

学習障害(LD)
作業の指示の飲み込みが悪い


何度も言いますが、大事なことはこれらが3つ個々に存在するのではなく、いくらかオーバーラップし目立つ特性と目立たない特性があるのです。
大人のADHDといったところで十人十色なのです。
ですから、大人のADHDにはこうした方が良いと周囲も固定観念を持つのは危険でしょう。

そしてこういった発達障害の特性は常に社会適応を困難にしているわけでもなく、その時々で人・組織・周囲の状況によっても変わります。
同じ職場でも、上司が変わってからとか部署が変わってから発達障害の特性が露呈ろていしてしまうこともあります。

基本的には自分のペースで行動できて、習慣化されておりイレギュラーが少ない状況では対応できることも多々あるのです。
逆に得意ということもあるでしょう。

一方で、上司からの命令が自分のペースと関係なく自由にしかも口頭で伝えられ、臨機応変さが求められるととたんに崩れることになります。

このように一概に職場がだめ、社会にはどこも適応できないというわけではなく状況や環境によって特性が露呈して適応できなくなることがあるのです。

大人のADHDが適応しやすい仕事は何か

大人のADHDをはじめ発達障害は「障害」という名前がついてしまう通り、社会に適応しにくい何らかの要素・特性をもつものとされます。

企業が雇い入れるうえでは何らかの戦力にしたいのですがその特性から対人関係をうまくできなかったり、融通が利きにくく仕事がうまくすすまない、いつの間にか出勤しなくなってしまうなどの問題が起こりやすいのも事実です。

多くの仕事において大人のADHDの特性は弱みとなってしまうことになるのですが、特定の仕事においては逆に強みになることもあります。

例えば、企業においても川の上流にある仕事「上流工程」(企画などをたてる、顧客ニーズを把握する、スタッフの人選をする)などは、発達障害の特性であるこだわりや周囲からしたらどうでもよい細かい部分に目がいくなどの臨機応変さのない特性は弱みになります。

一方でソフトウェアや製品のエラーをチェックしたり、保守管理をしたりある程度決まったことを流れにのっとって行うような川の下流の業務「下流工程(後工程)」は、先ほどまで弱みとしていたこだわりや細部に目に行くこと、ルールを絶対視する感覚が強みに変わります。

つまりこの「下流工程(後工程)」の仕事を現代の企業の中から見つけることは適応しやすい可能性を秘めているといえるでしょう。

<主な下流工程の仕事>
サイトの更新や画像加工、情報の保守管理、ウェブ情報の分析、アンケート情報などの入力など事務補助、品質管理、点検業務など

しかし、現代の日本においては企画を立案したり、営業販売の仕事が大部分を占めておりほとんどが臨機応変さを求めていることが多く、発達障害特性の強みを活かせる「下流工程(後工程)」の職種に出会うことが難しいところもあります。
そして実際に下流工程と思って入職しても、結局営業が絡んだり、時間割があるようでなくて臨機応変に業務をこなさなければならないことがあるからです。

大学に行ったり勉強に興味があれば研究者も向いていますし、医師・弁護士・薬剤師・税理士などの資格を取得して専門業務をこなすのも良いでしょう。

これらはあくまでひとつの例で、ADHDの特性は十人十色ですから必ずしもこれが良いという絶対的な答えがあるわけではありません。

まとめ「大人のADHDの仕事上での困りごとと対処法」

大人のADHDが社会適応するうえで困難が多い理由について説明しました。

ADHDの基本的な特性(不注意・多動・衝動性)にとどまらず、もっと広い発達障害の他の症状(こだわりなど)をあわせもつことで複雑な特性をもち、これが良い方向にも悪い方向にも社会適応のしやすさを変えているのです。

また大人になってからADHDの症状が目立つようになったタイプでは、医療機関でADHDと診断されないこともしばしばです。
自分の状態を納得したいだけなら良いのですが、どうしてもADHDの診断をもって周囲に自分の生きづらさを説得させたいということに意固地になってしまっている例もあります。
そうなると余計に会社での居心地は悪い方向にすすみかねません。

大人のADHD(特にグレーゾーンのもの)との上手い付き合い方は、どのようにこの特性を活かす(もしくは目立たないようにさせる)かであり、見えなかった(見てなかった?)自分を客観的にとらえ、なにか問題が起こってもそれは相手が悪い・相手が怒ったではなく、自身のふるまいや発言の結果でそうなったのであり、結果はかわったかもしれないことを常にフィードバックしながらやっていくことも大切です。

そしてそれは(ADHDがなかったとしても)多くの方がやっていることであり、そのことを知って少しでも適応しやすくできればと思います。

 

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