アル中飲んでしまった

「アルコール依存症」と診断された患者さん達は、医師の説明や学習会での説明の中で、何度も「お酒を控えるのではなくて断酒ですよ。今後一生、もし一口でも飲んでしまった場合、また元に戻ってしまいますよ。」ということを耳にタコが出来るくらい聞くことになります。

でも、その一方、耳にタコが出来るくらいに状況になったところで、もしもお酒の誘惑に負けて一口飲んでしまったら・・・?

患者さん高齢者

  • 「ああ、先生のことを裏切ってしまった、もう病院には行けない・・・。」
  • 「一口飲んだからもうおしまいだ。もういっそのこと、飲み続けて死んでしまおう!」

そんな心境に至る患者さんは今までにもたくさん診てきました。でも、その時に、お酒を口にしてしまった時にどのようにまた断酒できるかという道を作ってあげさえすれば、また断酒の道に戻ることが出来る訳です。このワークの中では、今までお酒をうっかり口にしてしまった経験を思い出して、その時の状況をまず振り返り、その後にどのような行動が取れそうかということを考えて行きます。


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断酒してたのにお酒を飲んでしまったとき:問題編

問題:次の1~3の中から自分の経験がある一つを選び答えて下さい。もしどれも経験がない場合はそうなった時を想像して答えてみて下さい。

  1. お酒をやめようと思っていたのに、ある時、お酒を飲んでしまいました。その時の考え・気持ち・体の具合・その結果どうなったかを書いてみて下さい。
  2. 今日はお酒を飲むのをやめておこうと思っていた(例えば車で来ていたとか、次の日が仕事だとか)のに、ついお酒を飲んでしまいました。その時の考え・気持ち・体の具合・その結果どうなったかを書いてみて下さい。
  3. 今日はお酒をここまでにしておこう(例えば日本酒1合)と思っていたのに、決めた量を超えて飲んでしまいました。その時の考え・気持ち・体の具合・その結果どうなったかを書いてみて下さい。

できましたか?恐らくその経験を思い出して書いているうちに、状況が蘇って来たのではないでしょうか?

さて、それではその状況を思い出しつつ、お酒を一口飲んでしまったとき、その後断酒を続けて行くにはどのような行動を取ったら良さそうでしょうか?

以上のことを問題編で提示し、解答編で出てきた患者さん達の体験談を共有しながら「一口飲んでしまった時に何が出来るのか」をみんなで考えるのがこのワークの主題になります。

断酒してたのにお酒を飲んでしまったとき:解答編

お酒を飲んでしまったときって正常な判断が出来ないことが多いので、簡単に出来る対策でないと実際に実行できないことが多いです。だから、その時の状況を思い出しながら対策を考えてもらうわけですね。ちなみに対策として患者さんが考えたことで今覚えているものを羅列します。

  • 家族に正直に話す
  • 自助グループに行って飲んでしまったことを正直に話す
  • 病院に電話して外来受診を早め、外来で正直に話して相談
  • 抗酒剤をちゃんと飲むようにする(最初からお願いします by Dr.G)
  • 家にあるお酒を全部捨てる
  • 翌日から家族にお金を預かってもらうようにしてお金を持たないようにする
  • 飲み友達との連絡を断ち切る
  • 入院していた時の仲間に相談する、水分をしっかり取る・・・etc.

最初の方に「飲んだことを正直に話す」というのがありますが、これはアルコール依存症の治療において最重要とまで言えるほど大事なことです。僕はアルコール外来でははじめに必ず伝えていました。

Dr.GDr.G

ここまでアルコール依存症の治療には断酒しかないというお話をずっとしてきましたが、ここで断酒する決心をするかは〇〇さん次第です。でも絶対に約束して欲しいのは、飲んだときには正直に話して下さいね。これが『俺はもう二度とお酒を飲まないよ』と約束するよりも大事なことです。

では、このグループワークの内容はどのように外来の現場で生かされるのか?また外来での一コマを覗いてみましょう。

「もしお酒を1口のんでしまったら・・・」外来での1コマ

pt♂

先生、俺、昨日ついつい魔が刺しちゃって飲んじゃったんだ・・・。先週来た時は、俺は抗酒剤はもういらないよって言って、もらわなかったけど無理だった・・・。

Dr.GDr.G

入院中にやった『お酒を一口飲んだときの対応』覚えていて実践できたのですね?それは素晴らしい!!ここで正直に話せたということは回復への大きな第一歩ですからね!

pt♂

俺は別に褒められるようなことしてねえぞ?結局飲んじゃったんだしな。

Dr.GDr.G

アルコール依存症にスリップ(再飲酒)はつきものですよ。それより今後どうするかが大事です。さっきは抗酒剤はもういらないといったけど無理だったって言ってましたよね。抗酒剤は再開してみますか?

pt♂

うん、そうだな。その前も結構飲み忘れていたんだよな・・・。

Dr.GDr.G

それでは飲み忘れがないようにするにはどうしたらいいかを考えてみましょうか?

pt♂

家族の前で飲むって確か習ったよな。でもうちの家族は俺が飲んだことに呆れてて、やってくれるか分からないな。

Dr.GDr.G

そこはお願いしてみましょう。ほら、入院中にやったコミュニケーションスキルの出番ですよ。

pt♂

そうか・・・。まあ、やってみるか。あとは断酒会でちゃんと話してくるよ。

まとめ

断酒を長いこと頑張っていた患者さんでもお酒が一度入ってしまうとどんどん崩れていってしまうことが多々あります。なので、正直に飲んだことを話した時点でひとまず「お酒を一口飲んだときの対応」を取れたことを大いに評価してから対策を一緒に考えて行くことが大事になります。

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