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皆様はブレインストーミングという言葉を聞いたことがありますか?

モーニング娘。の曲名?

確かにそれもありますが、60年以上前に考案された集団思考とも呼ばれるアイデアを出し合う会議の方式のことで、今回の主題です。


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アルコール依存症治療としてのブレインストーミング

ビジネスの現場でも広く使われたりしているこの方式ですが、このブレインストーミングによる問題解決法のセッションをグループワークの一つとして行っていました。

そもそも、何でアルコール依存症の治療でこんなことをやるのかというと、その理由としては2つあります。

日常、我々は色々な困難に遭遇する訳ですが、アルコール依存症の方の多くはそういったどうしようもない困難に遭遇した時、不安やストレスを紛らわせようとして飲酒してしまうというパターンがあるからというのが一つ、そしてもう一つとしては今後飲酒欲求が出現した時の対策、飲み会に誘われた時にどうするかの対策など、退院後の様々な対策を患者さんに立てて頂く際の個人で考える技法としてもブレインストーミングが有用となる場面が多いからです。

前任の病院の中でやっていたグループワークでは、問題文がまず配られその問題文に対し、グループでブレインストーミングを行うということを問題編のセッションで行い、次の解答編のセッションの時にそのアイデアを生み出した過程を発表してもらう、という形を取っていました。

アルコールグループワークにおけるブレインストーミングの流れ

  1. 問題文から「まず解決すべき問題」を問題として設定する。

  2. 設定した問題に対して解決策を出し合う

    良い悪いは考えずにとにかく思いついたものをどんどんグループで発言して書記係の人に全て記録してもらう。

  3. 解決策について分類する

    それぞれの解決策について良い点、悪い点、実行可能性(◎、〇、△、×の4段階で評価)について話し合う。

  4. 一番良い策、もしくは良いと考えられる複数の策を組み合わせて採用

    
という形で行いました。

多分、ビジネスの現場で行われているブレインストーミングとは若干相違があるのではないかと思いますが、ワークのセッションという形で色々な患者さんにとってやりやすい形になるようアレンジしました。

断酒のためのブレインストーミング:問題編

こんな感じの問題です。

寒い風が吹きすさぶある日、Aさんは仕事から自分のアパートに帰ってきました。

すると、自分のアパートの部屋の窓ガラスが割れていました。

『うわあ、嫌だなあ』と思いながら呆然として見ていると、大家さんがやってきて、『おい、お前が割ったな!!弁償しろ!!』といきなり要求してきました。

普段から大家さんはかんしゃく持ちで、アパートの住人は皆、大家さんへの対応に困っていましたが、皆さんがAさんだったらどうしますか?

この問題文に対して先ほどの1~4のセッションをグループで行うという訳です。

ちなみに、このワークに関しては、「正しい答えを出すこと」よりもむしろ「その答えを導き出すに至る過程」の方が重要になります。

断酒のためのブレインストーミング:解答編

例えば、この問題文だとこんな感じになるでしょうか?

大家さんの気持ちを収めるためにどうするか?(問題設定)

  • 自分がやっていないと釈明する。
  • 大家さんに賄賂を渡す。
  • 警察に通報する。
  • 第三者に間に入ってもらって話をする。
  • 大家さんを褒めて機嫌を取る。

などなど、とにかくこの時点では、思いついたものをどんどん出し合って記録していきます。
    
自分がやっていないと釈明する:〇

  • 良い点:うまくいけば無実を証明して弁償せずに済むかもしれない。
  • 悪い点:大家さんがかんしゃくを起こして言い訳と思われて話を聞いてくれない可能性がある。

大家さんに賄賂を渡す:×

  • 良い点:お金で気持ちが治まってくれる可能性はある。
  • 悪い点:「馬鹿にしているのか!?」と怒られそう。自分の経済的損失。金で解決しようとするのは道義的にどうか。

警察に通報する:〇

  • 良い点
    • 現場検証をしてもらって無実が証明できるかもしれない。
    • 大家さんがかんしゃくを起こしても押さえてくれる。
  • 悪い点
    • 大家さんとの今後の関係は悪くなりそう。
    • 警察が来るまで時間がかかる。

第三者に入ってもらう:

  • 良い点
    • 第三者に入ってもらうことでお互い熱くならずに話し合いが出来そう。
    • 言った言わないの争いが後から起こらない。
  • 悪い点:ちょうど都合のいい第三者が見つからないかもしれない。

大家さんを褒めて機嫌を取る:△

  • 良い点
    • うまくいけば怒りが収まるかもしれない。
    • 大家さんとの関係は良くなるかも。
  • 悪い点
    • 問題の解決にならない可能性が高い。
    • 言い方によっては逆に神経を逆撫でするかもしれない。

以上から、第三者に入ってもらうのが妥当かと思われます。

当然、この問題には正解はないので毎回患者さん達は違う問題設定、そして解答も色々でした。

まとめ

患者さん達にはこの考え方自体を覚えてもらって、後ほど、担当看護師との個人セッションの中で「飲酒欲求が出現したときの対策」などを考えてもらったりする方向に使ってもらったり、実際に退院後に何か困難に直面した時にこの考え方を応用してもらったりしていました。

今まで困難に直面した時にはすぐに不安になってアルコールで紛らわすパターンだったのが、その前にまずは問題を整理してブレインストーミングしてみるというワンクッションが入るようになった訳ですので、このセッションはとても重要だったと思いますし、実は、アルコール以外の場面でも十分使える技法だなと思います。

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