アルコール依存症病棟はてんやわんや

アルコール病棟は大変

アルコール病棟のイメージといえば、

「やっかいな患者さんが多くて大変そう・・・。」
「頑張ってもどうせお酒を飲んでくるし、報われなさそう・・。」
「勉強することが多くて大変そう・・・・。」

そんなネガティブなイメージを抱かれがちなアルコール病棟でしたが、中身は割と和気藹々わきあいあいとした雰囲気でした。

そりゃ、大変なことは目白押しで、本当、色々なことが起きて退屈しないですよ(苦笑)

ご家族に説得されてやっとの思いで入院したばかりの方が
「俺はもう何ともないから退院させろ!」
と要求したり、アルコール性肝硬変の方が何となく意識レベルが下がったと思ったら夜間に急変したり、外泊中に飲酒して飲んでいた抗酒剤と反応して急性アルコール中毒を起こして別の病院へ救急搬送されたり、患者さん同士で喧嘩になったり・・・・etc

だけど、そうやって起こった色々な事態に対して、一人で抱え込むことなく、スタッフ全体で共有して対策を話し合える体制を作れたからこそ、乗り切れたのかなと思います。

アルコール病棟で活きるスタッフのキャラクター

僕の方でも、働いている看護スタッフ一人ひとりの特性を掴んで、担当看護師を決める時から、「この人は多分途中で退院要求をしてくることが予想されるから、そういうときは〇〇さんが一番対応できそう、普段は△△さんの担当でいくのがいいかな?」などと、予め入院カンファレンスの場で話し合ってから入院してもらっていました。

実際に入院してからも、その患者さんの変化を見て互いに早めに情報共有し出来る限り素早い対応が出来たと思います。

スタッフの数にまだ余裕があった時期は、時間があるときには担当患者さん のところに行って酒歴などの情報を取ったり、今の気持ちを聞きに行ったりするスタッフも多かったので、「退院したい!」という不満を抱く前にその不満が解決されたりということも結構あったみたいですね。

スタッフ一人ひとりも患者さん達にネガティブな印象を持って接することなく、むしろ愛情を持って接していたような感じだったので、多くの方は温かく迎え入れてくれて良かったという感想を抱いてくれたようでした。

そのため、その患者さんが退院して再飲酒、そして再入院しなければならない状況になっても、「もう二度とあんなとこ入院したくない。」という拒否ではなく「あぁ前回の時にお世話になったあの〇〇さんにまたお世話にならなきゃな。」という気持ちになりやすく問題が大きくなる前に再入院して適切な対応が出来ることにつながったのかなと思います。

退院して外来での通院治療になってしまうと、通常、病棟のスタッフはその患者さんに関わることはなくなってしまいますが、たまに外来の待ち時間中にお世話になったスタッフに会いに病棟に行く患者さんもいまして、その元気な姿を見ることがスタッフの励みにもつながっていたようでした。

病棟のスタッフにとっては、なかなか回復している患者さんの姿を見る機会はないですからね。

自助グループにつながった患者さんに会いに自主的にスタッフが自助グループに足を運ぶという習慣が段々出来てきたのも良かったです。

他の病棟のスタッフからは、「アルコール病棟に行くと、休みの日にも自助グループに見学に行かされたり、アルコールの研修会に行かされたりするから大変。」というイメージを抱かれて、よりアルコール病棟が敬遠される結果になってしまっていたようでしたけどね。

患者さんからの退院要求があった時なども、それぞれのスタッフによって対応の仕方は様々でしたが、自身のキャラクターなど特性を生かした形でうまく対応していました。

看護師K子看護師K子

「なーに言ってんのよ?せっかくここまでやってきたのに○○っちがここで退院しちゃったら寂しくなっちゃうでしょ?それにここでやめちゃったら勿体ないわよ?」

看護師B男看護師B男

「退院したいですか。そのことはちゃんと先生に言いました?言えない?言えないということは、その裏に何か後ろめたい思いとかはあるのでしょうか?それとも先生が怖い?退院ってそもそも〇〇さんにとってどういう意味を持ちますか?」

臨床心理士臨床心理士

「退院したいという思いはわかりました。でも、退院、ということにはひとまずご家族も説得しなきゃいけないし、先生にも納得してもらわないといけませんよね?今の状況でただ『退院したい』というだけでは多分納得してもらえないから、どうやったらその言い分が通りそうか、考えてみましょうか?」

 
対応としてはかなり違いますが、共通しているのは、どのスタッフもその患者さんを意地でも入院継続させなければと躍起になることなく、その患者さんにとって一番前向きな方向に持っていけるかを考えていることですね。

当然、そうした話も全く通じないほどの酩酊めいていあるいはせん妄状態になっている時には開放病棟では対応できないこともあるのですが、その場合は我々の出番という訳です。

やっぱりチーム一丸となることが大事

そういえば、一般の病棟で精神科臨床をしていた時期は、

「先生、〇〇さんが退院したいってずっと言い続けているので、診察して何とかして下さい。」
「〇〇さんが薬飲まないので、先生が説得して何とか飲ませて下さい。」

    
とだけ言われて、しょっちゅう呼び出されていたものでした。

その当時は、その度に対応していました。

今考えるとその時にも「〇〇さんはどうしてお薬を飲みたがらないのでしょうか?退院したがっているのでしょうか?病気の症状でしょうか?それとも我々にも了解可能な事情があるのでしょうか?」なんて、話し合えたらよかったかもなと思いました。

きっとあの当時の病棟だと「そんなこと、いちいち話す時間はないです!」って一蹴されてしまいそうですが(苦笑)

良い雰囲気の中、チームで治療に当たれているという感覚が、結局は大変な環境の中でも自分からやめていくスタッフがいなかった(上からの命令での配置換えはありましたが)大きな要因だったかもしれませんね。

スポンサーリンク

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします