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「薬物療法をすすめても飲んでくれません」にどうしたらいい? 【アルコール依存症】

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
「薬物療法をすすめても飲んでくれません」にどうしたらいい? 【アルコール依存症】

実はアルコール依存症には断酒補助剤<レグテクト>、抗酒剤<ノックビン・シアナマイド>というお薬(内服薬)があります。


ところがもちろん患者さん全員が全員、抗酒剤や断酒補助剤を素直に飲んでくれるわけではありません(それでも断酒補助剤の方はアルコールを飲めるため、素直に飲む人が多かったですが)。

何とか治療につながり、「お酒をやめてみようかな」という気持ちになったとしても、やはりどこかで飲みたい気持ちはあるもの。
抗酒剤を飲まされて強制的に飲めない状態にされてしまうのは、仕方ないと思う部分はあったにしても、なかなかお酒をきっぱりやめるという決心はつかないと思います。

実際に、抗酒剤は絶対に飲みたくないという人が存在するのは確かですし、「抗酒剤なしで自分の気持ちでやめるよ。」という人に限って再飲酒してしまうのもまた現実よくあることです。

Dr.G
そんな外来での一コマを少し見てみましょう。
ちょうど、抗酒剤の説明をした後の状況です。

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アルコール依存症の薬物療法「実際にどうやって抗酒剤を説得する?」

患者
先生の説明で、抗酒剤がどんなものかっていうのは分かったよ。
だけどよ、俺は先生の話聞いて酒はもう飲まねえって決めたんだ!
これ以上肝臓悪くなったら大変だろ?
俺は自分で決めたことはちゃんと守るから大丈夫だぞ?
患者家族
何言っているのよ!?
今までも『絶対俺は酒やめるから』って言っておいて全然やめなかったじゃない!
本当は、抗酒剤飲んだらもう二度とお酒飲めないから、お酒飲みたくて言ってるんでしょ!?
先生、もっとこの人に強く言ってください!!『抗酒剤飲まなきゃ死ぬよ!』って。
Dr.G
ちなみに、どうして〇〇さんは抗酒剤を飲みたくないと思ったのですか?

    

患者
だって、さっきの話だと肝臓にも悪いかもしれないって話だし、副作用もあるんだろ?
俺はもう酒飲む気はねえし、自分でやめられるよ。
Dr.G
なるほど。
今までってどうでした?
自分でやめると決めたらやめられましたか?
患者
え?・・・まあ、やめてはいたよ。

    

患者家族
またすぐ飲んじゃったじゃない!?
Dr.G
うーん、それだと、少なくとも『自分で決めた』というだけでは、『ご家族は納得しない、信じてくれない』みたいですね・・・。
ご家族に納得してもらうためにはどうしましょうか?
抗酒剤を飲まないとしたら、どうやって信頼関係を回復していきましょうか?
患者
わかったよ。じゃあ、そのレグテクトだっけ?それは飲むよ。
だけど、やっぱり抗酒剤は勘弁してくれよ。
Dr.G
その他の方法は何か考えられませんか?

    

患者
え?他に・・・?

    

Dr.G
さっき自助グループっていう説明をしたと思いますが、例えば、ご家族と一緒に明日やっている断酒会に見学に行ってみるというのはどうですか?
そうすると、ひとまず納得してくれそうですけど・・・?
どうですか、〇〇さんのご家族の方は?
患者家族
明日一緒に断酒会に見学に行くって言うなら、ひとまずいいわよ。
患者
うーん・・・、そうか・・・。

    

Dr.G
それでうまく行かなかったら、また抗酒剤の使用を検討しましょう。
それでどうですか?
患者
わかったよ、断酒会に見学に行くよ。

まとめ「抗酒剤の提案と説得について」

はい、服薬の説得は出来ていないですね(笑)

大事なのはいきなり強制的に抗酒剤を飲ませようとしないこと

スタンスとしては抗酒剤を飲みたくない場合、「他の方法が考えられないか?」と投げかけること

もし本人の方から何か方法の提案があったら「まずはその方法をやってみて駄目だったら考える」ということですね。

これは抗酒剤の内服に限らず、色々な治療の提案についても共通です。(入院の説得とかもですね。)

ちなみに、この例の場合、その次の外来でちゃんと断酒会に見学に行っていた場合は、「約束を守れましたね!すばらしい!」とまず褒めてあげることも大事です(ご家族の対応としても同じです)。
もし出来なかった場合は、また同様に何故出来なかったか振り返りつつ、今後どうしていくかを一緒に考える。
その繰り返しです。

でも、実際に「抗酒剤を内服したくない」と訴える患者さんの中にはやはり病気に対しての否認は多かれ少なかれ隠れていますね・・。
今回の一コマでは抜けていましたが、抗酒剤の内服に対しての不安な気持ちを聞いてあげることも大事ですね。少なくとも不安な気持ちが軽減されることで、確実に内服へのハードルは下がりますからね。

 

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