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生きづらさの原因はアダルトチルドレン?ACが病気でない理由【アルコール依存症と子供】

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
生きづらさの原因はアダルトチルドレン?ACが病気でない理由【アルコール依存症と子供】
Dr.G
さて、今回はアルコール依存症と子供、そしてアダルトチルドレン(AC)のお話をするよ。
用意はいいかい?
研修医Ji郎
えっ?子供もアルコール依存症になるんですか?
Dr.G
もちろんなり得る。
でも今回はその話じゃなくて、アルコール依存症の家庭で育った子供の話、そしてアダルトチルドレンです。

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研修医Ji郎
アルコール依存症の家庭って、大変そうですよね・・・・?
結構、離婚とかしているイメージがあります。
Dr.G
まあ、僕も3歳の時に両親が離婚していてね・・。
僕の父親はアルコール依存症で僕や母親に暴力を振るってきたのをまだ覚えているよ・・・。
その後、祖父母のところに引き取られて、それからは色々紆余曲折を経て今に至るわけだけど・・・・。
研修医Ji郎
え?なんかすみません。
重い話をさせてしまいまして・・・・・。
Dr.G
いや、今回はそんな僕の経験も織り交ぜて、アルコール依存症の家庭で育った場合には子供にどのような影響が出るのかということを話していくよ。
アルコール依存症って「病気になった本人のみならず周りの家族も巻き込んでいく病気」なんだよね。
研修医Ji郎
教えて下さい!!
Dr.G
うん。
ではまず質問です。
子供ってどうやって育ちますか?
研修医Ji郎
えっ、いきなり難しい質問・・・。
えーっと、よく食べ、よく寝て、よく運動して・・・みたいな?(汗)
Dr.G
うん、確かにその通りなんだけど(笑)
子供は、最初はどうやって基本的なことを覚えていきますか?
研修医Ji郎
あ、そういうことですね。
それは、もちろん一番最初はは両親からですよね?
あとは兄弟とか、場合によってはおじいちゃん、おばあちゃんとか?
Dr.G
そうだね。
基本的に子供は一緒に過ごした家族を見てその通りにしようとします。
では両親のどちらかがアルコール依存症だったとしましょう。
そうしたら、どんなことが起こりそうですか?
研修医Ji郎
えーっと・・・。
例えば父親がアルコール依存症だった場合、いつもアルコールを飲んでいる父の姿を見ることになるから、将来「アルコールを飲むことは当然のこと」という認識にはなりそう。
あっ、でもアルコールを飲んで周りに迷惑をかけたりしていたら、逆に「飲みたくない」ってなりそう。
Dr.G
アルコールという観点から見るとそうなりそうですね。
でもそれだけではありません。

本来子供が成長していく過程では、両親の生活スタイルに合わせていくことで「家庭感」を養うことになります。
その中で十分な愛情や教育が提供されていれば、その子供が親になった時に両親から授かった父性(母性)で子供を育てることが出来ると言われています。


Dr.G
一方で・・・

アルコール依存症者の家庭で起こること

  • 父親がアルコール依存症だった場合、母親は子供に父親の役割を持たせようとする
  • 逆に母親がアルコール依存症だった場合は、父親が子供に母親の役割を持たせようとする

研修医Ji郎
つまり、子供が本来受けるべき愛情や教育を十分受けることが出来ないまま、アルコール依存症の父親(母親)の面倒を見る手伝いをさせられるってことですか?
Dr.G
はい、それも影響の一つです。
でもそれだけではなくて・・・

アルコール依存症の家庭だった場合は家族の話題の中心が「飲酒をどのようにコントロールするか」とか「飲酒の原因はどこにあるか」ということになりがちになります。


Dr.G
そうなると・・・・

本来は子供の話題が中心になってくるはずがいつの間にか忘れ去られてしまう!


研修医Ji郎
えー!そうなっちゃうんですか?
僕もよく両親から怒られたけど、それでも食事の時には家族全員で食卓を囲みながら学校であったこととか、色々他愛もないことを話していましたよ・・・?
Dr.G
Ji郎くんはいいなあ・・・・(遠い目)
僕は生計を立てなければいけない母親が働きに出てしまっていたから、祖父母に育てられてね。
それはそれでとてもありがたいことだったと思うのだけど・・・。
Dr.G
でも『どうして僕にはお父さんがいないんだろう?』って疑問を感じながら育ってきたよ・・。
学校でも授業参観の時におばあちゃんが来ていたりしたから
『お前のところはどうしてお母さんやお父さんが来ないんだ?』
『実は捨て子だろう?』
なんて言われていじめられたりしていたしね・・・。
研修医Ji郎
G先生、辛い思いをされてきたんですね・・・・。
Dr.G
僕の中にある父親の記憶は、僕や母親に対して暴力を振るってきた怖いイメージしかない。
Dr.G
いつか、『どうして僕にはお父さんがいないの?』って聞いたことがあったんだ。
その時にはきっと父親に会いに行ったらまた暴力を振るわれるという危機感が祖父母や母親にもあったんだろうと思うけど、『お父さんはあなたを愛するような人じゃなかったのよ。』って言われちゃったんだよね・・・。
研修医Ji郎
・・・。
Dr.G
これは子供心ながらにもショックだったし、僕はいじめられていたことも重なって子供時代のほとんどを『死にたい』と思って過ごしてきたよ・・・。
本当に死のうとしたこともあった。
Dr.G
もしその時の僕が理解できていたかはともかくとしても
『実はあなたのお父さんはアルコール依存症という病気で、お酒に酔っ払って暴力を振るっていたの。
だからあなたを守るためにお父さんと離れなければならなかったの。』
って説明されていたら、もっと違ったのかなって思ったりするよ。

患者さんの家族が『子供に対して病気のことをどのように言ったらいいですか?』って聞かれたときは、僕は必ずそのまま正直に話してください。って伝えています。

小さい子供だったりしたら『アルコール依存症』という病気の名前では分からないかもしれないけど、パパの絵とアルコールを鬼に見立てた絵を描いて、『パパはこの鬼にあやつられちゃっている病気なのよ』なんて感じで伝え方を工夫して教えてあげられればいいと思います。


Dr.G
さて、話を戻しますか。
アルコール依存症者の家庭で育つ中で『忘れ去られた子供たち』が母親や父親の役割を押し付けられる中どのように適応して行くか、となった場合、Ji郎くんだったらどうやって適応していく?
研修医Ji郎
うーん、とりあえず親の注意を自分に向けたいとは考えると思います。
例えば勉強を頑張って『良い子でいる』ことで親の注目を浴びようとしたり、逆に問題行動を起こすことで親の注目を浴びようとしたり・・・ですかね?
Dr.G
いいね、Ji郎くん。
ちなみに僕は勉強をとにかく頑張ることで注目を浴びようとした。
というか、小学生からずっといじめられていて評価してくれる大人もいなかったから、勉強を頑張ることでしか『自分の生きる価値』を見出すことが出来なかった。
だから、『勉強して良い成績を取ってよい子にしていないと、おばあちゃんやおじいちゃんからも捨てられる』とまで考えていたんだ。
研修医Ji郎
辛すぎますよ・・・それ。
でも、そんな中でお医者さんになったんですか?
Dr.G
まあね。
さて、ここからが本題だ!
育っていく中では色々苦労があったけど、その生きづらい原因になったのが・・・・

生きづらい原因:アダルトチルドレン(AC)とは

Dr.G
ここから、アダルトチルドレンの特徴について説明していくよ。
研修医Ji郎
お願いします!

こうした「良い子を演じる」ような適応行動が成年になっても身についてしまっている場合、大人になってもそのような特徴が見られています。
それをAdalt Childrenアダルトチルドレン; ACと言い、これが生きづらい原因になるのです。

特にアルコール依存症の家庭で育ったACの場合、Adalt Children of Alcholicsアダルトチルドレンオブアルコホーリクス; ACOAという用語があります。


Dr.G
ACのタイプには大きく分けて5つのタイプがあるよ。

アダルトチルドレン(AC)の特徴による分類


  1. 優等生型
  2. 問題児型
  3. いないふり型
  4. ピエロ型
  5. 世話焼き型

1.「優等生型」のAC

「いい子」でいることで親の注目を浴びようとします。
頑張らないと自分の価値がないと思うし、周りの期待に応えないといけないと思いがちになり、でも目標達成すると次を期待され、応えようとして頑張り続けるから息付く暇がないですよね。
こうした状況が続くと、成年になってもいつも完璧を求めるパターンが自分の中で定着化するから、他人にも完璧を求めたり、他人の評価に振り回されたりしがちになってしまうのです。


Dr.G
ときに自分の熱意が伝わらずに孤立したりとかね。
研修医Ji郎
G先生の子供時代、まさにそんな感じじゃないですか!
Dr.G
そうだね。でも世間の波に揉まれていく中で、完璧主義はなくなっていったかな・・。
そこは周りの環境に段々適応していったというか・・・。
研修医Ji郎
確かに!
G先生ってまめなように見えて結構ガサツなとこありますもんね。
Dr.G
うっ・・・、痛いところを。

2.「問題児型」のAC

Dr.G
これはさっきJi郎くんも言ってくれた通り、問題行動を起こすことで親の注目を浴びようとするパターンだ。

否定されて育った環境は繰り返されるかもしれない

学校で非行や喧嘩を繰り返したりする一方、実は傷ついているというのがこのパターンの特徴です。
非行や喧嘩を繰り返すことでますます周囲から孤立していったり、そのことで更に親の愛情をもらえない『寂しさ』や『空虚さ』が強くなったりすることになるのです。
そしてこのまま大人になっていくと、家庭を持ったときに暴力で支配しようとする行動パターンになったりすることもあります。


否定されて育った環境をそのまま自分の子にも与えてしまうという感じですね。


Dr.G
僕も多分中学の先生との出会いがなければこうなっていたかも・・・。
研修医Ji郎
昔のドラマですけど「3年B組金八先生」とかにもそんな不良がたくさんいたような・・・。

3.「いないふり型」のAC

これは、自分の存在を消すことで家庭内の問題から回避しようとするパターンです。
帰宅すると両親がけんかしているし、意見すれば怒られるという状況になっている環境なので、降りかかる色々な問題から「隠れる」「引きこもる」ことによって避難しようとするのですね。
『いないふり』をして存在を消すことで、親からの注目をできるだけ受けないようにして、傷つくことを予防するという感じです。

親からしたら手がかからないから『この子のことは放っておいてまずは目の前のアルコールの問題を』ということになるけど、その子にとっては当然親からの愛情を感じられないから、『自分なんてどうでもよい』となり、自己肯定感が低くなるのが特徴です。


研修医Ji郎
何か、聞いていて悲しくなりますね・・・・。
ちなみに、G先生に自虐じぎゃくネタが多いのも、その要素でしょうか・・・?
Dr.G
その要素はあると思うけどどちらかというとこの次の4番目、ピエロ型の方かな。
研修医Ji郎
ピエロ型というと、何か楽しそうなイメージを受けますけど・・・?

4.「ピエロ型」のAC

アルコールの問題に巻き込まれて機能不全の家族内を和ませようと努力するというパターンです。
家庭内でけんかが始まったりすると、ひょうきんなことを言って場を和ませようとします。
学校でも『面白い人』と思われて一見楽しそうにしているように見えるけど、実は本当はおどけたくなくて家庭内が不安だから「仕方なくおどけている」という感じなのです。

一見うまく適応しているように見えるけど、その裏で内心は家庭内の問題・機能不全の家族に怯えて、他人に本音を打ち明けられず心の葛藤を抱え込みやすくなるというわけですね。


研修医Ji郎
G先生も家庭内でおどけていたんですか?
Dr.G
いや、僕はずっと暗かったから、そうでもなかったな・・・。
もしかしたら、自虐ネタについてはピエロ型の要素の一部といないふり型の要素の一部なのかもしれないな・・・。
研修医Ji郎
そして最後の世話焼き型ですね?

5.「世話焼き型」のAC

これは家庭内のアルコール問題を、親の代わりに解決しようとするパターンです。
家庭内で喧嘩が始まったら仲裁に入ったり、お酒を買ってきたり、飲酒した後の始末をしたりということで子供なのに母親や父親の代わりをしようとすることで自分の居場所を見つけるのが特徴です。

これも一見適応しているように見えるけど、発達の段階で「自分に向き合う」ということが出来なくなり、「誰かの世話をしている自分」しか自分で肯定できないのです。
その結果、大人になって誰か他人の面倒を見ることでしか自己肯定感を維持できないという形になりがちです。

研修医Ji郎
うーん、それはそれでいいような気がしますけど・・・。
例えば我々医療者も患者さんのケアをする仕事ですよね?そのことで自己肯定感を得られるなら、それでいいような気もしますし・・。
Dr.G
Ji郎くんの言うとおり、「世話焼き型AC」の人は医療職などの援助職に就くことが多い。

もちろん色々な困っている人達を救うことで自己実現を図るというのは素晴らしいし尊いことなんだけど、その一方で結婚をする時にも親と同じようなアルコール依存症などの問題を抱えたパートナーを選びやすくて、その問題に巻き込まれて共依存関係に陥りやすいという特徴もあります。

その環境は再び機能不全の家族を形成するかもしれない・・・。


Dr.G
面倒を見ている自分じゃないと自分を肯定できないというわけだね。
援助職になった場合でも、必要以上にそのクライアントの問題に感情移入してしまうとかね・・・?
研修医Ji郎
どのACのパターンであったとしても、親からの愛情を受けようとして必死で生きている中で自然に役割をするという型にはまってしまい、ありのままの自分を主張できないのは共通しているんですね。
『自分って何なんだろう?』『何を目標にして生きているんだろう?』という葛藤はありそうですし、自己主張とかもあまりうまくできなそうな・・・。
Dr.G
そうだね。Ji郎くんがうまくまとめてくれたかもしれない。
研修医Ji郎
でも、ACになっちゃったらどうやって治したらいいんですか?

アダルトチルドレン(AC)は病気か?治療・克服法はあるのか?

ACは病気ではない!〇〇だ!


あくまでACは『病気』ではなくて『生きづらい性質』なのです。


Dr.G
更に言うと、ACOA(アルコール問題によるAC)の場合、『アルコール依存症という病気と闘ってきた証』でもあります。
僕の場合だと、子供時代に経験をしたからこそ患者さんに生の声としてお話しできるという利点もある一方、未だに母親に対して心から信頼をおけないという葛藤もあるよ。

ACの治療法

Dr.G
もしACのための『治療法』『克服法』というのがあるのだとしたら・・・、

  1. 自分の感情や意志を大事にして、心がつらい時には『つらい』って言えるようになること
  2. 同様の経験をした人達と分かち合うこと

Dr.G
ACにもアルコール依存症とかと同様、ACAという自助グループが各地にあるので、同様の経験をした人達と体験を分かち合うというのもいいと思います。
研修医Ji郎
逆に、親の立場で子供に出来ることってありますか?

先ほども言ったけど、『アルコール依存症という病気である』ということをちゃんと伝えることですね。
もちろん、ちゃんとそのまま理解してくれるとは限らないけど、ごまかして説明するよりはよっぽどいいのです。
それから、『アルコール依存症になったのはあなたのせいではない』ということも合わせてしっかり伝えておくこと。
子供と会話をする時間を作って感情を共有したり、趣味を共有したりしてもいいと思います。
とにかく子供に目を向けて行くことが大事!!
(実際問題難しいケースも多いけれど)飲酒問題には子供を決して巻き込まないようにすることも大事だね。


Dr.G
そういう意味では、母親が早いうちに離婚を決断して僕を暴力から避難させたことは苦肉の策とはいえ、必要なことだったのかもしれない。
僕は、結局その後父親とは会うことがないまま、死亡の知らせだけを聞いた訳だけど・・・。
研修医Ji郎
何か、今回はG先生の壮絶な子供時代の体験まで含めて聞いて切なくなってしまいました・・・。
僕はそう考えると本当に幸せな家庭で育ってきたんだなあって思います。
Dr.G
まあでも子供時代にああいう生き辛い経験をずっとしてきたから今の僕があるんだし、今は自由気ままにマイペースに生きることが出来ているから、別に僕自身今は不幸だったと思ってはいないよ。
研修医Ji郎
そんな風に考えられるようになれれば、生きづらいのも楽になるのでしょうね。
Dr.G
最後までありがとうございました。
僕の実体験も含めた『アルコール依存症と子供、アダルトチルドレン』のお話でした。

 

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