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イフェクサーSRの用法と飲み合わせ

イフェクサーSRカプセル(一般名:ベンラファキシン)はSNRIに分類される抗うつ剤です。
SRはSustained-Release(徐放性製剤)のことを示し、ゆっくり吸収される特性によって1日1回の内服で効果を出せるようになっています。
SSRIが主に神経伝達物質しんけいでんたつぶっしつ「セロトニン」に作用するのに対し、SNRIはセロトニンだけでなく「ノルアドレナリン」に対しても作用します。
特にイフェクサーSRはセロトニン作用の他、ノルアドレナリンに対しての作用は飲む薬の量によって変わるというデュアルアクション効果を持つのが特徴です。
このような2つの神経伝達物質への作用から、シングル作用のSSRIよりも効果が優れるのではないかという意見もあります。
(現在のところSSRIやSNRIは効果に対する優劣はつかないという一般的な意見でガイドラインなどは作られています。)

ここでは、イフェクサーSRの用法と他の薬との飲み合わせについて説明します。


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イフェクサーSRの用法

剤型と薬価

イフェクサーSR薬価
37.5㎎157.9円
75㎎265.9円
最大量服用時
75㎎ x 3カプセル
797.7円
3割負担で1ヶ月内服時の目安:約1421-7179円

イフェクサーSRの飲み方

初期の開始の仕方はイフェクサーSRカプセル 37.5mgを1日1回食後に飲みます。
1週間後よりイフェクサーSRをそこから75mgに増量します。
ゆっくり増やしていくことで初期に起こりやすい吐き気の副作用を最小限にすることができます。

症状と副作用の度合いに応じて最大225㎎まで(75mgカプセル3つまで)増量できます。(増量スピードはゆっくりが望ましく、1週間ごと37.5-75㎎ずつ増量というイメージです。)

薬物動態の項でも説明しますが、イフェクサーは代謝されて身体から出て行ってしまいやすいお薬です。
これでは1日に何回か飲まなくてはならなくなってしまうため、イフェクサーはSRというカプセル構造によってゆっくりカプセルから放出される構造になっており1日1回の内服ですむようになっています。
カプセルを壊して飲んだり、かみ砕いたりはしないようにしましょう。

イフェクサーSRは長期に飲んでも安全で依存性・習慣性は基本的にはないとされていますが、気を付けなければいけないのは増量するとともに血圧上昇には注意しましょう。(血圧は自分で測定しないと基本は無症状です。)

中止・減薬について

必ず主治医の指示に従って減薬・中止して下さい!

離脱症状(ふらつき、嘔気、胃痙攣けいれん、発汗、ちくちくした痛み、知覚の異常)がでないようにするためゆっくり減らすのが大事です。

急いで減らさなければいけないときにも、3,4日間で半分に、もう3,4日間でさらに半分に減らしてからと1週間以上かけて中止にもっていきます。
薬がなくなって数日飲まないでいる日がでてしまったときも、上記のような症状がでることがあるので残薬に注意しましょう。

離脱症状に対応するために
万が一、離脱症状が出てしまう時には、症状を抑えるために逆に徐々に増量して飲むようにして落ち着いてから、さらにゆっくり減らすようになるか、その量を維持して飲みます。どうしても離脱症状が出やすい場合、にはイフェクサーSRの交互内服を指示することもあります。

交互内服とは、例えば225㎎(75㎎カプセル3つ)を1日1回夕食後に飲んでいる方の場合であれば、今日は225㎎(3カプセル)、翌日は150㎎(2カプセル)、その次の日は225㎎(3カプセル)、またその次の日は150㎎(2カプセル)という感じです。

※あくまで個人的な意見です。この方法が、通常の減薬方法と比較して優位に有効であるという統計学的なエビデンスが存在するわけではありません。

どうしても離脱症状に悩まされている場合、ゆっくり減らしすぎてもゆっくりすぎるということはないためこれぐらい慎重に減量していくのもありだと思います。
個人差もありますので主治医と相談しながらにしましょう。

過量服用による症状

嘔吐、不整脈(QT延長:無症状だが危険な不整脈につながりやすい状態)、ふらつき、発汗、吐き気、振戦、けいれん、錯乱、昏睡、けいれんなどの症状が出ます。
ただし、SNRIに属するイフェクサーは、SSRIの過量服用よりも危険度は高いと考えられています。

もともとうつ病・躁うつ病の患者さんでは自殺念慮が出てくると、処方されている薬を過量内服する危険性があります。
以前の三環系抗うつ薬ではこれによって死亡してしまうリスクが高かったのですが、SSRIやSNRIはその毒性が三環系と比べて低いことが利点のひとつなのでした。
ところがイフェクサーは、多量内服するとセロトニン症候群やけいれん発作、不整脈が出やすく致死的になることもあるため注意が必要となります。

イフェクサー単体での過量服薬による死亡はありませんが、アルコールや他の医薬品と同時に摂取した場合は死亡例も世界では報告されています。

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イフェクサーSRの薬物動態と相互作用

薬物動態

半減期(最高血中濃度から半分の濃度に減るまでの時間)は3-7時間と比較的短めです。
肝臓で代謝されたあとの代謝物質の半減期も9-13時間です。(代謝された物質も抗うつ効果があります。)
カプセルにお薬が入れられておりゆっくり放出されることで半減期は9時間に伸びています。

イフェクサーSRは肝臓で代謝されますので、肝障害がある場合は投与量を少なめにするほうが安全です(通常の半分程度に)。
一部腎臓で代謝される部分もあるため、腎臓が悪い方や高齢者の方であれば通常より25-50%程度少なめにしておくのが安全です。
アルコールを飲む方や脂肪肝のある方、高血圧や糖尿病のある方は、無症状でも肝機能や腎機能が低下していることがあるため、主治医の先生に健康診断などで行った血液検査の結果を1度は見てもらうようにしましょう。

イフェクサーSRと他の薬の相互作用

慢性疼痛のお薬に注意

癌による痛み、慢性の疼痛に対して処方されますトラマドール(トラマール®カプセル)によっててんかん発作を起こすリスクがあります。

トラマドールには、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害する(セロトニン、ノルアドレナリンの回収を邪魔することで、これらの活性が増える)という抗うつ薬と同じ作用があります。それゆえ、イフェクサーSRとトラマールを同時に飲むのは危険です。

パーキンソン症候群の薬に特に注意

イフェクサーSRに限った話ではありませんが、抗うつ剤は主にパーキンソン症候群に対して使用されるエフピー®(MAOI:モノアミン酸化酵素阻害薬)と組み合わせると、激しい「セロトニン症候群」が誘発されます。
これは致死的な副作用になるので注意が必要です。

エフピー®も半減期は長いので、もしこのパーキンソン症候群の薬を飲んでいた時には中止しても2週間は抗うつ剤を飲まないのが賢明でしょう。
逆にイフェクサー(ベンラファキシン)を中止したあともある程度の期間(1週間程度)はエフピー®は飲まないほうが安全です。

ちなみに、エフピー®のジェネリック薬品は「セレギリン」ですのでこの名前にも注意しましょう。

血液さらさらの薬に注意

イフェクサーSR独特の副作用ではありませんが、抗うつ剤には副作用に出血のしやすさ(内出血しやすい、あざができやすい)があるので、血液さらさらのお薬(ワーファリン®、バイアスピリン®。プラビックス®など)を飲んでいる場合、注意しましょう。

<血液さらさらの薬はどんな時に処方されているか>
心臓の手術後で人工の心臓弁の手術をしたり、心房細動しんぼうさいどうといわれる不整脈がある場合、脳梗塞のうこうそくの既往がある場合に処方されていることがあります。

ワーファリンはビタミンKが含まれる食品(納豆やクロレラ)を食べてはいけないと言われているので、そういえば言われたかもとピンとくる場合は確認しましょう。

胃薬のタガメット®(シメチジン)に注意

タガメット®(シメチジン)と合わせて飲む場合、イフェクサーの代謝が邪魔され必要以上に血中の濃度があがってしまうことがあります。
これは他の抗うつ剤と比較してイフェクサーに特徴的かもしれません。
抗うつ薬の副作用対策に胃薬も一緒に処方されることもありますので、この点は注意しておきましょう。

イフェクサーの濃度があがると、過量服薬の項でも説明しました危険な副作用がでるおそれがありますので、胃薬の中でもこの薬には注意しましょう。

その他イフェクサーSRの注意事項と使用禁忌事項

  • てんかん発作を持っている方は注意する必要があります。(特に癌による疼痛薬のトラマドールとの併用は危険!!)
  • 未成年を含む25歳未満の方では、アクチベーションシンドロームによって、自殺念慮が高まったり、衝動が高まるなどの例もあるため周囲が注意を払う必要があります(保護者など周囲が特に注意を支払う必要があります)。
  • 不安や攻撃性、落ち着かなさが高まる、気分が急激に良くなり活動的になったときには双極性障害の可能性を考え主治医に相談しましょう。

使用禁忌

  • イフェクサー®(ベンラファキシン)の成分に過敏性・アレルギーがある
  • パーキンソン症候群薬のエフピー®(セレギリン)を内服している
  • 重度の肝機能障害のある方
  • 重度の腎機能障害のある方
  • 緑内障がある方

まとめ「イフェクサーの飲み方・相互作用」

消化管から吸収されやすい特徴があるため、剤型はカプセルでゆっくり放出される構造になっています。
ですので1日1回の内服が用法になります。
カプセルから出したり、カプセルから開けて飲むはNGです。

相互作用も一般の抗うつ剤と同じですが、特徴的な相互作用には胃薬のタガメットと併用することでイフェクサーの濃度が上がりすぎてしまうことに注意が必要です。

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