このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。

ここでは、レクサプロ錠(一般名:エスシタロプラム)に関する薬価やジェネリック薬品に関することを経済的な観点でお話したいと思います。

具体的には「レクサプロ錠10㎎」を共同販売している持田製薬・田辺三菱製薬株式会社の決算情報のデータをもとに解説していきます。

レクサプロの特徴などの治療情報についてお知りになりたい方は、以下を見ていただければと思います。

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レクサプロ錠10㎎の薬価

レクサプロ錠の現在の薬価を見てみましょう。

レクサプロ錠10㎎ 1錠あたり216.40円
(2016年4月1日に薬価基準改定を実施)

2年ごとに薬価は改訂されています。
日本で発売された2011年当初は212.0円、次の改定で218.10円に引き上げられていました。

レクサプロの用法は1日1回10㎎~20㎎を飲むことになっていますので、診察料・処方箋料・調剤料などを除いた薬だけの代金は以下の通りです。

1日あたり216円~433円(3割負担で65円~130円)
1ヶ月では6492円~12984円(3割負担負担で1948円~3895円)

後に示しますが、抗うつ剤の中では高価なお薬です。

製薬市場からみたレクサプロ錠の価値

ここでは少し面白い観点からレクサプロを見てみたいと思います。

レクサプロ錠10㎎は商品名で、一般名は「エスシタロプラム」です。
このエスシタロプラムの製造技術はデンマークのルンドベック社が持っており、製造法に関して日本でも特許をとっています(これがジェネリック薬品に関わります)。

そして2002年より、ルンドベック社(デンマーク)からこの技術を導入し、持田製薬(株)が日本での開発を開始したのです。
2010年に田辺三菱製薬(株)とレクサプロを共同販売することを締結し、同社のグループ会社である吉富薬品(株)もプロモーションに加わり、日本では3つの会社がレクサプロに関わることになったのです。

このころレクサプロは世界100か国以上で承認を受けており、世界的にもSSRIの中で20%を占めるトップシェアだったのです。
そして2011年8月に日本でレクサプロが販売開始された結果どうなったでしょうか!?

決算年度持田製薬田辺三菱製薬
レクサプロの売り上げ薬品売上に占める割合レクサプロの売り上げ薬品売上に占める割合
20116億円0.7%13億円0.3%
201234億円3.8%46億円1.1%
201376億円8.1%65億円1.9%
201486億円9.9%80億円2.5%
2015114億円12.4%95億円3.1%
2016(予想)143億円15%125億円4%

持田製薬は高脂血症の治療薬(エパデール)、子宮内膜症治療薬(ディナゲスト)、高血圧薬(アテレック)を主戦力にもつ会社で、中でもトップのエパデールは同社の薬品売上の20%以上を占めますがこれに追いつく勢いです。
すでに同社内では高血圧薬はすでに追い抜いています。

一方で田辺三菱製薬は関節リウマチなど膠原病に使用される高価な薬「レミケード」と、インフルエンザなど正常な人に使用するワクチンを主戦力とする会社ですから、さすがにレクサプロの占める割合は数%にとどまるものの、会社内では主戦力薬に位置づけられています。

上記の通り2011年の発売以降、レクサプロの売上はみるみる伸びていきました。
2014年度には日本においてもSSRIの20%というトップのシェアを獲得し、2016年度上期にはSSRIのシェアの37%という驚異的な数字を出しました。

レクサプロはうつ病・うつ状態に対する治療にとどまりません。
2015年11月には「社会不安障害」の効能を追加したのです。
社会不安障害はわが国でも有病率0.7%と、実におよそ100人に1人がこの障害があるといわれています。
全員が服用しないにしても、かなりの人数に処方されていく可能性はあるでしょう。

今後、抗うつ剤全体においてもトップシェアを狙うという中期戦略を三つの企業はかかげていますので、レクサプロの躍進は止まらなさそうです。

たた、このトップシェアというのは売上額においてのという意味である可能性は高いです。
処方量で言えば、SSRIの中ではやはりパキシル(パロキセチン)が多いようです。

日経メディカル Onlineの医師会員を対象に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のうち最も処方頻度の高いものを聞いたところ、45.7%の医師がパロキセチン(商品名パキシル他)と回答した。

 第2位のセルトラリン(商品名ジェイゾロフト)は28.3%、第3位のエスシタロプラム(商品名レクサプロ)は17.0%、第4位のフルボキサミン(商品名デプロメール、ルボックス他)は8.9%の医師が最も処方頻度の多い薬剤として選んだ。

さらに、レクサプロを処方することを選ぶ医師の理由は以下の通りでした。

第3位の エスシタロプラム を処方する理由 (商品名レクサプロ)

  1. 心電図も取れない公立のクリニックにいるのでQT延長が気になるが、その他の副作用は少ない印象を受ける。(50歳代診療所勤務医、精神科)
  2. 漸増しなくてもよい点や、抗不安作用が強い点が気に入っている。しかしアクチベーション現象が起きやすいのが難点。(30歳代病院勤務医、総合診療科)
  3. レクサプロは増量のプロセスが楽であり、12種の新規抗うつ薬の有効性と許容性を比較したメタ解析で最も継続性、有効率が高いと位置付けられているから。(40歳代その他、内科系専門科)
  4. 内服開始時の副作用が少なく、抗うつと抗不安の効果のバランスが良い。さらに中止後のリバウンドも少なく1日1回の服用で良いためレクサプロを処方している。(50歳代病院勤務医、神経内科)
  5. 用量調節があまり難しくないため、レクサプロを処方する機会が多い。とはいえ問題があった場合はあまり深追いせず、専門医に任せている。(40歳代病院勤務医、皮膚科)

レクサプロはSSRIの効果と副作用の忍容性にんようせい(つまり副作用に対する飲み安さ)がともに高いことがジェイゾロフトとともに示されています。
抗うつ剤ランキング

ジェイゾロフトより使用しやすい点としては上記の医師もコメントしていますが、初期の開始量がすでに治療に必要な薬の量になっていて増量していくことがあまり必要のないところにあります。

離脱症状やアクチベーションシンドロームといった副作用はいずれのSSRIにも同様にみられますが、レクサプロとジェイゾロフトに関しては他のSSRIより実際は少ない印象です。

このことが、レクサプロの製薬会社からの視点においても処方してもらいやすい要因なのだと思います。

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他の抗うつ剤との薬価の比較

1ヶ月内服したときの3割負担額を示します(診察料、処方箋料、調剤料などを除いて純粋に薬代として)。
初期開始量から最大量で処方されたときの金額です。

※(後)は後発医薬品(ジェネリック医薬品)で、薬価は2016年4月改訂のものです。

抗うつ剤1ヶ月の薬価
(3割負担時)
抗うつ剤1ヶ月の薬価
(3割負担時)
<SSRI><三環系>
ルボックス/デプロメール
フルボキサミンマレイン酸(後)
504-1388円
269-810円
トリプタノール
アミトリプチリン
259-691円
パキシル
パロキセチン(後)
831-2893円
341-1222円
トフラニール
イミドール(後)
89-1069円
89-1069円
パキシルCR836-2907円アナフラニール346-1382円
ジェイゾロフト
セルトラリン(後)
842-2544円
379-1143円
ノリトレン151-583円
レクサプロ1948-3895円アモキサン118-1166円
<SNRI><四環系>
トレドミン271-914円テトラミド384-769円
サインバルタ1562-4235円ルジオミール311-626円
イフェクサー1421-7179円<その他>
<NaSSA>デジレル/レスリン
トラゾドン(後)
415-1055円
185-468円
リフレックス/レメロン1532-2539円ドグマチール
スルピリド(後)
383-645円
170-340円

最大量で飲んだときには、イフェクサー(SNRI)、サインバルタ(SNRI)、レクサプロ(SSRI)、パキシルCR・パキシル(SSRI)、ジェイゾロフト(SSRI)、レメロン・リフレックス(NaSSA)の順に高価です。

これらに比べて、三環系・四環系抗うつ薬などは安価です。

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レクサプロ錠のジェネリック医薬品はいつ発売される?

ジェネリック医薬品というのは、最近テレビCMでも耳にするようになってきているので言葉を聞いたことはある方もおおいでしょうが、すでに安全性と有効性が確立された新薬の成分を同じ用法と効能効果で販売されるお薬のことで、正式には後発医薬品といいます。
国もすすめている医療費削減に重要な位置づけのお薬です。
新薬に比べ、3割ほど安くなるので薬代の自己負担も軽減しますね。

残念なことに2017年1月現在、まだレクサプロのジェネリック医薬品はありません
新薬の製造手法特許が切れないと後発品が開発できないのです。

レクサプロの成分「エスシタロプラム」の製造手法をはじめとした特許は、デンマークのルンドベック社がすでに日本で取得しています。
特許期限は特許の出願日から20年とされており、「エスシタロプラムの製造方法」の特許の出願日は平成20年9月2日ですから、まだ当分先になりそうです。
ルンドベック社はこの他のエスシタロプラムに関する他の特許ももっており、それらの特許の出願日はより新しいですからもっとかかるかもしれません・・・。

まとめ

  1. レクサプロの薬価は高めであるが、総じてSSRI・SNRI・NaSSAなど新しい抗うつ薬の薬価は高価である
  2. レクサプロのSSRIにおける売上シェアは首位、実際の処方量だけでみるとまだまだパキシル(SSRI)が多そう
  3. レクサプロの後発医薬品はまだでていない
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