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抗うつ剤選ばれ方、副作用と特徴まとめ

抗うつ薬は様々な種類があり、その種類によって特徴も様々です。
ですから、「なぜこの抗うつ薬なのか?」とか効果がなかったりすると「もっと自分に合うものがあるのではないか?」と疑問に思うと思います。

ここでは抗うつ薬全般について説明し、精神科医がどういう基準で選んでいるのかわかりやすく解説していきたいと思います。
最初に、すべてのクラスの抗うつ薬(三環系抗うつ薬に始まり、メジャーなSSRI、SNRI、NaSSAなど)について各々説明をしていきます。
すでに抗うつ薬を処方されている方は、目次から該当する処方薬を直接見て頂けると良いかと思います。

そして後半部分で「抗うつ剤はどうやって選び処方されているのか」「副作用」について説明していきます。(ここをクリックすると「副作用」の章に飛びます)

この記事では抗うつ薬全般の解説を総合的にしています。
実際には各々の抗うつ薬ごとに特徴がありますのでそれは各抗うつ薬の説明を見ていただければわかるようにリンクを付けてありますのでご利用ください。

※目次が長くて申し訳ありませんが、各抗うつ薬の一般成分名(商品名)で載せてあります。

目次

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抗うつ薬の種類

「出された処方のことがよくわからない」、「副作用が多いと聞いているので薬は飲みたくない」「長く飲んでいるけどよくならない、しかもまた薬が変わりました」という不安にお答えするために医師の観点から抗うつ剤についてまとめました。うつ病は抗うつ薬を飲んでいれば数か月で治るという簡単な病気ではありません。もちろん抗うつ薬を飲んで劇的に改善した例もあり、有用であることは間違いないのでしょうが、どれほどの役割をしているのか未知な部分もあります。

概要

神経間のつながりの部分(シナプス間隙)において、モノアミン(セロトニンやノルアドレナリン、ドパミンなど)は神経伝達に使われる重要な物質です。このモノアミンの回収を邪魔することで、モノアミンが増加し神経の伝達を円滑にさせることで抗うつ剤の効果が発現します。

最初に登場したのは1957年で、三環系さんかんけい抗うつ薬のイミプラミン(トフラニール®)です。
ところがうつ病の患者さんで過量服薬した場合、危険性が高いため新しい薬が登場していきます。
三環系に対し、四環系抗うつ薬です。

これを経て現在主流となっている抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が1972年に登場しました。
日本の抗うつ薬の開発が世界に遅れていることは有名ですが、日本で最初のSSRIは1999年に発売されたフルボキサミン(ルボックス®、デプロメール®)でした。
2000年にはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリンサイト取り込み阻害薬)のミルナシプラン(トレドミン®)が発売、そして最近ではNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)のミルタザピン(リフレックス®、レメロン®)が登場しました。

それでは各抗うつ薬についての説明をしていきましょう。

三環系抗うつ薬

歴史的に古い薬ですが、現在も重症のうつ病やSSRI・SNRIの効果があまりみられない場合に使用されます。

専門医の観点から(三環系抗うつ薬について)

第一選択として今はもう使いませんが、他の薬を飲んでも効果がない時に三番目に処方を考慮します。
副作用を逆に利用して、お漏らし(遺尿症)の治療に使うこともあります。副作用の排尿障害(おしっこが出ない)、口渇は出やすいです。

イミプラミン(トフラニール®)

トフラニール

  • 剤型(価格):10mg(¥9.6), 25mg(¥9.6)
  • 用法:1日25mg-75mg 1-3回に分けて
  • 最大量:1日300mg
  • 後発薬品の有無:なし

オーソドックスな三環系抗うつ薬です。

アミトリプチン(トリプタノール®)

トリプタノール

  • 剤型(価格):10mg(¥9.6), 25mg(¥9.6)
  • 用法:1日30mg-75mg 1-3回に分けて
  • 最大量:1日150mg
  • 後発薬品の有無:あり

鎮静効果も強いので、焦燥感が強い場合に有効です。夜尿症にも使用される薬剤です。

クロミプラミン(アナフラニール®)

アナフラニール

  • 剤型(価格):10mg(¥9.8), 25mg(¥20)
  • 用法:1日50mg-100mg 1-3回に分けて
  • 最大量:1日225mg
  • 後発薬品の有無:なし

セロトニンに強く働くことから、強迫症状(確認や手洗いを何度もしてしまう)や不安・焦燥(しょうそう:そわそわしてじっとしていられない)に効果的です。また内服だけでなく、点滴も可能であるのが特徴です。

ノリトリプチリン(ノリトレン®)

ノリトレン

  • 剤型(価格):10mg(¥5.6), 25mg(¥11.3)
  • 用法:1日10mg-25mg 1-3回に分けて
  • 最大量:1日150mg
  • 後発薬品の有無:なし

意欲に関係のあるノルアドレナリンに強く作用するとされているため、意欲低下が目立つ場合処方されます。

アモキサピン(アモキサン®)

アモキサン

  • 剤型(価格):10mg(¥6.9), 25mg(¥13.8), 50mg(¥22.9), 細粒10% 1g(¥41.4)
  • 用法:1日25mg-75mg 1-3回に分けて
  • 最大量:1日300mg
  • 後発薬品の有無:なし

速効性がありますが血中濃度は下がりやすい(半減期短い)です。ドパミンを抑える作用もあり、精神症状(被害妄想や幻聴など)を伴ううつにもも使用されます。

四環系抗うつ薬

専門医の観点から(四環系抗うつ薬について)
第一選択として今はもう使いませんが、他の薬を飲んでも効果がない時に三番目に処方を考慮します。
副作用を逆に利用して、お漏らし(遺尿症)の治療に使うこともあります。副作用の排尿障害(おしっこが出ない)、口渇は出やすいです。

マプロチリン(ルジオミール®)

ルジオミール

  • 剤型(価格):10mg(¥12.6), 25mg(¥25.6)
  • 用法:1日30mg-75mg 2-3回に分けて
  • 最大量:1日75mg
  • 後発薬品の有無:あり

三環系抗うつ薬より抗コリン性の副作用(副作用の項参照)は少ないです。

専門医の観点から(ルジオミール®)

昔は本当にたくさん処方していました。三環系抗うつ薬で副作用が強い場合に切り替えて処方していました。
今はSSRI、SNRI、NaSSAでほとんどのケースが事足りるので必然的に出番が少なくなっていると言えます。

ミアンセリン(テトラミド®)

テトラミド

  • 剤型(価格):10mg(¥16.1), 30mg(¥45.1)
  • 用法:1日30mg-60mg 1-3回に分けて
  • 最大量:1日60mg
  • 後発薬品の有無:なし

ヒスタミンをブロックする作用が強く眠気は強くなります。

セチプチリン(テシプール®)

テシプール

  • 剤型(価格):3mg(¥16.4)
  • 用法:1日3mg-6mg 1-2回に分けて
  • 最大量:1日6mg
  • 後発薬品の有無:あり

SSRI

過量服薬しても比較的安全でかつ治療できる対象が広いので、一番最初に処方されることが多いお薬です。効果は古い薬である三環系・四環系の抗うつ剤の方が強いので、重症例ではそちらが処方されることが多くなります。
強迫性障害、社交不安障害(対人恐怖症)、パニック障害、過食症にも効果があるとされているためうつ病以外にも処方されることがあります。

パロキセチン(パキシル®、パキシルCR®)

パキシル

  • 剤型(価格):5mg(¥57.5), 10mg(¥100.5), 20mg(¥175.3)
  • 用法(うつ病):1日20mg-40mg 1回夕食後、最大量40mg
  • 用法(パニック障害):1日30mg 1回夕食後、最大量30mg
  • 用法(強迫性障害):1日20-40mg 1回夕食後、最大量50mg
  • 用法(社会不安障害):1日10-20mg 1回夕食後、最大量40mg
  • 用法(外傷後ストレス障害):1日10-20mg 1回夕食後、最大量40mg
  • 後発薬品の有無:あり

うつ病以外でもパニック障害でよく処方されます。比較的効果が強いのが特徴ですが、反面注意すべき点があります。それは量を減らしたり、辞めたりするときで、中断症状(離脱症状)が出やすい特徴があります。
同じ成分でパキシル®CR錠(パキシルシーアール)というタイプのお薬があり、これなら体から抜けていくスピードも緩やかなので通常の製剤に比べ、離脱症状は起きにくいと思われます。

専門医の観点から(パキシル®)

症例によっては効果が抜群にでるときもあります。特に、不安の強い患者さん、老年期のうつに著効を示すこともあります。患者さんも1日何回も服用する必要はなく、寝る前に1回内服するだけですので忘れにくいのも利点です。副作用としては吐き気、悪心、むかつきを訴えることが多い印象で、また減らしていくときしばしば離脱症状が起こるのも特徴だと思います。
抗うつ薬は増量は基本ですが、とかくパキシル®の場合、切れ味が強い薬ですからほとんどの場合20mgで効果を認めます。逆に40㎎まで増やす症例では、40㎎に増量して効果がでるという印象はあまりなく、薬物抵抗性うつである可能性なども考慮すべきでしょう。
パキシルCR®が登場してからはCRでない普通のパキシル®を処方をすることはほとんどなくなりました。CR錠というのは除放製剤で血液中の濃度はゆっくり上がっていきます。この特徴から急激に濃度が上がることを防ぎ、吐き気などの副作用が起こりにくい印象です。それでも症状が強い時には、内服を中断しないで飲み続けやすくするために胃薬を初期のうちから併用して処方することもあります。

セルトラリン(ジェイゾロフト®)
SSRI
ジェイゾロフト錠の外観
副作用体重増加


眠気
剤型25㎎錠
50㎎錠
100㎎錠
用法25mg-100mg
1回食後、眠前
最大量
(1日量)
100mg
価格101.3円(25㎎錠)
175.9円(50㎎錠)
305.4円(100㎎錠)
ジェネリックセルトラリン
memo
少量から効果が出始める特徴があり、副作用も弱めで、離脱症状もきたしにくいとされています。しかし不整脈の恐れがあり心臓に心配のある場合には服用しないのが賢明です。

専門医の観点から(ジェイゾロフト®)

うつ病、パニック障害でよく処方されますが、副作用としてよく下痢が起きやすい印象です。

抗うつ効果、副作用の起こりにくさなど総合的にバランスのとれた薬と言えます。

「ジェイゾロフト」詳細を見る

フルボキサミン(ルボックス®、デプロメール®)
SSRI
ルボックス
副作用体重増加


眠気
剤型25㎎錠
50㎎錠
100㎎錠
用法1日 50mg-150mg
1-2回に分けて
最大量
(1日量)
150mg
価格36.1円(25㎎)
62.2円(50㎎)
85.7円(100㎎)
ジェネリックフルボキサミンマレイン酸
memo
SSRIで日本で最初に登場しました。主に不安障害に使用されることが多いお薬です。他の薬剤との相互作用がそれなりにあるお薬なので調剤薬局で必ず確認しましょう。

専門医の観点から(ルボックス®、デプロメール®)

新しいSSRIが登場してからはほとんど処方していませんが、その前はよく処方していました。

強迫性障害や社会不安障害では、パキシル®も良いですが、米国ではうつ病より先に承認されたぐらいですから、本剤を積極的に使用する医師もいます。

日本での最高容量は150㎎ですが、250-300㎎(米国での容量)で効果が出る場合もあるようです。

「ルボックス」詳細を見る

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エスシタロプラム(レクサプロ®)
SSRI
レクサプロ
副作用体重増加


眠気
剤型10㎎錠
用法10mg-20mg
1回夕食後
最大量
(1日量)
20mg
価格218.1円(10㎎錠)
ジェネリック-
memo
少量から効果が出始める特徴があり、副作用も弱めで、離脱症状もきたしにくいとされています。しかし不整脈の恐れがあり心臓に心配のある場合には服用しないのが賢明です。

専門医の観点から(レクサプロ®)

10㎎錠を1,2錠就寝前に1回飲むだけですので患者さんにとって煩雑ではないところが利点です。

さらに一般的にSSRIは効が出だすまでに増量しながら数週間を要しますが、すでにレクサプロ®は初回量が効果を出す量になっているので、増量にかかる期間は不要になるところも魅力です。

海外で使用される最大量と乖離はなく最大容量20mgは欧米でも同じです。

眠気、だるさがでにくく働いている方が内服しても、副作用でやめてしまう人は少ない印象です。

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SNRI

SSRIの効果に意欲向上の作用が加わったようなイメージです。また慢性疼痛(線維筋痛症など)にも効果があるとされています。

ミルナシプラン(トレドミン®)

トレドミン

  • 剤型(価格):12.5mg(¥19.8), 15mg(¥23), 25mg(¥33.4), 50mg(¥56.4)
  • 用法:1日25mg-100mg 2-3回に分けて
  • 最大量:1日100mg
  • 後発薬品の有無:あり

他の薬との相互作用が少な目でその点は安心です。しかし副作用として尿閉(にょうへい:おしっこが出ない)、頭痛、頻脈(動悸、ドキドキ)、血圧の上昇に気をつける必要があります。ちなみに、米国ではうつ病ではなく線維筋痛症に承認されています。

専門医の観点から(トレドミン®)

日本国内で評価の低い抗うつ薬でしたが、実際処方すると効く人と効かない人がはっきり出る印象があります。効かない場合、早期に他剤に切り替えを検討してもいいと思います。

デュロキセチン(サインバルタ®)
SNRI
サインバルタ
副作用体重増加


眠気
剤型
(カプセル)
20㎎
30㎎
用法
  • うつ病、糖尿病性神経障害に伴う疼痛:1日1回40㎎朝食後
  • 線維筋痛症:1日1回60㎎朝食後

  • いすれも1日1回20㎎から始める
最大量
(1日量)
60㎎
価格173.50円(20㎎)
235.30円(30㎎)
ジェネリック-
memo
セロトニン再取り込み阻害の作用は強いため効果は期待できますが、副作用として服用初期から胃腸の症状が起こることが多いです。

専門医の観点から(サインバルタ®)

副作用はないわけではないですが、他のに比べて少な目で効果も比較的強い印象です。うつに体の痛みを伴うケースは多々見られますので、痛みを伴う場合や、意欲の低下、疲れやすさなどを訴える患者さんでよく使用されていると思います。

実際、うつ病以外にも①線維筋痛症、②慢性疼痛、③糖尿病性神経障害にも適応が通っており、疼痛にも治療効果が高い印象です。

懸念としてはSNRI全般に言えることですが、欧米の量(120㎎)の半分が日本での最大量(60㎎)のため、人によっては効果が十分な量まで増量できない可能性が懸念されます。

「サインバルタ」詳細を見る

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ベンラファキシン(イフェクサーSR®)
SNRI
イフェクサー
副作用体重増加


眠気
剤型37.5mg
75mg
用法37.5mg-225mg
1日1回食後
最大量
(1日量)
225㎎
価格160.8円(37.5㎎)
270.7円(75㎎)
ジェネリック-
memo
日本では新薬ですが、海外では昔からあるSNRIです。カリフォルニアロケットで有名なお薬です。

専門医の観点から(イフェクサーSR)

2015年12月に発売された新しい薬です。

新薬ですので薬価は高めです。

抗不安効果が強いのと、量を高用量にすると痛みに効くと言われています。

「イフェクサーSR」詳細を見る

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NaSSA

抗うつ薬の中で最新のお薬です。薬の構造的には実は四環系の抗うつ剤になります。効果が出だすまでが速いのがNaSSAの特徴で、さらに副作用も少なめです。

ミルタザピン(リフレックス®、レメロン®)

リフレックス

  • 剤型(価格):15mg(¥171.2)
  • 用法:1日15mg-30mg 1回就寝前
  • 最大量:1日45mg
  • 後発薬品の有無:なし

眠気や体重増加が問題になることが多いですが、一方で吐き気や性欲の低下という副作用は起きづらいです。唾液中で測定したコルチゾールというストレスホルモンが減少したという報告もあるお薬です。

その他の抗うつ剤

トラゾドン(レスリン®、デジレル®)

デジレル

  • 剤型(価格):25mg(¥18.1), 50mg(¥31.7)
  • 用法:1日75mg-100mg 1-3回に分けて
  • 最大量:1日200mg
  • 後発薬品の有無:あり

性機能を落とさずむしろ亢進させる抗うつ薬です。不眠にも有効です。

専門医の観点から®

鎮静作用があるので、逆にこれを利用して眠る前に服用すると、睡眠薬をたくさん飲まないと眠れないという依存状態を防ぐことにつながります。

スルピリド(ドグマチール®)

ドグマチール

  • 剤型(価格):50mg(¥15.3), 100mg(¥18.3),
  • 用法:1日300mg-600mg 1-3回に分けて
  • 最大量:1日1200mg
  • 後発薬品の有無:あり

食欲低下に有効です。胃潰瘍の薬としての側面を持ちます。

専門医の観点から(ドグマチール®)

精神科医が最初にその使用法を学ぶお薬です。用量に応じて目的が変わります。

低用量:胃腸機能改善、食欲増進
中用量:抗うつ効果
高用量:統合失調症の治療

調剤薬局から渡される薬剤情報に「統合失調症」と書いてあっても安心してください。主治医は別の目的で処方していることがあります。

抗うつ剤の使われ方

基本は新しい抗うつ薬を単独で

抗うつ剤は基本的に単独で使用します。注意すべきはどのくらいで効果がでるのかという点ですが、通常2,3週間くらいかかるので不安や焦燥感(しょうそうかん:そわそわじっとしていられない)が強くどうしようもない場合には抗不安薬を、不眠で眠りに困っている場合には睡眠薬を一緒に出されることが多いです。
もし、それでも焦燥感が強くて死にたいという自殺念慮があるようであれば抗精神病薬(統合失調症などで用いるお薬で代表的な製品はジプレキサ®、エビリファイ®など)を少量一緒に出されていることがあります。
始めて精神科・心療内科にかかってだされたお薬が単独でない場合も焦らずに、自分の症状を思い起こしてみてください。必ず数種類のお薬が併せて出されているときにはこれらの症状を医師に告げていたはずです。
ただし、これらのお薬には依存性もありますので、症状が落ち着いてきたときはなるべく早めに減らしていくように相談しましょう。このとき抗うつ薬はまだ減らせませんので注意してください。

抗うつ剤は最新のものが最も優れるのか?

基本的に抗うつ薬の中で特徴は異なっています。しかし、新しい抗うつ薬の中でも、特定の抗うつ薬が安全面も性能も特に優れるという報告はありません。もしあれば逆に古いお薬は発売中止になるのが自然でしょう。
ただし、上記でも書いた通りSSRI・SNRIより三環系抗うつ薬の方が抗うつ作用は強いことは言えます。

どの抗うつ剤を使うかは、副作用と費用を考慮する?

日本では費用について述べられることはないかもしれませんが、国民皆保険でない米国では費用についてもそのガイドラインの中で述べられています。「急性期大うつ病患者の治療に薬物療法を行う場合、副作用、費用、患者の希望をもとに新しい抗うつ薬を処方するよう推奨する」とされており、抗うつ薬の選択は効果より、副作用や費用によって決めなさいと推奨されているのです。
日本では費用についての記述はありませんので、最新の薬をたくさん使えば高くなりますし、古いお薬であれば安めになります。薬物療法は健康保険でカバーされていますが、月々の薬代も治療が長引けばあまり無視できないかもしれません。ジェネリック薬品が存在する種類では積極的に使用するのが望ましいでしょう。

古くても三環系抗うつ薬は有効性は高い

パキシル®、ジェイゾロフト®などのSSRI、トレドミン®、サインバルタ®などのSNRIに比べてアナフラニール®、アモキサン®などの三環系抗うつ薬は抗うつ作用は強いのですが、同時に副作用が強く出やすい傾向にあります。
したがって初期から使用されるというより、NaSSA、SSRI、SNRIで改善しない場合に処方されます。しかし高齢者や過去に抗うつ剤で副作用があった場合には注意した方がいいでしょう。

抗うつ剤をむしろ使用しないほうが良いうつ病がある

うつ病は基本的に回復する病気なのですが、30%で薬物に抵抗を示し、通常数か月から遅くても1年以内には回復するものが、何年も慢性に経過してしまううつがあります。
これらは遷延性うつ病、慢性うつ病、薬物抵抗性うつ病などと言われますが、中にはあまり躁状態が目立たないで「うつ病」と認識されていた「双極性障害Ⅱ型」も存在しています。双極性障害Ⅱ型では特に焦燥感が目立ったり、波が若干存在することから疑われますが、初めて病院にかかった段階で診断するのはかなり難しいです。ですから、慢性に経過していることや、かえって抗うつ剤を飲んだら不安や焦燥が強くなったなどの反応から双極性障害Ⅱ型を疑うことがほとんどです。このタイプでは、抗うつ薬から気分安定薬に切り替えていきますが、抗うつ薬は急激に減らすと離脱症状がでるので注意が必要です。
現在は光トポグラフィー検査があり、まだ検査できる病院は少ないですが、この病態を見逃さないための診断に有効な検査と言えます。

結局のところ飲んでみないとわからない側面もある

抗うつ薬は新薬もでてきていますが、いずれも使う前から効果を予測することができる指標はありません。基本的には十分量(できれば最大量)まで増量し、十分な期間(6から8週間)をみて有効でない場合に次の薬剤を考慮するのが原則です。ですから病院にかかって薬の量が増やされると不安になってきますが、このことを知って治療にのぞむことが大事です。

抗うつ剤による薬物治療はどうやって終わるか

うつの症状が改善してきたら薬を減らしていくことを考えますが、基本的にすぐにやめてしまうと再燃します。ですから効果が出て改善してから8か月から1年はそのまま内服し、そこから数か月かけて減らしていきます。この減らす過程でも再燃は注意する必要があります。再燃がある場合には無理に薬をやめるよりはそのまま服用を続けることも考えなけれならないかもしれません。

抗うつ剤の一般的な副作用と対処法

抗うつ剤の種類によっても副作用は様々ですが代表的なものについて述べていきます。とくに仕事をしている方では眠気が、女性では太ることを気にする方が多いと思います。

ここでは概要をお話します。

抗うつ剤の副作用

1.吐き気

特にSSRI、SNRIでこの副作用は目立ちます。吐き気(嘔気)は抗うつ剤の服用を続けていると数日くらいで次第におさまることが多いです。ですから我慢できる程度の吐き気の場合、「少し我慢して服用してください。」と言われ、薬を替えるという選択にならないことが多いと思います。
それでも、嘔気だけにとどまらず実際に吐いてしまったり、調子が悪くなりすぎてしまう場合には、吐き気止めを処方してもらうか、NaSSAのミルタザピン(リフレックス®、レメロン®)は比較的この副作用はでにくいのでこちらに切り替えてもらうと良いでしょう。

2.性機能障害(性欲低下、インポテンツ、射精障害)

この副作用は、実際処方時には口頭で言われていないことも多く、患者さん側が実感して医師にいうことが多い副作用でもあります。うつ病そのものも性欲低下、勃起障害になるためどちらによるものかの判断は薬を飲む前からかどうかでみるしかありません。
残念なことに、中止後もしばらく持続してこの症状が出ることも多いのが特徴です。
こちらもNaSSAのミルタザピン(リフレックス®、レメロン®)は比較的起きにくい印象です。逆に四環系抗うつ薬のトラゾドン(デジレル®、レスリン®)は、勃起させたり、性欲亢進になる方向に作用することがあります。

3.眠気

この眠気は、花粉症の薬を服用したことがある方ならわかると思いますがなかなか打ち勝つことができないくらい眠気がでます。花粉症の薬と同様ヒスタミンという物質をブロックすることででる症状になります。基本的にどの抗うつ薬もこの副作用を持ちます。吐き気や性機能障害にはやさしかったNaSSAは逆にこの眠気は強い傾向があるようです。
眠気に対抗する薬もなければ、代わりに使える眠気の出ない抗うつ薬もないため基本的には減薬していくしかありません。特に運転したり、高いところで作業する方は気をつける必要があります。
逆に、眠れないという症状で困っている方には抗うつ薬を飲むと眠れる感覚になる方もいます。

4.抗コリン性作用(口が乾く、胃腸障害、消化不良、便秘)

コリンとは聞きなれないかもしれませんが、主に自律神経で使われる神経の伝達のための物質です。このコリンが邪魔される作用があるわけですから、自律神経(副交感神経)が乱れるということになります。特に、口が乾いたり、便秘になったり、お腹の調子が良くないといった症状が目立ちます。
抗うつ薬の中でもパキシル®、ジェイゾロフト®などのSSRI、サインバルタ®などのSNRI、リフレックス®、レメロン®などのNaSSAはこの副作用は弱めです。

5.起立性低血圧(立ちくらみ)

この症状も自律神経の機能障害の一つです。先ほどのコリンとは別の系統によるのであえて別の項目になっていますが、基本的には自律神経(交感神経)の機能異常です。これもSSRI、SNRIは弱いですが、三環系や四環系抗うつ薬に強くでやすい副作用です。NaSSAでも比較的出やすいといえます。

6.アクチベーションシンドローム、賦活症候群(ふかつしょうこうぐん)

activation syndrome(アクチベーションシンドローム)というその名の通り「活性化」します。うつの人が活性化するのだから願ったり叶ったりだと思うかもしれませんが、いい方向というわけではなくイライラが増し攻撃性が高くなったり、衝動性が上がって過食になったり、勢いで高いものを購入したりといった行動をとるようになります。最悪の場合、死にたい衝動を強め、自殺を遂行してしまう場合すらあります。
特に25歳未満の患者でこの傾向が強く、若年者が薬を飲むときに最も注意しなければならない副作用は賦活症候群であると言えます。
基本的に薬剤を内服後すぐに症状が現れることも多く、薬物を減らし中止していくのが望ましいです。

7.離脱症候群(中断症状、離脱症状)

抗うつ剤をやめたり、減量したときに起こる症状です。症候群ですからその症状は様々です。

  • ふらつき、めまい
  • 嘔気、嘔吐
  • 頭痛
  • 眠気
  • 不安、焦燥感(しょうそう:そわそわ、じっとしていられない)
  • 刺すような痛み、しびれ、電気ショックのような感覚
  • 振戦(しんせん:ふるえ)
  • 発汗
  • 不眠
  • イライラ
  • 下痢

症状が出たときは、再度お薬を飲めば改善していきます。
しかし問題点は、減量していくときにこの症状が起こると、うつの症状と見分けがつきづらくうつが再発したと捉え間違えれば、薬をやめていくということが怖くなり、結果うつがよくなっても薬をやめられない事態に陥っていくことです。

8.セロトニン症候群

抗うつ剤はセロトニンを増やす方向に働くお薬です。セロトニン症候群は抗うつ薬によって急激に増えたセロトニンによってもたらされる副作用です。振戦やおちつかないような症状に始まり、アカシジア(じっとしていられない)、ミオクローヌス(急にぴくんと動くような症状)、発汗、頻脈、高血圧、興奮状態、ひどくなれば意識障害まで出てきます。

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