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イフェクサーSRカプセルの副作用

現在最初に使用される抗うつ剤はSSRI、SNRIが多くイフェクサーSRカプセル(ベンラファキシン)は、この中でSNRIに属する抗うつ剤です。
SNRIとは選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬のことで、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質しんけいでんたつぶっしつに影響します。

世界では1993年にイフェクサーは登場しており、アメリカでは最初に販売されたSNRIです。
日本での販売(販売元:ファイザー)は同じSNRIの中でもサインバルタに遅れること5年、2015年の登場になりました。

ここでは日本では新しい薬となるイフェクサーSRについての副作用について説明します。


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イフェクサーSR(ベンラファキシン)の主な副作用

副作用が起こる機序

抗うつ剤による治療においては神経伝達物質がそのターゲットになります。
神経伝達物質にはセロトニンノルアドレナリンドーパミンなどがあり、SNRIでは特にセロトニン、ノルアドレナリンを増やすように働きかけます。
セロトニンとノルアドレナリン

ところが、治療作用をもたらしてほしい部位以外の脳や全身の臓器にイフェクサー(ベンラファキシン)が作用し、セロトニンやノルアドレナリン(ノルエピネフリン)濃度が高まることによって、願っていない症状がでてしまいます。
例えば、セロトニンが睡眠中枢で働いてしまえば不眠になりますし、腸で不必要に働いてしまえばセロトニン作用により下痢を生じます。
ノルアドレナリンによる望ましくない抗コリン作用(副交感神経をおさえ、交換神経を優位にする)は、便秘と口渇(口のかわき)、動悸などを生じてしまうのです。

ほとんどの副作用は内服を始めて直ちに出現してきますが、それでもほとんどが1~2週間でおさまる傾向にあります。

またイフェクサーSRは少量ではセロトニンを主に強め、量を多く飲むことによってノルアドレナリンに対しての作用も現れますので飲む量によって副作用の性質も異なることがあるのが特徴です。

一般的な副作用

薬の量に一致して副作用が出現する率は上がりますが、一過性のものも多くあります。
イフェクサー(ベンラファキシン)は一般的には忍容性が良い(副作用もあるがやめてしまうほどつらいものではない)と言われています。
そして先にも書きましたが、SNRIはSSRIと異なりセロトニン以外にもノルアドレナリンにも作用しますからこの点からも副作用が起きます。
では主な副作用を挙げてみましょう。

    <イフェクサーによる主な副作用>

  • 性機能障害(射精遅延、勃起不全、性欲減退(男女)、オーガズムを感じにくい(男女))
  • 消化器系(食欲不振、吐き気、下痢、便秘、口の渇き)
  • 中枢神経(不眠、振戦、頭痛、緊張)
  • 自律神経(発汗が目立つ)
  • 血圧上昇
  • 電解質バランスの異常(ナトリウムが低くなる=「SIADH」と呼ばれます、症状はふらつきなど)

国内の臨床試験(第Ⅲ相)では、イフェクサーSRを内服したおよそ8割の人に何らかの副作用がでたようです(無視できるほど非常に軽いものから重いものまで含む)。
その中で特に目立った不快な副作用は以下のものでした。


  1. 吐き気
  2. 眠気
  3. 口の渇き(口内乾燥)
  4. 便秘

吐き気

SSRI、SNRIには共通して「吐き気」の副作用がありますが、中でもイフェクサーSRはこの副作用の頻度が高めです。
通常は一時的な副作用なので飲み始めの最初の1-2週間を過ぎれば問題はなくなることがほとんどです。

吐き気は主にセロトニン作用を増強することによります。
セロトニン系の神経は脳だけでなく消化管にも多く存在するからです。

セロトニンの中でもセロトニンの3番(5HT-3)が吐き気と関連しており、このセロトニンの3番(5HT-3)を抑える作用のある抗うつ剤の「NaSSA(リフレックス/レメロン)」と併用することでコントロールできます。
これは俗にカリフォルニアロケットと呼ばれる併用療法ですが、眠気や太るという別の副作用の問題が起こります。

太る?眠くなる?

太らないわけではないですが、「体重増加」の副作用頻度は高くないです。
鎮静の作用は少しあるので眠気は人によっては問題になる副作用の1つになります。

「イフェクサーの効果と特徴」でも説明しましたが、他の抗うつ薬のクラスであるNaSSA(リフレックス®、レメロン®)と併用した場合(カリフォルニアロケット療法といいます)には眠気はかなり問題になります。

眠気と車の運転

この薬の服用中は、眠気やめまいなどの副作用がでることから自動車運転などはしてはいけないことになっていましたが、平成28年11月25日に以下のように制限が緩和されました。
これによって医師の判断によっては車の運転は可能になりました

[重要な基本的注意]の項の自動車の運転等危険を伴う機械の操作に関する記載を「眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。」
と改める。

血圧が上がりやすくなる

神経伝達物質「ノルアドレナリン」に対する作用があることから、血圧上昇の副作用が起こることもあります。
ただ製剤がイフェクサーSRというSustained-Release(徐放性製剤じょほうせいせいざいでゆっくり吸収され急激に血液中の濃度があがらないような特性を持つ)であることや、日本で承認されている使用量は欧米に比べて少な目(日本での最大量225mgに対し米国は375mgまで)であることから重症の高血圧にまでなってしまうという可能性は低いです。

イフェクサーのその他注意すべき副作用

離脱症状

離脱症状とは、6週間以上お薬を服用していたところから急にやめたりお薬の量を大きく減量すると身体がついてこれないことから起こる症状です。
減薬・断薬して数日以内に起こることが多く、うつ病や不安症状の再燃のようにみえることもあります。
特にイフェクサーSRは離脱症状は起きやすいほうなので注意が必要です。

軽躁状態に注意

危険と言えるほどのものではないですが、衝動性がでるため思い切った行動にでてしまうことがあり得ます。
たとえば浪費、新規事業の立ち上げをしてしまう、お金を借りる、旅行に飛び回る、遊びほうける、喧嘩になりやすくなるなどです。
このようにあとあと後悔してしまうような行動をとってしまうことがありえます。
しかも軽躁状態のときは気分が良いため、後になって振り返ってみないとこの状態であったことに気づきません。
おそらく周囲がなんかおかしいと言ったとしても聞く耳は持たないでしょう。

この状態にあるときはただちに減薬、中止する必要があるため主治医に相談する必要がありますが、この気分のいい状態で病院に行くことの難しさがあります・・・・。

25歳未満の内服は要注意

てんかん発作、とアクチベーションシンドロームといって躁状態(ハイテンション)の誘発、自殺衝動を高めるなどの報告はがあります。(躁状態の誘発は上記の軽躁状態に通じるものがあります。)

特に自殺衝動を高めるは危険な副作用ですが、抗うつ剤による自殺衝動の危険性増大は25歳以上では示されていません。

緑内障を引き起こす可能性も!

緑内障は最終的には失明につながる可能性もあるので、緑内障と思われるような症状が出た場合はまず眼科で確認しましょう。
どんな症状が眼圧の上昇を疑うかですが、

<具体的な症状>

  • 吐き気(内服し始めの吐き気とは違います)
  • 目の痛み(頭痛や目の充血などを伴う場合特に注意)
  • 視野の変化(視界が狭い、光がきれいなリング状に見えるなど)
  • 目の周りが腫れる

このような症状は、緑内障でなくても出ることもありその判断には眼科的な診察が必要です。
眼科で緑内障の診断がされた場合、精神科・心療内科の主治医とイフェクサーSRの中止について相談しましょう。

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イフェクサーSRによる副作用の対処法

基本的には飲み始めて経過とともにある程度おさまってきます(だいたい1-2週間)ので「じっと待つ(経過観察)」が対処法になります。

副作用は時間とともにおさまってくる傾向もあるのでそこまではイフェクサー(ベンラファキシン)の服用量を初期は少な目にして、その後副作用が耐えられるもしくは落ち着いてきたところで増量してみるという方法も有効です。
ただそれでも大変な時は他の抗うつ剤に変更したり、他の薬を追加したりして飲むこともあります。

副作用を抑えるために副作用止めの薬を追加で飲むよりは、他の抗うつ剤に変えるのも手であるため、なるべく少ない薬で治療ができないか相談するようにしましょう。
処方する側としてもなんとかできないものかと薬の増量の方向にいってしまう傾向があります。

症状併用することがある薬
不眠睡眠薬、抗うつ剤のトラゾドン(レスリン®、デジレル®)
性機能障害バイアグラ®やシアリス®は効果を期待できますが、心臓血管系の副作用もあるので精神科でこの副作用に対し処方することはまれです。
食欲不振抗うつ剤の中でもNaSSAに属するミルタザピン(レメロン®、リフレックス®)は食欲を増進させる方向に効きます。
排尿障害ハルナール®などのα1ブロッカー
落ち着かない・不安抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)

ほとんどの副作用はイフェクサー(ベンラファキシン)の服用量が多いほど、また飲み始めほど起こりやすいですが、時間によって副作用が軽くなることが多いです。
それでも、特に若い方でアクチベーションシンドロームによって躁状態になったり、自殺の衝動が強くでてしまうという症状が出るときは、薬を中止するか抗うつ剤ではなく気分安定薬やリチウムや非定型精神病薬を飲む必要があります。

まとめ「イフェクサーSRの副作用」

日本ではイフェクサーSR(ベンラファキシン)は2015年11月に薬価収載された新しいお薬ですが、海外ではもっと前から使用されていたお薬です。

イフェクサーSR(一般名:ベンラファキシン)は一般的には耐用性・忍容性の良い(飲み続けていきにくくない)薬として認識されているようですが、それでも吐き気、眠気、口の渇き、めまい、焦燥感、便秘、無気力、不安感、食欲不振、性機能障害などの副作用はでます。
もちろん他のSSRIやSNRIと同じように、イフェクサーSRを突然やめてしまえば、吐き気・眠気・不眠からなる離脱症状をおこすこともあります。

イフェクサーSRは飲み始めに最も副作用は起きやすく、特に困るのは吐き気・眠気・口の渇き・便秘です。
そして見逃せないのが血圧上昇です。
高血圧で治療中の方にとっては、急に血圧が上がってしまったというときはこの薬が犯人である可能性を考えましょう。
量に依存して上がりますので、減薬で改善はみられるはずです。

このように副作用のほとんどは飲んでいる量に関連していることが多いこと、飲み始めた初期だけの問題のことも多いです。
また減薬で対応することができることが多いので、副作用止めのお薬を増やすよりは、なるべく薬の種類は増やさないようにしていくほうが良いと個人的には思います。

なお、イフェクサーを服用している方の食欲不振についてどんな感じだったかお話ししてくれていらっしゃるサイトがありますのでこちらも参考にしてみてください。

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