
特に精神科・心療内科でもらったお薬を飲む時、その副作用を心配される方は多いと思います。
人によって、またその時の体調によって、副作用がでたりでなかったりする場合もあります。
症状の軽い副作用やあまり気にならない副作用の反面、入院を必要とするような非常に重い副作用もあります。
もし正しく薬をのんで入院するような副作用が発生し、治療が必要になった場合や障害が残ったり死亡した場合に医療費や障害年金、遺族年金などの救済を図ることを目的とした制度があります。
「医薬品副作用被害救済制度」という公的な制度があり、これは「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」が運営しています。
ここでは医薬品副作用被害救済制度について説明します。
目次
医薬品副作用被害救済制度とは
医療機関で処方された医薬品や予防接種、薬局などで購入した医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用により、入院治療が必要な程度の重篤な健康被害を受けた方の救済を図るための医療費、年金などの給付を行う、1980年にできた制度です。
制度の運営は独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 (PMDA)が行っています。
救済給付に必要な費用は、製薬企業がその社会的責任に基づいて納付する拠出金が原資となっています。
副作用救済制度の相談状況の実際
現在、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に寄せられる薬の相談については、2013年(H25年)以降、相談者数は1万人を超えています。
なかでもこの医薬品副作用被害救済制度に関しては、2015年度(H27年度)の救済給付請求は1566件、支給額は総額で20億円に達しています。
相談の受け付け状況を見ていくと、年齢層は40代、30代が多い傾向です。
特に男女比はおよそ4:6で女性の割合が多く、安全性や他の薬との相互作用、さらには授乳に関してなどが多くいようでした。
処方薬に関する相談のなかでもおよそ40%を占めるのが中枢神経作用薬で、この中に抗うつ剤や抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬が分類されます。
この状況から勘案できるのは、やはり脳に作用させる薬に関してはその副作用が目立つこと、一般には薬を飲んでいる年代が高齢者の方が多いにもかかわらず、機関への相談が30、40代が多く、特に安全性や他の薬との飲み合わせに関する内容などいかに精神科・心療内科の薬が患者さんにとって不安の対象になりやすいかはわかると思います。
早くなった日本での新薬承認!そこには副作用救済制度の存在もあった・・・
以前は、日本の新薬の承認は遅く「ドラッグラグ」などとも呼ばれ、「海外では承認されているのに・・・」と日本ではなかなか使用できない状況が目立っていました。
現在はその状況は一変し、承認も早く一部では世界に先行して使える薬剤もあるほどです。
逆に言えばそれはまだ報告されていない副作用も出得るということにもなります。
そんな背景もあることから、医薬品副作用被害救済制度は重要な制度であると言えます。
治療を受ける側にとっては恩恵があるなら承認して治療を優先する、もし副作用で困ったことがあってもしっかり公的にカバーしていくというこの姿勢は今までやみくもに安全だけを考えて承認が遅れ、「世界では認可されているのに・・・」「日本では治療できないんだ・・・」という状況だったところからの大きな変革だと思います。
今では逆に世界からこの医薬品副作用救済制度が注目を受けています。
医薬品副作用救済制度は認知度が低いのが問題点
患者さんがこの制度を知っていて自ら言ってくることはまだ多くはありません。
医師の立場からみても、副作用が生じそれが重大であった場合、かかりつけ医としてはまずその症状に対応することを優先し、その後の救済制度のことを患者さんに情報提供しないままの例もあります(そもそもそこまで重大な副作用を出す薬と出会うこと自体が多くないためということもあります。)
処方薬に限らず、市販薬、任意の予防接種のワクチンもこの制度の対象ですから何かあったときは医師に必ず相談するということは重要だと思います。
副作用救済の給付を受けるには
給付の請求は、健康被害を受けたご本人またはそのご遺族が直接PMDA(医薬品医療機器総合機構)に対して行います。その際に、医師の診断書や投薬・使用証明書、受診証明書などが必要となります。支給の可否は、厚生労働省が設置し外部有識者で構成される薬事・食品衛生審議会における審議を経て、厚生労働大臣の判定結果をもとに決定されます。
引用元:PMDA 医薬品副作用被害救済制度の手続きを知りたいかたへ
薬と副作用の因果関係をまずは証明しなければなりません。
その時に必要なのが医師の診断書になります。
診断書を出すにも、一度も病院やクリニックにかかっていないと、後になって「こうだった、ああだった」と説明しても医師は診断書を発行できないのです。
ですから「この薬飲んだらこうなった」という症状をかならず医師にその時伝えておくことは重要なのです。
もちろん市販薬や任意の予防接種もこの対象ですから何かあるときは必ず相談に行きましょう。
市販薬であれば薬局で購入した販売の証明書、予防接種であればその問診票にワクチンのロット番号付きで注射した医師の所属している医療機関に保存されていますのでこれで証明するようになります。
PMDAに提出する書類はここからダウンロードできます。
副作用給付請求には請求期限があります。
請求期限についてはこちら
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私は5年程前にパキシルを飲んでいて医師が勝手に量を増やし副作用をおこしました。体全体です。座る事も出来ず仰向けに寝る事も出来ずまともに歩く事も出来ませんでした。腕も動かす事も困難でお風呂に入っても髪を洗うのも出来なくなり主人に洗ってもらっていました。最初は医師から口の中渇いてませんか?と聞かれはい渇いていますと答えました。何のことかその時は分かりませんでした。暫くして体のあちこちがおかしくなってきたのです。副作用とは知らず年末年始の頃だったので大きい病院に二件行って検査を受けましたが分からずじまいでした。副作用とわかったのは薬剤師からでした。今でも後遺症が治っていません。とても毎日が辛いです。
コメントありがとうございます。
Dr.Gです。
精神科のお薬は、数種類が簡単に処方される割に聞いてなかったという副作用に悩まされることが多々あります。
さらに離脱症状といってしばらく内服した後にやめると不定な症状が長期にわたって持続することもあります。
大事な副作用の説明が医師からされないのも問題があるのかもしれません。