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レメロンの半減期と効果がでるまでの時間 -医師が教える抗うつ剤-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
レメロンの半減期と効果がでるまでの時間 -医師が教える抗うつ剤-

抗うつ剤といえばSSRIエスエスアールアイSNRIエスエヌアールアイに分類されるお薬が主に使われています。

レメロンNaSSAナッサ(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)と呼ばれる新しい抗うつ剤です。
半減期はんげんきとは、血液に吸収されたお薬の成分が半分に減って効果が弱くなるまでの時間をいいます。

体内に吸収された薬が代謝されて排泄されると体からお薬が抜けていきます。
それが半分に減ってしまうまでの時間のことを言うのです。

抗うつ剤において半減期が重要なのは離脱症状があるからです。
半減期が短いと離脱症状は起こりやすいのです。

離脱症状については別の記事で解説しますが、薬の効果が弱まるころにでてしまう副作用のことで、だるさや耳鳴り、頭痛、不眠、感冒症状、不安、うつ症状、焦燥感などありとあらゆる症状がでて苦しむことになってしまいます。
この離脱症状がでないためには、薬の濃度をある程度維持しなくてはなりません。

そして、薬の濃度が下がりきる前にどれくらいの時間で次のお薬を飲むかの指標にもなります。

ここではレメロン錠の半減期について解説したいと思います。


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レメロンの半減期

まず一般的に「半減期」と薬の血液中の動きについて解説しましょう。

半減期とは?

半減期とは、薬の成分の血中濃度が半減するまでの時間のことをいいます。

基本的なことですが、血中濃度とは血液内に入った薬の成分の濃度のことをいいます。

薬を飲むと胃や腸で薬のコーティングが溶かされ薬の成分がでてきます。
その成分が腸管(小腸や大腸)から血液中に吸収され、薬は肝臓や腎臓を通りそこで代謝されます。

代謝とは分解されて体内から排泄される準備をすることをいいます。

その結果、お薬の血中濃度は落ちていきます。
そしてある濃度から半分に落ちてしまうまでの時間を半減期といいます。

しかし中には代謝され分解されたあとの成分でさえも抗うつ作用を持つお薬もあります。
結果的には半減期が短いからと言って作用時間が極端に短いわけでない場合もあるのです。

レメロンの場合

レメロンには15㎎錠と30㎎錠とがあります。
以下は添付文書からのデータです。

日本人の成人男性のデータではいずれも内服後すぐに吸収され約1時間で最高濃度に達します。
つまりお薬を飲んで1時間後には最も効果を発揮しやすい時間になります。

レメロンは肝臓で代謝され、内服後32時間で血中濃度は半分に落ちます。

上記は1回内服した場合の薬の動態で、実際には何か月も場合によっては年単位で内服しますのでその場合のお薬の動態は少し変わります。

レメロンは1週間程度で定常状態ていじょうじょうたいといって血中濃度が安定した状態になります。
下の図は日本人の成人男性が9日間レメロン15㎎、30㎎、45㎎を内服したときの最終日の濃度の変化を示しています。

定常状態(ずっと飲み続けているときの安定している血液濃度)にあるときの半減期は約23時間で、1回だけ内服したときにくらべ代謝時間は短くなるようです。

レメロンの半減期

半減期は23時間から長くて32時間程度ですから、レメロンは1日1回内服で大丈夫なのです。

他の抗うつ剤との半減期の比較を示しておきましょう。
結論的に言えばレメロンは半減期が長いお薬ですから、1日1回の内服で良いことはもちろん離脱症状も起こしにくいというメリットがあります。

抗うつ剤 半減期(hr) 抗うつ剤 半減期(hr)
三環系 四環系
アナフラニール 21 テトラミド 18
ノリトレン 27 ルジオミール
マプロチリン
46
トリプタノール
アミトリプチリン
20-40 テシプール
セチプチリン
24
アモキサン 8 NaSSA
トフラニール
イミドール
9-20 レメロン
リフレックス
32
SSRI SNRI
パキシル
パロキセチン
14 トレドミン 8.2
パキシルCR 20 サインバルタ 10.6
ジェイゾロフト
セルトラリン
26 イフェクサーSR 3-13
レクサプロ 30 その他
デプロメール
ルボックス
フルボキサミン
8.9 レスリン
デジレル
6-7
ドグマチール
スルピリド
8

【参考】今日の治療薬2016(南江堂), Christopher H, et al. Am Fam Physician. 2006 Aug 1;74(3):449-56.


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レメロンが効果を出すまでの時間

抗うつ薬は一般にその抗うつ作用が発揮されるまでに一定の時間を要します。

主に使用される抗うつ剤と言えばSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)SNRI(選択的ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害薬)がありますが、通常これらは飲み初めには副作用が目立つ傾向があり、抗うつ作用が出るまでには2-4週間を要します。


レメロン以外によく使用されている抗うつ剤 -SSRIとSNRI-

<主なSSRIに属するお薬>
パキシルパロキセチン
ジェイゾロフトセルトラリン
レクサプロ
デプロメールルボックスフルボキサミン

<主なSNRIに属するお薬>
トレドミンミルナシプラン
サインバルタ
イフェクサー


レメロンの効果が出るのは早い!

一方、レメロンは効果発現時間が短いことが特徴で、飲み始めて1週間で作用し始めます。

抗うつ薬の作用にはタイムラグがあり、むしり先に副作用が出やすいために2,3日飲んですぐにやめてしまったり、効果がないからと言って他のクリニックに行ってしまうことがあります。
レメロンはその点、すぐに作用するということが有利に働く抗うつ剤なのです。

実際にSSRIのセルトラリン(ジェイゾロフト)、SNRIのベンラファキシン(イフェクサー)を飲み始めて2週間の効果で言えばレメロンが優れているという報告があります。

参考文献
1.Behnke K, et al. Mirtazapine orally disintegrating tablet versus sertraline: a prospective onset of action study. J Clin Psychopharmacol. 2003 Aug;23(4):358-64.
2.Benkert O, et al. Mirtazapine orally disintegrating tablets versus venlafaxine extended release: a double-blind, randomized multicenter trial comparing the onset of antidepressant response in patients with major depressive disorder. J Clin Psychopharmacol. 2006 Feb;26(1):75-8.

なぜ他の抗うつ剤に比べて早くに効くかを解説しましょう。
やや難しい内容ですのでこちらをクリックしますと飛ばして次の章に行きます。

なぜレメロンは効果がでるまでの時間が早いのか

最後に、レメロンの効果は早く出るのかその理由について解説します。
やや難しい内容になりますが、これにはレメロンの作用機序が関連しています。

まずNaSSA(レメロン)以外の抗うつ剤であるSSRIやSNRIの作用のしかたについてお話しましょう。

SSRIやSNRIではいずれも神経伝達物質である主にセロトニン、ノルアドレナリンなどに作用します。
神経の伝達は主に電気信号なのですが、神経細胞同士をまたぐやりとりは神経伝達物質を介します。

イメージとしては神経から次の神経にセロトニンという荷物を届けるといったところでしょうか。
抗うつ薬のセロトニン増強の仕組み2

このイメージ図ではヤギで示していますが、セロトニンの一部は回収されておりこれを専門的には「再取り込み」といいます。
SSRIとSNRIはこの再取り込みをさせなくする(阻害する)ことでセロトニンを増やします。
抗うつ薬のセロトニン増強の仕組み3

さらにセロトニンの受け取る部分、この絵では郵便受けを「受容体じゅようたい」といいますがこれにも様々な種類があります。
さらにセロトニンの受容体は脳だけでなく他の臓器、例えば腸など消化管にも存在します。
セロトニン受容体の色々

SSRIやSNRIではセロトニンを単純に増やしますのですべての受容体に作用してしまいます。
一般に抗うつ剤の飲み初めに吐き気や下痢などの副作用が初期に目立つのは急激にセロトニンが増えるためで、その後脱感作だつかんさと言って受容体の数が減りバランスされる(セロトニンが増えすぎたのに対して受け取り口の受容体の数が調整される)と抗うつ効果を発揮していきます。
抗うつ薬のセロトニン増強の仕組み4

この脱感作が起こるまでのタイムラグこそがSSRI、SNRIの抗うつ作用発揮までの時間なのです。

一方、NaSSAのレメロンはセロトニン受容体をブロックします。

具体的にはセロトニン受容体の2番、3番をリフレックスはブロックすることで、相対的に1番の受容体に多くのセロトニンを届けることができます。
(セロトニンをダイレクトに増やすのではなく、他に行ってしまうセロトニンの分を抗うつ効果を持つ受容体にお届けしてあげる)。

セロトニン1番に多く届けることが抗うつ効果となるため、素早く効果を発揮していくことになるのです。
リフレックス・レメロンの作用機序

まとめ「レメロンの半減期と効果が出るまでの時間」

  • レメロンの半減期は23-32時間と比較的長く、内服は1日1回で良い。
  • 抗うつ剤の中でもその長い半減期から離脱症状は起こしにくい方である。
  • レメロンは良く使用される抗うつ剤の中でも効き始めるまでの時間は短めである。

 

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