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リフレックスによる眠気

抗うつ剤の中でも困りやすい副作用に眠気があります。
リフレックス錠はNaSSAナッサ(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤:Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)と呼ばれる抗うつ薬の1つです。

抗うつ剤と言えばSSRIやSNRIが有名ですが、NaSSAもこれら抗うつ薬と同様、いやむしろこれらのお薬より日中の眠気は強くでてしまうお薬です。

リフレックス錠についての眠気の理由や対処法について解説します。


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リフレックス錠を飲むと眠気がくるのはなぜ?

リフレックスはNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)に分類される抗うつ剤です。
なんだかよく意味はわかりにくいかもしれませんが、「セロトニンやノルアドレナリンに作用する」というのはイメージしやすいと思います。

具体的にリフレックスがどんな機序で作用するかは以下の記事を参照してください。

リフレックス錠(15mg/30mg)の効果と特徴 -医師が教える抗うつ薬-

セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどを神経伝達物質しんけいでんたつぶっしつと言いますが、これは脳をはじめ全身の神経の連絡に必要な物質で種類によって働きが違います。

神経伝達物質

リフレックスは神経伝達物質の中でセロトニンやノルアドレナリンが関連する神経系を強めることで抗うつ作用を示しますが多くの場合で眠気が出てしまいます。
お薬承認時の臨床試験データにおいても実に50%の方に傾眠けいみん、すなわち眠気の作用が出たと報告されているくらい頻度は高いのです。

ちなみにこの眠気という副作用、Web調査では抗うつ剤における最もつらい症状に挙げられています。(1位:眠気、2位:だるさ、3位:胃の不快感)

【参考文献】
渡邊衡一郎, 菊池俊暁. 臨床精神薬理 11:2295-2304,2008.

ではなぜリフレックスで眠気がきてしまうのか?
眠気に関してはセロトニンともうひとつヒスタミンという神経伝達物質が関与します。


セロトニン(5HT)
ヒスタミン(H1)


うつと関連して有名なセロトニンという神経伝達物質に対して、セロトニンではなく別の神経伝達物質である「ヒスタミン」をブロックする作用も眠気に関与します。

1.ヒスタミンの作用と眠気の関係

ヒスタミンも神経伝達物質のひとつです。
眠気が起こる要因の1つはヒスタミンをブロックすることと関連します。

リフレックスはノルアドレナリンとセロトニンという2つの神経伝達物質に関与して抗うつ効果を出しますが、ヒスタミンをブロックする作用も持ちます

ヒスタミンというと、一般的には花粉症の薬や胃薬でよく聞く言葉です。
有名な胃薬「ガスター10」は「H2ブロッカー」に属する胃薬ですが、この「H」はヒスタミンのHなのです。
H2ブロックとは、ヒスタミンの2番(H2)をブロックして胃酸を抑えますということですね。

一方で、花粉症をはじめアレルギーで悪さをするヒスタミンは、H1といってヒスタミンの1番のことです。

このようにヒスタミンといっても1番とか2番とか3番とか存在する(ビタミンA、B、Cのような種類がある)のです。
胃薬(H2のブロック)は飲んでも眠くなりませんが、アレルギーの薬や風邪薬に入っている抗ヒスタミン薬(H1のブロック)は眠気がでますよね?

つまり、ヒスタミンの1番(H1)が眠気と関連しているのです。
それもそのはず、H1はアレルギー反応のような免疫に関与する以外に、脳では覚醒に関与している神経伝達物質なのです。
それゆえ、H1をブロックするとアレルギーもおさまるけど、覚醒レベルも落ちるので眠気が出てしまうのです。

それに対してヒスタミンの2番(H2)は胃で胃酸分泌に関与する神経伝達物質で、脳にもあるのですが脳での作用はまだ明らかになっていません。

2.セロトニンと眠気の関係

リフレックスはNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)という名の通り、特異的にセロトニンを作動させます。

セロトニンは神経伝達物質ですが、セロトニンを受け取る窓口にはいろいろな種類の窓口(受容体じゅようたい)が存在します。

セロトニン受容体の色々

セロトニンの受容体は脳だけではなく消化管などほかの臓器にも存在し、1番、2番、3番・・・と分かれさらには1A番、2A番、2C番などと細分化しています。
リフレックスは2番(2Aと2C)と3番をブロックすることで、相対的に1番(1A番)に多くセロトニンを届けられるようにしています。

他の抗うつ剤のようにセロトニンをやみくもに増やしてすべての受容体に届けるのではなく、この1A番に多く届けるという意味で「特異的セロトニン作動性」なのです。

リフレックス・レメロンの作用機序

1番(5HT-1A)にセロトニンを多く届けることが抗うつ効果、認知機能の改善、抗不安作用をもたらすのに対し、リフレックスによる2番(5HT-2A)のブロックでこの2番にセロトニンが届かなくなることが眠気と関連しています。

さてここで気づく方もいるかもしれません。
リフレックス以外の抗うつ薬であるSSRIやSNRIは単純にセロトニン増やしているだけだからかえって2番に多く届いてしまうんじゃない?
それなのに眠気でるけど・・・・

少しややこしいですがそれも説明しておきましょう。
難しければ次の章にここから飛ぶことができます。

さて、最初に処方されることの多い新規抗うつ薬には以下のものがあります。


  • SSRI
  • SNRI
  • NaSSA

SSRIとSNRIは再取り込み阻害という方法でセロトニンを増やします。
簡単に言えば、単純にセロトニンの数を増やします。

リフレックス(NaSSA)は特異的セロトニン作動という方法でセロトニンを増やします。
こちらはセロトニンの受け取り口の中で2番、3番をブロックして相対的に1番に特異的にセロトニンを多く届けさせる方法です。

リフレックス・レメロンの作用機序

そして「2番(5HT-2A)にセロトニンが届かない = 眠気」なのでした。
ですからリフレックスでは「特異的セロトニン作動性」という名前の通り、ダイレクトに2番をブロックすることで眠気がくるのはおわかりいただけると思います。

しかしどうでしょう、SSRIとSNRIの再取り込み阻害によるセロトニン増強では単純にセロトニンがふえるだけですから、2番にもかえって多くのセロトニンが届いてしまいますね。

実はSSRIとSNRIには眠気と同時に「不眠」の副作用もあるのです。

リフレックスと違うセロトニン増強の仕方、それこそがSSRI、SNRIによる眠気とは逆の不眠がでる理由の1つです。
そして一方のリフレックスでは、飲み始めから眠気が出やすい理由なのです。

SSRIとSNRIでは、初期はセロトニンをとにかく増やすために2番のセロトニン受容体も刺激するのです。
ところが2週間くらい飲み続けると、その経過の中で刺激されすぎた2番のセロトニン受容体はその数を減らし、結果的には2番にセロトニンは届きにくくなるのです(セロトニン受容体の脱感作だつかんさと言います。)

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リフレックス錠と他の抗うつ剤との比較

上記で説明した通り、抗ヒスタミン作用(ヒスタミンをブロックする作用)が強い抗うつ薬ほど眠気がでます

「三環系・四環系抗うつ薬」、「単環系抗うつ薬:デジレル・レスリン」、「NaSSA:リフレックス・レメロン(ノルアドレナリンはむしろ増強)」が睡眠作用をもたらす鎮静系の抗うつ薬です。
逆に言えば、不眠が目立つうつ病では有効に作用しますね。

リフレックスは鎮静系の抗うつ薬ですので、眠気は強いというわけです。
一方でSSRI、SNRIは非鎮静系ですので、三環系やリフレックスなどNaSSAに比べれば眠気の頻度も強さも低くなります(逆に不眠になることもあります)。

下の図は鎮静(眠気も含む)の強さを表します。
セロトニンノル・アドレナリンへの作用と鎮静作用

右にいくほど眠気が強くなります。
上に行くほどセロトニン作用が強く、下ほどノルアドレナリン作用が強くなります。

抗うつ剤の中での眠気の強さの一覧表を載せておきます。

抗うつ剤眠気抗うつ剤眠気
<SSRI><三環系>
ルボックス
デプロメール
フルボキサミン
+トリプタノール
アミトリプチリン
+++
パキシル
パロキセチン
+トフラニール
イミドール
+
ジェイゾロフト
セルトラリン
+-アナフラニール+
レクサプロ+-ノリトレン+
<SNRI>アモキサン+
トレドミン+-<四環系>
サインバルタ+-テトラミド++
イフェクサー+-ルジオミール++
<NaSSA><その他>
リフレックス
レメロン
++デジレル
レスリン
++
ドグマチール
スルピリド
+-
今日の治療薬(一部改変)

リフレックス錠による眠気の対処法

経過をみてみる

ほとんどの抗うつ剤で共通しますが、飲み始めの初期に副作用が目立ち1-2週間程度で副作用がおさまってくる傾向があります。
これは眠気も同様ですので2週間程度は経過をみてみるのが良いでしょう。

内服タイミングを変える

添付文書通り処方されればリフレックスは寝る前に内服します。

タイミングのずらし方は色々ありますが、内服タイミングを寝る前より数時間早めるだけでも変わることがあります。
夜の眠気よりも問題になるのは日中ですからね。

減薬する

飲み始めてどうしても眠気が日常生活の支障になる場合には減薬を考えざるを得ません。
眠気が強く出て困るようであれば減薬がひとつの手になります。

減薬は増量してから眠気が問題になる場合の対応法となります。

内服しはじめて1-2週間であれば問題ないですが、しばらくの期間(だいたい一か月半以上)飲んだあとに減らしたり断薬すると離脱症状を起こす可能性があるので注意を要します。
離脱症状とは抗うつ剤に共通してみられる特徴で、急に減薬したりお薬を中止することでうつや不安の症状がでたり、めまいや異常な感覚、だるさなど諸症状が出てくるものをいいます。

また、眠気はうつ病がよくなってきたころに目立つ場合もあります。
とくに長く飲んでいると睡眠が適度にとれていたとしても、あくびが多くなったり、疲労感を感じるようになったりすることもありますのでこの場合にも主治医と相談の上減薬を考えます。
この時には数か月以上内服しているはずですので、自己判断での減薬や断薬は厳禁です(離脱症状というつらい症状がでやすいのです)。

リフレックスから他の抗うつ剤に変える(スイッチする)

減薬しても改善がない場合に行いますが、長く飲んでいる場合には抗うつ薬の変更時にも離脱症状がおこることがありうることを知っておきましょう。
NaSSAは今のところリフレックスしかなく、レメロンも同じお薬になります。

SNRIならサインバルタやイフェクサーSRがありますし、SSRIの中で眠気が少ないものですとジェイゾロフトやレクサプロを通常考えます。

<再掲>
セロトニンノル・アドレナリンへの作用と鎮静作用

リフレックス以外の薬による可能性もある

抗うつ薬は単独で処方されていないことが多々あります。
例えば睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系睡眠薬)や非定型抗精神病薬(エビリファイ、ジプレキサ、リスパダール、セロクエルなど)、他の抗うつ薬があわせて処方されている場合があります。

また不眠症状が強いときには併用する抗うつ薬としてレスリン/デジレル(ジェネリック医薬品はトラゾドン)が処方されていることもありこれも眠気を誘発します。

そういった場合には、リフレックス以外にもその併用している薬の副作用も怪しいでしょう。
どの薬が疑わしいか主治医の先生と相談して減薬・中断を考慮してもらいましょう。

「リフレックス錠による眠気の副作用」まとめ

  • 抗うつ薬による眠気の原因の1つはヒスタミン(H1)ブロック作用による
  • もうひとつの要因としてセロトニンの2番受容体にセロトニンが届かなくなることも眠気に関連している
  • 飲む時間を変えてみるのも有効
  • 過度な眠気は経過をみていればおさまってしまうことも多い
  • 飲み始めて時間が経ってから(1ヶ月以上)減薬をする場合は離脱症状の可能性があることから自己判断ではなく主治医と必ず相談する
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