医者が教えない精神科のこと |メンタルクリニックDr's INFO | 精神科・心療内科

医者が教えてくれない精神科のことを医師がわかりやすく解説

リフレックス錠(15mg/30mg)の効果と特徴 -医師が教える抗うつ薬-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
リフレックス錠(15mg/30mg)の効果と特徴 -医師が教える抗うつ薬-

リフレックス錠は抗うつ薬の1つです。
リフレックス錠はMeiji Seikaファルマから販売されている商品名で、一般名はミルタザピンです。
同じミルタザピンにはレメロン錠というお薬もあります。

抗うつ薬は神経の伝達に関連する物質「セロトニン」や「ノルアドレナリン」を増やすことによって作用するのですが、それらの代表格であるSSRISNRIとはまた違ったお薬でNaSSAナッサという抗うつ薬の種類に分類されます。

NaSSAはSSRI、SNRIなどとは違った機序でセロトニンやノルアドレナリンに作用するためこれらの抗うつ薬に効果がなかった場合でも反応することがあります。
しかし副作用ももちろんあり、これまたSSRIやSNRIとは少し違う副作用が目立ちます。

ここではそのNaSSAに分類される抗うつ薬「リフレックス錠」についてわかりやすく解説します。


スポンサーリンク


リフレックスとはどんな薬?

Dr.G
まずは数ある抗うつ薬の中における位置づけについて見ていきましょう。

リフレックスの抗うつ薬としての位置づけ

現在一般的に使用される抗うつ薬の主流は「新規抗うつ薬」に分類されるお薬です。
新規抗うつ薬といっても、最新薬を示すのではありません。

日本では1999年に最初に登場したSSRIであるルボックス錠/デプロメール錠(一般名:フルボキサミンマレイン酸)以降のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、そしてこのリフレックス錠をはじめとしたNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬, noradrenergic and specific serotonergic antidepressant)を指します。

新規抗うつ薬が登場した1999年以前のお薬と言えば、三環系抗うつ薬がその代表格ですが副作用が目立つため飲み続けにくいお薬だったのです。
ですから、新規抗うつ薬はうつ病治療に対する敷居を下げるのに一役買ったお薬なのです。

SSRIやSNRIが主流の中、新しい機序で作用するNaSSAのリフレックス錠が日本では2009年に登場しました。

まずはリフレックス錠がNaSSAとして新規抗うつ薬に分類されているお薬の1つであることを確認しておきましょう。

<新規抗うつ薬:現在最初に処方される抗うつ薬>
SSRI:ルボックス/デプロメール(フルボキサミン)、パキシル(パロキセチン)、ジェイゾロフト(セルトラリン)、レクサプロ(エスシタロプラム)
SNRI:トレドミン(ミルナシプラン)、サインバルタ(デュロキセチン)、イフェクサーSR(ベンラファキシン)
NaSSAリフレックス/レメロン(ミルタザピン)

リフレックスはどんな病態に効く?

リフレックスは以下の症状に効果を示します。

  • うつ病・うつ状態
  • パニック障害
  • 全般性不安障害(GAD)
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)

日本で承認されているのは「うつ病・うつ状態」です。

リフレックスの特徴

抗うつ薬は抗うつ効果を発揮するまでにタイムラグがあります。
SSRIやSNRIではおよそ2週間程度の時間を要しますが、NaSSAであるリフレックスはこれに比べて1週間程度とタイムラグは短いのが特徴です。

抗うつ効果も強く、新規抗うつ薬の抗うつ作用と副作用による飲みにくさを比較した研究でもリフレックスの抗うつ効果は強いという結果がでています。
以下の図は、右にある薬ほど抗うつ効果が強いことを示します。

抗うつ剤の比較

ちなみに縦軸は薬の副作用による飲みにくさで、下に行くほど飲み続けにくいことを示しています。
この図で見るならリフレックスの抗うつ効果は最も高く、飲み続けやすさで言えばSSRIのレクサプロやジェイゾロフトには劣るものの悪くはなさそうです。
ただリフレックスの副作用はSSRIと少し違う側面もあるので場合にもよります。
もちろんこのデータが絶対的な指標として認められているわけではありませんので参考程度ですし、日本うつ病治療学会ガイドラインでは新規抗うつ薬は基本優劣なく同等の扱いになっています。

参考文献
Andrea Cipriani, et al.Comparative effi cacy and acceptability of 12 new-generationantidepressants: a multiple-treatments meta-analysis. Lancet. 2009 Feb 28;373(9665):746-58.

またSSRI、SNRIと異なる点としてリフレックスはストレスホルモンを低下させる作用が報告されています。
ストレスホルモンとは具体的にはコルチゾールというホルモンで、高ストレス状態の方ではコルチゾール濃度が高いことが知られています。

うつ病患者の唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)を測定してもらい、その方たちをリフレックス錠(NaSSA)もしくはイフェクサーSRカプセル(SNRI)を飲んでもらって治療したとき、リフレックスではコルチゾールが下がるのにイフェクサーではコルチゾールが変わらないという結果が出ています。
逆に、唾液中のコルチゾールが高く出ている場合にはイフェクサーを飲んでも良い結果が出なかったようです。

ここで間違えないでいただきたいのは、唾液中のコルチゾールを測定しながら薬を選択して治療することが正しいというわけではありません。
そうではなくここで言いたいことは、SSRIやSNRIで改善がなかった例でもリフレックス(NaSSA)への変更・追加で効果を示すことは十分ありうるということです。

参考文献
Scharnholz B, et al. Antidepressant treatment with mirtazapine, but not venlafaxine, lowers cortisol concentrations in saliva: a randomised open trial. Psychiatry Res. 2010 May 15;177(1-2):109-13.

次にリフレックスの副作用の観点からの特徴を挙げておきましょう。
一般に抗うつ薬の気になる副作用には以下のものが挙げられます。

  • 吐き気
  • 眠気
  • 体重増加(太る)
  • 性機能障害

SSRIやSNRIでは上記の副作用はすべて認めますが、リフレックスでは吐き気や性機能障害の副作用は基本的に出にくいのです(これについては後述します)。
そのかわり眠気と体重増加(太る)はSSRIやSNRIより目立ちます

リフレックス・レメロンの副作用比較

リフレックス錠の特徴

  • 効果の出始めが1週間程度と早い
  • 抗うつ効果は強く、SSRI/SNRIと作用機序が異なり変更や追加で効果を出せる可能性がある
  • 吐き気や性機能障害は起こりづらいが、眠気や太るという副作用は目立つ

スポンサーリンク


リフレックス錠の用法と飲み合わせ

用法

リフレックス錠には15mg/30mg錠の2種類があります。
1日15mgを初期量として、1日1回就寝前に飲み、1週間以上の間隔をあけながら15mgずつ増量が可能です(MAXは45mg)。

半減期といって、薬が身体に取り込まれて最大の血液中濃度になってそこから半分に代謝されて出て行ってしまうまでの時間は32時間と長く1日1回の服用が可能です。
副作用で眠気が高い頻度で出現するために、内服タイミングは基本夜(夕食後や眠る前)になります。

飲み合わせ

併用そのものが危険である「併用禁忌」と、その性質から絶対ダメではないけれど併用するなら注意しつつという「併用注意」とがあります。

<併用禁忌>
他の抗うつ剤ともこれは共通ですがエフピー(セレギリン)というパーキンソン病のお薬です。
セロトニンの急激な作用によって起こる致死的な「セロトニン症候群」を起こすリスクがあります。

<併用注意>
リフレックスは肝臓の代謝酵素(チトクロームP)によって代謝されます。
このチトクロームPに影響を与える他の薬とあわせてリフレックス錠を内服すると、リフレックスが代謝されにくくなり効果が強く出すぎたりすることがあります。

  • カルバマゼピン(テグレトール®:てんかん薬)
  • フェニトイン(アレビアチン®:てんかん薬)
  • リファンピシン(リファジン®:結核の薬)
  • シメチジン(タガメット®:H2ブロッカー、胃潰瘍の薬)

これとは別に、アルコールも併用注意です。
リフレックスの鎮静作用が強く出すぎて、動けなくなったり意識レベルが落ちてしまうリスクがあります。

リフレックスとカリフォルニアロケット療法

リフレックス(NaSSA)もSNRI(サインバルタやイフェクサーSRなど)もセロトニンとノルアドレナリン両方に作用する抗うつ剤です。
この2つを組み合わせれば強力にセロトニンとノルアドレナリンの増強を行えるだろうという考えです。

この治療法をカリフォルニアロケット療法といい、SNRIとNaSSAの組み合わせで処方されることが多いです。

ただ基本は1つの抗うつ剤で治療をはじめましょうということになっていますから、最初からカリフォルニアロケットを行うということではありません。

カリフォルニアロケットに関しての有効性は2010年に、SSRIもしくはSNRIとNaSSAの組み合わせでの治療効果が検討された論文が出ております。
これに反対する意見もあるので、併用することによる増強療法は最初の治療で上手くいかなかったときの次の一手として考えます。
つまり次善の策というわけです。

<NaSSAとSNRIの組み合わせが有効であるとする文献>
SSRIはフルオキセチン(日本では発売されていない薬)を1種類だけ飲んだ場合と、SNRI(この文献ではサインバルタではなくベンラファキシン<商品名ではイフェクサーSR>)とNaSSA、フルオキセチン(日本未発売のSSRI)とNaSSA、ブプロピオン(日本未発売の薬でノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬)とNaSSAの4グループで比較しています。
大うつ病と診断された105名の患者さんで、6週間の経過をみた研究です。

日本で発売していない薬も多いので、要はSSRI単独か、SNRI + NaSSAとどちらが効果が出るかをみたものと認識してください。

カリフォルニアロケット療法

このグラフは横軸が時間で、縦軸がうつの状態を表しています。
うつの状態に関しては下に行くほど正常になっていると考えて見てください。
この図のオレンジの線がSNRIとNaSSAの組み合わせです。
緑のSSRI単独で飲むのに比べて、組み合わせて飲んだ人たちの方が改善しているのがわかります。

もともと1種類の抗うつ剤でうつ病を寛解できるのは約30%に対し、組み合わせることでおよそ60%近くを寛解に導くことができたのです。
気になる副作用ですが、やはりリフレックスの目立つ副作用である体重増加(太る)と、眠気が強くでてしまうようでした。

この論文では示されませんでしたが、当然セロトニンはかなり増強されますから、アクチベーションシンドローム(自殺念慮)やセロトニン症候群といった副作用にも注意が必要です。
ちなみにこの論文は二重盲検(double-blind:研究者も薬を飲む対象もお互いにどの薬の組み合わせで治療しているか分からない状態)にて行っている研究ですのでエビデンスレベルは高いと言えるでしょう。

ただ2011年に同様の研究でもっと大規模なものが行われ、単剤でも組み合わせても治療効果に差はないとする結論となりました。
これを組んで現在のガイドラインではやはり1つの抗うつ剤で治療をしましょうというのが原則となります。

参考文献

リフレックスと妊娠・授乳中の内服について

ここをクリックして「リフレックスの作用機序」に飛ぶことができます。

リフレックスの妊娠中に与える影響

まず、世界的にみたリフレックスの妊娠中における服用の基準をみてみましょう。

<FDA(米国食品医薬品局)による妊娠中使用の評価基準>

  • (カテゴリーA)ヒトでの研究で胎児への危険性は示されていない
  • (カテゴリーB)ヒトでの研究で危険を示す証拠はない
  • 【カテゴリーC】動物実験で有害作用を示したものはあるが、ヒトでの研究はない
  • (カテゴリーD)胎児への危険性が高い

カテゴリーCと分類されていますが、要は「動物実験では妊娠中に服用することで有害作用を示したものもあるけど、ヒトではよくわかりません」ということです。

では添付文書ではどういう扱いになっているでしょうか?
(難しく長く書かれていますので、よくわからなければ飛ばしてください。)

<妊婦、産婦、授乳婦等への投与>
1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠及び授乳期のラットに100mg/kg/日を経口投与(ヒトに45mgを投与したときの全身曝露量(AUC)の約2倍に相当)すると、着床後死亡率の上昇、出生児の体重増加抑制及び死亡率の増加が観察された。]

リフレックス錠の添付文書は上記のようになっており、難しく書かれていますが、要は妊娠中の服用は望ましくはないとしています。

ただこれは予想通りの添付文書の記載であってこれではどう解釈していいか困ってしまいますね。
そもそも、飲まなくてよければ飲まないにこしたことはないことはわかっていることですので、飲むとしたらどんなリスクがあるのかが重要です。

大事なことは以下のことです!!


妊娠中に抗うつ剤を「飲むこと」と「飲まないでいること」のどちらが母親・子供にメリットがあるか?


すなわち「うつ症状が強いのに、うつ病を放置して妊娠出産したときの子供への影響」と「リフレックスを飲むことでうつ病を治療しつつ妊娠出産したとき」と、どちらがメリットがあるのかですが、一般的にはまだわかっていません。
その症例ごとに主治医が判断しましょうというのが見解です。

ではその判断をどうしていけばいいのか、飲む側としてもそのことを知っておくほうが安心かと思いますし、このことを知って主治医と相談した方が理解も深まります。
リフレックスが母体と胎児に与える影響についてお話します。

リフレックス錠の母体への影響

妊娠中の抗うつ剤の使用については主に2つの問題が指摘されています。


  1. 妊娠高血圧症候群にんしんこうけつあつしょうこうぐんになりやすい
  2. 出血のリスク

1.妊娠高血圧症候群

妊娠後期に、妊娠高血圧症候群のリスクが増大する可能性がいわれています。

妊娠高血圧症候群は以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていたものです。
では妊娠中毒症がどんな状態で、妊娠において何が問題になるのか説明します。

妊娠前には高血圧がなかったのに、妊娠後期になってはじめて高血圧がでてくるものをいいます。
高血圧がそんなに問題になるのかと思うかもしれませんが、お母さんや赤ちゃんにいろいろな障害を起こすことが多いため妊娠高血圧学会が存在するぐらい重要な合併症なのです。

詳しくは「妊娠高血圧学会によるQ&A」

2.出血のリスク

出産時には、母体からの出血がつきものです。

妊娠時には、血液は薄くなる傾向がありもともと貧血気味になります。
これは生理的なので良いのですが、リフレックスには1%未満で血液への副作用がでてしまいこのことが母体を危険にさらす可能性があります。

具体的には貧血になったり、血小板が減ることで出血がとまりにくくなることです。

ですから出産時出血が多くなる可能性について産科の先生に相談しておきましょう(意外と他の科の薬のマイナーな副作用についてはノーマークのこともありますので念のため)。
出産後、血が止まらないというのは輸血の必要性が高まり、あまりにも重篤な場合に輸血血液の準備がなければ母体の命にもかかわる問題にもなります。

定期的な採血で見つけることができますから、十分対処することが可能かと思います(貧血や血小板が少なくなりすぎるようであれば薬を中止するなど)。

リフレックスの胎児・新生児への影響

抗うつ剤の胎児への悪影響については報告がありつつも否定的な意見が多いです。
ここでは3つ取り上げます。

その中で、最も影響を考えなければならないのは産まれた直後の新生児の一過性の症状でしょう。

新生児にでる可能性のある一過性の症状

産まれた直後、一過性ではありますが赤ちゃんの元気がない、逆に過敏性が増して泣き止まないなどの症状がでることがあります。

呼吸が弱く呼吸を補助する必要があったり、うまく母乳が飲めなかったりすると管から栄養をしなければいけない状況になり、新生児の退院までが長引く場合があります。

その他報告があるのは、抗うつ剤の中毒作用と、産まれてから急激に抗うつ剤の成分が母親から胎盤を介してこなくなってしまったことによる離脱症状の両方で、呼吸困難、チアノーゼ、てんかん発作、嘔吐、低血糖、力が弱い、落ち着かない感じ、泣きやむことがないなどの症状がでます。

参考文献
Sie SD, et al. Maternal use of SSRIs, SNRIs and NaSSAs: practical recommendations during pregnancy and lactation. Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2012 Nov;97(6):F472-6.

その他胎児に対する影響として他の抗うつ剤を参考に考えると、奇形性や呼吸器系(新生児遷延性肺高血圧症)などが挙げられるでしょうが今のところリフレックスを妊娠中に内服することで著しくこのリスクがあがるということはないようです。

参考文献
Smit M, et al. Mirtazapine in pregnancy and lactation – A systematic review. Eur Neuropsychopharmacol. 2016 Jan;26(1):126-35.

もし妊娠中にうつ病が増悪すると生活の質が下がるだけでなく、早産・発育不全・低出生体重といった子供へのリスクを高めます。

参考文献
Grote NK, et al. A meta-analysis of depression during pregnancy and the risk of preterm birth, low birth weight, and intrauterine growth restriction. Arch Gen Psychiatry. 2010 Oct;67(10):1012-24.

さらに、妊娠が判明したあとも抗うつ剤を続けていた場合のうつの再発・再燃は26%であった一方、妊娠前に抗うつ薬を中止した場合には68%にも上昇したという報告もあります。

参考文献
Cohen LS, et al. Relapse of major depression during pregnancy in women who maintain or discontinue antidepressant treatment. JAMA. 2006 Feb 1;295(5):499-507.

つまり妊娠中もリフレックスを継続しておくことはうつの再発を防ぎ、そのことは胎児の発育にとっても良い可能性が高いのです。
母体の影響としては妊娠高血圧、出血のリスクがありますがこれはしっかりリスクコントロールできるものでもありますし、胎児に対する抗うつ剤の影響はそこまでないとする否定的な意見も多いのです。

結論として、個人的にはリフレックスは妊娠前に無理してまで止めることを考えるよりも、妊娠前もしくは妊娠が発覚した時点で最大限減薬をしていくことを第一にするのが現実的ではないかと考えます。

主治医の意見もあると思いますし、それでも薬がない状態で妊娠出産したいという希望が強い方もいると思うので以上のメリットデメリットを考慮していずれの選択をしても間違いではないと思います。

授乳中にリフレックス錠は飲んでいいの?

こちらもまずリフレックスの添付文書を確認してみましょう。

<妊婦、産婦、授乳婦等への投与>
2. 授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には、授乳を避けさせること。[動物及びヒトで乳汁中に移行することが報告されている。]

引用元:リフレックス錠添付文書

もちろん母乳中にリフレックスの成分は移行してしまうと考えられます。
ですから添付文書も当然避けるように書かれています。
妊娠中の服用と一緒です。

授乳中にリフレックスを母親が内服することで、まれに子供の落ち着かない様子が目立ったり、鎮静がかかって大人しくずっと寝ていて泣くことも極端に少なくなる様子が見られるときがあるかもしれません。
このときは薬を中止すべきか相談したほうがいいでしょう。

しかし、母親にとって出産直後はもともとうつ病になりやすい時期です。
もともとうつ病で治療歴があったり、母親の産後うつ病の可能性が高い時は授乳中でもリフレックスを始める(もしくは再開する)ことを考えなければなりません。

それでも薬を飲んだからと言って、絶対に母乳栄養をやめなければいけないわけではありません。
母乳の研究が進んだことで母乳栄養が粉ミルクに比べて優れている点がたくさん分かってきたのです。

感染症の予防、免疫や神経発達を促す優れた効果、また母児間の愛着形成を促す効果、その他多くの優れた点が科学的に証明されてきました。
赤ちゃんや母親にとって母乳をあげるというスキンシップはオキシトシンというホルモンを放出させ、これが母親にとっては幸せホルモンでもあるのです。
ひとたび母乳をやめてしまうと、ホルモンの変化などにより母乳を再開することは困難になります。

ここまでみるとあくまで個人的な印象ですが、リフレックスを内服していても原則は授乳をしていることは必ずしもリスクではないと考えています。
ただ授乳とリフレックスの関係についての報告は数が少ないですし、それぞれのケースによるところもありますので主治医の先生とよく相談して心配のないようにしましょう(抗うつ剤はやめたくても簡単にやめれるものではありません)。


スポンサーリンク


リフレックス錠の作用機序

最後にリフレックスの作用機序について説明します。
やや難しい内容ですので難しいようでしたらここをクリックして飛ばしてください。

ちなみにSSRI、SNRIと作用機序は違うものの最終的にセロトニン・ノルアドレナリン増強を促進するという点では同じ方向です。

さてリフレックスはNaSSA(ノルアドレナリン作動性特異的セロトニン作動性抗うつ剤)と呼ばれます。
ノルアドレナリンへの作用とセロトニンへの作用があるというのはお分かりいただけると思いますがどのようにして作用するのでしょうか。

神経伝達物質「ノルアドレナリン」と「セロトニン」は脳では以下の役割を持ちます。
神経伝達物質

神経と神経は神経伝達物質を介して情報をやり取りしています。
神経伝達

赤丸で囲った部分を拡大してみましょう。
神経伝達物質
神経伝達物質を次の神経に送っている様子がわかります。
この物質が増えることで、うつ症状を改善させます。

ではこれを郵便物をポストに届けるイメージでお話しましょう。
神経1から神経2へ運ばれます。

郵便物が神経伝達物質で、ポストが郵便物を受け取る次の神経の受け取り口、すなわち受容体じゅようたいです。

抗うつ薬のセロトニン増強の仕組み

まずセロトニンについてお話しましょう。
実はセロトニンを受け取るポストは1種類ではなく、しかも脳だけでなく消化管などのほかの臓器にも存在します。
セロトニンの受け取り口は5-HT受容体(セロトニン受容体)と呼ばれ、さらに番号が割り振られています。

セロトニン受容体の色々

リフレックスは1番のポストにセロトニンを届けるために2番と3番のポストを塞いでしまいます(厳密には2A/2C)。
これによって本来2番と3番に届けられるはずだったセロトニンはその分1番に多く届けられることになります。
リフレックス・レメロンの作用機序

つまりセロトニンは1番のポストに特異的に多く届けられるという「特異的セロトニン作動」をするのです。
1番は主にうつや不安に関連するのでここを増強することは重要です。

  • 2Aのブロック⇒睡眠回復(眠気強い)
  • 2Cのブロック⇒体重増加(食欲増加、脂肪代謝↓など)
  • 3のブロック⇒吐き気ない(3は消化管にも多くあるので刺激すると吐き気がでます)

次にノルアドレナリンに話をうつしましょう。
ノルアドレナリンを郵便物として運んでいる郵便局では、郵便物であるノルアドレナリンがあまり多くなりすぎないように仕事量が調整されています。

α2自己受容体という出回っているノルアドレナリンを監視している部分があり、これで仕事量が調整されるのですが、リフレックスはこのα2自己受容体を邪魔して仕事量を調整できないようにしてしまいます。
すると次第にノルアドレナリンが郵便物としてたくさん出回り始めます。(ノルアドレナリン↑)

ちなみにノルアドレナリン系の神経は、セロトニン系神経に働きかけてセロトニンを調整する作用があります。

リフレックス・レメロンの作用機序

セロトニンに話を戻します。
ノルアドレナリンが作動すると、その効果でセロトニンの神経活動も活性化します。(セロトニン↑)

さらにノルアドレナリンの時と同様にここにも仕事量を調整しているα2ヘテロ受容体という部分があり、リフレックスはここにも作用してセロトニン量を増やします。(セロトニン↑)
リフレックス・レメロンの作用機序

ややこしいですが、ノルアドレナリンを増やし、このことがセロトニンを増やすだけでなくセロトニン分泌を調整する部門を邪魔して勝手にセロトニンを増やさせます。
さらにセロトニンを受け取るポストも抗うつ効果を最大限発揮する部分以外をシャットアウトすることで効率的にしかるべきポストにセロトニンを運ばせます。

これがNaSSA、すなわちノルアドレナリン作動性特異的セロトニン作動性抗うつ剤たるゆえんです。

まとめ「リフレックス錠の効果と特徴」

リフレックスはこれまでの抗うつ剤と違う働き方でノルアドレナリン、セロトニンを増やす方向に働きかける抗うつ剤です。
基本は単剤で使用されるのが推奨されていますが、作用機序が異なることからSSRIやSNRI単独で効果がないときにも併用されることがあります。

副作用は吐き気や性機能障害といった他の抗うつ剤ではよく出る症状はかえって目立たないかわりに太ったり眠気が問題になることが多いのが特徴です。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

コメントはこちらからお願いします

*
*
* (公開されません)

Return Top