医者が教えない精神科のこと |メンタルクリニックDr's INFO | 精神科・心療内科

医者が教えてくれない精神科のことを医師がわかりやすく解説

【レクサプロ錠の用法 ・ 他の薬の飲み合わせ】を医師がわかりやすく解説します

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
【レクサプロ錠の用法 ・ 他の薬の飲み合わせ】を医師がわかりやすく解説します

レクサプロ錠の用法

抗うつ剤飲み方

剤型と薬価

レクサプロ錠10㎎

0円(1錠の値段)

(2016年4月1日に薬価基準改定を実施)

1ヶ月内服時の目安:6492円~12984円(3割負担負担で1948円~3895円)

飲み方

レクサプロ錠 10㎎を1日1回夕食後に飲みます。
増量は1週間以上空けてから行います。
最高で1日 20mgまでです。

長期に飲んでも安全で、依存性・習慣性は基本的にはないとされています。

耐えられないような不安や不眠、アカシジア(そわそわして、じっと落ち着きのなさがでる)、攻撃性がでる、急に活動的になりすぎるなどの症状がでたときは、双極性障害の存在を考えなければなりません。
その場合は、気分安定薬や非定型抗精神病薬に変更が必要になることもあります。

減薬・中止方法

必ず主治医の指示に従って減薬・中止して下さい!

通常他のSSRIより離脱症状は起こしにくく、徐々に減らしていく(漸減:ぜんげん)ことは必要ないとの意見もありますが、それでも徐々に減らしていくのが賢明でしょう。
万が一、離脱症状が出てしまう時には、症状を抑えるために逆に徐々に増量して飲むようにして落ち着いてからゆっくり減らすようにします。
それでも、レクサプロ錠を飲むほとんどの患者さんでは、1週間で半分に、さらに1週間かけて中止していくことができる印象です。

過量服用

嘔吐、不整脈(QT延長:無症状だが危険な不整脈につながりやすい状態)、ふらつき、発汗、吐き気、振戦、けいれん、錯乱、昏睡、けいれんなどレクサプロ錠そのものの副作用が強くでてきます。

レクサプロ錠(エスシタロプラム)そのものの大量服薬での死亡例は報告されていませんが、化学的に似たつくりをしているシタロプラム(日本では未発売)での過量服薬による死亡例はメキシコで報告されています。

<実際の症例(メキシコ)>
35歳の女性が家でシタロプラムを大量に服薬し、けいれん発作を起こし救急搬送されました。病院到着時は心電図は確認できましたが実際には心臓はとまった状態で、熱も41度を超えていました。その後、心電図はtorsades des pointes (TdP:トルサードポワン)という危険な不整脈に変わり、死亡しました。

①病院到着時の心電図
レクサプロ錠の大量服薬

②torsades des pointes (TdP:トルサードポワン)と呼ばれる致死的な心電図
レクサプロ錠の大量服薬

参考文献
Kraai EP, Seifert SA. Citalopram Overdose: a Fatal Case. J Med Toxicol. 2015 Jun;11(2):232-6.


スポンサーリンク


レクサプロ錠の薬物動態と相互作用

薬物動態

半減期(最高血中濃度から半分の濃度に減るまでの時間)は27-32時間で、1日以上かけてゆっくり減っていきます。
定常濃度(毎日服用して、一定の濃度で安定するまで)は1週間の内服を続ければ達成できます。
レクサプロを代謝して身体の外に出すための肝臓の酵素(チトクロームP450)への大きな作用はないので、通常他の薬との相互作用はしにくいです。

SSRIの半減期

レクサプロ錠と他の薬の相互作用

相互作用 飲みあわせ

パーキンソン症候群の薬に特に注意

レクサプロ®に限った話ではありませんが、抗うつ剤は主にパーキンソン症候群に対して使用されるエフピー®(MAOI:モノアミン酸化酵素阻害薬)と組み合わせると、激しい「セロトニン症候群」が誘発されます。
致死的な副作用になるので注意が必要です。

エフピー®も半減期は長いので、もしこのパーキンソン症候群の薬を飲んでいた時には中止しても2週間は抗うつ剤を飲まないのが賢明でしょう。
逆にレクサプロ錠を中止したあともある程度の期間(1-2週間)はエフピー®は飲まないほうが安全です。
ちなみに、エフピー®のジェネリック薬品はセレギリンですのでこの名前にも注意しましょう。

片頭痛の薬に注意

イミグラン®(スマトリプタン)など片頭痛用のお薬との併用で、脱力や運動の障害が起こりえます。

血液さらさらの薬に注意

レクサプロ錠の副作用に出血しやすさ(内出血しやすい、あざができやすい)があるので、血液さらさらのお薬(ワーファリン®、ロキソニン®に代表される非ステロイド系の痛み止め)

痛み止めに注意

主に整形外科で処方されるような非ステロイド系の鎮痛剤(ロキソニン®など、最近は市販のロキソニンもあります)は、上記の、出血のしやすさを助長するのと同時に抗うつ剤そのものの効果を減弱する可能性があります。
市販薬ならバファリン®、処方薬ならカロナール®などアセトアミノフェンの鎮痛剤なら安心です。

その他レクサプロ錠の注意事項と使用禁忌事項

  • てんかんや、QT延長症候群という不整脈(無症状のことが多く、おそらく主治医から言われても意識している人は少ないと思います。上記の過量服薬による死亡例はこれによるものです。)がある場合には注意が必要です。他の抗うつ剤に変えてもらうのも賢明かもしれません。
  • 未成年を含む25歳未満の方では、アクチベーションシンドロームによって、自殺念慮が高まったり、衝動が高まるなどの例もあるため周囲が注意を払う必要があります(病院ではなく、家で起こる副作用です)。
  • 不安や攻撃性、落ち着かなさが高まる、気分が急激に良くなり活動的になったときには双極性障害の可能性を考え主治医に相談しましょう。

使用禁忌

  • レクサプロ®(エスシタロプラム)に過敏性・アレルギーがある
  • パーキンソン症候群薬のエフピー®(セレギリン)を内服している
  • 抗精神病薬のオーラップ®(ピモジド)を内服している
  • 不整脈(QT延長症候群)がある

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 6 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. こんにちは!
    わかりやすい説明で勉強になります。
    質問させてください。
    家族がレクサプロを服用しており、開始2週間経過した頃に錯乱、怒り、不安による号泣、薬中のようなラリった症状を二日間に渡り起こりました。思考も低下し子供のようになることもあり、自分はおかしいのか?という自覚があるようです。
    ラリっているときも合間に自分は薬中なのかな?と言っていました。

    現在薬を半量にしてそのような症状はなく落ち着いています。しかし、不安が強くなったり思い込みで怒り物を投げつけたりということもありました。
    添付文書に副作用として錯乱、不安、興奮など当てはまる記載がありました。
    欧米で24才以下で自殺願望を助長するとありますが、
    エビデンスは無くとも、精神状態に悪く作用する可能性も考えられるのでしょうか?

    薬を飲む前は、落ち込んでるような印象がありましたが、普通に過ごせていました。今はほぼ無表情で本当の精神病患者になってしまったように見えます。
    レクサプロの影響も考えられるのでしょうか?

    • コメントありがとうございます。
      Dr.Gです。

      レクサプロに限らず、SSRIというセロトニンを触るお薬はコメントいただきましたように、特に25歳未満においてそのようなリスクが高いことが知られています。

      SSRIは確かに抗うつ剤として良いお薬ですが、ときに帰って飲むことによって興奮性、焦燥感や不安が増してしまい精神状態がおかしくなったように思えることがあります。
      これをアクチベーションシンドローム(賦活ふかつ症候群)といいます。

      このような場合、背景に双極性障害が有ったり、そこまで診断できるほどの躁状態がなくとも最近ではスぺクトラムといってそのグレーゾーンのような双極性障害寄りの特性をもつうつ病もあり、これにSSRIが反応して悪化させることがあります。

      また一方で情動に対する副作用として、喜びや楽しさを感じにくくなったり、無頓着になってしまったり、いわゆる感情鈍麻といって感情がなくなり無表情になってしまう症状があります。
      ただしこれに関してはもしかしたらレクサプロ以外に併用されているお薬が原因の可能性もあり得ます。

      以上簡単ですが解説させていただきました。

      このような貴重な体験・体感をコメントいただくと多くの方の参考になります。
      ありがとうございました。

  2. 丁寧でわかりやすいご解答をありがとうございます。
    とうとう、心配していた事が起こってしまいました。
    レクサプロを服用していた家族が家で興奮と怒りが爆発し衝動的に壁や床に目に入った食器類全てを投げつけあばれました。
    私が通報し警察に保護されました。添付文書に掲載されている内容のと一致した症状です。スイッチの入り方は明らかに異常でした。食器の割れ方を見て警察官も異常さを感じるような事を言ってました。
    ただのイライラが爆発しただけの暴れようではなかったように思えます。
    SSRI、怖いです。
    レクサプロの処方を中止してくれなければ病院変えるつもりでした。医師はすぐ止めてくれました。
    薬、怖いです。
    医師の判断になるのかわかりませんが2015年に国内で承認されたばかりらしいので国内の事例としてあげてほしいと思いました。警察沙汰になったから病院から製薬会社に報告が行くのでしょうか?

    医療保護入院となりうつ病から双極性障害の疑いに変わりました。レクサプロ止めて気分安定剤を処方するそうです。また薬で変な影響が出たら別の薬を処方され漬けにされてしまうのがとても心配です。

    • コメントありがとうございます。
      ご報告いただけまして光栄です。

      SSRIによるアクチベーションシンドロームと考えられると思います。
      このような反応を起こす場合、診断名がうつ病から双極性障害に変わることが多々あります。
      双極性障害に診断名が変わることについて詳細はこちら

      病院から製薬会社には報告はいきません。
      副作用として報告は相当数あるはずで未知の副作用ではないからです。

      薬は気分安定薬を中心に処方されるのであれば大丈夫です。
      SSRIやSNRIには注意した方が良いでしょうが、同じ抗うつ薬でもNaSSA(レメロン・リフレックス)であれば大丈夫なことも多いです。

      入院中も退院後も薬の変更はされていくでしょうから心配なことはお察しします。
      この反応については当サイト内で解説もしくはコメントいただいてることも多いのでご参考にしていただければと思います。

  3. 丁寧な回答ありがとうございます。
    おっしゃる通り双極性障害疑いに変わり気分安定剤(デパケン)を処方されました。

    脳の中身は目に見えないので診断は難しいとおもいますがアクチべーションシンドロームだとしたら薬の副作用
    によるものなので、双極性障害の躁状態が助長されたのではなく薬の副作用だった、という考えもありますか?
    薬を飲む前は元気がなく落ち込んでいる様子でした。飲んでから気分が沈み本もテレビもわけがわからなくなり
    分別なしに物を捨て始めたり、被害妄想が強くなるという経過をふみ最終的に攻撃的になり警察保護ということになりました。

    双極性障害なのか薬のせいなのかどれが本当の姿なのかわかりません。
    全ての薬を断薬するしかないのでは?と思っています。

    • おっしゃる通り双極性障害の躁状態が助長されたのではなく薬の副作用だったという考えもあります。
      ただそれを明確に区別するのは難しいと思います。

      少なくともセロトニンやノルアドレナリンをやみくもに増強させるのは良くないでしょう。

      双極性障害に関してはスペクトラム(グレーゾーン)の考えも最近はあり、単純な100%うつ病というより双極性障害の特徴を含むうつ病的な考えをしている先生もいらっしゃいます。

      いずれにせよ今後の治療は気分安定薬(デパケンやラミクタール)や抗精神病薬(主に統合失調症でも使用されるお薬)などがメインとなるでしょう。
      全ての薬を断薬することも間違いではないのですが、SSRIによってアクチベーションが起こったのであれば気分安定薬をメインとした治療で方向は間違いないので極端に断薬するのが必ずしも良いわけではないでしょう。

      いずれにせよ過敏性が強いでしょうからその観点でよく主治医の先生と話し合うのが賢明だと思います。

コメントはこちらからお願いします

*
*
* (公開されません)

当クリニックへ受診希望の方

当サイト「医師が教えない精神科のこと」を運営しております「赤羽南口メンタルクリニック」へ受診希望の方は以下のページよりご予約下さい。 当院ではセカンドオピニオンを含む薬物治療に関するご相談、光トポグラフィー検査、磁気刺激治療(TMS治療)、カウンセリング等行っております。
当クリニックへ受診希望の方
Return Top