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サインバルタの離脱症状

離脱症状とは抗うつ剤を断薬・減薬(自己判断でも医師の指示においても)したときに数日以内にでてくる不快な症状(めまい、吐き気、頭痛、お腹の症状、不眠、不安など)をいいます。
お薬を減らしたり止めていくときにでる症状なのでしばしばうつの再発と間違われます。

サインバルタカプセルはSNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤です。
抗うつ剤ですから減薬のときには離脱症状に注意しなくてはいけません。

通常はお薬を断薬・減薬して数日以内に症状が出始め、1-3週間程度でおさまります
そして減らす前の元の薬の量に戻すことでほとんどの離脱症状は消失します。

自己判断での減薬・断薬によって症状に悩まされることが多いのですが、ときに医師の指示で慎重に減薬していたとしても出てしまうことがあります。

離脱症状には電気が走ったような感覚がきたり、頭の中でシャンシャンするような音が聞こえるという独特な症状があります。
その特徴から「シャンビリ」などと表現されることもあります。

海外でも同じようにこの独特な症状を「brain zapsブレインザップス」「brain shockブレインショック」などとSNSでも呼ばれていることから、日本での「シャンビリ」のようにこの感覚がいかに独特であるかを表しています。

ここではサインバルタカプセルによる離脱症状について説明していきたいと思います。


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サインバルタカプセルの離脱症状の特徴

過去の研究を参考にデータを示しましょう。
サインバルタと偽薬(サインバルタと見せかけた薬効のないカプセル)とを飲む人を2群に分けて、急激に減薬していくと本物のお薬(サインバルタカプセル)を減薬した44,3%の人に、一方プラセボの偽薬の減薬で22.9%の人に不快な症状がでたことが報告されています。

つまり本物の減薬と偽薬の減薬の2群の差である約2割ぐらい(44.3 – 22.9 = 20.4% )が、薬本来の離脱症状を起こしてしまう割合と考えていいでしょう。
偽薬によって不快な症状が起こったというのは思い込み・考えすぎによる症状という解釈ということになります。

不快な症状はその研究ではどんなものが多かったかを示しますと、めまい(12.4%)、吐き気(5.9%)、知覚異常(2.9%)、嘔吐(2.4%)、いらいら(2.4%)、悪夢をみる(2.0%)です。
どうやらサインバルタカプセルの離脱症状は、この記事の表題にもあるようにめまいが高頻度に起こるようなのです。

そして離脱症状症状を起こしてしまっても、65%の人は7日以内に改善しています。
ちなみに2.9%に認められた知覚異常というのは電気ショック様の感覚を含むと思います。

【参考文献】
Perahia DG, et al. Symptoms following abrupt discontinuation of duloxetine treatment in patients with major depressive disorder. J Affect Disord. 2005 Dec;89(1-3):207-12.

離脱症状はサインバルタの減薬時の20%に起こり、めまいの症状が多い。多くは1週間以内に改善がみられる。

離脱症状というのは、抗うつ薬を減薬・断薬したときに出てしまう症状で、サインバルタカプセルに限らず他の抗うつ剤でも起こります。
特に急激なお薬の中断がそのリスクを高めますが、ゆっくり減らしたとしても症状がでることはあります。

離脱症状といえばアルコールや覚せい剤などの薬物でよく聞くと思います。
これらは依存性のある物質で、そういった物質をやめたときに出てきてしまう症状を本来は離脱症状といいます。

英語では依存性物質のアルコール離脱症候群で使用される「withdrawalウィズドローアル」という単語ではなく、抗うつ剤をやめたときの症状では「discontinuation; 中止」を使用して「discontinuation syndrome; 中止後発現症状ちゅうしごはつげんしょうじょう」という言いまわしになっています。

この流れを受けて日本でも中止後発現症状と言っているのはあまり耳にしませんが、厳密に依存物質と区別するなら「離脱症状」ではなく中止後に出る症状という意味合いで「中止後発現症状」が正しいようです。
ただここでは離脱症状の方がイメージしやすいと思いますのでこの言い方で説明していきます。

先に、離脱症状の起こる頻度としてはお薬をを減らしたりやめたりすると20%くらいの方にみられることを説明しました。
実際には1回でも飲めば止めると症状がでるわけではありません。

サインバルタカプセルをおよそ6週間以上飲んでから、急にやめたり減らすと離脱症状は出現してしまうリスクが高まると考えられます。

症状が出始めるタイミングは、多くは中断後3日以内(早ければ数時間以内という報告もあります)です。
逆に抗うつ剤を飲んでいる期間が1か月以内では離脱症状が起こることはあまりないので減薬は可能ですが、通常抗うつ剤は短くても1年程度は内服することになっていますのでよっぽど副作用が強い場合の中断だけが飲み始め1ヶ月以内の減薬・断薬となるのでしょう。

現在抗うつ剤には様々なものがありますが、うつ病・うつ状態に対して処方されることが多いのは安全性と効果の面でバランスがとれている「SSRI」「SNRI」「NaSSA」です。
サインバルタはこれらの中で「SNRI」に分類されます。

離脱症状の原因となる抗うつ剤はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:パキシル、レクサプロ、ジェイゾロフトなど)が最も有名ですがSSRIに限らず、サインバルタの属するSNRI(他に日本では2015年に承認されたイフェクサーSR)、昔からある三環系抗うつ薬、トラゾドン(デジレル、レスリン)など様々な種類の抗うつ剤でも離脱症状は起こります。

離脱症状はどんな症状がでるの?

離脱症状による主な症状

  • めまい
  • 筋力低下
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 抑うつ
  • 不安
  • 不眠
  • 集中力低下
  • インフルエンザ様の症状
  • 知覚異常

離脱症状は多彩な症状がでます。
また薬を急にやめたり減らしているときに起こることや、不安症状が強くでたり気分の変動もでたりするのでうつ病が再燃したかのようにも見えるのも特徴です。
主治医に相談するときは、「うつの再発ですか?」と聞くよりは正直に「薬を減量したらこういう症状がでたんですが・・・」と伝えるのがベストです。

再発と離脱症状の区別がつきづらく、再燃となると薬の量や種類が増えることにもなりかねません。

うつの再燃との区別はそれくらいつきにくいのですが、それでも症状の中でうつ病の再発と明らかに違う症状があります。
それは「シャンビリ」と呼ばれる症状です。

添付文書などでは知覚異常や耳鳴りと書かれていますが、電気が走ったような感覚に襲われるというとても独特な症状です。
ネット上では、この電気ショックのような「ビリビリ」した感覚と、シャンシャンとした耳鳴りを合わせて「シャンビリ」という表現が多々見られます。
これについては後述します。

離脱症状の期間

サインバルタの中止や減薬後、1-5日以内に症状が出現し、おさまるのに要する時間はほとんどが2-6週間以内、長いもので12-14週間(約3か月)であった報告があります(日本の報告ではありませんが)。
これらではいずれも再度サインバルタの再開や、抗不安薬で対症療法を行っています。

症状は先の通りめまい、吐き気、だるさ、知覚異常、注意散漫、じっとしていられない感覚(焦燥感)、興奮が特徴的です。
もちろん知覚異常はシャンビリ(耳鳴りと電気ショック様の症状)を示すと考えられます。

【参考文献】Fava GA, et al. Withdrawal Symptoms after Selective Serotonin Reuptake Inhibitor Discontinuation: A Systematic Review. Psychother Psychosom. 2015 Feb 21;84(2):72-81.

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サインバルタの減薬・断薬で離脱症状が起こるのはなぜ?

薬の半減期は離脱症状と関連する

ところで離脱症状は「どれくらいの期間内服していたか」と抗うつ剤の「半減期」が関連します。

「半減期」というのはなにか説明します。
抗うつ剤の濃度が薬を飲んで最高の濃度に達した後、半分の濃度に減ってしまうまでの時間です。

つまりどれくらいで薬の成分が弱くなってくるかという時間です。
これが短いと、体内の変動が激しく離脱症状を起こしやすい要因になります。
薬の半減期が離脱症状の起こりやすさと関係するということです。

以下に抗うつ剤の半減期一覧を示します。

抗うつ剤半減期(hr)抗うつ剤半減期(hr)
三環系四環系
アナフラニール21テトラミド18
ノリトレン27ルジオミール
マプロチリン
46
トリプタノール
アミトリプチリン
20-40テシプール
セチプチリン
24
アモキサン8NaSSA
トフラニール
イミドール
9-20レメロン
リフレックス
32
SSRISNRI
パキシル
パロキセチン
14トレドミン8.2
パキシルCR20サインバルタ10.6
ジェイゾロフト
セルトラリン
26イフェクサーSR3-13
レクサプロ30その他
デプロメール
ルボックス
フルボキサミン
8.9レスリン
デジレル
6-7
ドグマチール
スルピリド
8
【参考】今日の治療薬2016(南江堂), Christopher H, et al. Am Fam Physician. 2006 Aug 1;74(3):449-56.

SNRIに分類されているサインバルタの半減期は10.6時間です。
添付文書では最大量(60mg)を7日間飲んだあとの半減期で約13時間とされています。

サインバルタは通常1日1回朝食後に内服します。
そこから半日たつと、最大血中濃度の半分にまで減るのです。

その他、遺伝子、年齢や性別、もとが何の疾患だったかは関係なく、離脱症状が起こる決定的な理由はいまだわかっていません。
とにかく薬が急に身体からなくなってしまうその反動であることはイメージしやすいと思います。

もう少し詳しい説明をしますが難しければskipしてください(コチラをクリックで次の章を飛ばします)。

離脱症状の起こる機序

現在のところ離脱症状が起こる原因の有力な説は「セロトニン受容体じゅようたい脱感作だつかんさ」が考えられています。

セロトニンは聞いたことあるけど、「受容体って?」「脱感作って何?」となってしまいますね。
ここをわかりやすく説明していきましょう!

ひとことで簡単に説明するなら、「せっかく身体が薬になれてきたところなのに急になくなるなよ!」ってことなのです。

一般に抗うつ剤は、飲んですぐに効果がでないことは処方された最初に主治医から聞いていると思いますが、通常は飲み始めて2週間くらいして抗うつ効果が出始めます。
ではなぜタイムラグがあるのでしょうか?

まず大前提をお話します。


サインバルタなどSNRIの作用機序は神経伝達物質しんけいでんたつぶっしつであるセロトニンとノルアドレナリンを強めることにあります


そして離脱症状に関してはセロトニンが主に関連しているようです。

サインバルタがどのようにセロトニンを強めるかと言えば、神経と次の神経との間でセロトニンという物質を介して行います。
最初の神経が、次の神経にセロトニンをお届けしますが、次の神経にはセロトニンを受け取るポストがいっぱいあるので、そのどれかに届ければいいのです。

荷物:セロトニン

同時に、最初の神経にはセロトニンをリサイクルする業者もいてポストに届けようと思ったらリサイクルで回収されてしまうこともあります。
つまりすべてのセロトニンをポストにお届けできません。

抗うつ剤はこのリサイクル業者(この絵ではヤギ)を働かせなくさせます。
これによって多くのセロトニンを次の神経のポストにお届けすることができるわけです。

しかし、最初の段階では抗うつ効果よりもセロトニンがたくさん届けられることによる副作用の方が目立ってしまいます。
それはそうですね、もとより多くメールが届くようになったのですから反応してしまいます。

たくさんセロトニンが届けられて次の神経もびっくりするのか、身体も対抗してポストを徐々に減らし始めます。
「これでダイレクトメールが届きにくくなったでしょう!」ってことですね。

このようにして、過度なセロトニン受取りによる副作用を減らし、適度にセロトニンを増やすことに成功します。
こうなって初めて抗うつ剤による効果が出だして副作用がおさまるのです。
身体がセロトニンがたくさん来る環境にうまく適応するわけですね。

この一連の流れはこのように言い換えられます。


  • セロトニンを受け取るポスト = セロトニン受容体
  • 時間をかけてポストの数を減らしていくこと・慣れていくこと = セロトニン受容体の脱感作

抗うつ薬をある程度の期間飲んでポストを減らした状態、すなわちセロトニン受容体の脱感作を起こさせた状態になることが背景にあります。
そしてそこから抗うつ薬がなくなりセロトニンそのものも減ると、お届け物(セロトニン)が減り、それだけならまだしも、ポストも少なくなった状態(セロトニン受容体の脱感作)になっているのでダブルパンチをくらうことになります。
これでは過度にセロトニンが作用しなくなりすぎてしまうのです。

つまり離脱症状は過度にセロトニンが不足してしまう状態なのです。

セロトニンが増えた環境から、急に元に戻るのは脳にとってはとんでもないことでしょうね。

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離脱症状の対処法

通常、症状は重度まではいかないことが多いので早ければ1週間から2週間程度でおさまります。(仕組みでいうならポストがもとに戻れば、すなわち「セロトニン受容体の脱感作が戻れば」改善するということになります)
もちろん再度抗うつ剤を内服すれば症状は速やかに改善します。(慣れていた環境に戻してあげるという意味です)

とはいえ離脱症状は重度でなかったとしても本人の不快感は強く、仕事や学校を休まなければいけないこともありますし、ときに入院が必要になることもあります。

離脱症状を起こしやすいと想定される状況

特に慎重に減薬していかなければならない状況を確認しておきましょう。

  • 半減期の短い抗うつ剤を飲んでいる(サインバルタ10-13時間と比較的短め)
  • 抗コリン作用の強い抗うつ薬(三環系抗うつ薬、SSRIの一部)である
  • 2か月以上続けて抗うつ剤を飲んでいる
  • 抗うつ剤を飲み始めて不安や焦燥感が強くなった
  • 他に抗精神病薬を併用している
  • 若年者(子供や未成年者)
  • 離脱症状を過去に起こしたことがある

対処法1:減薬スピードはゆっくりと

基本は急な減薬・断薬をしないことです。
最低でも1ヶ月かけて薬を止めていくのが無難です。
とはいえゆっくりであっても離脱症状を完全に防げるわけではありません。
ひとたび離脱症状がでるようであればすぐに元の量に戻しましょう。

対処法2:半減期が長い薬に変更してもらう

サインバルタは比較的半減期が短いお薬です。
減薬がなかなか離脱症状によってうまくいかないようであれば、半減期が長い薬にスイッチして変更するのも手です。
SNRIにはイフェクサーSRというお薬もありますがこれはサインバルタよりもっと半減期は短いお薬です。

ですのでSSRIにスイッチすることも選択肢に入ります。

また、いくら抗うつ剤どうしでも薬のスイッチは離脱症状のリスクを上げます
ですからA薬からB薬にぱっと切り替えると、A薬とB薬で半減期や代謝のされ方が違ってこれによって離脱症状が起こることもあります。
場合によってA薬は一旦そのままで、B薬を徐々に増やしていきながら時間をかけてA薬を減らしそこからB薬の減薬を考慮するなど、手間がかかりますがこのように徐々にスイッチしてから減薬するのも1つの方法です。

対処法:サインバルタでの具体的な対処法

時間をかけて減らすのは抗うつ剤の減薬において大原則です。
特に、サインバルタの飲み始めに副作用(不安や焦燥感など)が目立った場合、離脱症状はを起こりやすいと言えます
もし現在断薬・減薬して症状が出ている場合には、いったん再開して離脱症状をおさえるのが先決です。

どうしてもゆっくり減らしても離脱症状が出る場合「隔日投与かくじつとうよ」が有効な時もあります。(文献上で優位に離脱が減らせたという報告はありません、私個人の見解です。)

隔日投与することもひとつの案
基本的に減薬はサインバルタの最大量を飲んでいるところから始めるとすると60mg → 50mg → 30mg → 20mg・・・とステップダウンしながら時間をかけて減らしていくのですがこのような階段状の減らし方ではなく、隔日投与は以下のように交互に内服量をかえています。
※サインバルタカプセルは30mgと20mgカプセルがあるのでこれらを組み合わせます。
サインバルタ

(1日目)60mg、(2日目)50mg、(3日目)60mg、(4日目)50mg・・・・・
これを1~2週間続けたら毎日50mg内服(30mg+20mgカプセル)になります。

毎日50mgを1~2週間続けたら次も、
(1日目)50mg、(2日目)30mg、(3日目)50mg、(4日目)30mg・・・・

といった感じです。
減らすのにかなり時間かかりますが階段状でうまくいかないときでもこの方法ならうまくいくときもあります。

もちろん自己判断で行わないでください。
(主治医の減薬スピードよりゆっくりの減薬にするのは大丈夫でしょうが・・・)

サインバルタカプセルのラインナップは20mg・30mgカプセルがありますからフルに活かすためにも主治医と相談しながらが大事です!!

カプセルは絶対開けないでください。
吸収も早まり、副作用が目立つようになってしまいます。

ちなみに減薬のタイミングの注意点ですが症状が改善してすぐではありません。
うつ症状が改善した後も4-9か月はその改善させることができた内服量を維持することが推奨はされていることを知っておいてください。

離脱症状はうつ病の再発と区別しづらい

離脱症状の中でも抑うつ、不安、食欲の変化、吐き気、不快などはうつ病と同様な症状です。
しかし、薬をやめて数日以内に症状がでたり、特有のシャンビリが見られたり、再度薬を飲むことですぐに症状が軽くなったりするようであれば離脱症状と考えます。

うつ病の再燃であれば通常薬をやめて2,3週間後から症状がみられ徐々に増悪していきますので、離脱症状のように即座に増悪することは考えにくいでしょう。

もし自己中断して症状に悩んでいるようなら、疑わしくは再開することをおすすめします
離脱症状なら症状は軽快してくるはずです。
医師の指示に従いつつ減薬したり変更して症状がでたときは一旦もとにもどして主治医に報告し相談しましょう。

薬の量をかえたとき症状がでても決して再発したのかもと落胆はしないでください。
落ち着いて対応することが肝心です。
なんせ、離脱症状の頻度は抗うつ剤一般に2割というかなりの頻度です。

このまま薬をやめられないのではないかという不安もあるかもしれませんが、さらにゆっくり減薬したり他の半減期の長い薬にスイッチして減薬するなど時間はかかりますが他にも手はあります。

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離脱症状後が長く続く例もある

通常、抗うつ剤の離脱症状といえば上記の通り抗うつ剤をやめて数日くらいででる症状で通常は2週間程度で、長くても2か月くらいでおさまるものをいいます。
これは先にも説明した通りです。

ところが、抗うつ剤をやめてから1ヶ月以上して症状が出現してくる持続性の離脱後症候群(原文ではpersistent postwithdrawal symptoms)が報告されています。

持続性の離脱症状」は薬をやめた後、数か月たってからの症状の出現になりますので、患者さんは医療機関にも受診していないことも多いです。
ですから正確に把握することは難しいので、その論文も患者さんが抗うつ薬をやめたあとに悩んでいるセルフレポートをGoogleで検索してのリサーチになっています。

それによると、ほとんどがSSRIによるものでしたが、やはりシャンビリのことは共通して書かれています。
中止してすぐに出始めた人、2週間くらいしてからこの症状が出た人・・・。
(ちなみにこの文献で紹介されているのはすべてSSRIですのでサインバルタは含まれていません。)

この文献では、主治医にはその症状が起こるはずはないと言われてしまっています。
今でこそ有名ですが、昔はシャンビリなどまさか薬によって出るとは思いもしません。

その他、睡眠障害、頭痛、不安発作、パニック発作、抑うつ症状、指先の異常な感覚などを訴えていますが通常の離脱症状と違うのは数か月から数年も続いていることです。

これが単なるうつや不安発作の再発なのか(患者さん本人たちはもともとこうではなかったと言っています)、本当に離脱症状の後の薬の後遺症状なのか、不明点は多々ありますが遅れて症状が出てしかも比較的長く続くことはあるようです。

まとめ「サインバルタの離脱症状とその期間」

  • 離脱症状は抗うつ薬を減薬・断薬、ときに薬の変更をしたときに出てしまう症状(多いのはめまい、電気ショック様の独特な症状がでることもある)
  • 離脱症状はまだ正確な機序はわかっていないものの、急激なセロトニンをはじめとした神経伝達物質の変化に身体が対応しきれないことによると考えられる
  • それゆえ離脱症状は薬の半減期と関連している(サインバルタの半減期は比較的短い)
  • 離脱症状は2週間(長くても6週間)程度で落ち着くが、抗うつ剤を再開すれば速やかにおさまる
  • 離脱症状を起こさないために、断薬を勝手にしないことはもちろん、減薬のときもゆっくり行うことが重要
  • 離脱症状はときにうつ病や不安症状の再発と勘違いしやすいが、薬をやめてすぐに症状がでたり、薬をもどせばすみやかに改善するという特徴がうつ病の再発との違い
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