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トレドミン錠の副作用

うつ病・うつ状態に対して最初に使用されることが多い抗うつ剤は「SSRI「SNRI」「NaSSA」の3種類で、その中でトレドミンはSNRIに分類される抗うつ剤です。
トレドミンはうつ以外にも、疼痛とうつうに対しても有効で、むしろ米国ではSNRIでありながら抗うつ薬としての承認ではなく「痛み」に対する治療薬という位置づけです。

ここではトレドミン錠の副作用について解説します。


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トレドミン錠の主な副作用

副作用が起こる機序

そもそも代表的な抗うつ剤はどのように働くのかということですが、神経と神経で情報をやり取りする際に欠かせない神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)が増えるように作用し、その神経の活動を強めるのです。

様々な種類の神経伝達物質のうち代表的なセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンは以下のことにに関連して作用しています。
神経伝達物質

トレドミンはSNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という名のとおりに「セロトニン」「ノルアドレナリン」を増やし増強させます。
しかし副作用は治療作用をもたらしてほしい部位以外の脳や全身の臓器にトレドミンが作用し、セロトニンやノルアドレナリン(ノルエピネフリン)濃度が高まることが原因と考えられます。

例えば、セロトニンが睡眠中枢で働いてしまえば不眠になりますし、腸で不必要に働いてしまえばセロトニン作用により下痢を生じます。
ノルアドレナリンによる望ましくないアセチルコリン作用の増強は便秘や口渇こうかつ(ドライマウス)、食欲減退、血圧上昇、尿閉にょうへいを生じてしまいます。

トレドミンの場合、セロトニンよりもノルアドレナリン側に強く作用する特徴があります(他のSNRIと比べても)。
それゆえ、後に説明しますセロトニン増強に伴う抗うつ薬の一般的な副作用は弱めですが、一方でノルアドレナリン側の活動が増えることによる副作用はでやすく発汗や尿がでにくい、便秘などの症状を起こしてしまう可能性は高めです。
血圧上昇や脈が速くなる傾向があります。

ほとんどの副作用は内服を始めて直ちに(抗うつ剤の効果よりも先に)出現してきますが、それでも時間がたつことでおさまる傾向にあります。

一般的な副作用

内服量に一致して副作用が出現する率は上がります。
最もよく見られる副作用はSSRIと同等で、吐き気、口渇、倦怠感、めまい、眠気、発汗です。

  • 消化器系(悪心・下痢・食欲低下・口渇・便秘)
  • 不眠・鎮静・ふらつき
  • 性機能障害(射精遅延、勃起不全、性欲減退(男女)、オーガズムを感じにくい(男女))
  • 中枢神経(不眠、振戦、頭痛、緊張)
  • 自律神経(発汗が目立つ)
  • 血圧上昇
  • 尿閉(膀胱に尿が溜まっているのに出ない)

先にも説明しました通り、SNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)ゆえ、セロトニン増強による副作用とノルアドレナリン増強による副作用があります。
トレドミンはセロトニン増強よりノルアドレナリン増強が強い傾向にあるので交感神経と副交感神経バランスを崩します(抗コリン作用)。

日本でのトレドミン承認時の試験でどの程度の頻度が、飲み始めてどの時期にでたのか見てみましょう。

ノルアドレナリン増強による抗コリン作用によってドライマウス(口渇)が7.49%に認めたとして最大で、ついで便秘(5.78%)が多くなっています。
尿がでづらくなるという症状も1.28%とそれなりの頻度です。

セロトニン作用によるもので頻度が高いものは、吐き気やめまい、眠気、性機能障害です。
吐き気(悪心)は4.93%に認めたとして、眠気も4.07%と多めです。
食欲は減ることが多いようです。

直接的な症状ではありませんが、肝機能に影響が出た割合も1-2%程度あります(肝臓の数値上昇のみで無症状)。

口の渇きや吐き気・嘔吐、めまいは飲み初め初期に多く、眠気は初期にかかわらず慢性的に続く傾向があるようです。
逆に飲み始めはあまり報告がないものの、ある程度のんでから気づく症状が性機能の障害です。

トレドミンと車の運転について

この薬の服用中は、眠気やめまいなどの副作用がでることから自動車運転などはしてはいけないことになっていましたが、平成28年11月25日に以下のように制限が緩和されました。
これによって医師の判断によってこの限りではなくなります。

[重要な基本的注意]の項の自動車の運転等危険を伴う機械の操作に関する
記載を「眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。」
と改める。

ツイッターで見るトレドミン錠の副作用

太る?眠くなる?

抗うつ薬は太るイメージが強いですが、トレドミンの場合は食欲不振になることが多いですのでむしろ体重は落ちる傾向があります。

トレドミン錠を飲むと太る?痩せる?-医師が教える抗うつ剤-

眠気に関しては日中の活動に問題になることがあります。

トレドミン錠による眠気と対策-医師が教える抗うつ剤-

危険な副作用

軽躁状態に注意

危険と言えるほどのものではないですが、衝動性がでるため思い切った行動にでてしまうことがあり得ます。たとえば浪費、新規事業の立ち上げをしてしまう、お金を借りる、旅行に飛び回る、遊びほうける、喧嘩になりやすくなるなどですが、あとあと後悔してしまうような行動をとってしまうことがありえます。

しかも軽躁状態のときは本人は気分が良い状態のため、後になって振り返ってみないとこの状態がおかしかったことに気づきません。周囲がなんかおかしいと言ったとしても本人は聞く耳は持たないでしょう。
この状態にあるときはただちに減薬、中止する必要があるため主治医に相談する必要がありますが、この気分の良い状態でクリニックに行くことは通常ないでしょうからあとで気づくことが多く、軽躁状態を把握することの難しさがあります。

緑内障を引き起こす可能性も!

緑内障は最終的には失明につながる可能性もあるので、緑内障と思われるような症状が出た場合はまず眼科で確認しましょう。

<具体的な症状>

  • 吐き気(内服し始めの吐き気とは違います)
  • 目の痛み(頭痛や目の充血などを伴う場合特に注意)
  • 視野の変化(視界が狭い、光がきれいなリング状に見えるなど)
  • 目の周りが腫れる

このような症状は、緑内障でなくても出ることもありその判断には眼科的な診察が必要です。
眼科で緑内障の診断がされた場合、精神科・心療内科の主治医とトレドミンの中止について相談しましょう。

副作用に対する対処法

基本的には飲み始めて経過とともにある程度おさまってきますので「じっと待つ(経過観察)」が対処法になります。

副作用は時間とともにおさまってくる傾向もあるのでそこまでは服用量を少な目にして、その後副作用が耐えられるもしくは落ち着いてきたところで増量してみるという方法も有効です。
ただそれでも大変な時は、他の抗うつ剤に変更したり、他の薬を追加したりして飲むこともあります。

副作用を抑えるために副作用止めの薬を追加で飲むよりは、他の抗うつ剤に変えるのも手であるため、なるべく少ない薬で治療ができないか相談するようにしましょう。

症状併用することがある薬
不眠睡眠薬、抗うつ剤のトラゾドン(レスリン®、デジレル®)
性機能障害バイアグラ®やシアリス®は効果を期待できますが、心臓血管系の副作用もあるので精神科でこの副作用に対し処方することはまれです。
食欲不振抗うつ剤の中でもNaSSAに属するミルタザピン(レメロン®、リフレックス®)は食欲を増進させる方向に効きます。
排尿障害ハルナール®などのα1ブロッカー
落ち着かない・不安抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)

ほとんどの副作用はの服用量が多いほど、また飲み始めほど起こりやすいですが時間によって副作用が軽くなることが多いです。
それでも、特に若い方でアクチベーションシンドロームによって躁状態になったり、自殺の衝動が強くでてしまうという症状が出るときは薬を中止するか、抗うつ剤ではなく気分安定薬や非定型精神病薬を飲む必要があります。

まとめ「トレドミンの副作用」

一般的には耐用性・忍容性の良い(飲みにくくない)薬として認識されているようですが、それでも吐き気、眠気、口の渇き、めまい、焦燥感、便秘、無気力、不安感、食欲不振、性機能障害などの副作用はでます。
もちろん他のSSRIやSNRIと同じようにトレドミンを突然やめてしまえば離脱症状をおこすこともあります。

トレドミン錠の離脱症状-医師が教える抗うつ剤-

トレドミンは抗うつ剤の中ではSNRIに分類されながらも、特にアメリカではうつ病に承認はされていない、むしろ線維筋痛症など疼痛を主症状とする病態に使用されるユニークなお薬です。
セロトニン増強よりもノルアドレナリン増強が強いことがその特徴なのですが、それゆえセロトニンに関する副作用はゆるいですがノルアドレナリンに関連した副作用は強く出ることもあります。
血圧上昇や頻脈などの症状をおこすこともありますし、抗コリン作用として便秘や発汗、尿閉などもあります。

最後に副作用のまとめの表を示しておきます。

副作用予防対処法発症機序
アクチベーションシンドローム自殺念慮、攻撃性あるとき注意。初期は不安・焦燥が出る減量・中止。アルプラゾラム(コンスタン®ソラナックス®)で改善することも。5HT(セロトニン)2A刺激性
セロトニン症候群処方を単剤・単純化する減量・中止脳内セロトニン活性の亢進
離脱症状ゆっくり減らす一旦元の量に戻すセロトニン受容体脱感作やアセチルコリン神経脱抑制のリバウンド。
眠気夕食後、就寝前服用にする。減量・中止・変更鎮静作用
せん妄・思考錯乱・幻視など新しい抗うつ剤から使用減量・中止・変更中枢性抗コリン作用
口の渇き・便秘・尿閉・頻脈など生活習慣の改善で対応。尿閉は高齢者で注意!各種対症療法末梢性抗コリン作用
パーキンソン症状アモキサピン、スルピリドで起きやすい減量。改善しないときはアキネトン®などの抗コリン薬併用。ドパミン受容体ブロック
嘔吐・食欲不振・下痢1-2週間で軽快食直後や牛乳を飲んで服用。胃腸薬併用。ひどければ中止。セロトニン(5HT3, 5HT4)受容体刺激
体重増加あまりにも体重増えるようなら薬剤変更運動・食事抗ヒスタミン作用
性機能障害-減量・中止・変更。バイアグラ®など併用。5HT2A(セロトニン)亢進
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