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ミルナシプラン塩酸塩錠の効果と副作用 -医師が教える抗うつ剤-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
ミルナシプラン塩酸塩錠の効果と副作用 -医師が教える抗うつ剤-

うつ病・うつ状態に対して最初に処方される抗うつ剤にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が一般的です。

ミルナシプランはSNRIに分類される抗うつ剤で、トレドミンのジェネリック医薬品です。

ミルナシプランは抗うつ効果が強いわけではないのですが、副作用が他の抗うつ剤より少なく、薬の飲み合わせにおいても影響するものが少ないことから処方されることは多々あります。(特に高齢者に処方されることもあります。)

ここではミルナシプランの効果と特徴について解説します。


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ミルナシプランの効果と特徴

ミルナシプランはジェネリック医薬品

ミルナシプランは「トレドミン」のジェネリック医薬品です。

ジェネリック医薬品というのは先発の薬剤(新薬)と同じ有効成分でつくられ、その特許が切れたのちに効果や安全性が新薬と同じと認められてから販売されます。
それではジェネリック医薬品の3つの特徴をみてみましょう。

①薬価が安い

先発品のトレドミンに比べて、ミルナシプランのほうが薬価が安いというメリットがあります。
どれくらい違うか、飲み始めに処方される12.5mg錠で比較してみましょう。(初期量は12.5㎎錠を1日2回)

  • トレドミン錠12.5mg:17.8円
  • ミルナシプラン塩酸塩錠12.5mg:12.7-13.6円

※2016年4月改訂の薬価

1錠で約5円弱違います。
このお薬は1日2回内服ですから1日10円、1ヶ月では300円(3割負担なので実質90円)違います。
これは最小量なので、最大量100mgとなると1日 40円、1ヶ月で1200円(3割負担で360円)違います。

ジェネリックへの切り替えは処方箋の「後発医薬品に変更不可」の欄にチェックと医師のサインがされてなければ、自動的に薬局でジェネリックに変更されて出されます。

②成分は同じでもコーティングは違う

「ミルナシプラン塩酸塩錠」は「トレドミン錠」と基本成分は同じミルナシプランなのですが、同じフィルムコーティング仕様(表面がつるっとしたお薬)でも若干コーティング成分は異なるので苦みの感じ方や飲み安さが異なることがあります。

また薬物動態(最高血中濃度やどれくらいで排出されていくかなど)も先発品とほぼ同じですが、ジェネリック医薬品に変えたら効きが悪くなった気がするとか副作用がでたりすることがあります。
これはコーティング剤によるものか、プラセボ効果なのかはわかりませんが臨床的にはまれに聞く話ではあります。

③アメルは薬の名前ではない!

ミルナシプラン塩酸塩錠は約10社の製薬会社から発売されており、すべて名称は「ミルナシプラン塩酸塩錠」というように成分名がそのまま製剤名になっています。
つまり「トレドミン」だけが唯一名称を与えられている先発品の開発特権ですね。

その他は【ミルナシプラン塩酸塩錠25mg「アメル」】とか【ミルナシプラン酸塩錠25mg「日医工」】などその錠剤のあとに「 」つきで製薬メーカーの名前がつきます。
よく外来で「なんていう薬を飲んでいますか?」とたずねると「アメルです」と答えてくれるのですが、気持ちはわかりますがそれは製薬メーカー名称なんですね。

ミルナシプランの抗うつ剤としての位置づけ

2000年に旭化成ファーマから販売開始されたSNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に属する抗うつ薬「トレドミン」の後発薬品が「ミルナシプラン塩酸塩錠」です。

まず抗うつ剤の種類について簡単に見ていきます。
通常抗うつ剤として最初に処方されるお薬はSSRIかSNRI、もしくはNaSSAとなります。
これら3種類以外にも三環系抗うつ薬をはじめ数多く存在しますが、なぜ最初にこの3種類かと言えば副作用の少なさが挙げられます。


  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
  • ルボックス/デプロメール(フルボキサミン)、パキシル(パロキセチン)、ジェイゾロフト(セルトラリン)、レクサプロ

  • SNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
  • トレドミン(ミルナシプラン、サインバルタ、イフェクサーSR

  • NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
  • リフレックス/レメロン


他にも三環系・四環系抗うつ薬やその他の抗うつ薬として主に睡眠薬的な位置もあるデジレル/レスリン(トラゾドン)や食欲低下にも有効で胃薬的な位置にもあるドグマチール(スルピリド)などがあります。

これらの中でミルナシプランはSNRIに分類されます。

では抗うつ効果の強さをみてみましょう。
抗うつ剤の比較

この表は、横軸が抗うつ効果の強さ(右にあるものほど抗うつ効果が強い)、縦軸が飲み続けやすさ(忍容性:上にあるものほど副作用のためにやめることにはなりにくい)を示す有名な表です。
トレドミンがミルナシプランですが中間的な位置にあり、抗うつ効果と忍容性の面で優れるとされるSSRIのレクサプロやジェイゾロフト(セルトラリン)よりは劣ります。
また米国では抗うつ効果として定評のあるSNRIのイフェクサーに比べても抗うつ効果が弱いことがわかります。

ですからうつ病・うつ状態に対して抗うつ効果を純粋に狙う場合においてはSSRIやSNRIの中でもイフェクサーSRなどが有用かもしれません。

こんな論文データを載せておきながらも、一応世界的には第一に処方されるSSRIやSNRI、NaSSAにおいてどの薬品も治療に遜色ないというスタンスでガイドラインは存在しています。
しかし実際には処方医はちょっとした特徴の差を判断して処方しているのです。

参考文献
Cipriani A, et al. Comparative efficacy and acceptability of 12 new-generation antidepressants: a multiple-treatments meta-analysis. Lancet. 2009 Feb 28;373(9665):746-58.

ちなみにミルナシプランは米国ではうつ病に対しての承認は得られていません
それよりも痛みに対して有効であることから線維筋痛症せんいきんつうしょうといって、全身に激しい痛みが生じる難治性の病気に対しての使用が承認されています。

これはSSRIでも抗うつ効果以外の面が有用のためうつ病に対する承認が米国で得られていないお薬としてルボックス/デプロメール(フルボキサミン)がありました(強迫症状などに承認)。

ミルナシプランは抗うつ効果以外に痛みに有効

先にも説明しました通り、抗うつ効果と副作用に関するバランスがとれたお薬ですがどちらかと言えば抗うつ効果は弱く米国ではうつ病に対しての承認はない変わった位置づけのSNRIです。
とはいえ米国以外ではトレドミンもSNRIとしてうつ病・うつ状態に承認されているお薬ですから、抗うつ効果がないわけではありません。

ではどんな場合に使用されるかと言えば、うつ病の診断基準にはありませんがうつ病・うつ状態においては身体症状、特に痛みがでることがあります。
この痛みに有効であることから、うつ病の症状として身体の痛みを自覚している場合にトレドミン錠は有効性が高いことになります。

では、痛みに着眼点を置いて見てみましょう。
同じSNRIにサインバルタというお薬があり、こちらも痛みに有効で線維筋痛症にも処方されます。
日本では線維筋痛症という全身の痛みの疾患に承認がとれているSNRIはサインバルタだけで、トレドミンは日本では正式な承認はありません。
逆に米国ではトレドミンは抗うつ薬ではなく線維筋痛症のお薬としての位置づけなのと対照的です。

他に線維筋痛症に承認されているリリカ(プレガバリン)と、先のSNRIの2剤(サインバルタ、トレドミン)とで鎮痛効果や副作用を比較した研究があります。
リリカは抗うつ薬ではないので聞きなれないかもしれませんが、線維筋痛症など神経障害性の痛みの中では第一選択ともいえるメジャーな薬剤と、SNRIという抗うつ薬の比較です。

実はこれら3つのお薬において鎮痛効果や副作用の面で遜色ないという結果が出ているのです。

参考文献
Lee YH, Song GG. Comparative efficacy and tolerability of duloxetine, pregabalin, and milnacipran for the treatment of fibromyalgia: a Bayesian network meta-analysis of randomized controlled trials. Rheumatol Int. 2016 May;36(5):663-72.

ミルナシプラン塩酸塩錠の効果

ミルナシプランの効果のある疾患をみてみましょう。
効果が期待できる疾患は以下の通りです。(赤字は日本で承認されているもの)
米国では逆に線維筋痛症のみに承認されています。

    <フルボキサミンマレイン酸塩錠の効果が期待できる疾患>

  • うつ病・うつ状態(OCD)
  • 線維筋痛症
  • 神経障害性疼痛
  • 癌性疼痛
  • 慢性疼痛

ミルナシプランの用法

最初は1日量で25mgから開始します。
つまりミルナシプラン塩酸塩錠 12.5㎎を2回にわけて朝夕などで内服します。
さらに15㎎錠に変えたり、3回内服にして増薬しながら問題がなければ1日最大量100㎎(高齢者では60㎎まで、腎機能障害のある方も調整が必要)まで増量します。

半減期(お薬が代謝され排泄によって血液中の濃度が最大時の半分になってしまうまでの時間)は8時間程度と短いため、1日2回以上に分けて飲む必要はあります。

うつ病・うつ状態に対して飲んでいる場合、効果が出てもすぐに減らしたり中止してはいけません。
うつ病学会のガイドラインにも記載されていますが、症状が改善したらその量を4~9か月飲み続けることが必要です。

こうすることで再発を防ぎ、その後ゆっくり減らしていくという方針になりますので、よくなったからやめるということにはなりませんのでくれぐれも自己中断しないようにしましょう。

ミルナシプランはどうやって作用するのか

神経は次の神経と連絡をとってやりとりしています。
その連絡に関連する物質に神経伝達物質しんけいでんたつぶっしつが関与しています。
この神経伝達物質でとくにうつ病に関連のあるとされているものに「セロトン」「ノルアドレナリン」「ドーパミン」があります。
なんとなく聞いたことはあるかと思いますが、これらがどのような役割をもつ神経伝達物質なのかみてみましょう!

神経伝達物質

ミルナシプランはSNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)ですから、これらの中で「セロトニン」と「ノルアドレナリン」に作用し、神経の働きを増強します。
緊張や不安の緩和、意欲がでる、気分や感情、ネガティブな認知が改善してくるように作用させることができるイメージです。

ミルナシプランの具体的な作用機序

神経の連絡活動は主に電気信号ですが、「前の神経」と「次の神経」の連絡通路は物質を介します。
これが神経伝達物質です。

神経の伝達物質として、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンは有名であると同時に、うつの原因としての神経伝達物質にセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが挙げられます。
これらは、単独でも機能を持ちますし、複数での機能も持ち合わせます。
神経伝達物質の関連図を再度載せます。

神経伝達物質

これらの神経伝達物質の異常がうつ病と関連しているという考えのもと、現在の抗うつ剤は開発されています。
この中で、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)はセロトニンとノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の作用を増強することで、うつ症状を緩和させます。

セロトニンを例にとってイメージしてみましょう。
前の神経から次の神経のポストにセロトニンという荷物を届けてくるイメージです。

ただ一部のセロトニンは回収業者に回収されて戻っていきます。
このようにして大量にポストに届けられて迷惑メール化するのを防いでいます。

抗うつ薬はこの回収業者を邪魔するお薬なのです。
これによって大量にセロトニンを届けることができるのです。

これはセロトニンのイメージ図でしたが、お届けものをノルアドレナリンに変えてもらえばこれもイメージしやすいと思います。

少し難しいですが具体的にみてみましょう。
セロトニン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質は通常連絡通路に放出されると、次の神経の中にはいっていくものと、回収されて前の神経に戻っていってしまうものがあります。

このときミルナシプランは回収業者を邪魔して、より多くのセロトニンとノルアドレナリンが次の連絡口(受容体じゅようたい)に入って行けるように作用するのです。

SNRIの作用機序

トランスポーターというのが回収業者です。
SSRIはセロトニンだけのトランスポーターを邪魔していたのに対し、SNRIはセロトニンだけでなくノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の回収業者も邪魔するのです。
このようにしてセロトニンとノルアドレナリンの神経伝達を増強させます。

ミルナシプランの作用機序から見た効果と副作用

これがSNRIのメカニズムなのですが、ミルナシプランが他のSNRI(サインバルタ、イフェクサーSR)と違うのは「セロトニン < ノルアドレナリン」とノルアドレナリン再取り込み阻害の方がセロトニンサイドより強いことにあります。
その結果、抗うつ効果よりも痛みに対する効果が目立つのです(何度も言いますがミルナシプランはSNRIですが米国ではうつ病に承認されていないというユニークなお薬です)。
先にも示しましたが、だからと言って疼痛を抑える効果がサインバルタよりも有効などという臨床的な意味はなさそうですが・・・。

ノルアドレナリン系の増強は痛みに対して有効ではありますが、それに準じた副作用も出ます。

ノルアドレナリン系は自律神経の中でも交感神経系を強めます。
それにより自律神経バランスが崩れると口の渇き(唾液量が減る)、発汗(汗が出やすくなる)、尿が出づらいなどといった副作用を認めることもあります。

副作用の詳細は後述します。

ミルナシプランの飲み合わせ

他の抗うつ薬と比べ、肝臓の代謝酵素にほとんど影響しないため飲み合わせの悪いお薬は少ないです。
※精神科のお薬は基本アルコールと一緒に服用はしてはいけません(他の抗うつ剤で相互に作用を増強しあう可能性があるため)。

絶対に一緒に飲んではいけないお薬:エフピー(セレギリン)

併用禁忌とされているお薬は、他の抗うつ剤とも共通ですがエフピー(セレギリン)というパーキンソン病のお薬です。
セロトニンの急激な作用によって起こる致死的な「セロトニン症候群」を起こすリスクがあります。

血液さらさらの薬に注意

抗うつ剤には副作用に出血のしやすさ(内出血しやすい、あざができやすい)があるので、血液さらさらのお薬(ワーファリン®、バイアスピリン®。プラビックス®など)を飲んでいる場合、注意しましょう。

<血液さらさらの薬はどんな時に処方されているか>
心臓の手術後で人工の心臓弁の手術をしたり、心房細動しんぼうさいどうといわれる不整脈がある場合、脳梗塞のうこうそくの既往がある場合に処方されていることがあります。
ワーファリンはビタミンKが含まれる食品(納豆やクロレラ)を食べてはいけないと言われているので、そういえば言われたかもとピンとくる場合は確認しましょう。

ミルナシプランのノルアドレナリン増強に関連して

ノルアドレナリンは交感神経を高めることから血圧は上昇する方向に作用します。
高血圧の方にとっては、普段より高くなるリスクが上がること、他に交感神経が高まるお薬を使用している場合には脈拍が上がって動悸などを感じやすくなる恐れもあるでしょう。

前立腺肥大のある方にとっては尿が出にくくなる(尿閉)ことも知っておく必要があります。


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ミルナシプランの副作用

副作用が起こる機序

そもそも代表的な抗うつ剤はどのように働くのかということですが、神経と神経で情報をやり取りする際に欠かせない神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)が増えるように作用し、その神経の活動を強めるのです。

様々な種類の神経伝達物質のうち代表的なセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンは以下のことにに関連して作用しています。
神経伝達物質

ミルナシプランはSNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という名のとおりに「セロトニン」「ノルアドレナリン」を増やし増強させます。
しかし副作用は治療作用をもたらしてほしい部位以外の脳や全身の臓器にトレドミンが作用し、セロトニンやノルアドレナリン(ノルエピネフリン)濃度が高まることが原因と考えられます。

例えば、セロトニンが睡眠中枢で働いてしまえば不眠になりますし、腸で不必要に働いてしまえばセロトニン作用により下痢を生じます。
ノルアドレナリンによる望ましくないアセチルコリン作用の増強は便秘や口渇こうかつ(ドライマウス)、食欲減退、血圧上昇、尿閉にょうへいを生じてしまいます。

トレドミンの場合、セロトニンよりもノルアドレナリン側に強く作用する特徴があります(他のSNRIと比べても)。
それゆえ、後に説明しますセロトニン増強に伴う抗うつ薬の一般的な副作用は弱めですが、一方でノルアドレナリン側の活動が増えることによる副作用はでやすく発汗や尿がでにくい、便秘などの症状を起こしてしまう可能性は高めです。
血圧上昇や脈が速くなる傾向があります。

ほとんどの副作用は内服を始めて直ちに(抗うつ剤の効果よりも先に)出現してきますが、それでも時間がたつことでおさまる傾向にあります。

一般的な副作用

内服量に一致して副作用が出現する率は上がります。
最もよく見られる副作用はSSRIと同等で、吐き気、口渇、倦怠感、めまい、眠気、発汗です。

  • 消化器系(悪心・下痢・食欲低下・口渇・便秘)
  • 不眠・鎮静・ふらつき
  • 性機能障害(射精遅延、勃起不全、性欲減退(男女)、オーガズムを感じにくい(男女))
  • 中枢神経(不眠、振戦、頭痛、緊張)
  • 自律神経(発汗が目立つ)
  • 血圧上昇
  • 尿閉(膀胱に尿が溜まっているのに出ない)

先にも説明しました通り、SNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)ゆえ、セロトニン増強による副作用とノルアドレナリン増強による副作用があります。
ミルナシプランはセロトニン増強よりノルアドレナリン増強が強い傾向にあるので交感神経と副交感神経バランスを崩します(抗コリン作用)。

日本での薬の承認時の試験でどの程度の頻度が、飲み始めてどの時期にでたのか見てみましょう。

ノルアドレナリン増強による抗コリン作用によってドライマウス(口渇)が7.49%に認めたとして最大で、ついで便秘(5.78%)が多くなっています。
尿がでづらくなるという症状も1.28%とそれなりの頻度です。

セロトニン作用によるもので頻度が高いものは、吐き気やめまい、眠気、性機能障害です。
吐き気(悪心)は4.93%に認めたとして、眠気も4.07%と多めです。
食欲は減ることが多いようです。

直接的な症状ではありませんが、肝機能に影響が出た割合も1-2%程度あります(肝臓の数値上昇のみで無症状)。

口の渇きや吐き気・嘔吐、めまいは飲み初め初期に多く、眠気は初期にかかわらず慢性的に続く傾向があるようです。
逆に飲み始めはあまり報告がないものの、ある程度のんでから気づく症状が性機能の障害です。

ミルナシプランと車の運転について

この薬の服用中は、眠気やめまいなどの副作用がでることから自動車運転などはしてはいけないことになっていましたが、平成28年11月25日に以下のように制限が緩和されました。
これによって医師の判断によってこの限りではなくなります。

[重要な基本的注意]の項の自動車の運転等危険を伴う機械の操作に関する
記載を「眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。」
と改める。

引用元: ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩及びベンラファキシン塩酸塩の「使用上の注意」改訂の周知について

ツイッターで見るミルナシプランの副作用

ミルナシプランは太る?眠くなる?

抗うつ薬は太るイメージが強いですが、トレドミンの場合は食欲不振になることが多いですのでむしろ体重は落ちる傾向があります。

また眠気に関しては日中の活動に問題になることがあります。
一方で頻度は眠気より低いものの逆に不眠になることもあります。

危険な副作用

軽躁状態に注意

危険と言えるほどのものではないですが、衝動性がでるため思い切った行動にでてしまうことがあり得ます。たとえば浪費、新規事業の立ち上げをしてしまう、お金を借りる、旅行に飛び回る、遊びほうける、喧嘩になりやすくなるなどですが、あとあと後悔してしまうような行動をとってしまうことがありえます。

しかも軽躁状態のときは本人は気分が良い状態のため、後になって振り返ってみないとこの状態がおかしかったことに気づきません。周囲がなんかおかしいと言ったとしても本人は聞く耳は持たないでしょう。
この状態にあるときはただちに減薬、中止する必要があるため主治医に相談する必要がありますが、この気分の良い状態でクリニックに行くことは通常ないでしょうからあとで気づくことが多く、軽躁状態を把握することの難しさがあります。

緑内障を引き起こす可能性も!

緑内障は最終的には失明につながる可能性もあるので、緑内障と思われるような症状が出た場合はまず眼科で確認しましょう。

<具体的な症状>

  • 吐き気(内服し始めの吐き気とは違います)
  • 目の痛み(頭痛や目の充血などを伴う場合特に注意)
  • 視野の変化(視界が狭い、光がきれいなリング状に見えるなど)
  • 目の周りが腫れる

このような症状は、緑内障でなくても出ることもありその判断には眼科的な診察が必要です。
眼科で緑内障の診断がされた場合、精神科・心療内科の主治医とトレドミンの中止について相談しましょう。

副作用に対する対処法

基本的には飲み始めて経過とともにある程度おさまってきますので「じっと待つ(経過観察)」が対処法になります。

副作用は時間とともにおさまってくる傾向もあるのでそこまでは服用量を少な目にして、その後副作用が耐えられるもしくは落ち着いてきたところで増量してみるという方法も有効です。
ただそれでも大変な時は、他の抗うつ剤に変更したり、他の薬を追加したりして飲むこともあります。

副作用を抑えるために副作用止めの薬を追加で飲むよりは、他の抗うつ剤に変えるのも手であるため、なるべく少ない薬で治療ができないか相談するようにしましょう。

症状 併用することがある薬
不眠 睡眠薬、抗うつ剤のトラゾドン(レスリン®、デジレル®)
性機能障害 バイアグラ®やシアリス®は効果を期待できますが、心臓血管系の副作用もあるので精神科でこの副作用に対し処方することはまれです。
食欲不振 抗うつ剤の中でもNaSSAに属するミルタザピン(レメロン®、リフレックス®)は食欲を増進させる方向に効きます。
排尿障害 ハルナール®などのα1ブロッカー
落ち着かない・不安 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)

ほとんどの副作用はの服用量が多いほど、また飲み始めほど起こりやすいですが時間によって副作用が軽くなることが多いです。
それでも、特に若い方でアクチベーションシンドロームによって躁状態になったり、自殺の衝動が強くでてしまうという症状が出るときは薬を中止するか、抗うつ剤ではなく気分安定薬や非定型精神病薬を飲む必要があります。

まとめ「ミルナシプランの効果と副作用」

ミルナシプランはSNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤で「トレドミン」の後発医薬品です。
このお薬のユニークな特徴は、米国ではうつ病に承認がないことからもわかる通り、抗うつ効果よりも神経性の痛み(うつ病に伴ってでるような慢性の痛みや線維筋痛症などの痛み)に対する効果が目立つことです。

とはいっても米国以外ではうつ病・うつ状態に承認はされています。
その観点からみた特徴は、他の抗うつ剤に比べ副作用が少ないこと、肝臓の代謝でないこと、相互作用してしまうお薬が他の抗うつ剤より少ないことが挙げられます。

以上の特徴を考えると、真っ先に処方される抗うつ剤ではないでしょうがうつ病の治療中に慢性の痛みが症状として目立つ場合や他のお薬が副作用が問題になりやすかったり、肝機能に問題がある場合に使用されることになります。

また副作用の観点からは一般的には耐用性・忍容性の良い(飲みにくくない)薬として認識されているようですが、それでも吐き気、眠気、口の渇き、めまい、焦燥感、便秘、無気力、不安感、食欲不振、性機能障害などの副作用はでます。
もちろん他のSSRIやSNRIと同じようにお薬をを突然やめてしまえば離脱症状をおこすこともあります。

またセロトニン増強よりもノルアドレナリン増強が強いことがその特徴なのですが、それゆえセロトニンに関する副作用はゆるいですがノルアドレナリンに関連した副作用は強く出ることもあります。
血圧上昇や頻脈などの症状をおこすこともありますし、抗コリン作用として便秘や発汗、尿閉などもあります。

 

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