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サインバルタ(SNRI)の副作用をわかりやすく解説【医師が教える抗うつ剤】

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
サインバルタ(SNRI)の副作用をわかりやすく解説【医師が教える抗うつ剤】

うつ病・うつ状態に対して最初に使用される抗うつ剤には「SSRI「SNRI」「NaSSA」の3種類があり、サインバルタ(デュロキセチン)はSNRIに分類される抗うつ剤です。
サインバルタはうつ以外にも、疼痛とうつうに対しても有効で、線維筋痛症や慢性腰痛、変形性関節症にも使用されています。

ここではサインバルタの副作用について説明しています。


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サインバルタ(デュロキセチン)の主な副作用

副作用が起こる機序

治療作用をもたらしてほしい部位以外の脳や全身の臓器にサインバルタ(デュロキセチン)が作用し、セロトニンやノルアドレナリン(ノルエピネフリン)濃度が高まることが原因と考えられます。

例えば、セロトニンが睡眠中枢で働いてしまえば不眠になりますし、腸で不必要に働いてしまえばセロトニン作用により下痢を生じます。
ノルアドレナリンによる望ましくないアセチルコリン作用の増強は便秘や口渇こうかつ(ドライマウス)、食欲減退、血圧上昇、尿閉にょうへいを生じてしまいます。

ほとんどの副作用は内服を始めて直ちに(抗うつ剤の効果よりも先に)出現してきますが、それでも時間がたつことでおさまる傾向にあります。

一般的な副作用

内服量に一致して副作用が出現する率は上がります。
一過性のものも多いです。
最もよく見られる副作用はSSRIと同等で、吐き気、口渇、倦怠感、めまい、眠気、発汗で、副作用による薬の中止率もサインバルタはSSRIと同程度と見られています。

  • 消化器系(悪心・下痢・食欲低下・口渇・便秘)
  • 不眠・鎮静・ふらつき
  • 性機能障害(射精遅延、勃起不全、性欲減退(男女)、オーガズムを感じにくい(男女))
  • 中枢神経(不眠、振戦、頭痛、緊張)
  • 自律神経(発汗が目立つ)
  • 血圧上昇
  • 尿閉(膀胱に尿が溜まっているのに出ない)

POINT自動車運転について
この薬の服用中は、眠気やめまいなどの副作用がでることから自動車運転などはしてはいけないことになっていましたが、平成28年11月25日に以下のように制限が緩和されました。
これによって医師の判断によってこの限りではなくなります。

[重要な基本的注意]の項の自動車の運転等危険を伴う機械の操作に関する
記載を「眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること。」
と改める。

引用元: ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩及びベンラファキシン塩酸塩の「使用上の注意」改訂の周知について

ツイッターで見るサインバルタの副作用
感覚や副作用などの参考にしてください。
ツイッターからの情報ですので、薬物の特徴などの情報に関しては探せるものは裏付けとなるエビデンスを付けるようにします。

Dr.G
たしかに躁鬱(双極性障害)に対しては、気分安定薬(リーマス®、ラミクタール®、デパケン®など)がメインに使用されます。ただ躁状態があまり明らかでないうつ病(DSM-5でいう”他で特定される双極性疾患”、”気分循環症”)に対しても、サインバルタは安全に有効性を示したという報告もあります。

この報告ではサインバルタと日本では2015年11月に発売されたイフェクサーSRについてと両方が記載されています。

参考文献
Serafini G, et al. Duloxetine versus venlafaxine in the treatment of unipolar and bipolar depression. Clin Ter. 2010;161(4):321-7.

太る?眠くなる?

体重増加の頻度は高くないですが、鎮静の作用は少しあるので眠気は人によっては問題になる副作用の1つになります。

「サインバルタの効果と特徴」でも説明しましたが、他の抗うつ薬のクラスであるNaSSA(リフレックス®、レメロン®)と併用した場合(カリフォルニアロケット療法)には眠気はかなり問題になります。

危険な副作用

CAUTION軽躁状態に注意
危険と言えるほどのものではないですが、衝動性がでるため思い切った行動にでてしまうことがあり得ます。
たとえば浪費、新規事業の立ち上げをしてしまう、お金を借りる、旅行に飛び回る、遊びほうける、喧嘩になりやすくなるなどですが、あとあと後悔してしまうような行動をとってしまうことがありえます。

しかも軽躁状態のときは本人は気分が良い状態のため、後になって振り返ってみないとこの状態がおかしかったことに気づきません。
周囲がなんかおかしいと言ったとしても本人は聞く耳は持たないでしょう。
この状態にあるときはただちに減薬、中止する必要があるため主治医に相談する必要がありますが、この気分の良い状態でクリニックに行くことの難しさがあります。

CAUTION25歳未満は要注意
てんかん発作、とアクチベーションシンドロームといって躁状態(ハイテンション)の誘発、自殺衝動を高めるなどの報告があります。(躁状態の誘発は上記の軽躁状態に通じるものがあります。)

特に自殺衝動を高めるは危険な副作用ですが、抗うつ剤による自殺衝動の危険性増大は25歳以上では示されていません。

CAUTION緑内障を起こすリスク
緑内障は最終的には失明につながる可能性もあるので、緑内障と思われるような症状が出た場合はまず眼科で確認しましょう。

<緑内障の具体的な症状>

  • 吐き気(内服し始めの吐き気とは違います)
  • 目の痛み(頭痛や目の充血などを伴う場合特に注意)
  • 視野の変化(視界が狭い、光がきれいなリング状に見えるなど)
  • 目の周りが腫れる

このような症状は、緑内障でなくても出ることもありその判断には眼科的な診察が必要です。眼科で緑内障の診断がされた場合、精神科・心療内科の主治医とサインバルタの中止について相談しましょう。

副作用に対する対処法

基本的には飲み始めて経過とともにある程度おさまってきますので(一時的のことが多い)、基本的に「じっと待つ(経過観察)」が対処法になります。

副作用は時間とともにおさまってくる傾向もあるのでそこまではサインバルタ(デュロキセチン)の服用量を初期は少な目にして、その後副作用が耐えられるもしくは落ち着いてきたところで増量してみるという方法も有効です。
ただそれでも大変な時は、他の抗うつ剤に変更したり他の薬を追加する必要があるでしょう。

副作用を抑えるために副作用止めの薬を追加で飲むよりは、他の抗うつ剤に変えるのも手であるため、なるべく少ない薬で治療ができないか相談するようにしましょう。
医療者側もなんとかできないものかと薬の増量の方向に無意識に行ってしまうことはあります。

症状 併用することがある薬
不眠 睡眠薬、抗うつ剤のトラゾドン(レスリン®、デジレル®)
性機能障害 バイアグラ®やシアリス®は効果を期待できますが、心臓血管系の副作用もあるので精神科でこの副作用に対し処方することはまれです。
食欲不振 抗うつ剤の中でもNaSSAに属するミルタザピン(レメロン®、リフレックス®)は食欲を増進させる方向に効きます。
排尿障害 ハルナール®などのα1ブロッカー
落ち着かない・不安 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)

ほとんどの副作用はサインバルタ(デュロキセチン)の服用量が多いほど、また飲み始めほど起こりやすいですが、基本的に時間によって副作用が軽くなります。
それでも、特に若い方でアクチベーションシンドロームによって躁状態になったり、自殺の衝動が強くでてしまうという症状が出るときは薬を中止するか、抗うつ剤ではなく気分安定薬や非定型精神病薬を飲む必要があります。

まとめ「サインバルタの副作用」

一般的には耐用性・忍容性の良い(飲みにくくない)薬として認識されているようですが、それでも吐き気、眠気、口の渇き、めまい、焦燥感、便秘、無気力、不安感、食欲不振、性機能障害などの副作用はでます。
もちろん他のSSRIやSNRIと同じように、サインバルタを突然やめてしまえば離脱症状をおこすこともあります。

SNRIの厄介な副作用の一つは血圧上昇です。高血圧で治療中の方にとっては、急に血圧が上がってしまったというときはこの薬が犯人である可能性を考えましょう。
量に依存して上がりますので、減薬で改善がみられるはずです。

このように副作用のほとんどは飲んでいる量に関連していることが多いこと、逆に減薬で対応することができることが多いのでやはり副作用止めのお薬を増やす対応法よりはいったん引くというのも大事なのかもしれません。

副作用 予防 対処法 発症機序
アクチベーションシンドローム 自殺念慮、攻撃性あるとき注意。初期は不安・焦燥が出る 減量・中止。アルプラゾラム(コンスタン®ソラナックス®)で改善することも。 5HT(セロトニン)2A刺激性
セロトニン症候群 処方を単剤・単純化する 減量・中止 脳内セロトニン活性の亢進
離脱症状 ゆっくり減らす 一旦元の量に戻す セロトニン受容体脱感作やアセチルコリン神経脱抑制のリバウンド。
眠気 夕食後、就寝前服用にする。 減量・中止・変更 鎮静作用
せん妄・思考錯乱・幻視など 新しい抗うつ剤から使用 減量・中止・変更 中枢性抗コリン作用
口の渇き・便秘・尿閉・頻脈など 生活習慣の改善で対応。尿閉は高齢者で注意! 各種対症療法 末梢性抗コリン作用
パーキンソン症状 アモキサピン、スルピリドで起きやすい 減量。改善しないときはアキネトン®などの抗コリン薬併用。 ドパミン受容体ブロック
嘔吐・食欲不振・下痢 1-2週間で軽快 食直後や牛乳を飲んで服用。胃腸薬併用。ひどければ中止。 セロトニン(5HT3, 5HT4)受容体刺激
体重増加 あまりにも体重増えるようなら薬剤変更 運動・食事 抗ヒスタミン作用
性機能障害 減量・中止・変更。バイアグラ®など併用。 5HT2A(セロトニン)亢進

 

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