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サインバルタの用法 ・ 他の薬との飲み合わせ【医師が教える抗うつ剤】

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
サインバルタの用法 ・ 他の薬との飲み合わせ【医師が教える抗うつ剤】

うつ病・うつ状態において最初に処方されるお薬は「SSRI」「SNRI」「NaSSA」があり、その中でサインバルタ(デュロキセチン)はSNRIに属する抗うつ剤です。
2004年に世界で誕生し、2010年より日本で販売開始されています。
ここではサインバルタの用法・薬の飲み合わせについて説明します。


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サインバルタの用法

剤型と薬価

<サインバルタカプセル>
(2016年4月1日 薬価基準改定)

20mgカプセル

0円(1カプセルあたり)
30mgカプセル

0円(1カプセルあたり)
3割負担で1ヶ月内服時の目安(薬価のみ):約1562 – 4235円

サインバルタの飲み方

初期の開始の仕方はサインバルタカプセル 20㎎を1日1回朝食後に飲みます。薬物動態の項で説明しますが、「朝」の内服になっているのにはもちろん理由があります。

増薬は、1週間以上の間隔を空けて1日容量として20㎎ずつ増やしていきます。効果が不十分なときは、1日60㎎を最大量として増やすことができます。

サインバルタは長期に飲んでも安全で依存性・習慣性は基本的にはないとされていますが、気を付けなければいけないのは増量するとともに血圧上昇には注意しましょう。(血圧は自分で測定しないと基本は無症状です。)

欧米ではサインバルタの最大投与量は120㎎とされています。これはうつ病の再燃予防研究で再燃した患者さんの中で60㎎を超えて処方したときに120㎎に増やしたときに反応した例があるためなのですが、日本の研究では60㎎以上での有効性が示されていないことから、日本における最大投与量が60㎎となっています。

神経障害性疼痛や線維筋痛症でも、60㎎以上にしても有効性が増すということはなく、むしろ副作用が目立つようです。臨床研究などでみられる投与量も60㎎の範囲までが多いです。

中止・減薬について

 注意必ず主治医の指示に従って減薬・中止して下さい!

離脱症状(ふらつき、嘔気、胃痙攣けいれん、発汗、ちくちくした痛み、知覚の異常)がでないようにするためゆっくり減らすのが大事です。

急いで減らさなければいけないときにも、3,4日間で半分に、もう3,4日間でさらに半分に減らしてからと1週間以上かけて中止にもっていきます。

薬がなくなって数日飲まないでいる日がでてしまったときも、上記のような症状がでることがあるので残薬に注意しましょう。

万が一、離脱症状が出てしまう時には、症状を抑えるために逆に徐々に増量して飲むようにして落ち着いてから、さらにゆっくり減らすようになるか、その量を維持して飲みます。

どうしても離脱症状に悩まされている場合、ゆっくり減らしすぎてもゆっくりすぎるということはないためこれぐらい慎重に減量していくのもありだと思います。個人差もありますので主治医と相談しながらにしましょう。

過量服用による症状

嘔吐、不整脈(QT延長:無症状だが危険な不整脈につながりやすい状態)、ふらつき、発汗、吐き気、振戦、けいれん、錯乱、昏睡、けいれんなどの症状が出ます。セロトニン症候群が引き起こされますが、サインバルタの効果を減弱させる薬もなければ、分子量も大きいので透析や血漿交換でも抜くことはできないため基本は対症療法で経過をみることになります。

サインバルタ治療服薬による死亡例の報告もありますが、最低でも1000㎎以上の内服の報告ですからかなりの服薬量です。


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サインバルタの薬物動態と相互作用

薬物動態

半減期(最高血中濃度から半分の濃度に減るまでの時間)は約12時間(8-17時間)で、同じSNRIのイフェクサーSR(半減期は約3-7時間)と比べ比較的長めです。
サインバルタの濃度が安定してくるまでの期間(定常濃度に達するまでの時間)は内服し続けて3日後くらいです。

サインバルタが朝の内服である理由は、夕方の内服では吸収が3時間ほど遅れ、またクリアランス(薬が体から抜けること)が20-30%増加するためです。

サインバルタは肝臓で代謝されますので、肝障害がある場合は投与量を少なめにするほうが安全です(通常の半分程度に)。肝機能障害が著しい場合には投与できません。アルコールの多飲をする患者さんでは特に注意が必要です。

逆に腎機能に障害がある場合でも、通常は内服量を調整する必要はありませんが、透析が必要なレベルや透析手前の末期腎不全の状態では内服は推奨されません。

肝機能障害や腎機能の障害は、クリニックや病院での採血検査をみながら決めるのが無難です。

サインバルタと他の薬の相互作用

パーキンソン症候群の薬に特に注意

サインバルタに限った話ではありませんが、抗うつ剤は主にパーキンソン症候群に対して使用されるエフピー®(MAOI:モノアミン酸化酵素阻害薬)と組み合わせると、激しい「セロトニン症候群」が誘発されます。致死的な副作用になるので注意が必要です。

エフピー®も半減期は長いので、もしこのパーキンソン症候群の薬を飲んでいた時には中止しても2週間は抗うつ剤を飲まないのが賢明でしょう。

逆にサインバルタ(デュロキセチン)を中止したあともある程度の期間(1週間程度)はエフピー®は飲まないほうが安全です。ちなみに、エフピー®のジェネリック薬品は「セレギリン」ですのでこの名前にも注意しましょう。

血液さらさらの薬に注意

サインバルタ独特の副作用ではありませんが、抗うつ剤には副作用に出血のしやすさ(内出血しやすい、あざができやすい)があるので、血液さらさらのお薬(ワーファリン®、バイアスピリン®。プラビックス®など)を飲んでいる場合、注意しましょう。

<血液さらさらの薬はどんな時に処方されているか>

心臓の手術後で人工の心臓弁の手術をしたり、心房細動しんぼうさいどうといわれる不整脈がある場合、脳梗塞のうこうそくの既往がある場合に処方されていることがあります。

ワーファリンはビタミンKが含まれる食品(納豆やクロレラ)を食べてはいけないと言われているので、そういえば言われたかもとピンとくる場合は確認しましょう。

三環系抗うつ薬との併用に注意

三環系抗うつ薬の濃度が上昇しやすくなるため、一緒に飲んで三環系抗うつ薬濃度が増してしまうと副作用が目立つことがあります。

その他肝臓の代謝酵素に作用することによる相互作用

サインバルタは肝臓の代謝酵素(チトクロームP4502D6)を邪魔します。したがって、この肝臓の代謝酵素であるチトクロームP450に作用するようなお薬とは併用すると濃度が変化しやすくなってしまいます。

SSRIであるパキシルやルボックス、デプロメールはこのチトクロームP450を邪魔するため、サインバルタの濃度が上がりやすくなります。

逆に、喫煙はチトクロームP4501A2を誘導することでサインバルタが代謝されやすくなり、有効な濃度以下に低下させてしまうことがあります。しかし、だからと言ってやみくもに喫煙者はサインバルタの量をたくさん飲んだほうが良いわけではなく、投与量の調整も推奨されていません。

その他サインバルタの注意事項と使用禁忌事項

  • てんかん発作を持っている方は注意する必要があります。(特に癌による疼痛薬のトラマドールとの併用は危険!!)
  • 未成年を含む25歳未満の方では、アクチベーションシンドロームによって、自殺念慮が高まったり、衝動が高まるなどの例もあるため周囲が注意を払う必要があります(保護者など周囲が特に注意を支払う必要があります)。
  • 不安や攻撃性、落ち着かなさが高まる、気分が急激に良くなり活動的になったときには双極性障害の可能性を考え主治医に相談しましょう。

使用禁忌

  • サインバルタ®(デュロキセチン)の成分に過敏性・アレルギーがある
  • パーキンソン症候群薬のエフピー®(セレギリン)を内服している
  • 重度の肝機能障害のある方
  • 重度の腎機能障害のある方
  • 緑内障がある方

 

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