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ルボックス錠は一般名フルボキサミンで、デプロメール、フルボキサミンマレイン酸も同様のお薬です。
この記事では用法および他の薬との相互作用について説明します。

相互作用についてはその他のSSRIと大きな違いはありませんが、プラス面に作用する相互作用もあります。

ルボックス(フルボキサミン)は、日本においてはうつ病・うつ状態においても適応がありますが、アメリカではうつ病・うつ状態に対しての認可はなく主に強迫性障害の治療に使用されます。
最近の研究においては、ルボックスにある抗生物質を併用することで強迫性障害の治療に増強効果をもたらすことがわかっており、これについての説明を加えています。
また、ルボックスによってカフェイン濃度が上昇することが知られていますがこれについても解説していきます。

ルボックスと用法相互作用

ルボックス錠の用法

剤型と薬価

ルボックス錠剤型薬価
25㎎36.10円
50㎎62.20円
75㎎85.70円
最大量服用時
75㎎ x 2錠
171.40円
3割負担で1ヶ月内服時の目安:約650-1543円

ルボックス錠(フルボキサミン)の飲み方

初期の開始の仕方は、ルボックス錠 50㎎を1日2回(25mgずつ)に分割して食後に飲みます。
(つまり初回は1回に25㎎錠を1錠内服し、数時間おいて朝1回目に飲んだのなら次は夕食後にも同じように25㎎錠を1錠内服し、1日量として合計50㎎として開始するということです。)
増量はゆっくり行い、最高で1日 150mgまでです。

1日量75-100㎎くらいのときは就寝前に1回内服とすることもできなくありません。
たしかに2回に分けて飲むのが添付文書でも指示されていますが、眠気が強く仕事や自動車の運転などに支障が出る場合は夜に飲む量を多めにしたり、就寝前に1回飲むなど工夫して使用できます。
どうしても副作用が問題になるときは相談してみましょう。

基本的に催眠作用がそれなりにあるお薬ですが、逆に不眠になるようであれば朝食後に内服すると解消されることがあります。

長期に飲んでも安全で依存性・習慣性は基本的にはないとされていますので、身体にとっては安心です。

不安が強い場合、ルボックス(フルボキサミン)とともに抗不安薬を一緒に飲むと効果があります。

耐えられないような不安や不眠、アカシジア(そわそわして、じっと落ち着きのなさがでる)、攻撃性がでる、急に活動的になりすぎるなどの症状がでたときは、双極性障害の可能性を考えなければなりません。
その場合は、気分安定薬や非定型抗精神病薬に変更が必要になることもあります。

ルボックスの中止・減薬について

必ず主治医の指示に従って減薬・中止して下さい!

離脱症状(ふらつき、嘔気、胃痙攣けいれん、発汗、ちくちくした痛み、知覚の異常)がでないようにするためゆっくり減らすのが大事です。
薬がなくなって数日飲まないでいる日がでてしまったときは上記のような症状がでることがあるので残薬に注意しましょう。
ルボックスは比較的離脱症状を起こしやすい薬です。)

万が一、離脱症状が出てしまう時には、症状を抑えるために逆に徐々に増量して飲むようにして落ち着いてから、さらにゆっくり減らすようにするか、その量を維持して飲みます。
個人差もありますので主治医と相談しながらにしましょう。

Dr.GDr.G

僕が慎重に減薬をするときにするときは、減らした量を飲む日を交互にいれながらこんな感じにやっています。
この方法が離脱を起こしにくいという医学的根拠はありません。
ただし心情的に安心して減薬できる方法だとは思います。

例:ルボックス100㎎(50㎎錠 朝食後、50㎎錠 夕食後)を飲んでいて半分に減らすとき

  1. 最初の2週間:朝25mg-夕50㎎、朝50㎎-夕50㎎、朝25mg-夕50㎎、・・・
  2. 次の2週間:朝25mg-夕50㎎を毎日
  3. その次の2週間:夕50㎎のみ、朝25mg-夕50㎎、夕50mgのみ、・・・
  4. さらにその次の2週間:夕50mgを毎日

過量服用による症状

SSRIの過量服用で死に至る例の報告があります。
嘔吐、不整脈(QT延長:無症状だが危険な不整脈につながりやすい状態)、ふらつき、発汗、吐き気、振戦、けいれん、錯乱、昏睡、けいれんなどの症状が出ます。

Dr.GDr.G

フルボキサミン(商品名:ルボックス、デプロメール、フルボキサミンマレイン酸)の過量服薬による日本人の死亡例が報告されています。

15歳の男性の症例で、セロトニン症候群を起こし、病院に救急搬送されたときには心停止、筋肉は硬直し、高熱を認めていたようです。

デプロメール錠の薬物動態と相互作用

薬物動態

半減期(最高血中濃度から半分の濃度に減るまでの時間)は4-6日間と長く、かなりゆっくり減っていきます。

デプロメール(フルボキサミン)は肝臓で代謝されますので、肝障害がある場合投与量は少なめにするほうが安全です。

腎機能障害に関しては、投与量の調整は原則不要です。

定常濃度(毎日服用して、一定の濃度で安定するまで)はデプロメール(フルボキサミン)を1週間程度内服し続ければ達成できます。

デプロメールは肝臓の酵素で代謝され身体の外に排出されますが、その肝臓の代謝酵素(チトクロームP450)に対して、デプロメールは作用をしてしまうため他の薬との相互作用を起こすことがあります。

SSRIの薬物動態

ルボックス錠と他の薬の相互作用

併用によりメリットのあることが報告されている薬「ミノマイシン」

ルボックスとの相互作用の注意事項の前に、併用することによってプラスの効果が出る可能性を支持する報告がありますのでまずはそれをご紹介します。
※この方法は適応外使用になりますので、個人の勝手な判断で行うことはやめてください。

強迫性障害において、ルボックス錠(フルボキサミン)と抗生剤「ミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)」とを併用することでより効果を得られるという報告がされています。
二重盲検法にじゅうもうけんほうという医学的根拠として高い研究手法がとられていますのでそれなりの信ぴょう性がありそうです。
二重盲検法というのは、AとBと2種類の治療法のうちどちらが効果があるか比較したいときに用いる方法で、医師も患者さんもA、Bどちらの薬が使われているかわからないまま治療を続けることで、偏見を持たずに公平に研究を行うことができる手法を言います。

研究では、ルボックスと偽物の薬とを飲んだ患者さん達と、ルボックスとミノマイシンとを飲んだ患者さん達の計102名を比べたところ、ミノマイシンを併用して飲んでいる患者さんたちの方が強迫性障害の症状がコントロールされていたという結果でした。
(ルボックスは100㎎から200㎎を、ミノマイシンは200㎎を1日量として内服)
この研究では10週間をリサーチしていますが、特に併用による重篤な副作用はありませんでした。

慢性疼痛のお薬に注意

癌による痛み、慢性の疼痛に対して処方されますトラマドール(トラマール®カプセル)によっててんかん発作を起こすリスクがあります。

トラマドールには、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害する(セロトニン、ノルアドレナリンの回収を邪魔することで、これらの活性が増える)という抗うつ薬と同じ作用があります。
それゆえ、ルボックスと同時に飲むのは危険です。

三環系抗うつ薬と同時に飲むときは要注意

ルボックスとの相互作用により、三環系抗うつ薬が思った以上に効いてしまうことがあります。

パーキンソン症候群の薬に特に注意

ルボックスに限った話ではなくSSRI全般の話になりますが、抗うつ剤は主にパーキンソン症候群に対して使用されるエフピー®(MAOI:モノアミン酸化酵素阻害薬)と組み合わせると、激しい「セロトニン症候群」が誘発されます。
致死的な副作用になるので注意が必要です。

エフピー®も半減期は長いので、もしこのパーキンソン症候群の薬を飲んでいた時には中止しても2週間は抗うつ剤を飲まないのが賢明でしょう。
逆にルボックス錠(フルボキサミン)を中止したあともある程度の期間(1-2週間)はエフピー®は飲まないほうが安全です。
ちなみに、エフピー®のジェネリック薬品は「セレギリン」ですのでこの名前にも注意しましょう。

血液さらさらの薬に注意

ルボックスの副作用に出血しやすさ(内出血しやすい、あざができやすい)があるので、血液さらさらのお薬(ワーファリン®、バイアスピリン®。プラビックス®など)を飲んでいる場合、注意しましょう。

<血液さらさらの薬はどんな時に処方されているか>

心臓の手術後で人工の心臓弁の手術をしたり、心房細動しんぼうさいどうといわれる不整脈がある場合、脳梗塞のうこうそくの既往がある場合に処方されていることがあります。

痛み止め(非ステロイド系抗炎症薬)に注意

主に整形外科で処方されるような非ステロイド系の鎮痛剤(ロキソニン®など、最近は市販のロキソニンもあります)は、上記の、出血のしやすさを助長するのと同時に抗うつ剤そのものの効果を減弱する可能性があります。

<痛み止めを飲むときは>
市販薬ならバファリン®、処方薬ならカロナール®などアセトアミノフェンの鎮痛剤なら安心です。

肝臓の酵素に作用することによる薬の飲み合わせが良くない薬の例

  • アルプラゾラム(コンスタン®、ソラナックス®)の濃度が上がってしまうことがあります。
  • コレステロールを下げるお薬(リピトール®)の濃度が上がってしまいます。(筋肉がけてしまうという副作用「横紋筋融解おうもんきんゆうかい」が起こることがあります。)
  • アトモキセチン(ストラテラ®、注意欠陥多動性障害:ADHD)の濃度を上昇させる。
  • 抗精神病薬のオーラップ®(ピモジド)との併用で危険な不整脈を起こす可能性があります(併用禁忌になっています
ルボックス(フルボキサミン)とカフェイン、喫煙

  • カフェインや喘息で使用されるテオフィリンと一緒にルボックスを飲むと、落ち着かなさや、てんかん発作が起こりやすくなる場合があります。
  • ルボックスは喫煙者では増強され体からの排出が早くなる傾向があるので、通常より多めに内服しなければ効果が期待できない場合があります。

フルボキサミンとカフェイン濃度

カフェインの濃度はルボックスによって上昇してしまいまうことがわかります。
一方で、ルボックス(フルボキサミン)の濃度は、

フルボキサミンとカフェイン濃度

カフェインの影響を受けていないことがわかります。
ルボックスが肝臓の代謝酵素(CYP1A2)を邪魔することでカフェインの濃度が上昇します。
つまり落ち着きのなさなどの諸症状はカフェイン濃度の上昇に伴って起きるのです。

その他ルボックス錠の注意事項と使用禁忌事項

  • ルボックス錠の特徴は半減期が長く、ほかの抗うつ剤に変えていくときすぐに切り替え飲み始めてしまうと、必要以上にセロトニン量が増えてしまうというリスクがあります。

    ルボックスから変更してほかの抗うつ剤にするときは、主治医ともよく相談して、いつからその新しい抗うつ剤を飲み始めればいいのか確認しましょう。(特に三環系抗うつ薬を飲むときは三環系抗うつ薬の濃度は上がりやすい傾向があります。)

  • てんかん発作を持っている方は注意する必要があります。(特に癌による疼痛薬のトラマドールとの併用は危険!!)
  • 光線過敏症こうせんかびんを起こすことがあります。(光線過敏とはルボックス内服中に陽にあたると皮膚が反応して炎症をおこしたりすることです。)
  • 未成年を含む25歳未満の方では、アクチベーションシンドロームによって、自殺念慮が高まったり、衝動が高まるなどの例もあるため周囲が注意を払う必要があります(保護者など周囲が特に注意を支払う必要があります)。
  • 不安や攻撃性、落ち着かなさが高まる、気分が急激に良くなり活動的になったときには双極性障害の可能性を考え主治医に相談しましょう。

使用禁忌

  • ルボックス錠(フルボキサミン)に過敏性・アレルギーがある
  • パーキンソン症候群薬のエフピー®(セレギリン)を内服している
  • 抗精神病薬のオーラップ®(ピモジド)を内服している
  • 筋肉を弛緩しかんさせ、肩こりや筋緊張性頭痛などに処方されるテルネリン®(チザニジン)を服用している
  • 睡眠薬ロゼレム®(ラメルテオン)を内服している

いずれもルボックスとの相互作用により、両者の濃度の以上が起こり作用が強く出たり、セロトニン濃度が過度に高くなったり、血圧低下、死に至るような不整脈が起こったりなどのリスクがあります。

まとめ「ルボックスの用法と相互作用」

SSRIの中でルボックス(フルボキサミン)は相互作用のリスクが最も高いとされています。
特に、血液が固まりにくくするお薬「ワーファリン」との併用はワーファリンの血中濃度を2倍にするため、出血傾向が強く出る恐れ(脳出血などを容易に起こしやすい状態)があります。

また、一般に摂取することが多いカフェイン濃度も上昇させカフェインの急性中毒症状(落ち着きのなさや不安感、身体症状では嘔気などの胃腸症状や不整脈など)を引き起こすリスクがあります。

一方でミノマイシンという抗生剤と併用することで強迫性障害に対しての効果が高まることもわかっています。

 

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