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眠くてつらい!レクサプロによる眠気と対処法【医師が教える抗うつ剤】

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
眠くてつらい!レクサプロによる眠気と対処法【医師が教える抗うつ剤】

抗うつ剤の中でも不快な副作用の1つに眠気があります。
薬の添付文書でも「眠気」は5%以上の頻度で起こるものとして記載されている頻度の高い副作用です。
特に日中の眠気は日常生活に支障をきたしてしまいます。

SSRIは抗うつ剤の中では比較的頻度は低いものの、眠気がでることがあります。
(逆に不眠になることもありますが・・・。)
ここではSSRIに分類されるレクサプロ錠(エスシタロプラム)の眠気についてのお話をしたいと思います。

レクサプロを飲み始め、日中の眠気が出てしまった場合、どんな対処法をとることができるかについてもあわせてご紹介します。


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レクサプロ錠で眠気が出てしまう原因

レクサプロ(エスシタロプラム)はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤です。
ですから「セロトニンに作用する」というのはイメージしやすいと思います。

ちなみに、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどを神経伝達物質しんけいでんたつぶっしつといいますが、これは脳をはじめ全身の神経の連絡に欠かせない物質で、それぞれの伝達物質に役割が割り当てられています。

レクサプロはセロトニンが関連する神経系を強めることで賦活化ふかつか、すなわちアクティブな方向にもっていこうとするわけですから、基本的には「眠気」というより「不眠」につながることになります。

ところが実際には眠気がでることがあります。
これはセロトニンという神経の伝達物質に対して、それとは別の伝達物質である「ヒスタミン」が関与するためです。

レクサプロはセロトニンを増強する作用がメインですが、ヒスタミン(H1)をブロックする作用も持っているためこれが眠気を作ります。
ヒスタミンをブロックするとなぜ眠気がでるのか、詳しく説明していきましょう!!

ヒスタミンの作用と眠気
ヒスタミンというと、一般的には花粉症の薬や胃薬でよく聞くキーワードです。

Dr.G
有名な胃薬「ガスター10」は「H2ブロッカー」に属する胃薬ですが、この「H」はヒスタミンのHなのです。

H2ブロックとは、「ヒスタミンの2番(H2)をブロックして胃酸を抑えます」ということですね。
一方で、花粉症をはじめアレルギーで悪さをするヒスタミンは、H1といってヒスタミンの1番のことです。

このようにヒスタミンといっても1番とか2番とか3番とか存在する(ビタミンA、B、Cのような種類がある)のです。
胃薬(H2のブロック)は飲んでも眠くなりませんが、アレルギーの薬としての抗ヒスタミン薬(H1のブロック)は眠気がでますよね?

つまり、ヒスタミンの1番(H1)が眠気と関連しているのです。
それもそのはず、H1はアレルギー反応のような免疫に関与する以外に、脳では覚醒に関与している神経伝達物質なのです。
それゆえ、H1をブロックするとアレルギーも治まるけど、覚醒レベルも落ちるので眠気が出てしまうのです。

Ns.Norin
ヒスタミンといっても1番(H1)はアレルギーや眠気と関連して、2番(H2)は胃酸と関係するんすね。

それに対してヒスタミンの2番(H2)は胃で胃酸分泌に関与する神経伝達物質で、脳にもあるのですが脳での作用はまだ明らかになっていません。

ヒスタミンと抗うつ剤
SSRIではこのH1をブロックする作用が多少あるため眠気が出るというわけです。

抗うつ剤の中でも特にH1ブロック作用の強い抗うつ剤があります。
三環系・四環系抗うつ薬」や「単環系抗うつ薬:デジレル・レスリン」、それから四環系抗うつ薬から派生したNaSSAという新しいクラスに属する「リフレックス・レメロン」などは特にH1をブロックする作用が強く、眠気の作用も強く「鎮静系の抗うつ薬」といわれます。

それに対してレクサプロをはじめとしたSSRIやSNRIなどはH1をブロックする作用はそこまで強いわけではないので「非鎮静系抗うつ薬」となるわけです。

レクサプロはSSRI・SNRI・NaSSAなど最初に使われることが多い抗うつ剤の中で、眠気が強く出るほうではない

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他の抗うつ剤との眠気の出やすさの比較

上記で説明した通り、抗ヒスタミン作用(ヒスタミンをブロックする作用)が強い抗うつ薬ほど眠気がでます。
その他、ヒスタミン以外に覚醒に関わる神経伝達物質「アセチルコリン」「ノルアドレナリン」をブロックしてしまう効果が強いほど眠気は出やすくなります。
「三環系・四環系抗うつ薬」、「単環系抗うつ薬:デジレル・レスリン」、「NaSSA:リフレックス・レメロン(ノルアドレナリンはむしろ増強)」が睡眠作用をもたらす鎮静系の抗うつ薬です。
逆に言えば、不眠が目立つうつ病では有効に作用しますね。

SSRI(レクサプロ含む)、SNRIは非鎮静系ですので三環系やNaSSAに比べれば眠気の頻度も強さも低くなります。
SSRIの中では、眠気がでやすいのはパキシル(パロキセチン)とデプロメール・ルボックス(フルボキサミン)で、ジェイゾロフトやレクサプロは弱めです。

抗うつ剤の中での眠気の強さの一覧表を載せておきます。

抗うつ剤 眠気 抗うつ剤 眠気
<SSRI> <三環系>
ルボックス
デプロメール
フルボキサミン
+ トリプタノール
アミトリプチリン
+++
パキシル
パロキセチン
+ トフラニール
イミドール
+
ジェイゾロフト
セルトラリン
+- アナフラニール +
レクサプロ +- ノリトレン +
<SNRI> アモキサン +
トレドミン +- <四環系>
サインバルタ +- テトラミド ++
イフェクサー +- ルジオミール ++
<NaSSA> <その他>
リフレックス
レメロン
++ デジレル
レスリン
++
ドグマチール
スルピリド
+-


今日の治療薬(一部改変)

レクサプロを飲んで眠気がでてしまったら

2週間程度は経過をみてみる
レクサプロに限らずほとんどの抗うつ剤で共通することですが、内服し始めた初期に副作用が目立ち1-2週間程度で副作用がおさまってくる傾向があります。
眠気も同様で、最初だけということも多いです。

内服のタイミングを変えてみる
添付文書通り処方されればレクサプロは「1日1回夕食後」に内服するのですが、「寝る前」に変更してみるのも手です。
人によっては「朝」に飲むと大丈夫というときもあります。
海外では、「朝または夕に1回内服」となっていますのでこの飲み方でも問題はありません。

減薬する
飲み始めてどうしても眠気が日常生活の支障になる場合には減薬を考えます。
レクサプロ(エスシタロプラム)は通常10㎎錠から内服をスタートしますが、眠気が強く出て困るようであれば減薬がひとつの手になります。
具体的には錠剤に割線がついていますので半分に割って5㎎として飲んでみるのが一つです。
おそらく初診日から2週間後に次来てくださいと言われているはずですので必ず主治医に報告するようにしましょう。

内服して1-2週間であれば問題ないですが、しばらくの期間飲んだあとに減らしたり断薬すると離脱症状を起こす可能性があるので注意を要します。

また、眠気はうつ病がよくなってきたころに目立つ場合があります。
とくに長く飲んでいると睡眠が適度にとれていたとしても、あくびが多くなったり、疲労感を感じるようになったりすることもありますのでこの場合は主治医と相談の上減薬を考えます。
この時には数か月以上内服しているはずですので、自己判断での減薬や断薬は厳禁です。

レクサプロの例ではないですが、副作用(吐き気や眠気)が血液中の薬の濃度と関係なく出現したという報告もあります。
となると、減薬しても改善しないかもと思うのですが、実際の臨床においては減薬によって改善が見られることが多いです。

参考文献
Härtter S, et al. Serum concentrations of fluvoxamine and clinical effects. A prospective open clinical trial. Pharmacopsychiatry. 1998 Sep;31(5):199-200.

レクサプロから他の抗うつ剤に変えてもらう
減薬しても改善がない場合に行いますが、抗うつ薬の変更時には離脱症状がおこることがありうることを知っておきましょう。
眠気が少ないものとなると、SSRIの中であればジェイゾロフト(セルトラリン)、SNRI(サインバルタなど)を通常考えます。

他の薬による可能性はないか考える
抗うつ薬は単独で処方されていないことが多々あります。
例えば睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系睡眠薬)や非定型抗精神病薬(エビリファイ、ジプレキサ、リスパダール、セロクエルなど)、他の抗うつ薬(三環系、NaSSAなど)があわせて処方されている場合があります。
その場合、レクサプロよりその薬の副作用の方が疑わしいです。
どの薬があやしいか主治医の先生と相談して減薬を考慮してもらいましょう。

「レクサプロによる眠気」まとめ

  • 抗うつ薬による眠気の原因はヒスタミン(H1)がブロックされることによる
  • SSRIの中でもレクサプロ(エスシタロプラム)は眠気のでやすい抗うつ剤ではない
  • レクサプロを飲み始めてすぐに眠気が出てしまった場合、半分にしてみるか飲む時間を変えてみる
  • 経過をみていれば2週間程度でおさまってしまうことも多い
  • 飲み始めて時間が経ってから(1ヶ月以上)減薬をする場合は離脱症状の可能性があることから自己判断ではなく主治医と必ず相談する

 

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