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パキシル錠5mg・10mg・20mgの薬価とジェネリック医薬品【医師が教える抗うつ剤】

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
パキシル錠5mg・10mg・20mgの薬価とジェネリック医薬品【医師が教える抗うつ剤】

パキシル(一般名:パロキセチン)とは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤で、現在最も処方されている抗うつ剤の1つです。
ここでは、パキシル錠に関する薬価やジェネリック薬品に関することを経済的な観点でお話したいと思います。

パキシル錠に関する一般的な特徴、用法、副作用に関しては以下の記事を参考にしてください。


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パキシル(パロキセチン)の薬価

パキシルには大きく3つの規格があります。


  1. 通常のパキシル
  2. パキシルのCR錠(ゆっくり吸収されるタイプ)
  3. パキシルのジェネリック(CRタイプはない)

通常のパキシル錠パキシルCR錠は、グラクソスミスクライン社からそれぞれ2000年、2012年より販売されています。

パキシル5mg錠は2010年から販売されていますが、この意図はパキシルは離脱症状を起こしやすいため減薬をよりゆっくりすすめることができるようにするためです。

パキシルCR錠はControlled-Releaseの略で徐放性製剤といってゆっくり吸収される特徴をもちます。

CR錠によるメリットは内服初期の消化器系の副作用(吐き気など)を抑えることができることにあります。
離脱症状を抑える可能性も示唆されていますが、実際には消化器系の副作用を抑える以外のデータはあまり示せていません。

参考文献
Higuchi T, et al. Paroxetine controlled-release formulation in the treatment of major depressive disorder: a randomized, double-blind, placebo-controlled study in Japan and Korea. Psychiatry Clin Neurosci. 2011 Dec;65(7):655-63.

通常のパキシル錠やジェネリックのパロキセチン錠を長く飲んでいるのであればわざわざCR錠に変更する理由は、特にジェネリックを飲んでいる人からは経済的にもメリットは低いと個人的には思います(薬価が倍くらい変わってしまいます)。

パキシル錠のジェネリック医薬品はパロキセチン錠として販売されています。
ジェネリック医薬品とは開発品の特許期間が満了した後で発売される成分が等しく値が安い医薬品のことで後発医薬品ともいいます。

後発品のパロキセチン錠の販売会社は武田薬品、ファイザーなど先発品の大手製薬メーカーや日医工、沢井薬品、東和薬品などジェネリック薬品の大手をはじめ30社くらいから出ています。

お薬手帳にはパロキセチン錠10mg「トーワ」パロキセチン錠5mg「アメル」などと「」内にメーカーが記載されているはずです。

それでは、実際の薬価を確認してみましょう。
ここに記載する薬価は定価なので、通常の保険ではここからの3割負担になります。
(薬価とは別に、初診・再診料、処方箋料、調剤料などは別にかかります。)

パキシル錠5mg/10mg/20mgの薬価

<パキシル錠>
(2016年4月1日 薬価基準改定)

5mg錠

0円(1錠あたり)
10mg錠

0円(1錠あたり)
20mg錠

0円(1錠あたり)
3割負担で1ヶ月内服時の目安(薬価のみ):約831 – 2893円

パキシルCR錠12.5mg/25mgの薬価

<パキシルCR錠>
(2016年4月1日 薬価基準改定)

12.5mg錠

0円(1錠あたり)
25mg錠

0円(1錠あたり)
3割負担で1ヶ月内服時の目安(薬価のみ):約836 – 2907円

パロキセチン錠(ジェネリック)5mg/10mg/20mgの薬価

[薬価パロキセチン]

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経済的観点から見たパキシル錠

パキシルに関する経済的なお話をします。
良くも悪くもこれからお話することを知らずには、パキシルはおろかSSRIをはじめとする抗うつ剤のあり方を考えることはできないと思いますので、ここで経済事情をふくめ解説します。

まず厚生労働省が示しているうつ病の患者数に関するグラフをご覧ください。

うつ病患者数
「こころの健康対策」厚生労働省より

平成11年(1999年)から平成14年(2002年)にかけて、うつ病患者数が急増しています。
平成11年には44万人だったのが平成14年には71万人、そして平成20年には100万人を突破しています。
2000年はITバブルがはじけた時代ですからこれが影響したのでしょうか?

不況もあるのかもしれませんが、一番作用したのは平成11年(1999年)から行われたうつ病啓発キャンペーンが要因です。
「うつ病は心のかぜ」「お父さん眠れてる?」は聞き覚えのあるキャッチフレーズではないでしょうか?
これは主に製薬会社による啓発キャンペーンです。

抗うつ剤の売り上げは98年には173億円だったのが、翌年以降増え続け2006年には98年の5倍の875億円に達しました。
99年にうつ病啓発キャンペーンが行われると同時に最初のSSRIが販売され、翌年パキシルはうつ病の特効薬として販売されたのです。

ここで勘違いしないで頂きたいのはSSRIが悪い薬という意味ではないことです。
SSRIが登場する前の抗うつ剤は副作用も多いため、なかなか処方しにくいお薬でした。
三環系抗うつ薬などと比べ副作用の少ない、抗うつ効果もしっかり出るSSRIの登場は画期的だったのです。

ところがキャンペーンのおかげでうつ病の概念が広がりすぎてしまったのです。
SSRI本来の効能効果を超えて過剰に処方されてしまっているというのが実態なのかもしれません。
2012年に日本うつ病学会はガイドラインでは軽度のうつ病には薬を優先しない方針に切り替えています。

米国ではこういったSSRIのキャンペーンに関する訴訟が起こっており、中でも2012年には若年者に対し有害事象の証拠がありながら安全で効果的だとしてパキシルのマーケティングを行なったため、英グラクソスミスクライン社は米司法省にパキシルに関する件で30億ドルという高額な和解金を支払っています。
若年者へのSSRIの使用はかえって自殺の衝動を高めるリスクがあるのです。
とはいっても、若年者の不安障害や強迫性障害に有効な例もあるため全面的に使用してはいけないわけではありませんが。

このように抗うつ剤自体の効果を超えたキャンペーンなどが独り歩きすることによって、実害は患者さん側に及ぶわけです。
くれぐれも抗うつ剤に問題があるというわけではないことはご理解いただければと思います。

まとめ「パキシル錠の薬価とジェネリック」

パキシル錠のジェネリック薬品とオリジナルのパキシルとでは倍程度金額が異なります。
CR錠にはまだジェネリック医薬品はありませんが、通常の錠剤との比較では治療初期の吐き気などの副作用に有効ですが長期に服用している例においてはわざわざCR錠に切り替えるというよりジェネリックを選択しても良いのではないでしょうか(製薬会社からはCR錠への切り替えをすすめられてはいますが・・・)。

 

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