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パロキセチン錠の効果と副作用(離脱症状とその期間)

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
パロキセチン錠の効果と副作用(離脱症状とその期間)

パロキセチン錠は抗うつ剤の中でも有名なパキシルの後発医薬品(ジェネリック医薬品)で2012年6月に登場しました。
ここではパロキセチン錠について解説しますが、基本は先発品の「パキシル」と一緒ですから、ところどころでパキシルについての解説へのリンクをつけさせてもらいます。

しかしパロキセチン錠とパキシルの大きな違いは2点あります。
それは「薬価」「CR錠」についてです。

それではパロキセチン錠についてみていきましょう。


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パロキセチン錠とは?

パロキセチン錠はジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品というのは先発の薬剤(新薬)と同じ有効成分でつくられ、その特許が切れたのちに効果や安全性が新薬と同じと認められてから販売されます。
それでは3つの特徴をみてみましょう。

①薬価が安い

先発品に比べて薬価が安いというメリットがあります。
どれくらい違うか、飲み始めに処方される10mg錠で比較してみましょう。

  • パキシル錠10mg:92.30円
  • パロキセチン錠10mg:37.90円

※2016年4月改訂の薬価

約50円違うので1ヶ月では1500円(3割負担なので実質450円)違います。
これは10mg錠なので、最大量40mg~50mgともなると結構な価格差があります。

どうすればジェネリックになるかですが、処方箋の「後発医薬品に変更不可」の欄にチェックと医師のサインがされてなければ、何もしなくても薬局でジェネリックに変更されて出されることが多いはずです。

②成分は同じでもコーティングは違う

「パロキセチン錠」は「パキシル錠」と基本成分は同じパロキセチンですが、コーティングが異なるので苦みの感じ方や飲み安さが異なることがあります。
基本的にどれも一緒なのですが、パロキセチン錠の中では特徴的なコーティングは東和薬品から「パロキセチンOD錠」が販売されています。

あとで説明しますがパロキセチンOD錠は「パキシルCR錠」のCRとは異なります!
ODというのはOral Disintegrantのことで口腔内崩壊錠こうくうないほうかいじょうのことです。
簡単に言うと、容易に崩れるので水がなくても飲める錠剤です。(口の中で吸収はされませんので飲み込むことは必要です。)

③アメルは薬の名前ではない!

パロキセチン錠は約30社の製薬会社から発売されており、すべて名称は「パロキセチン錠」というように成分名がそのまま製剤名になっています。
つまり「パキシル」だけが唯一名称を与えられているグラクソスミスクライン社の開発特権ですね。

その他は【パロキセチン錠10㎎「アメル」】とか【パロキセチン錠20mg「サワイ」】などその錠剤のあとに「 」つきで製薬メーカーの名前がつきます。
よく外来で「なんていう薬を飲んでいますか?」とたずねると「アメルです」と答えてくれるのですが、気持ちはわかりますがそれは製薬メーカー名称なんですね。

パロキセチン錠の効果

うつ病・うつ状態と診断されたときに最初に出される抗うつ剤は「SSRI」「SNRI」「NaSSA」の3種類の中から処方されることが一般的で、パロキセチンはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類されるお薬です。

特徴をひとことで言うのならとにかく切れあじの強いお薬です。
効果は効けばてきめんに出て、しかも1日1回の内服で十分効果が得られます。

その効果には定評があり、精神科・心療内科に限らず他科でも処方されるお薬です。
それゆえ処方数ではパキシル・パロキセチンを合わせれば首位です。

パロキセチンに適応のある疾患をみてみましょう。
効果が期待できる疾患は以下の通りです。(赤字は日本で承認されているもの)

    <パロキセチン錠の効果が期待できる疾患>

  • 大うつ病
  • 強迫性障害(OCD)
  • パニック障害
  • 社交不安障害
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 全般性不安障害(GAD)
  • 月経前不快気分障害(PMDD)
  • 血管運動症状(更年期障害の症状)

パロキセチン錠の用法と効果がでるまでの期間の目安

パロキセチン錠10mg・1錠 1日1回夕食後からスタートします。
(うつ病・うつ状態では40mgまで、パニック障害では30mgまで、強迫性障害では50mgまで、社会不安障害やPTSDには40mgまで増量していく)

早ければ2週間後には効果を出すこともあります。
効果が出だすのに長くかかる例もあり、6週間後からというデータもありますし4か月以上を要した例もあります。

先発品のパキシルについての特徴の詳細はこちらで説明しています。


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パロキセチン錠の副作用

パロキセチン錠はSSRIの中では副作用は出やすい方ではあります。
特に性機能障害(射精障害、勃起不全、性欲減退、オーガズムを感じにくい)が統計的にも多いとされています。
仕事では困らないのですが、地味に苦しむ副作用ですので困るようでしたら主治医に言いづらいですが相談したほうが良いでしょう。
このことをおさえたうえで、副作用について全般説明していきます。

まず飲み始めた初期にまず問題になるのは胃腸など消化器の症状です。
とにかく多いのは吐き気で、それについで胃の不快感やお腹のはり、下痢や逆に便秘になることもあります。
この症状が出ると中止してしまいたくなることも多いと思います。
それでも我慢してのみ続けることができますと1週間から長くても2週間でおさまりますが、仕事や家事をやれなくなってしまうこともありえます。

この副作用は多く対応法もいくつかあるので、先発品であるパキシルによる吐き気の記事を参考にしてください。

パロキセチンはその切れ味ゆえに、「アクチベーションシンドローム(賦活化症候群ふかつかしょうこうぐん」を起こすこともあります。
アクチベーションシンドロームとは、抗うつ剤によって意欲や気分が改善されるのではなく違う方向に活性化した状態です。
具体的には、イライラ・不安・焦燥感しょうそうかん・パニック・攻撃性・衝動性・不眠・躁状態が引き起こされ不快な症状をきたします
アクチベーションによって躁状態になったときには一瞬完全に治った感覚にさえなりますが、その後強いうつ状態に悩まされるようになります。

また、「眠気」と「太る」という嫌な副作用減薬やお薬をやめるときに離脱症状が出やすいのも特徴です。
アクチベーションが目立てば不眠になりますが、そうでなければ眠気がでます。

太ることに関しては、飲み始め初期はむしろ食欲が落ちて痩せることが多く数か月して太ってきていることがわかります。

副作用の対処法などは先発品「パキシル」と一緒なので対応などの詳細は以下を参照してください。

離脱症状はしばしば問題になりやすい副作用ですので次の章で説明します。

パロキセチン錠の離脱症状とその期間

離脱症状は抗うつ剤を断薬・減薬(自己判断によるものが多い)したときにでるめまい、吐き気、頭痛、お腹の症状、異常な感覚、耳鳴りなどをいいます。
うつの再発かと思ってしまうときもあります。

1日でも飲んだら、やめられないというわけではなく通常1ヶ月半程度飲んだら離脱症状を起こしてしまう可能性を考えそこからは勝手にやめたり無理な減薬はしない方が賢明です。

通常は断薬・減薬して数日以内に症状が出始め、2週間程度でおさまります。
もしくは再度薬を飲む量を戻すことで改善します。
ときに医師の指示で慎重に減薬したり、他の抗うつ剤に変更するときでさえも症状が出てしまうことさえあります。

離脱症状には電気が走ったような感覚がくる独特な症状があり、医学的な用語ではありませんがネットやSNS上では「シャンビリ」という俗語があるほどです。

パロキセチンはこの離脱症状を起こしやすい抗うつ剤です。
離脱症状は身体がパロキセチンありきの中で適応した状態から、ふっといなくなってしまうことによっておきます。

その点から見て離脱症状を起こしやすい理由は3つあります。


  1. 半減期が短い
  2. パロキセチンそのものが体外への排出を抑えていること
  3. 抗コリン作用を持っている

ちょっと難しいのですが、半減期というのはお薬を飲んで血液中のパロキセチンの濃度が最大になったあと、半分に減ってしまうまでの時間です。
およそ14時間程度で、他のSSRIが20時間を超えるなか短めです。

半減期だけの問題ではありません。
パロキセチンは主に肝臓で代謝されます
肝臓でパロキセチンを分解する酵素を作るのですが、じつは酵素のパワーをパロキセチン自体が邪魔しています。
このことは、パロキセチンを飲まなくなってから次第にパロキセチンを分解するスピードが上がっていくことを示します。
それだけ早く抜けやすくなっていってしまうのです。

さらに抗コリン作用といって自律神経バランスを交感神経側に動かす作用を持っています。
パロキセチンは弱いながらもこの抗コリン作用をもつことから、口が渇いたり、動悸が起こりやすくなったり、汗をかきやすくなるなどの副作用も起こしますが逆に薬がなくなるときもまた自律神経バランスを崩します。
これが離脱症状の症状をさらに増悪させやすい理由と考えられているのです。

離脱症状への対応は再度パロキセチン錠を元の量内服すること、もしくは2週間程度やりすごすことが対処法となります。

こちらで詳しい内容を説明しています。

まとめ「パロキセチン錠」

パロキセチン錠はグラクソスミスクライン社から出ている「パキシル錠」のジェネリック医薬品です。
効果は一緒ですが、安価である点が魅力です。
副作用も、離脱症状の起こしやすさも一緒ですが、胃腸など消化器症状の副作用が初期に問題になることを抑えるのにはまだジェネリック医薬品では販売されていない「パキシルCR錠」に軍配が上がります。

それ以外の点ではパロキセチン錠だからというデメリットはないのでパキシルとの差異については考える必要はないでしょう。

 

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