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ジェイゾロフト25mgと50mgの薬価

ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される抗うつ剤です。

ここでは、ジェイゾロフト錠に関する薬価やジェネリック薬品に関することを経済的な観点でお話したいと思います。

ジェイゾロフトに関する一般的な効果や特徴、副作用に関しては以下を参考にしてください。

【抗うつ剤】ジェイゾロフト錠の効果と特徴を医師が解説します


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ジェイゾロフト(セルトラリン)の薬価

ジェイゾロフトには大きく3つの規格があります。


  1. 通常のジェイゾロフト錠
  2. ジェイゾロフトのOD錠(水なしで飲めるタイプ)
  3. ジェイゾロフトのジェネリック(通常の錠剤とOD錠の2タイプ)

通常のジェイゾロフト錠ジェイゾロフトOD錠は、ファイザー社からそれぞれ2006年、2014年より販売されています。

OD錠について簡単に説明しておきましょう。

OD錠とは、Oral Disintegrant(口腔内崩壊錠こうくうないほうかいじょう)といって水がなくても口の中で溶けて飲みやすいように作られた錠剤です。
とはいっても口の中で吸収されるわけではありませんので注意してください。

通常の錠剤とOD錠は、内服してしまえばその後の薬効はまったく同じです。

厳密には内服後の最高血中濃度が通常の錠剤の方が若干高そうですが、無視できるレベルだと思います。
通常の錠剤だと副作用がでやすいからOD錠にしましょうなどということはありません。

次にジェネリック医薬品について説明しましょう。

ジェイゾロフトのジェネリック医薬品はセルトラリン錠として販売されています。
ジェネリック医薬品とは開発品の特許期間が満了した後で発売される成分が等しく値が安い医薬品のことで後発医薬品ともいいます。

後発品のセルトラリン錠の販売会社は日医工、沢井薬品、東和薬品などジェネリック薬品の大手をはじめ20社ちかくから出ています。
セルトラリンのOD錠に関しても数社から販売されています。

お薬手帳にはセルトラリン錠25mg「トーワ」セルトラリン錠50mg「アメル」などと「」内にメーカーが記載されているはずです。

それでは、実際の薬価を確認してみましょう。

用法に関してはこちらの記事を参考にしてください。

【ジェイゾロフト錠の用法 ・ 他の薬の飲み合わせ】を医師がわかりやすく解説します

ここに記載する薬価は定価なので、通常の保険ではここからの3割負担になります。
(薬価とは別に、初診・再診料、処方箋料、調剤料などは別にかかります。)

オリジナルのジェイゾロフト錠とジェネリックのお薬とでは倍以上違うことがおわかりになるかと思います。

ジェイゾロフト錠25mg・50mg・100mgの薬価

<2016年4月1日薬価改定>
25mg 93.50円
50mg 161.90円
100mg 282.70円

※OD錠も同じ価格です。

セルトラリン錠(ジェネリック)25mg・50mg・100mgの薬価

<2016年4月1日薬価改定>
5mg 42.10円
10mg 73.10円
20mg 127.00円

※OD錠も同じ価格です。

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経済的観点から見たジェイゾロフト錠

ジェイゾロフトに関する経済的なお話をします。

ジェイゾロフトの販売会社であるファイザー社のデータを見てみましょう。
ファイザーから出ているオリジナルの抗うつ薬はSSRIはジェイゾロフト、SNRIはイフェクサーです。
下に示すのは全世界での売上で( )内は米国のみの売り上げです(単位は百万ドル)。

日本で2006年に承認されたサインバルタは1990年に、日本では2015年に承認されたイフェクサーSRは1993年に世界的には承認されているお薬です。


ゾロフト(ジェイゾロフト)
2015年:374(58)
2014年:423(55)
2013年:469(44)
2012年:541(68)
2011年:573(63)

イフェクサー
2015年:288(95)
2014年:344(110)
2013年:440(173)
2012年:425(109)
2011年:678(242)


どちらも年々世界的に売り上げが落ちているのは、他社製品のジェネリック医薬品による影響でしょうか(ジェイゾロフトはセルトラリンがジェネリック医薬品として日本にもありますが、イフェクサーも海外ではジェネリックがあります。)

SSRIに属するジェイゾロフトは、パキシル・レクサプロなどの競合薬剤も強いです。
特に2009年にLancetという権威ある医学雑誌での抗うつ剤ランキングの研究(MANGA研究)においてジェイゾロフト(セルトラリン)とともに抗うつ効果・副作用の観点から評価されたレクサプロはかなりの影響を与えているはずです。

【参考文献】
Cipriani A, et al. Comparative efficacy and acceptability of 12 new-generation antidepressants: a multiple-treatments meta-analysis. Lancet. 2009 Feb 28;373(9665):746-58.

抗うつ剤が過度に処方されるようになったマーケティング

良くも悪くもこれからお話することを知らずには、ジェイゾロフトなどSSRIをはじめとする抗うつ剤のあり方を考えることはできないと思いますので、ここで経済事情をふくめ解説します。

まず厚生労働省が示しているうつ病の患者数に関するグラフをご覧ください。

うつ病患者数
「こころの健康対策」厚生労働省より

平成11年(1999年)から平成14年(2002年)にかけて、うつ病患者数が急増しています。
平成11年には44万人だったのが平成14年には71万人、そして平成20年には100万人を突破しています。
2000年はITバブルがはじけた時代ですからこれが影響したのでしょうか?

不況もあるのかもしれませんが、一番作用したのは平成11年(1999年)から行われたうつ病啓発キャンペーンが要因です。
「うつ病は心のかぜ」「お父さん眠れてる?」は聞き覚えのあるキャッチフレーズではないでしょうか?
これは主に製薬会社による啓発キャンペーンです。

抗うつ剤の売り上げは98年には173億円だったのが、翌年以降増え続け2006年には98年の5倍の875億円に達しました。
99年にうつ病啓発キャンペーンが行われると同時に最初のSSRIが販売され、そのSSRIという抗うつ剤バブルの時期にジェイゾロフトは販売されたのです。

ここで勘違いしないで頂きたいのはSSRIが悪い薬という意味ではないことです。

SSRIが登場する前の抗うつ剤は副作用も多いため、なかなか処方しにくいお薬でした。
三環系抗うつ薬などと比べ副作用の少ない、抗うつ効果もしっかり出るSSRIの登場はその意味で画期的だったのです。
ただあまりに画期的な登場であったため、その宣伝手法によってうつ病の概念が広がりすぎてしまったのです。

ですからSSRI本来の効能効果を超えて過剰に処方されてしまっているというのが実態なのかもしれません。
SSRIが効かないのに大量に出されているわけではありません。
ちゃんときれいに効果をだす患者さんもいますが、あまりにうつの概念が独り歩きし出して、効かない患者さんもそれなりにいるようになってしまっているのでしょう。

2012年に日本うつ病学会はガイドラインでは軽度のうつ病には薬を優先しない方針に切り替えています。

米国ではこういったSSRIのキャンペーンに関する訴訟が起こっており、中でも2012年には若年者に対し有害事象の証拠がありながら安全で効果的だとして薬のマーケティングを行なったため、英グラクソスミスクライン社は米司法省に30億ドルという高額な和解金を支払っています。

グラクソスミスクラインはジェイゾロフトの会社ではありませんが同じSSRIとしては決して他人事ではなかったでしょう。

日本でも若年者への抗うつ剤の使用に関しては定まったものはありません。
その理由は、若年者へのSSRIの使用はかえって自殺の衝動を高めるリスクがあるのです。
とはいっても、若年者の不安障害や強迫性障害に有効な例もあるため全面的に使用してはいけないわけではありませんが・・・。

このように抗うつ剤自体の効果を超えたキャンペーンなどが独り歩きすることによって、実害は患者さん側に及ぶわけです。
くれぐれも抗うつ剤に問題があるというわけではないことはご理解いただければと思います。

まとめ「ジェイゾロフト25mg・50mg・100mg錠の薬価とジェネリック」

ジェイゾロフト錠のジェネリック薬品「セルトラリン錠」とオリジナルのジェイゾロフトとでは倍以上金額が異なります。

特にオリジナルの製剤であるジェイゾロフトへのこだわりがなければセルトラリン錠に切り替えることは効果や副作用の面で不利になることはないでしょう。

ジェイゾロフト(セルトラリン)には通常の錠剤の他、OD錠(口腔内崩壊錠)という口の中で溶けて飲み安い仕様のお薬もありますが、薬効や副作用に差があるものではありません。

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