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【ジェイゾロフト錠の用法 ・ 他の薬の飲み合わせ】を医師がわかりやすく解説します

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
【ジェイゾロフト錠の用法 ・ 他の薬の飲み合わせ】を医師がわかりやすく解説します

ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)は2006年にファイザーから販売されたSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に属する抗うつ剤です。

SSRIは抗うつ剤の中でも最も処方されることが多いクラスのお薬で、中でもジェイゾロフトは抗うつ効果と忍容性にんようせい、すなわち副作用で中断してしまうことなく続けやすさがあるバランスのとれた抗うつ剤として定評があります。

ここではジェイゾロフトの用法や飲み合わせについて解説します。


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ジェイゾロフト錠の用法

剤型と薬価

ジェイゾロフト錠は錠剤で、別にOD錠が存在します。
OD錠とは、Oral Disintegrant(口腔内崩壊錠こうくうないほうかいじょう)といって水がなくても口の中で溶けて飲みやすいように作られた錠剤です。
とはいっても口の中で吸収されるわけではありませんので注意してください。

ジェイゾロフト錠にはジェネリック医薬品でセルトラリン錠が発売されています。

<ジェイゾロフト錠>
(2016年4月1日 薬価基準改定)

25mg錠(OD錠)

0円(1錠あたり)
50mg錠(OD錠)

0円(1錠あたり)
100mg錠(OD錠)

0円(1錠あたり)
3割負担で1ヶ月内服時の目安(薬価のみ):約842 – 2554円

ジェイゾロフト錠(セルトラリン)の飲み方

初期の開始の仕方は、ジェイゾロフト錠 25㎎を1日1回朝もしくは夕食後に飲みます。
ジェイゾロフトの副作用で眠気や不眠になってしまうようなことがありますが、そのときは飲む時間を変更するのが有効です。
例えば不眠になるようであれば朝飲むようにすると解消されることがありますので、主治医と相談してみてください。

25mg錠が最小の錠剤ですが、それでも副作用に耐えられない場合は初期量をさらに半分の12.5㎎で始めることもあります。
飲み始めの初期にでやすい副作用は吐き気や眠気が多いです。)

増量はゆっくり行い、最高で1日 100mgまでです。
ほとんどの場合初期量では不十分で50㎎は必要になることが多いです。

長期に飲んでも安全で依存性・習慣性は基本的にはないとされていますが、1.5か月以上飲んだ場合には断薬したり急激に減らすと離脱症状を起こすリスクがあります。

不安が強い場合、ジェイゾロフトとともに抗不安薬を一緒に飲むと効果があるので、しばしば一緒に処方されていることがありますがこれは不安症状に対して有効な手立てです。

耐えられないような不安や不眠、アカシジア(そわそわして、じっと落ち着きのなさがでる)、攻撃性がでる、急に活動的になりすぎるなどの症状がでたときは、双極性障害の存在を考えなければなりません。
その場合は、気分安定薬や非定型抗精神病薬に変更が必要になることもあります。

ジェイゾロフトの中止・減薬について

注意主治医の指示に従って減薬・中止して下さい
離脱症状(ふらつき、嘔気、胃痙攣けいれん、発汗、ちくちくした痛み、知覚の異常)がでないようにするためゆっくり減らすのが大事です。
飲み始めてすぐにやめるのには問題ないですが、1ヶ月半以上内服しているときには急にやめたりは避けてください。

また薬がなくなって数日飲まないでいる日がでてしまったときは離脱症状がでることがあるので残薬に注意しましょう。

万が一、離脱症状が出てしまう時には、症状を抑えるために逆に徐々に増量して飲むようにして落ち着いてから、さらにゆっくり減らすようになるか、その量を維持して飲みます。

それでも、ジェイゾロフト錠を飲むほとんどの患者さんでは、1週間で半分に、さらに1週間かけて中止していくことができる印象です。
ただし個人差もありますので主治医と相談しながらにしましょう。

ジェイゾロフトの過量服用による症状

ジェイゾロフトは神経伝達物質セロトニンを増強させるお薬です。
大量服薬することで「セロトニン症候群」という状態を引き起こします。
具体的には、下痢・不穏・焦燥、自律神経の不安定症状、けいれん、発熱、筋肉の固縮、昏睡といった様々な症状がおきます。

不整脈(QT延長:無症状だが危険な不整脈につながりやすい状態)も起こしやすく、致死的な場合もあります。

喘息をもっている女性が、このお薬を大量に飲んだことでセロトニン症候群を起こし最終的には喘息発作を悪化させ死亡したという報告もあります。

参考文献
Carson HJ, et al. Death from asthma associated with sertraline overdose. Am J Forensic Med Pathol. 2000 Sep;21(3):273-5.


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ジェイゾロフト錠の薬物動態と相互作用

薬物動態

半減期(最高血中濃度から半分の濃度に減るまでの時間)は22-36時間で、1日以上かけてゆっくり減っていきます。

ジェイゾロフト(セルトラリン)は肝臓で代謝されます。
代謝産物の半減期はもともとのジェイゾロフト以上の長さで、62-104時間と言われています。
代謝産物によって副作用が出ていることもありますので、中止・減薬してもすぐに副作用が改善しないことがあるかもしれませんが、それはこの長い半減期によるものです。

定常濃度(毎日服用して、一定の濃度で安定するまで)はジェイゾロフト(セルトラリン)を1週間内服し続ければ達成できます。

上記の通り、肝臓の酵素で代謝して身体の外に出します。
その肝臓の酵素(チトクロームP450)に対して、ジェイゾロフト(セルトラリン)が少な目の低用量であっても作用をしてしまうため、他の薬との相互作用を起こすことがあります。

抗うつ薬の半減期

ジェイゾロフト錠と他の薬の相互作用

慢性疼痛のお薬に注意

癌による痛み、慢性の疼痛に対して処方されますトラマドール(トラマール®カプセル)によっててんかん発作を起こすリスクがあります。
トラマドールには、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害する(セロトニン、ノルアドレナリンの回収を邪魔することで、これらの活性が増える)という抗うつ薬と同じ作用があります。
それゆえ、抗うつ剤と同時に飲むのは危険です。

パーキンソン症候群の薬に特に注意

ジェイゾロフト(セルトラリン)に限った話ではなくSSRI全般の話になりますが、抗うつ剤は主にパーキンソン症候群に対して使用されるエフピー®(MAOI:モノアミン酸化酵素阻害薬)と組み合わせると、激しい「セロトニン症候群」が誘発されます。致死的な副作用になるので注意が必要です。

エフピー®も半減期は長いので、もしこのパーキンソン症候群の薬を飲んでいた時には中止しても2週間は抗うつ剤を飲まないのが賢明でしょう。

逆にジェイゾロフト錠(セルトラリン)を中止したあともある程度の期間(1-2週間)はエフピー®は飲まないほうが安全です。

ちなみに、エフピー®のジェネリック薬品は「セレギリン」ですのでこの名前にも注意しましょう。

片頭痛の薬に注意

イミグラン®(スマトリプタン)など片頭痛用のお薬との併用で、脱力や運動の障害が起こりえます。
うつ病の患者さんでは、しばしば頭痛を持っていることが多く、片頭痛に対する薬が処方されていることがあるので注意しましょう。

血液さらさらの薬に注意

ジェイゾロフト錠(セルトラリン)の副作用に出血しやすさ(内出血しやすい、あざができやすい)があるので、血液さらさらのお薬(ワーファリン®、バイアスピリン®。プラビックス®など)を飲んでいる場合、注意しましょう。

血液さらさらのお薬は、心臓の手術後で人工の心臓弁の手術をしたり、心房細動しんぼうさいどうといわれる不整脈がある場合、脳梗塞のうこうそくの既往がある場合に処方されていることがあります。

痛み止め(非ステロイド系抗炎症薬)に注意

主に整形外科で処方されるような非ステロイド系の鎮痛剤(ロキソニン®など、最近は市販のロキソニンもあります)は、上記の、出血のしやすさを助長します。
胃からの出血(吐血)に注意が必要です!

同時に抗うつ剤そのものの効果を減弱する可能性があります。

市販薬ならバファリン®、処方薬ならカロナール®などアセトアミノフェンの鎮痛剤なら安心です。

肝臓の酵素に作用することによる薬の飲み合わせが良くない薬の例

  • 不安にお薬であるアルプラゾラム(コンスタン®、ソラナックス®)の濃度が上がってしまうことがあります。
  • コレステロールを下げるお薬(リピトール®)の濃度が上がってしまいます。(筋肉がけてしまうという副作用「横紋筋融解おうもんきんゆうかい」が起こることがあります。)
  • アトモキセチン(ストラテラ®、注意欠陥多動性障害:ADHD)の濃度を上昇させます。
  • 抗精神病薬のオーラップ®(ピモジド)との併用で危険な不整脈を起こす可能性があります(併用禁忌になっています

その他ジェイゾロフト錠(セルトラリン)の注意事項と使用禁忌事項

  • ジェイゾロフト錠(セルトラリン)の特徴はお薬自体の半減期も、ジェイゾロフトが肝臓で代謝された物質も半減期が長く、ほかの抗うつ剤に変えていくときに両方が作用してしまい必要以上にセロトニン量が増えてしまうというリスクがあります。
    ジェイゾロフトから変更してほかの抗うつ剤にするときは、主治医ともよく相談して、いつからその新しい抗うつ剤を飲み始めればいいのか確認しましょう。
  • てんかん発作を持っている方は注意する必要があります。(先にも書いた通り特に癌による疼痛薬のトラマドールとの併用は危険!!)
  • 未成年を含む25歳未満の方では、アクチベーションシンドロームによって、自殺念慮が高まったり、攻撃性や衝動が高まるなどの例もあるため周囲が注意を払う必要があります。
  • 不安や攻撃性、落ち着かなさが高まる、気分が急激に良くなり活動的になったとき(アクチベーションシンドローム)には双極性障害の可能性を考え主治医に相談しましょう。

使用禁忌

  • ジェイゾロフト®(セルトラリン)に過敏性・アレルギーがある
  • パーキンソン症候群薬のエフピー®(セレギリン)を内服している
  • 抗精神病薬のオーラップ®(ピモジド)を内服している

まとめ「ジェイゾロフトの用法と相互作用」

ジェイゾロフトはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に属する抗うつ薬です。
25mg・50mg・100mg錠(通常の薬剤と水がなくても口の中で溶けてくれるOD錠)があり、SSRIで起こりやすい吐き気の副作用を予防するためにも25mg錠を1日1回から始めます。

最大の血中濃度から代謝されて半分になってしまうまでの時間(半減期)は22~36時間と長いため1日1回の内服で効果を出すことが可能です。
うつ病では50mg以上は必要になることが多く、最大量は1日100mgです。

他のお薬との相互作用については、もともと他のお薬の作用を邪魔することが多いほうではないがエフピーやオーラップとの併用は禁忌となっている。
また禁忌ではないものの、ロキソニンなどの鎮痛薬は胃出血のリスクを高め、血液サラサラのお薬(ワーファリンなど)はその作用を増強させてしまうため主治医には伝えておく必要があります。

 

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