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エビリファイの副作用 -医師が教える抗精神病薬-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
エビリファイの副作用 -医師が教える抗精神病薬-

エビリファイは抗精神病薬に分類されるお薬で、統合失調症をはじめ双極性障害の躁状態、通常の治療で効果のないうつ病・うつ状態、小児の発達障害の易怒性に対して効果のあるお薬です。

しかし抗精神病薬は多彩な効能を示す反面、多彩な副作用を起こしやすいデメリットもあります。
ここではエビリファイの副作用についてまとめたいと思います。

参考文献

  • 精神神経疾患の薬物治療. 畝崎 榮, 竹内 裕紀. オーム社. 2012
  • 精神疾患の薬物療法講義. 功刀 浩. 金剛出版. 2013
  • 今日の治療薬 解説と便覧. 浦部 晶夫, 島田 和幸, 川合 眞一. 南江堂. 2017


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抗精神病薬の副作用とエビリファイ

抗精神病薬の主な副作用

エビリファイの副作用をお話する前に、一般に抗精神病薬にどのような副作用が出やすいかをお話します。
そのあとでエビリファイの副作用にはどのような特徴があるのかお話した方がわかりやすいと思います。

抗精神病薬の副作用は独特でかつ多岐にわたります。
まず代表的なものを列挙してみましょう。

抗精神病薬の主な副作用

  • 手の震え、歩きづらさ、口がもごもご動いてしまう
  • メタボリック症候群(肥満、糖尿病)
  • めまい、立ちくらみ
  • 眠気
  • 不整脈
  • 口の渇き
  • 尿が出づらい
  • 便秘
  • 性機能障害
  • 女性化乳房、乳汁分泌

中でも有名なものは錐体外路症状すいたいがいろしょうじょう高プロラクチン血症です。

これらはいずれも神経伝達物質であるドパミン系をブロックすることで現れる副作用です。

錐体外路症状

錐体外路症状というのは、手足などの運動に障害がでることをいいます。
一般に筋肉をを動かす神経の脳の中の通り道を錐体路すいたいろといいますが、この筋肉の動きが強すぎたり弱すぎたりしないように微調整する神経もあり、その神経の脳内の通り道を錐体路といいます。

錐体外路は主にドーパミンという神経伝達物質によって作用しており、抗精神病薬はこのドパミン系をブロックすることから運動を微調整することができなくなってしまいます。
すると筋肉の動きがスムーズでなくなったりふるえてしまったり動かしづらい症状が出現し、このことを錐体外路症状といいます。

高プロラクチン血症

一方脳の視床下部・下垂体でドパミン系が抗精神病薬によってブロックされるとプロラクチンと呼ばれるホルモンが増え、女性では月経不順になったり乳汁分泌を起こしたり、男性では性機能障害や女性のような乳房になってしまいます。

その他の副作用

その他の抗精神病薬の副作用に体重増加、糖尿病、脂質代謝異常(高脂血症)、不整脈(QT延長)があります。

エビリファイの副作用の特徴

ここまで一般的な抗精神病薬で出る主な副作用を挙げましたが、エビリファイで出やすいとされる副作用は以下のものです。


  • 吐き気などの胃腸症状
  • 不眠
  • 焦燥(そわそわ、じっとしていられない)

詳細や対策については以下を参照してください。

上で説明した副作用は、当然エビリファイでも出る可能性のある副作用です。
しかし、エビリファイでは実は錐体外路症状、高プロラクチン血症、体重増加、不整脈(QT延長)は極めて生じにくいのです。

抗精神病薬は様々な神経伝達物質に作用しますが、エビリファイはドパミンとセロトニン以外には強く作用しません。
しかもエビリファイは単純にドパミンをブロックするだけというタイプの抗精神病薬ではないことが副作用の少なさと関連します。

エビリファイは別名「ドパミンシステムスタビライザー」とも呼ばれ、ドパミンが過剰な時にはドパミン系をコントロールし、逆にドパミン伝達が低下した時には作動薬として働いてバランスを保つのです。
このように単純にドパミンをブロックするわけではないこと、多くの神経伝達物質の受容体に強く作用しているわけではないことが抗精神病薬の中でも一般的なよくある副作用が生じにくい理由なのです。

その他、神経伝達物質をブロックするとどんな副作用がでるかまとめてみました。

ブロックする受容体 主な副作用 症状
ドパミンD2受容体 錐体外路症状 振戦、歩行障害、動作が遅くなる、アカシジア、遅発性ジスキネジア
悪性症候群 発熱、発汗、筋肉の破壊
高プロラクチン血症 乳汁分泌、月経不順、性機能障害、女性化乳房
アドレナリンα1受容体 性機能障害 勃起障害、射精障害
循環器症状 心電図変化(QT延長)、不整脈、突然死
低血圧 起立時のたちくらみ、めまい
ヒスタミンH1受容体 鎮静作用 眠気、倦怠感
肥満 体重増加、糖尿病、高脂血症
セロトニン5HT2C受容体 肥満 体重増加、糖尿病、高脂血症
アセチルコリンM1受容体 抗コリン症状 口の渇き、便秘、排尿障害、かすみ目
中枢神経症状 認知機能障害



エビリファイはアドレナリンα1、ヒスタミンH1、ムスカリンM1にはあまり強く作用しないのです。


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エビリファイとその他の非定型抗精神病薬との副作用比較

抗精神病薬には大きく第一世代と第二世代の新しい抗精神病薬(非定型抗精神病薬)の2種類があります。
錐体外路症状高プロラクチン血症は第一世代にも第二世代にもに認められる副作用ですが、第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)はこれらの副作用が起きづらくなっています。

エビリファイも第二世代の抗精神病薬ですが、これには以下に示すような種類と副作用の特徴があります。

<非定型抗精神病薬の種類>

  • セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)
    • リスペリドン(リスパダール)
    • ペロスピロン(ルーラン)
    • ブロナンセリン(ロナセン)

    ➡非定型抗精神病薬の中では錐体外路症状やプロラクチン上昇を起こしやすい。

  • 多元受容体標的化抗精神病薬(MARTAマルタ
    • オランザピン(ジプレキサ)
    • クエチアピン(セロクエル)
    • クロザピン(クロザリル)

    ➡セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)よりは錐体外路症状やプロラクチン上昇は少ない。
    体重増加や血糖の問題は起きやすい。

  • ドパミン受容体部分作動薬(DSS:Dopamin System Stabilizer)
    • アリピプラゾール(エビリファイ

    ➡錐体外路症状やプロラクチンの上昇は少ない。
    不眠、胃腸症状、アカシジア(そわそわ・じっとしていられない)が多い。

各お薬ごとに副作用をまとめてみましょう。

<系統> <薬品名> 錐体外路
症状
プロラクチン
上昇
体重増加
肥満
糖尿病
高脂血症
不整脈
QT延長
鎮静 血圧
低下
抗コリン
作用
セロトニン
ドパミン
拮抗薬
リスパダール ± 3+ 2+ 2+
ルーラン ± ±
ロナセン ± 2+ ±
インヴェガ ± 2+ 2+
MARTA ジプレキサ ± 3+ 3+ 2+
クエチアピン
セロクエル
2+ 2+ 2+ 2+
クロザリル 3+ 3+ 3+ 3+ 3+
ドパミン
受容体
部分作動薬
エビリファイ ± ±

まとめ「エビリファイの副作用」

一般に抗精神病薬の副作用として錐体外路症状高プロラクチン血症があります。
錐体外路症状では手の震えや口の動かしにくさ、足の動かしにくさを自覚します。
高プロラクチン血症では性機能障害や乳汁分泌、女性化乳房といった問題を起こします。

エビリファイをはじめとする非定型抗精神病薬ではこれら錐体外路症状、高プロラクチン血症は起こしにくくなりましたが体重増加や血糖値上昇、高脂血症などのメタボリックな問題がおきることがあります。

それでもエビリファイはこういったトラブルが少ない点で優れますが、他の非定型抗精神病薬よりも吐き気などの胃腸症状、不眠、アカシジア(そわそわ・じっとしていられない)が起きやすいのが特徴です。

 

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