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エビリファイの半減期と血中濃度・代謝 -医師が教える抗精神病薬-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
エビリファイの半減期と血中濃度・代謝 -医師が教える抗精神病薬-

エビリファイは抗精神病薬に分類されるお薬で、統合失調症、双極性障害(躁状態)、うつ病・うつ状態(抗うつ薬が単独で効果が薄い場合)、小児の発達障害における易刺激性(キレやすい)などに適応のあるお薬です。

このお薬は1日1回内服で効果が期待できますが、それは半減期が61~75時間(内服容量や人種差があります)と長いことによります。

ここではエビリファイを内服したときの血中濃度の変化や、それが代謝されて半分の濃度になってしまうまでの時間(半減期)などについて詳しくみてみましょう。


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エビリファイの半減期

半減期とは?

半減期はんげんきとは一般に内服したお薬の血液中の成分濃度があるところから半分の濃度になってしまうまでの時間をいいます。
添付文書などで調べられている半減期は、最高血中濃度から半分の濃度になるまでの時間が調べられていることが一般的です。

半減期がなぜ重要かというと、飲んだお薬がどの程度の時間作用してくれているか、その時間が短いのか長いのかをイメージしやすいのです。

つまり半減期≒作用時間としてとらえやすいのです。

例えば半減期が4-6時間しかなければそのお薬は1日に3-4回飲まなければ薬があまり効いていない時間があることになってしまいますし、24時間以上あるなら1日1回の服用で十分であることになります。

もちろん半減期でそのお薬の時間的な特徴をすべて網羅できるわけではありません。

飲んでどのくらいで吸収されて血中濃度が一気にあがっていくのか、ゆっくりとしか血中の濃度は上がらないとか吸収のされ具合でも異なります。
また、薬が肝臓や腎臓で代謝されて排泄される形になったときには通常は薬効は示さないというイメージが先行しやすいのですが、ときに代謝・分解されたものもそのお薬と同等もしくはそれ以上の薬効作用を示すものもあるのです。

ですからあるお薬の半減期がその薬の時間的な特徴をすべて示すものではないのですが、半減期がその作用時間・作用動態をイメージしやすく参考になるのは間違いありません。

ここまででなんとなく半減期についてお分かりいただけたかと思います。

エビリファイの半減期はどのくらい?

添付文書では健康な成人20人にエビリファイ6㎎錠を内服してもらったときのデータが載っています。

エビリファイ6㎎錠を1錠内服すると、1時間~6時間の間に最高血中濃度を迎えます(最高血中濃度になるまでの時間:3.6時間<中央値>)。

半分の濃度になるのは内服後40~80時間です(半減期:61時間<中央値>)。

以上は6㎎錠を1回だけ飲んだ時の血中濃度の変化ですが、同じく健康成人にエビリファイ3㎎錠を2週間飲んだもらった場合のデータもあります。

お薬は通常何日間か飲み続けると定常状態ていじょうじょうたいといって濃度変化があまりない一定の状態がキープされるようになります。
つまり2週間飲んだ時のデータと言うのは初めてお薬を飲んだ時の体内の変化と異なり、血中濃度が安定した状態での変化をみることになります。

この場合においても半減期は40-80時間と同等でした(定常状態のときの半減期:65時間<中央値>)。

ここまででわかる通り、エビリファイを内服すると早ければ1時間後には血中濃度が最高になり、そこから半減期を迎えるのはなんと2日以上経った後なのです。
さらにエビリファイ(成分名:アリピプラゾール)は肝臓で代謝されデヒドロアリピプラゾールに変わりますが、このデヒドロアリピプラゾールも元のお薬の40%程度の薬効作用を示し、半減期も75~94時間と非常に長いのが特徴なのです。


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他の抗精神病薬との半減期の比較

非定型抗精神病薬の半減期を比較してみましょう。

<系統> <薬品名> 半減期(時間)
セロトニン
ドパミン
拮抗薬
リスパダール 3
22(代謝物)
ルーラン 2.3
ロナセン 10.7
インヴェガ 20-23
MARTA ジプレキサ 31
クエチアピン
セロクエル
3.5
クロザリル 16
シクレスト 17
ドパミン
受容体
部分作動薬
エビリファイ 61

エビリファイは最も半減期の長いお薬です。
基本的に半減期の長いお薬は1日1回の内服になっており、半減期が短いお薬は用法が1日2~3回服用となっています。

また離脱症状(お薬を急速に減らしたり断薬したときにでる反動としての症状もしくは悪化)は半減期に影響すると考えられ、半減期の長いお薬ほど離脱症状が生じにくいと考えられます。

まとめ「エビリファイの半減期」

エビリファイは非定型抗精神病薬に分類されるお薬で、抗精神病薬の名称通り基本的には「統合失調症」に対して使用されるお薬です。
非常に多様性のあるお薬で、双極性障害の躁症状やうつ病・うつ状態の難治例(抗うつ薬だけでは改善が認められない)、小児の発達障害における易怒性(きれやすい、衝動的になりやすい)にも有効です。

このお薬の特徴は半減期の長さにあります。
半減期とはお薬が血中に吸収されてから半分に減ってしまうまでの時間を指しますが、その半減期が61時間もあります。

そのためエビリファイは1日1回服用すれば1日十分な効果を発揮してくれます。
また代謝産物であるデヒドロアリピプラゾールもドパミンに対する作用が代謝前の40%程度あり、こちらも半減期が75~94時間と非常に長い間作用するのです。

非定型抗精神病薬も抗うつ薬同様に急激に減薬したり断薬すると離脱症状によって反動性に症状が悪化することがありますが、エビリファイの半減期の長さからは離脱症状が生じにくいと考えられます。

 

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