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エビリファイOD錠(3mg/6mg/12mg/24mg)について-医師が教える抗精神病薬-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
エビリファイOD錠(3mg/6mg/12mg/24mg)について-医師が教える抗精神病薬-

エビリファイは抗精神病薬に位置づけられるお薬で、主に統合失調症や双極性障害の躁状態を改善させるお薬です。

現在はその適応も拡大し、抗うつ薬による通常の治療に反応しないうつ病・うつ状態や自閉症スペクトラム障害など発達障害に伴う易刺激性(キレやすい)に対して処方されています。

2012年5月にOD錠(口腔内崩壊錠)と呼ばれる口の中で数秒で溶けてしまうような飲み安さを追求した製剤が発売されました。
ここではエビリファイOD錠について解説します。


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エビリファイはどんなお薬?

まずOD錠(口腔内崩壊錠)を説明する前にエビリファイについて簡単に解説しておきましょう。

エビリファイは抗精神病薬に分類されることを最初にお話しました。
実際には非定型抗精神病薬と呼ばれ従来の抗精神病薬よりも進化した第二世代とも第三世代の抗精神病薬とも言われています。

このような新しい抗精神病薬と呼ばれるゆえんはその作用機序と副作用の少なさによります。

一般に抗精神病薬はもともと統合失調症に用いられるお薬で、神経伝達物質であるドパミンを抑えることで統合失調症の特徴的な症状である幻聴や妄想といった陽性症状を抑える効果があります。

しかし抗精神病薬の副作用も同時に問題になりやすく、まずドパミンが抑えられすぎると身体が言うことをきかなくなります(錐体外路症状すいたいがいろしょうじょうと呼ばれます)。
具体的には手足の動かしづらさや口が動かず活舌が悪くなったり、ひどくなると手の震えがめだったり遅発性ジスキネジアといって口がつねにもごもご動くようになることもあります。

またプロラクチンと呼ばれる脳下垂体から分泌されるホルモンが上昇し、乳汁が出たり、無月経になったり、男性が女性化した乳房になったりなどの現象を認めることがあります。

こういった錐体外路症状や高プロラクチン血症が問題になりやすいのが従来の古い抗精神病薬の副作用ですが、第二世代の新しい抗精神病薬(非定型抗精神病薬)はこの頻度が抑えれらるように作られています。

とは言っても副作用がないわけではなく、非定型抗精神病薬で問題になるのは体重増加、糖尿病や高脂血症といったメタボリックな問題です。

以下に非定型抗精神病薬にどういったものがあるか示しておきましょう。

<非定型抗精神病薬の種類>

  • セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)
    • リスペリドン(リスパダール)
    • ペロスピロン(ルーラン)
    • ブロナンセリン(ロナセン)
  • 多元受容体標的化抗精神病薬(MARTAマルタ
    • オランザピン(ジプレキサ)
    • クエチアピン(セロクエル)
    • クロザピン(クロザリル)
  • ドパミン受容体部分作動薬(DSS:Dopamin System Stabilizer)
    • アリピプラゾール(エビリファイ

この新しい抗精神病薬の中でも、エビリファイの副作用は少な目です。

エビリファイは、ドパミン・システムスタビライザー(DSS:Dopamine System Stabilizer)と呼ばれ、脳内でドパミンが大量に放出されているときには抑制的に働き、ドパミンが少量しか放出されていないときには刺激する方向で作用し、結果としてドパミン神経を安定化させます。
(他の抗精神病薬が一方的にドパミンを抑制するだけなのとは違います。)

このためドパミンの異常によって起こると考えられている統合失調症の陽性、陰性症状を改善する一方で、錐体外路症状やプロラクチンなどのホルモン異常はもちろん、新しい抗精神病薬でみられる体重増加や糖尿病などをきたしにくいのです。

(最も多い副作用は頭痛、眠気、興奮、胃腸症状、吐き気、不安)。

詳細は以下を参照してください。


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エビリファイOD錠について

エビリファイには様々な剤型のお薬が存在します(錠剤、OD錠、液剤、粉薬、注射)。
錠剤が基本の剤型ですが、OD錠も存在します。

OD錠とはOrally Disintegrating(口腔内崩壊)の略称で、口の中ですぐに崩壊する製剤をいいます。
したがって水なしでも服用できる構造になっています。

エビリファイOD錠のメリット・デメリット

OD錠は口の中で容易に崩れることから水なしで内服できるのがメリットです。
ですが、だからと言ってわざわざ水なしで飲もうという人は少ないでしょうが・・・

水に溶けやすいというその性質からは飲み込みが難しいなど入院中や介護される方にとってメリットが高いと言えます(ただ現在は内用液という液体のものもあるのでその場合はこちらが処方されるでしょう)。

デメリットは湿気に弱いことですから、個包装から開けて保管することは難しくなります。
もちろんお薬の一包化にも向きません。

エビリファイOD錠の薬価は高い?

OD錠は飲み安く作られているので当然値段が通常より高いと思われるかもしれませんが、実は通常の錠剤と値段は変わりません。
ちなみに1mg錠のOD錠はなく、24㎎OD錠を双極性障害の躁症状の改善目的、うつ病・うつ状態の改善目的には原則保険適応がありません。

以下は2016年4月改訂の1錠あたりの値段です(実際はこの価格の1割ないしは3割負担になります)。

  • 1㎎錠(OD錠なし):31.30円
  • 3㎎錠・OD錠:82.50円
  • 6㎎錠・OD錠:156.70円
  • 12㎎錠・OD錠:297.80円
  • 24㎎錠・OD錠:566.00円

エビリファOD錠はどう使い分けられているか?

薬効も副作用も値段も変わりませんので使い分けている方はそこまで多くなく、病院もしくは薬局の患者さんの事情や在庫事情ということもあるのかもしれません。

24㎎OD錠が双極性障害の総症状の改善目的やうつ病・うつ状態の改善に保険適応からはずされていることから病院によっては通常の錠剤だけを採用しているところもあるでしょう。

内服が困難で水に溶かなければ服用させられないなどの事情があるなら内用液が選ばれるでしょうが、OD錠もありです。
薬理的な事情で、通常の錠剤とOD錠が使い分けられていることはほぼないと言えます。

エビリファイOD錠以外にもたくさんの剤型が存在

エビリファイは非定型抗精神病薬の中でも剤型の種類が多いのが特徴です。
粉薬(散剤)、錠剤、OD錠、内用液、注射とが存在します。

日本では、統合失調症の治療薬として錠剤、散剤の2つの剤形を2006年6月に発売、次いで2010年4月に内用液を発売、そして2012年5月にOD錠が登場したのです(筋注用の注射は2015年5月に発売)。

適応も統合失調症のみにとどまらず、双極性障害における躁状態、うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合)、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対して適応を取得しており、使用される場面も多いお薬です。

さらにエビリファイは大塚製薬から発売され、世界各国に広まっておりその売り上げも2010年度で約4,000億円あり、世界の医薬品売上トップ10に入る薬剤なのです。
これらの事情をふまえても、エビリファイのその需要の高さがこれだけの剤型の存在する理由と考えられます。

2017年6月にジェネリックのエビリファイも登場しています(アリピプラゾール)。

まとめ「エビリファイOD錠」

エビリファイは非定型抗精神病薬に分類される新しい抗精神病薬です。
抗精神病薬ですが、その適応は広く統合失調症、双極性障害の躁状態、既存治療に反応しないうつ病・うつ状態、自閉症スペクトラム障害における易刺激性(キレやすい)に効果を発揮するお薬です。

エビリファイは錠剤以外にもOD錠、液体、粉薬、筋肉注射用など様々な剤型が存在しています。

OD錠は口腔内崩壊錠と呼ばれ通常の錠剤よりも溶けやすく、水なしでも飲める仕様で薬効、副作用、薬価も通常の錠剤と同じです。

ただし、湿気には弱いので一度個包装から開けたものを保存しづらかったり、他のお薬と一包化処理ができなかったりなどのデメリットもあります。

 

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