人狼とグループワーク

今回は、僕が大好きなゲームで最近流行にもなってきている「人狼じんろうゲーム」についてお話します。
そして、その人狼ゲームをグループワークのセッションとして患者さんにやって頂いた時のことを書きたいと思います。

人狼ゲームとは

まずは、人狼ゲームとはどういうゲームかということを説明します。
人狼ゲームとは、概ね8人以上の集団で行う、「誰が人狼なのか」という推理と議論と駆け引きのゲームで、気軽に知らない人達と一緒に人狼ゲームを楽しめる一人でも行けるお店まで出来ているほどブームになっているゲームです。

人狼ゲームのプレイヤーは、村人たちを襲う人狼が紛れ込んだ「村」の人間として、まずゲームの開始時に役割カードを配られます。
そのカードには「人狼」のカードと「村人」のカードがあり、「村人」を引いたプレイヤーは誰が人狼か推理し、人狼を追放するように、「人狼」を引いたプレイヤーは自分たちが追放されないように、ときには無実の村人に人狼の疑いをかけたりしながらゲームを進めていくことになります。

ゲームは昼のターンと夜のターンというのがあり、昼のターンではプレイヤー全員が制限時間内で「誰が人狼か」を議論、制限時間が終了したらプレイヤー全員が誰が人狼だと思うかを投票し、最多得票のプレイヤーが追放されます。
夜のターンではプレイヤー全員は目をつぶり、人狼のカードを引いたプレイヤーだけが目を開けます。
そして、その時に襲う村人を一人指定して、GM(ゲームマスター)と呼ばれるゲーム進行役の人にジェスチャーで伝えます(言葉を発したら誰が人狼かバレてしまう為)。

つまり一回の昼のターンと夜のターンで村から二人の人間が追放されることになります。
こうして、どんどん村全体の人数が減っていき、最終的に人狼全員が追放されたら村人チーム(村人のカードを引いた人達)の勝ち、村人と人狼の数が同数になったら人狼チームの勝ちとなります。

しかし、何も推理材料がない中で「誰が人狼か?」ということを議論していても、勘に頼るしかないので、通常多くのゲームの中では「村人」「人狼」のカードだけでなく、「役職」と呼ばれる特殊能力を持った村人のカードも配られることになります。

役職の中でポピュラーなものをご紹介します。
これらの役職は先ほどお話した夜のターンでGMから「占い師さん、目を開けてください。」というように一人ひとり呼ばれ、各自の行動を取ることになります。

人狼ゲームで割り当てられる役職

村人チームの役職

占い師(もしくは予言者)

夜のターンでプレイヤー一人を指定して、その人物が「人狼」かそれ以外かを知ることが出来ます。
占いたいプレイヤーの指定はGMに対してジェスチャーで行い、そのプレイヤーが人狼かどうかもGMからジェスチャーで伝えられます。

霊能者(もしくは霊媒師)

夜のターン、その日の昼のターンで追放されたプレイヤーが「人狼」かそれ以外かを知ることができます。その判定はGMからジェスチャーで伝えられます。

騎士(もしくはボディーガード、狩人)

夜のターンでプレイヤー一人を指定して人狼の襲撃から守ることが出来ます。
もし人狼が襲撃先に指定したプレイヤーと騎士の守り先が一致した場合、「GJ(グッジョブ)」といって、その日には夜のターン誰も追放者が出ないことになります。

ハンター(もしくは猟師)

自分が昼のターンで投票で追放されるとき、もしくは夜のターンで人狼の襲撃に遭って追放される時、自分のカードをオープンし、一人のプレイヤーをその場で指定して道連れにします。うまく、人狼を道連れにできれば村人チームにとっては非常に有利に働きます。(もちろん逆もあります。)

人狼チームの役職

狂人(もしくは多重人格)

村人でありながら人狼に味方する役職です。
人狼チームが勝利すると、一緒に勝利します。人狼チームですが、誰が人狼かは分からず、占いや霊媒師の結果は「人間」と出ます。
人狼も誰が狂人か分からないので、うっかり村人と間違えて襲撃してしまうこともあり得ます。
人狼を勝たせるように立ち回るのが狂人の役目なので、通常村人側の役職である占い師や霊媒師を騙ったりして村の議論をかき回して人狼をサポートします。

人数のバランスによっては、狂信者と呼ばれる、人狼が誰か知っている狂人(人狼側からは分からない)、眷属と呼ばれる、人狼がGMから呼ばれる時に一緒に起きて襲撃先を決められる狂人を入れることもあります。

人狼ゲームの意味

人狼ゲームというと、嘘をついて騙すゲームというイメージがありがちですし、実際そういう側面があるのも確かですが、僕個人としては、「いかに自分が村人だと信用されるか」という信用を勝ち取るゲームだと思っています。これは、いろいろな場所で人狼の交流会を開いている僕の友達がよく言っていることなのですが、僕もその通りだと思って人狼ゲームをプレイしています。

どうしたら自分が信頼を勝ち取れるかというゲームなので、このゲームを通して「相手に信頼されるためのコミュニケーションスキルを身につけるトレーニングになります。
ということは、今までお酒がないと他の人の前で話せないという方も数多いアルコール依存症の方々にもこの人狼ゲームを通して楽しんでもらいつつ、コミュニケーションスキルを身につけてもらうというセッションはできないだろうか?

そんなことをずっと考えていたのですが、なかなか人狼ゲームを集団精神療法として行うのには時間が必要で、日々の業務が忙しい中では実現が出来ませんでした。

それでも、前の病院をやめる直前になって業務がだいぶ楽になり、時間もできたので一度試験的に患者さん達に人狼ゲームをやってもらう(僕が司会進行のGMとなりました。)というセッションをやりました。

アルコール病棟の患者さん達は本当にバラエティに富んでいて、働き盛りの若い人から少し認知症が始まっているお年寄りまで色々な方がいますので、そういう中で少し複雑な役職とかもある中(狂人とか・・・)、ルールが難しくて楽しんで貰えるのだろうか?と不安もありましたが、実際ゲームが始まってみると、どの患者さんもみんな表情を輝かせながら楽しんでいました。

普段大人しくて、なかなか自己主張できずに自分の思いを押さえ込んでいた患者さんが人狼のカードを引いてサラッと嘘をついて生き残って勝ったり、認知症が始まっているお年寄りの方も、人狼を引いていたのに「俺は村人だよ~、人狼じゃないよ~。」って言ってうまく切り抜けて勝ったり。

そうかと思えば、村人の時に初日で追放されても「疑われちゃったな、まいったな。」と言いつつも楽しんでいたり。
もちろん患者さんに楽しんで貰えるように雰囲気作りはしたつもりでしたが、自分が予想した以上に患者さん達は夢中になっていて、随所に良いプレイが出ていました。
人狼ゲームで熱くなってくるとありがちな喧嘩口調なども全く見られず、空気が悪くなることもなかったことも良かったですね。

人狼ゲームの最後には、「この人のこの発言が良かった。」とか「もっとこのように言っていれば信じてもらえたかもしれない。」と軽くGM(ゲームマスター)の立場からフィードバックしましたけれど、こういったゲーム後の振り返りもみんなで議論しながら出来ると、もっと有意義なセッションになっていくかなと思いました。

最近では就職面接などにも取り入れられているという人狼ゲーム、精神科医療の現場でも集団精神療法として取り入れられていくと面白いのではないかなあと、人狼ゲーム愛好家の一人として思います。

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