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医者が教えてくれない精神科のことを医師がわかりやすく解説

高齢者の治療は病気に対してではなく違う視点からも

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
高齢者の治療は病気に対してではなく違う視点からも
Dr.G
高血圧、糖尿病などその治療目標の血圧値や血糖値は各学会のガイドラインでも示されていますが、本当にその通りにしていくことがその方にとって良いのでしょうか?

高齢者の治療には別の視点も必要?

高齢者ではもともとの臓器の機能が若い方に比べ落ちていることが多く、ガイドライン通りの指標で治療を行えばふらつきや低血糖のリスクが高まり、それによって転倒・骨折しようものなら一体なにが正しいのかわかりません。
また薬物そのものも肝障害、腎障害をはじめ、認知機能の低下にもつながります。

これらを考えたとき、高齢者に対する医療のあり方については、疾患そのものを診るというより一人一人の人間を診るという意識が非常に大切なのではないかと思います。
疾患があるから治療するという考えは間違ってはいませんが、個々の生活機能のレベル、置かれた環境、生命予後に応じて対応を考えることも医療者にとって重要な役割であると考えます。


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高齢者の食欲不振に処方されるお薬はよく効きますが・・・

 

上記は一般的な診療科での話ですが、心療内科・精神科も例外ではありません。
食欲がなくなってきたという訴えに対し、よくスルピリドという薬が処方されます。

たしかに効きはよく食欲が増進してくることも多いのですが、歩きづらさやしゃべりにくさ、口が勝手に動いてしまうなどの副作用をそのうち訴え始めます。(現在、日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」は、パーキンソン症状やジスキネジア(口がもごもごなるなど)の副作用が多く、「可能な限り使用を控える」よう推奨しています。)
食欲がなくなってきた原因が、もし心因的な反応だったら本当にこの薬剤が必要だったのでしょうか?

訴えの背景を患者さん本人に聞くと、周囲の環境の問題(家族や経済的な問題など)であることも多いです。
本人はそこからストレスを受けて食欲不振につながっていたなど認知していることは少なく、ただ食欲がでないといって診療所を受診していることも多いのです。そのことを気づかせていくことも医療者の役割なのではないでしょうか?

改善しない症状はより悪循環を招く

症状が治まればまだいいのですが、薬を飲んでも治まらないとなると、必ずほかの病院に受診するようになり、身体に何の病気が隠れているか探し出します。
CTや採血など精密検査を繰り返し、それでも原因が見つからないとなると、本人はその訴えと一生戦っていくことにもなりかねません。

ストレスを本人は認知できず、不安と戦っている状態が食欲不振や不眠、しびれや痛みなどの症状をつくっていることがあるのです。
ここに薬物を処方するだけで本人の背景を考えず対応していくというのは、この症状により固執するようになり悪循環につながります。
そして不安を増強させ、さらに症状を悪化させることにもつながります。

わかってはいるけれど難しいのもまた事実

薬や病気のガイドラインは星の数ほどありますが、もう一度人間だからできる医療というものを考えるときだと思います。
人工知能が今後活躍していくのは医療も同じだと思います。
それでも人間しかできないことを提供するのが我々の役目だと思います。

もちろん忙しい外来診療のなかでこれをやっていくには時間が足りないという声も聞こえてきそうですが。
かくいう私もいつなんどきもこれを実践できるわけではないのも事実です。
しかし、頭の中にこの考えは常にあり時間のある時は少しでもこの対応を心がけています。

 

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