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「受験うつの特徴」受験生を襲ううつ病とは? -医師が教えるうつ病-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
「受験うつの特徴」受験生を襲ううつ病とは? -医師が教えるうつ病-

大学受験に限らず、高校受験、中学受験いずれも受験生には大きなストレスがかかります。
いやいや社会にでたらもっとストレスがかかる、そんなことで甘えていては!と言いたくなるかもしれません。

しかし「受験うつ」はうつ病の1つの形であり、精神論は通用しません。
むしろ本人こそ甘えているだけかもしれないと苦悩していることがしばしばです。

ここでは「受験うつ」についてその症状の特徴を解説します。


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受験うつとは?

「受験うつ」とは受験期になるうつ病・うつ状態の事を指します。
病名というよりは、受験期に多く見られる特徴を示す俗語です。

「新型うつ」も俗語の一つで、正式にこの病名があるわけではありません。
しかし、自分の好きなことは熱心に取り組めるのに、それ以外の物には集中して取り組むことができなかったり、ミスしてしまうという新型うつの特徴はかなり有名になってきています。

「受験うつ」もこの新型うつの特徴を示すことが多く、この新型うつの特徴ゆえ親も本人もまさかうつ病だとは気づかず、結局受験で満足な結果が得られないということになりかねません。

「うつ病」は必ず気分が落ち込んだり、無気力に見えるものだといイメージはかなり強いのですが、むしろこれとは正反対なのです。
もちろんいわゆる通常の「うつ病」の症状が出るケースもありますが、「うつ病」とは判断しづらい「新型うつ」のタイプが非常に多い印象です。

それでは「受験うつ」の症状について見ていきましょう。
以下に示すような症状がすべてでるわけではありません。
どれくらい当てはまれば「受験うつ」なのかは特にきまっているわけでもありません。

症状は通常のうつ病のイメージとは違うのでその特徴を知っておくことが早期に気づいて悪化するのを防ぐために重要です。


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受験うつの特徴と症状

基本的には非定型うつ病の形式をとり、対人過敏や不安緊張の強さ、他人を責める傾向を認めます。

衝動性・攻撃性が高まる

イライラして暴れたり、「うるさい」「ほっといて」など声を荒げたり、一見うつ病とはとらえづらいこの症状が典型的な「受験うつ」なのです。
親への反抗や、学業不振によるスランプ、怠けているだけのように見えることもあります。

それゆえ、親は子供の自分勝手な言動や怠けと思って注意したり叱りつけることで悪循環を招きます。

受験生にとって入試までの短くても1年間、長ければ数年間に及ぶ勉強う期間は高ストレスになります。
成績が右上がりの時には何も感じないことが、成績不振になったり勉強に集中できないことがあると途端にイライラが増し、不安も強まります。

この状況は誰にでもありうるのですが、受験うつでは攻撃性が高まっていることも少なくありません。
イライラがつもりにつもって、声を荒げたり、壁や物を壊したり、暴力をふるったり、ときに自傷行為(リストカット以外にも髪の毛を抜いたり爪を噛んだり)にも及ぶことがあります。

医学部や難関大学を目指す学生にも少なくなく、親からのプレッシャー(親自身はプレッシャーはかけていないと認知していることが多い)もあり、思うように成績が出せないと「不合格になる」「親に申し訳ない」と自爆していくような考えがぐるぐる回りだします。

するとさらに焦燥感に追い立てられ、そこに親が励ましたりアドバイスをすると「うるさい」と声を荒げて、ときに家の物や壁が壊されることもあるのです。

過敏性が非常に高まる

音や光、におい、味などに敏感になります。

一番多いのは「音」です。
勉強中に耳障りな音がたてられればもちろん誰でも反応しますが、受験うつにおいてはドアの開け閉めの音、風呂やトイレの水の音、住宅街をゆっくり通る車の音など、日常そこまで気にしないような音にイライラして集中が途切れてしまいます。

ときに電化製品のモーター音ですら気になってしまうこともあり、周囲家族がどんなに気を付けても「うるさい!」となってしまうのです。

その他、「光」は多少の明るさでもまぶしく感じるため照度を落としたがります(逆に暗闇を以上に怖がって明るくないと眠れない場合もあります)。

受験うつでは過去の嫌な記憶がフラッシュバックする

忘れたくても忘れられないような経験(例えば親や先生、友達に馬鹿にされたり、恥をかかせられたリなどプライドが気づ付けられた経験)は、強く記憶に残りそのときの映像が生々しくよみがえり、イライラや怒り・不安が一気にこみあげます。

周囲の人は、さっきまで普通に接していたのが短時間で不安定な感情になることで気を遣い振り回されることになります。
フラッシュバックは突然やってくることもあれば、TVなどで遠くてもそれに関するワードを見聞きするだけでこの状態になったりします。

そして挙句の果てには、今勉強ができないのはこのフラッシュバックに関連した人のせいだと強く考えるようになります。

様々な身体症状が出る!(肩こり・頭痛・あちこちが痛い・だるい)

長時間勉強すれば誰でも肩が凝ったりはするものです。
しかし、「受験うつ」においてはいくら休んでも肩こりはおさまらず、頭痛や身体の痛みをうったえるようになります。

慢性的な疲労感も強く、「身体が鉛のように重く感じる」は新型うつ(非定型うつ病)でも見られる症状です。

常に不安緊張が強く、力が抜けていなかったり、ずっとぐるぐる頭の中で考えていることが多く眠りの質が悪かったり、逆に過眠傾向になります。

受験うつでは依存的になる「スマホが離せない!」

受験うつに限らずスマホが離せないのは現代の多くの人に当てはまるかもしれません。
しかし、受験うつにおいてはそれが特に顕著でゲームをずっとやっていたり、ネットで検索を何時間でもずっとしてしまいます。

そして夜行性になってしまい朝方までずっとやってしまっている場合もあります。

楽しくてゲームがやりたいというよりは、やっている間が楽であるという感覚があり、そのために結果スマホ依存になってしまっていることが少なくありません。

スマホ依存の状態をみて、このことが勉強を邪魔していると考え親はスマホの使う時間について約束したり、ときに取り上げることもあるでしょう。
しかしスマホ依存だけをとって、スマホを取り上げれば解決というわけではありません。
過食やときに自傷行為(髪を抜く、リストカット)などの行為になることもあります。

結局のところ、抑えられない衝動性や不安感、イライラから解放されるのにスマホをしている時間が楽というだけで取り上げれば別の行動でそのその衝動性や不安感から逃れようとするだけです。

寝る時間、起きる時間がバラバラになる

必ずしも夜行性になって朝が弱くなるわけではありませんが、かなりの頻度で認めるように思います。

あたかも1日が24時間でないかのように、生活のサイクルがどんどんずれていきます。
夜中にスマホやパソコンでネット検索したりゲームをしていることが増え、朝は起きれなくなります。

朝に弱い、低血圧だからと考えている人も多いですがそうではありません。
むしろ親が起こすとイライラして親に怒ることもしばしばです。

夜は調子よかったのが、朝になると「学校に行けない」となったり「お腹が痛い」など身体の不調も現れます。
そしてやっとの思いで朝起きたとしても、なかなか動き出せずエンジンがかかるのは午後になってからという方も多いです。

また過眠といって1日中(12時間以上)寝ているという方もいます。

お風呂に入るのを嫌うようになる

これは通常のうつ病でもよく認める症状です。

風呂に限らず、行動に移すことが極端に面倒な感覚に陥るためです。
着替えや歯磨きでさえ面倒になってしまうことがあり、清潔に関しては特に気にしなくなることもあります。

閉じこもりがちになる

家から出ないに始まり、ときに部屋からすら出なくなることもあります。
風呂に入らなくなるという説明もしましたが、行動を起こすことが極端に面倒に感じるようになります。

何か言われるのではないかと不安に思い、人に会うことを嫌がるようになり結果的に閉じこもりがちになっていきます。
親は外に連れ出そうとしますが、外に連れ出したからと言って改善する傾向を認めないばかりか、より疲労感を訴えることもあります。

特別な理由なく、食事を部屋に運ばなくてはならなくなっていたら要注意です。

まとめ「受験うつとは?」

受験うつは、勉強に集中できないことが続いたり、学校や塾に行けない、夜行性になり変な時間に起きているようなことから気づかれます。
しかし、最初はそれがまさかうつ病の1つの形とは気づいていないことが多いでしょう。

身体症状も多く、内科などにかかると自律神経失調症と診断されていることも少なくありません。
身体症状は決して仮病ではなく、本当に本人が感じているものです。
しかし病院にかかっても明らかな原因がわからずこのように診断されるのです。

これらのことを知らずに受験うつと接すれば、どうしても説教じみた発言をしてしまいがちになります。
本人からすれば120%の力を出しているにも関わらず、そのパフォーマンスであることにすごく不安を感じています。
そこに、親や先生からの叱責がされれば自体は悪化してしまいやすくなります。

さらに注意すべきことは、非定型の特徴を伴う(従来のうつ病とは違うイメージ)このうつ病は、周囲にもどのように接すればよいか困惑させ過大なストレスを与えることから、親もうつ状態になりやすいことです。

【参考書籍】

 

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