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受験うつチェックとその原因 -医師が教える受験鬱-

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
受験うつチェックとその原因 -医師が教える受験鬱-

「受験うつ」とは正式にこの病名があるわけではなく、俗語です。
しかしこのような俗語がある通り、まれな病態というわけではなく正確な発生頻度は不明ですが少なくはありません。

受験うつは大学受験、高校受験、中学受験など受験期にある未成年者に見られ、その症状は独特です。

共通するのは勉強が手につかなくなること、学校や予備校に行けなくなるもしくは遅刻や早退が目立つようになります。
朝は苦手になり、親が起こしに向かっても起きないばかりかイライラがMAXになり反抗的な対応をとってくることもしばしばです。

昼夜逆転し夜行性になり、スマホ依存状態になります。

一時的に勉強が手につくようになったとしても気分に波があり、前日の夜は明日こそは学校に行くとなっていても朝が来ればまた起きられなくなり学校に行けないとなりがちです。

ここではそんな受験うつについて、受験うつかどうかの判断材料になるチェック項目とその原因について考えてみましょう。
(受験うつは俗語ですから、医学的根拠というよりあくまで私的な意見となります。)


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受験うつチェック

受験うつという正式な病名が存在するわけではないので、具体的に何項目満たせば診断できるというものではありません。
ただし、「受験うつ」は特徴的な症状をもつ1つのうつの形で、気力や放っておいてよくなるものではありません。

現在日常生活に一部支障が出始めており、以下の症状の特徴に心当たりがある場合には医療機関に相談してみるのが良いでしょう。

<受験うつチェック>

  • 朝が苦手である
  • 朝起きれたとしてもエンジンがかかってくるまでにはタイムラグがある
  • 昼夜逆転の生活になっている
  • 身体が常に重い感じがする
  • 慢性的に肩こりが強い
  • 学校や予備校に行くまでがおっくうである(行ってしまえば大丈夫な感覚がある)
  • 学校に行けない理由は自分でもよくわからない(昼夜逆転の生活のせいだと思っている)
  • 過眠になることがある(たくさん寝すぎてしまう)
  • 依存傾向が強い(親やスマホゲーム、ネットなど)

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受験うつの原因とその背景

受験うつの背景にある子供の考え方を知っておきましょう。

現代の環境において、子供たちは多くの場合で欲しいものが手に入りやすく、無意識に「周囲は自分に合わせてくれるものだ」と考えてしまいがちです。
成長の過程で社会性が備わるとこの考えは修正されるものですが、ときにこの感覚がさらにエスカレートして「自分は特別扱いされて当然である」となり自己愛を深めてしまう子供がいます。

実はこの自己愛が深まっていくことが「受験うつ」の種になってしまうのです。

「自分は特別扱いされて当然である」「自分は常に注目されていたい」という自己愛が膨らむと、「難関大学に合格するのが当然だ」とエリート思考は高くなります。
目標を高く設定し努力することは悪くありませんが、「自分は特別である」感覚が強い状態にあると、プライベートや勉強で問題が起こると途端に理想と現実のギャップに気づかされ、不安が急速に強まることでいわゆる「受験うつ」になってしまいます。

多くの場合でその原因を自身のせいであると認めることは少なく、周囲に見つけようとします(他罰的たばつてきといいます)。

「あの時、親が〇〇したからだ!」

と、思い込みその考えは修正できない状態になるのです。

受験うつにつながる自己愛は親の問題?

「受験うつ」のその他罰的な特徴は「自己愛」が関連してします。

ではなぜ自己愛が深まってしまうのか?

この質問に医学的根拠を持って答えるのは非常に難しいでしょう。

子供は無意識に「周囲は自分に合わせてくれるものだ」と考えてしまいがちです。
これは悪いことではありません。
赤ちゃんのときには、すべてを親に頼るしかないからです。

そして、成長の過程で親との関係だけでなく外に出て社会性が備わっていくとこの考えは次第に修正されていきます。
自己中心的な考えから、今度は相手はどう感じているのかをとらえ相手の目線からの発言や行動が備わっていきます。
このようにして「自己愛」は適度な枠におさまります。

しかし、ときにこの「周囲は自分に合わせてくれるものだ」という感覚が修正されるどころかさらにエスカレートして、「自分は特別扱いされて当然」となり自己愛を深めてしまう子供がいます。

結果「受験うつ」の他罰的な特徴を助長させると考えられます。

ではこれは親や生育環境のせいなのでしょうか?
それとも脳の発達の問題なのでしょうか?

答えはわかりませんが、いずれもあり得ると私は考えます。

受験うつは親のかかわり方の問題?

現代は個人の主張は尊重され優先される社会になってきています。
極端な話、一昔前では教育的に体罰が与えられたことは珍しくなかったと思います(体罰を正当化するわけではありません)。

今は教師が体罰を与え様なものなら、どんな理由であれその教師はただではすまないでしょう。
親も同様で、通常の家庭においては子供を乱暴に扱うよりむしろ褒めて伸ばそうとする風潮も増えてきています。

しかしひとたび褒め方を間違えれば親はかえって子供をダメにしてしまうかもしれません。
例えばテストの点数が良かったときに、その努力の過程ではなく点数自体を褒めたとしましょう。

子供は良い点数をがとれるできる自分を認め、また同時に親はそうである自分を認めていると強く考えるようになっていきます。
自己愛は強まる方向にいきます。

良い成績をとれている間は何事もなくむしろすべてのことが上手くいっているかのように思うでしょう。
ところが何かをきっかけに悪い点数をとったり、友人関係などでトラブルがあり勉強が手につかなくなったりがあると成績が落ちてしまいます。

自己愛とともに強まった完璧思考からは、そのような自分は認められずさらに悪循環に陥れば逃避傾向(学校や予備校に行かない、ひきこもりがちになる、ゲームなどに依存傾向になる)がでてくるのです。

「本当は普通の自分なのに親が過度の期待をしすぎている」「これまで親のために自分は親の理想を演じてきた」と過度の期待をかけられたことへの不満や不安は爆発するようになっていくのです。

脳の発達の問題?

脳の発達の問題というとかなり語弊がありますが、どうしても自閉度が高く周囲の感情を察知し認知する力が弱いと(俗に空気が読めないといったところでしょうか)、必然的に自己愛が強くなりやすい傾向があります(ただこれを厳密に自己愛といって良いかは定かではないですが・・・)。

もともとは社会性が養われるとともに元々持つ自己愛は薄れて調整されてちょうどよいバランスになっていくのですが、自閉度が高い場合には様々な物事の解釈が自分目線だけになり相手目線ではなくなってしまいます。
その結果、自己愛が強まりやすい?(自己愛が強く見える?)のです。

最近「発達障害」という言葉をよく耳にするかと思います。
発達障害で有名なのはアスペルガー症候群(自閉スペクトラム障害)や注意欠陥障害(ADHD)などです。
これらについては別記事で解説させていただこうと思いますが、自閉度は高い傾向にあり解釈が自身の目線のみになりがちです。

論文などを調べても、自己愛性人格障害と発達障害が比較されてたりするのはどちらも一部似かよった部分をもつからかもしれません。

つまり発達障害のもともとの特性により、相手の目線を正しく認知しにくいところから自己愛が強いような認知をしていることがあるのです。

まとめ「受験うつチェックとその原因」

「受験うつ」という正式な病名が存在するわけではありません。

しかし、とりわけ受験という年齢層および状況下でしばしば発生する非典型的なうつ病があり、それを「受験うつ」と呼んでいます。

この非典型的なうつを正式には「うつ病(非定型ひていけいの特徴を伴うもの)」、通称「非定型うつ病」、俗には「新型うつ」とも呼ばれています。

つまり受験うつとは、新型うつの中でも受験生においてみられるものと簡単に解釈できます。

非定型うつ病は対人過敏気分の変動性が特徴です。
これが受験生に起こると、ちょっとした人とのトラブルをきっかけに学校や塾に行けなくなったり、気分の波が顕著になり朝は途端に動けなくなったりします(本人はなぜ学校にいけないのかこの場合にはわからないと答える)。

勉強にも意欲はなくなり、集中力の欠如はときにテスト中にもあらわれ本番に弱くなったりもします。
周囲の音(例えば鉛筆で書く音)が気になり始めたり、周りの人が貧乏ゆすりをはじめるとそこに注意がいき集中できない例などもあります。

原因は明確ではありませんが、その他罰的な特徴は親に原因があるとも、発達障害的な特性をもつためなどとも言われていますが明確なものは不明です。

一時的に子供が怠けているだけだとして様子を見ていることが多いのですが、逆にこの状態の子供の周囲へのストレスも強いため親がまいってしまっていることもしばしばです。

早めに医療機関に相談することが大事です。
ただし、子供が受診を拒否することが多いのでタイミングは子供のSOSが見えた時となります。
そうでなければより拒否反応が強まり、精神病扱いしたと事態が悪化することもあります。

【参考書籍】

 

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