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うつ病との接し方、「死にたい」にどうしたらいい?

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
うつ病との接し方、「死にたい」にどうしたらいい?

一概にうつ病といっても、その原因は人それぞれです。

ですから同じうつ病でも対処法は人それぞれなので、その方に合った接し方をすることが重要です。

共通して言えるのは、うつ病の診断を受けている場合に「そんなのは心の問題だ」「心の弱い人がなる病気だ」とせずに、脳という臓器の機能障害であることを理解してあげてください。

うつが「心の病気」というのは間違った解釈なのです。

一般的に、発病初期は休養が重要ですが、回復期には散歩など少しずつ負担をかけていくことが有効とされています。
ですから、経過によって接し方を変えていくことが必要です。

この判断は専門家でなければ難しいかもしれません。かかりつけの医師や心理士と相談しながら、その方に合った適切な接し方を一緒に考えていきましょう。
適切な指示のもと具体策を考えていくことが、その方にとってもあなたにとっても安心できる方法になるはずです。

ここでは「死にたい」と言われた時の基本的な対応と大事な考え方についてお話します。


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「死にたい」と言われた時の接し方の原則

うつ病の方との接し方に困ったときには、温かな関心を向けながら見守るということを心掛けてください。

とはいってもこれが非常に難しいのです。
どうしても「死にたい」と言われると、「どうせ死ぬ気なんてないくせに」と面倒だと離れていく人もいますし、逆に何とかしようと一生懸命になりすぎてそのことが逆効果になってしまいがちだからです。

大事なことは、原則「責めない」「無理に話をさせない」「無視しない」ことです。

そして、本人が話しはじめたら、否定も追及もせずただ聞くようにしましょう。
そうすることで、受け入れてもらえるように感じられ、気持ちが楽になるのです。

とはいっても、この接し方をしたからと言って即座に相手の反応が変わるわけではありません。

ただ、相手の気持ちが楽になる機会を作れるかがとても大事です。

温かな関心を向けて見守るつもりで
「責めない」「無理に話をさせない」「無視しない」

もし、自殺をほのめかすような発言が見られたら

うなだれる女性、自殺したいうつ病 

自殺をほのめかされたら大変困惑すると思います。

そんなときには、死ぬことではなく「死にたい気持ち」に焦点を当てて話を聞いてください。
「死にたい」の背景にある気持ちは「死にたいほどつらい、助けてほしい」なのです。

本当は「生きたい」のです。

今どんな気持ちなのか、どうしてそう思うのかなどについて本人のペースに合わせてゆっくり話を聞いてあげてください。

本当はあるはずの拠り所に気づかせてあげること、落ち着かせてあげることで見失っている拠り所に目を向かせてあげられるかが大事です。

あなたと約束を交わすのも良いでしょう。
直接約束してもいいですし、食事や外出の約束をしてもいいかもしれません。

一点注意したいのは、抗うつ剤を飲んでいる場合、副作用で衝動性が出てしまうことで死にたいとなっていることがあります。
この場合には飲んでいる薬剤について主治医と相談することが大事です。

うつ病の人と接する側も注意が必要!!

うつ病と接していると、周囲もそれに巻き込まれている例が良くあります。

そばで見守るあなたの健康も大事です。
あなたが心配のしすぎや悩みすぎで体調を崩してしまうと、共倒れになってしまいます。

そうならないためにも、これまでと同じように、あなた自身が趣味や息抜きをしてリラックスをすることが大切です。

医療機関によっては家族の相談に対応してくれるところがあります。
地域の精神保健福祉センターでは家族や周囲の方からの相談も受け付けています。


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医師でも悩む「死にたい」と言われた時の対応

研修医Ji郎
G先生、いつも診療している中で思うんですけど、患者さんに『先生、もう死にたい。どうしていいかわからないよ。』って言われたらどう返してあげればいいんでしょうか?
Dr.G
うん、我々精神科医が診療する中で必ず遭遇する難しい課題だよね。下手なことを言えば患者さんが死を選んでしまうかもしれないし、かといって『死んではいけない』って言ったところで、患者さんにその言葉が届くかどうかわからない。ちなみに、Ji郎君はそういうとき、どんな風に話しているの?

 

研修医Ji郎
患者さんにもよりますけど、大体は、『死にたいと思うほど、今つらい状態なのですね?でも、あなたが死んでしまうと悲しむ人がたくさんいます。僕もその一人です。来週また診察があるので、その時までは死なない約束をしましょう。もし、その時までにお辛いようであれば、途中でもいらして下さい。』というような言い方をしていますね・・・。

 

Dr.G
なるほどね。患者さんの死にたいほどつらい気持ちに共感を示した上で、死んで欲しくないという意思を伝え、死を選ばないですむための最大限のサポートをしたいという意思を伝える言葉だね。そして、『絶対に死んではいけない』という漠然とした言い方ではなく、『少なくとも次会うまでは死なないでほしい』という期限を区切った言い方をすることで、患者さんにより具体的な生きる目標を持ってもらおうとしているよね。
研修医Ji郎
はい、とにかく次の外来まではって約束しているんです。
Dr.G
それで患者さんの反応はどう?
研修医Ji郎
うーん、とりあえず死なない約束を守って外来には来てくれるんですけど、その時も相変わらず『死にたい』という訴えはあって・・・。どこまで自分の言葉が患者さんに伝わってくれたかわかりづらい部分もあります。
Dr.G
なるほど。でも、死なない約束をちゃんと守って、かつ外来にもちゃんと来てくれるという時点で少なくともJi郎君の言葉はちゃんと届いているのかもしれないよ。
研修医Ji郎
でも、いまいちどういう言い方をして良いのかわからないんです・・・。
Dr.G
ちゃんと約束を守ってくれたことに言葉をかけている?外来に来てくれた時に真っ先にまず『よく約束を守ってちゃんと外来に来てくれました。大変だったでしょう?』とねぎらってあげることは大事だよ。
研修医Ji郎
あ、それ抜けてました・・・・・。
Dr.G
本当に『死にたい』と思うほど追い詰められてしまったときって、正直周りから『死んだらダメだよ!』という言葉をかけられたとしても耳に入らないことが多いんだ。
研修医Ji郎
たしかに。死んだらダメって当たり前のことを聞きたいわけではないですね。むしろ何がわかるの?って言いたくなるかも・・・
Dr.G
『自殺とは追い詰められた末の死である』と言われるけどまさにその通りだよ。
研修医Ji郎
「自殺とは追い詰められた末の死である」ですか、たしかに。
Dr.G
り所となるものがあれば、人は自ら死を選ぶことはないと思う。でも、拠り所が何らかの理由で失われてしまったり、もしくは実際にはあるのに見えなくなったりすると『死ぬしかない』という決断に至ってしまうのだよ。
研修医Ji郎
それは何かわかる気がします。恐らく、我々が診ている精神疾患で自殺してしまうケースは、後者の割合が多いのかもしれませんね。現実にはいろいろなサポートを受けられる状況にあっても、うつ状態だったり、妄想状態にあったりすると、追い詰められているように感じて、本当は存在する拠り所が見えなくなってしまうのですね。

 

Dr.G
環境が関係しているケースもあるから、すべてがそうとも言えないけどね。さて、では実際に『死にたいと言われたら』の話に戻るんだけど・・・・

 

研修医Ji郎
そうです、それが聞きたかったんです。

 

Dr.G
まず言えるのは、『死にたい』という訴えは『死にたいほど辛い、助けてほしい。』という気持ちの現れであるということ。多くの場合は、『本当は生きたいんだけど、生きるのがものすごく辛い。』という思いが背景にある。
研修医Ji郎
「生きているのが物凄くつらい」は絶対ありますね。でも本当は生きたいんですよね・・・
Dr.G
だから、まずはその辛さに共感を示すこと。患者さんの状態によっては、その共感を示すだけで精一杯だという場合もあるけど、次にできることとしては、生きるより所を何らかの形で提供してあげること。Ji郎君の「次の外来でまたあなたに会いたい。」という気持ちを示すことも一つの方法だと思うし、具体的になんとか出来そうな方法が提案できる状況なら、『こうしてみてはどうだろう?』と提案してみるのもアリだと思う。そして、さらに言うと、患者さんのご家族が『うちの子が『死にたい』と言ってきたときにどうしたらいいですか?』と言ってきた場合でも同じことをお話ししてあげられるといいのかな、って思うよ。
研修医Ji郎
「本人の死にたいほど辛い気持ちに共感を示すこと」「生きる拠り所を何らかの形で提供してあげること」ですね?覚えておきます。
Dr.G
本当はもっといい方法、うまい接し方というものがあるのかもしれないけど、僕としては、基本的な心構えとしてこの二つをしっかり押さえておければいいのかな、って思うよ。
①「死にたい」の背景をよく理解する。『死にたい』という訴えは『死にたいほど辛い、助けてほしい。』ことを意味する。まずはその辛さに共感を示すことが大切。

②拠り所となるものがあれば、死を選ぶことはない。拠り所が何らかの理由で失われてしまったり、もしくは実際にはあるのに見えなくなったりすると『死ぬしかない』という決断に至ってしまう。生きる拠り所を何らかの形で提供してあげることができたらなお良い。

 

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