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医者が教えてくれない精神科のことを医師がわかりやすく解説

「うつ病で仕事できない、行けない時はどうすればいい?」に専門医がお答えします

このコンテンツは医学論文データベース「PubMedパブメド」とわたくし医師個人の経験をもとに、正しい情報をわかりやすく解説することをモットーにしています。
「うつ病で仕事できない、行けない時はどうすればいい?」に専門医がお答えします

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はじめに

2015年12月に労働安全衛生法の改正によって、労働者の精神状態を1年に1度チェックすることを義務付けた「ストレスチェック」。
2016年現在は従業員50人以上の事業所に対し実施が義務づけられていますので、50人未満の事業所ではチェックされた覚えはないという方もいるでしょう。

ストレスチェックの狙いは労働者が自分のストレス状態を知って早めに対処し、うつなどを予防することにあります。
自殺やうつによる経済的損失は、2009年で約2.7兆円に及び、2014年の自殺者は2万5427人、うち実に2227人(およそ10%)が勤務問題を苦に命を絶っています(厚生労働省)。

ここからもわかる通り、仕事のストレスはうつにとって無視できない問題なのです。仕事できない状態に陥る前に救済するのが理想というわけです。

高ストレス状態は要注意

ストレスチェックで高ストレス状態と出た場合でも、自覚症状のない方が見受けられます。
いわばなんとか気力で乗り切ってしまっている状態なのでしょう。
本人が希望すれば産業医と面談ができるのですが、本人に自覚症状がなければわざわざ面談しないでしょう。

しかし、その後をフォローしていくと、後々仕事に行くのが辛いと訴えるようになってきて、「そういえばあの時、高ストレス状態とでていました。」という患者さんも散見されます。
高ストレス状態と出た場合は自身でもそれを気に留めておく必要はありそうです。そして朝仕事に行くのが辛いとか、仕事の効率が落ち始めたら早期に対応するようにしましょう。

これってうつ病?どこから病気?

うつで仕事できない
この明確な線引きは非常に難しく、あいまいさがあります。(現在は光トポグラフィー検査が診断を補助するのに使用される客観的な検査です。)
とは言っても自分でもある程度の指標は必要です。

そこで「二質問法」というものがあります。

  1. この 1 ヶ月間,気分が沈んだり,憂うつな気持ちになったりすることがよくありましたか?
  2. この 1 ヶ月間,どうも物事に対して興味がわかない,あるいは心から楽しめない感じがよくありましたか?

この2項目のうち最低1つ満たすかによって、一般診療におけるうつ病のスクリーニングとして十分であることが米国で示されており、日本の職域でのうつ病スクリーニングにも有用であることが言われています。

そしてもう一つの判断基準に「不眠」があります。現時点でうつ病を発症していなくても不眠を訴えている患者は3年以内にうつ病を発症する危険率が不眠のない人たちに比べて4倍高くなることが言われています。

ですから、不眠の訴えがあればうつ病の発症をまず疑い、2項目質問票の1つにチェックがつくならすぐに医療機関を受診し、その時点で仮にうつ病が発症していなくても、今後うつ病が発症する可能性を考えておきましょう。

参考文献

  • Riemann D, Voderholzer U : Primary insomnia : a risk factor to develop depression?. J Affect Disord 2003 ;76 : 255―259
  • 尾崎紀夫:不眠の訴えからうつ病診療へ 一般診療における留意点.日経メディカル 2005 ; 三月号 :132―133
  • Whooley MA, Avins AL, Miranda J, et al : Case-finding instruments for depression. Two questions are as good as many. J Gen Intern Med 1997 ; 12 : 439―445
  • 鈴木竜世,野畑綾子,金 直淑ほか:職域のうつ病発見および介入における質問紙法の有用性検討:Twoquestion case-finding instrument と Beck Depression Inventory を用いて.精神医学 2003 ; 45 : 699―708

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うつで仕事ができない状態になってしまったときにはどう対処したらよいのでしょうか?

うつで仕事できない状態とは

うつで仕事できないとは以下の状態を指します。

  • ミスが多い(注意散漫)
  • 集中力がなく、仕事が進まない(集中力低下、仕事の能率低下)
  • 人の話や文章が理解できない(理解力低下)
  • 考えがまとまらない(思考力低下)
  • 些細なことでも判断、決断できなくなる(判断力、決断力低下)
  • ふとした時に悲しくもないのに涙が出てくる(感情失禁)
  • やる気が起きなくなる(無気力感)
  • 身体がだるい、重い(疲労感、倦怠感)
  • 気分が落ち込み、仕事が手に付かない(抑うつ気分)
  • 夜に十分な睡眠が取れず、日中の眠気が強い(不眠)
  • 遅刻・早退・欠勤が増えている

その結果、

  • 上司に怒られる
  • 残業、休日出勤が増える
  • 仕事ができない自分が嫌になる
  • 仕事が辛くなる、仕事に行けなくなる

という悪循環に陥っていきます。

どう対処するのが良いか?

うつで仕事できない
症状が出るに至ったきっかけを探して改善することができればよいですが、もちろんそれが難しい時もあります。

現時点で既に仕事できない状態であれば、今後自然に改善する可能性は低いでしょう。かえって無理することでより悪化していく可能性さえあります。

自分の今の状態がうつ病なのかは自分ではわかりません。
心療内科、精神科で専門医に診てもらうことも考慮しましょう。家族、友人、恋人、職場の人、産業医など信頼できる人に相談することも有効です。
今の自分の状態について他の人に知っておいてもらうことで、今後の仕事や生活についての相談もしやすくなるでしょう。

また、最近は脳疲労というとらえ方からストレスに対応する科学的な方法として「マインドフルネス」という手法もあります。
アメリカのイェール大学医学部を卒業し、現在はロサンゼルスで開業しマインドフルネスやTMS磁気刺激など脳科学の最先端の治療を取り入れたクリニックを開業されている久賀谷 亮くがや あきら先生(精神科医・医学博士)の著書「世界のエリートがやっている 最高の休息法-脳科学×瞑想で集中力が高まる-」では、その脳疲労に対するアプローチが紹介されています。
グーグルやフェイスブックなどアメリカを代表する企業ではマインドフルネス研修が取り入れられているようですし、アップルの創業者である故スティーブジョブス氏も、マインドフルネスの実践者であったようです。

仕事をどうする?

次に考えるのが、仕事をどうするかだと思います。いくつかの選択肢がありますが、

  • それでも今の状態で続ける
  • 仕事の負担を減らしてもらう
  • 休職する

などの方法があります。
では具体的にどうしたらいいでしょうか?

うつ状態のときはマイナス思考になりやすく、このことが効率を下げて仕事できない状態をつくります。

「これ以上働いていても周囲に迷惑をかけるだけだ。遅刻早退も増え、周囲からは怠けていると思われているんだろうか。辞めよう。」と極端な考えにになってしまいがちになるのです。

また、正しい判断をするための前頭葉の機能が落ちることから、安易な結論を出してしまうという、YesかNoかといった二分法、白黒思考と呼ばれる思考パターンに陥るのです。
いったん落ち着いて、会社(上司、同僚、人事、労務など)に自身の現状を素直に説明するのがいいでしょう。

うつで仕事できない状態であることを会社に報告する

うつ病に対しては言葉は浸透したものの、世間は十分に理解しているとは言えないでしょう。

未だに、うつ病になるのは「心が弱い」「ストレスに弱い」せいで、気合いが入っていないだけの単なるなまけ者、甘えであると考える人もいます。

だからと言って、うつ病が「脳(特に前頭葉)」という1つの臓器の機能不全であることを一生懸命話したところでその考えが変わるわけでもありません。

しかし、こんな見方もできます。うつ病を隠すことで周囲に「仕事への意欲がない」「なまけている」「甘えている」と誤解されて見られているかもしれないことです。また、うつ病を隠して仕事を続けると、悪循環に陥って余計にストレスを溜め込んでしまうことにもなりかねません。

まずは、きちんと自分の病状を職場に報告し、周囲からサポートを受けられるような状態を整えておくことが重要です。話してみると上司も「昔自分もうつ病だった。」ということを逆に聞いて安心したという患者さんもいらっしゃいます。

症状が改善するまで休職する

「仕事を辞めよう」
「転職すればなんとかなるかもしれない」

このように考えているうつ病・うつ状態のかたは非常に多いです。

「怠けているのではないか」
「甘えているのではないか」
「この環境が悪い」

という思考を持つことでこのような考えになるのですが、うつ病・うつ状態に陥ったために仕事できない状態にあるのであり、決して怠けや甘えなどではありません。

ですからまずは、「会社を辞める」という判断ではなくそれなら「休職」をとるようにしましょう。

休職には通っている病院の医師から診断書を書いてもらい提出する、産業医がいるなら相談するなどして、休養の手続きを進めることができます。また、休職にともない有給休暇や健康保険加入者を対象とした傷病手当金などが活用できる場合があります。社会保険事務所、もしくは会社の総務・労務・人事など担当の部署に確認してみましょう。

「休職は絶対にできない!」そんな時はどうしたらいい?

うつ病の治療では休養は有効な手立ての1つです。ですから働きながら治療を受けることは必ずしも望ましいとは言い切れません。

それでも休職できない状況というのも現実問題あると思います。
その場合は、うつ病の症状が軽いことが前提で、その中で無理な働き方をしない、必要な時には休養を取ることができる環境を整えておきます。
そのためにも会社には必ず自分の病状を報告し、業務内容や勤務時間も配慮してもらえるようにする必要があります。
報告することで「それなら少し休んだ方がいいのではないか?」と逆に会社から言ってくれる場合も非常に多いです。

いつも通りに働き続けていると、うつ病が悪化した時に、業務にも影響を与えてしまう可能性があります。
もし働きながらうつ病の治療を行う場合は、自分ひとりの問題と捉えず、周囲のサポート・情報共有を心がけるようにしましょう。

自分でこうすべきと決めつけず必ず医療機関と相談し、必要に応じて診断書を出してもらう場合もあるでしょう。

大切なことは仕事を勝手に辞めないこと

「仕事辞めようかな?」という考えが出てくるかもしれませんが、今の状態で大きな決断をすることは避ける方が賢明です。
うつ病の状態では極端な思考になりがちになり後々後悔することもありますし、仮に休職になったときには傷病手当も申請することが可能です。

「今辞めるか」「辞めないか」の二択ではなく、「一度ゆっくりと期間をおいて考える」「誰かに相談する」ことが必要です。
仕事できない原因がうつ病にあると分かれば、治療をすることで症状が軽快し、仕事ができない状態も改善されるでしょう。

仕事がなくて困っている場合

仕事を辞めないことが大事とはいっても治療が長引いたり、都合によって退職せざるを得ない状況ももちろんあります。

うつ病・双極性障害の治療が長引いて仕事をやめざるを得ない状況になってしまった場合、ある程度コントロールがついても次に問題になりやすいのは次の仕事をどうするかです。

もちろんやらなければいけないこと、次にやるべきことが決まっていれば別かもしれませんが再び同じ状態になったらどうしようという怖さもあるでしょう。

ながらく働けていなかった場合、通常の職務への復帰に不安があるなら障害者手帳(精神障害)を取得して障害者枠での雇用も可能です。
ハローワークに通っているけどなかなかないという場合、障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】
などの精神障害がある方用の転職サイトもありますので利用してみるのも良いでしょう(障害者のことを一番に考えた求人の仕組みになっておりますので、登録だけでもしておくと何かと便利です)。

専門家の立場から

産業医の立場から

うつで仕事できない 産業医
社員から希望があればいつでも面談することができます。
会社の人事・労務と社員の間を中立的立場で介入し、社員からは職場環境のストレス因子や、異動などの希望を聞き必要があれば職場環境の調整をすることも可能です。

また直接上司には言えないことも相談頂いたりすることがありますが、もちろん守秘義務で守られていますので安心して相談してみてください。

異動した方が良いか、就業制限した方が良いかを会社の人事・労務と調整していきます。
休職になる場合には、主治医の診断書が必要になります。
基本的に休職した場合、完全に良くなってから復職してくださいと言わざるを得ないですが、実際問題は復職には結構なストレスがかかることが多く、徐々にフルタイムで勤務していくように支援していく場合もあります。

精神科専門医の立場から

うつで仕事できない 精神科
まずは、しっかりと問診をして現在の状態を把握します。
うつ病を疑う場合には光トポグラフィー検査という客観的に現在の状態を評価できる検査機器も有用です。

その結果、必要に応じて休職をすすめ、休職する場合には診断書を発行します。この方法はストレス因子が職場にある場合には有効です。

ただし、ストレス因子が仕事ではなく、家庭の事情などプライベート、借金などの経済的な問題の場合は休職が逆効果になる場合があります。職場が直接のストレス因子でなくとも、うつでは過敏性がでてくるため、職場で起こったちょっとしたトラブルが落ち込みやイライラにつながり、抑えきれないで問題になる場合もあります。

職場にも影響がでて仕事できない、仕事行けないということがあるためこの辺のストレス因子をしっかり整理していく必要があるでしょう。

経過次第では抗うつ薬を中心に薬物療法を始める場合もあります。どうしても改善なく、薬を飲みたくない、薬の副作用(眠気・だるさなど)が辛い場合、現在は磁気刺激治療(TMS)という薬を使用しない治療方法もあります。

精神保健福祉士からのアドバイス

うつで仕事できない

精神保健福祉士
医療機関にかかって治療が必要になってしまった場合には以下の制度が受けれます。自分で申請するものなので知らないと受けることができないものです。

自立支援医療費制度

制度の概要

通院治療の負担軽減を目的とした制度です。
医療保険は医療費の3割負担が基本ですが、この制度を併用すると負担が1割に軽減されます。
実際には所得に応じて、それ以上に軽減される場合もあります。

申請方法

お住まいの区市町村が申請窓口となります。
必要書類は役所窓口にある「自立支援医療費支給認定申請書」が、別途マイナンバーの記入と主治医の記入する「自立支援医療診断書」が必要になります。医療保険の被保険者証と所得を証明する書類(課税証明書など)も一緒に提出します。

申請後の流れ

認定された場合、都道府県知事から「自立支援医療受給者証」が交付されます。
ただし、自立支援医療制度が適用される医療機関・薬局はすべての機関ではないことに注意しましょう。
有効期間は1年間で、治療が長引く場合は更新手続きが必要になります。

精神障害者保健福祉手帳制度

制度の概要

精神障害を持つ方が一定の障害にあることを証明し、この手帳を持つことにより税金の減額、公共交通機関(バス、電車、タクシーなど)、NHK受信料、NTT・携帯電話料金などにおいて割引が受けられます。

障害者手帳(精神障害)を取得して障害者枠での雇用も可能になります。

申請方法

お住まいの区市町村窓口にある申請書(マイナンバーの記入が必要になりました)、診断書を提出します。
診断書は専用の用紙があり、初診から6か月経過している必要があります。
等級は重症なものから1-3級までありますが重症度によっては発行できない場合もあります。

その他

有効期間は2年間です。

傷病手当金

制度の概要

うつで働けずに仕事を休み、給料が支払われない場合や給料が下がった場合、その間の生活に対し健康保険から受けられる保障が傷病手当金です。

支給額と支給期間
支給額

1日につき、標準報酬日額×2/3を受け取ることができます。

支給期間

支給が始まった日から1年6ヶ月の期間で、支給を受ける条件を満たしている日に支給されます。

支払いを受ける条件

健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となります。
医師の意見をもとに仕事につけないと判断され、3日以上連続で仕事に就けず欠勤したことを証明する必要があります。もちろんその期間給与を受けていないことが前提です。

申請方法

上記の条件を満たしていれば申請できます。全国健康保険協会のホームページからダウンロードし、印刷してお使いいただくか、全国健康保険協会で申請書をもらうかして、申請書を用意します。傷病手当金の申請書の中に事業主の証明と主治医の証明欄がありますので、働けなかった期間の証明をもらいます。その後、全国健康保険協会に傷病手当金の申請書を提出します(郵送もしくは持ち込み)。全国健康保険協会の各都道府県支部の住所はこちら

まとめ

「仕事できない」「仕事に行けない」こんな状態になってもまずは落ち着いてひとつずつ対処していきましょう。

絶対に「怠けているんじゃないか」と自分を責めるのはやめてください。その考えがある時点でもう十分に真面目に頑張りすぎているのではないでしょうか。

落ち着いて周囲に相談するようにしましょう。職場には産業医もおりますし、必ず打開していく策があります。休職が必要になってしまった場合であっても、経済面において上記に説明したような支援もあります。

まずは、現在の状態を医療機関で客観的に判断してもらい、どうやって復帰していくかを考えていくようにしましょう。

Q&A

Question
仕事できないことがうつのせいであることを上司がわかってくれません。上司からは「考え方だ、うつ病のせいにするな」と言われてしまいます。このままでは仕事に行けないようになってしまいそうです・・・。どうしたらいいでしょう?

Answer
すでに精神科通院中なのでしょうか?自身の病気を必ずしも周囲(家族も含めて)にわかってもらうことは難しい場合も多々あります。意地になって理解させようとすることのほうがかえってストレスになりやすいです。
仕事ができないために悪循環に入ってしまうようであれば、休職もやむを得ないかもしれません。無理しすぎて社会から逸脱していくことのないようにすることを第一優先として動くようにしていきましょう。
光トポグラフィー検査は視覚的にとらえることができる検査です。この検査によって家族も納得したりすることも多いのでどうしても理解させたいという場合はこの検査を受けてみるのも手だと思います。


Question
うつ病と診断されましたが、自分では納得できません。職場で周囲とぶつかることが多く、このことがストレスで仕事できないだけだと思っています。1か月休職して調子が良くなったので復職するのですが、環境調整されませんでした。これで戻って大丈夫でしょうか?

Answer
大丈夫かどうかは難しい問題で、実際目の前の患者さんでさえも復帰してみないとわからないことも多いです。現実問題環境調整ができないままで復職することになるのも少なくありません。
うつの中でとにかく過敏性が強く、周囲とぶつかりやすい症状のタイプがあります。ある程度病態が安定していれば、過敏性が収まり周囲と折り合いがつくこともあります。逆に職場に戻ってまた同じ状況になるようであれば、周囲とぶつかってしまう理由に着目し、自身に衝動性の高さ、軽躁状態(攻撃性、イライラ)がないかをみて、場合によって治療方針を変えることが必要になるかもしれません。

 

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  1. 現在重度のうつ病、不眠で通院していますが、薬もあっているのかわからない状態で常に身体がだるくて、起き上がることも出来ない時があります。仕事も長続きしなくて今は無職です。別居して今は実家にお世話になっております。医師からは甘えとか言われますが、これからどうすればいいのか全くわからない状態です。何か良い方法があれば教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。

    • コメントありがとうございます。
      Dr.Gです。

      現在もお薬を服用中なのでしょうか?
      ここで少しうつ病の治療について考えてみたいと思います。

      うつ病の定義というものはあるのですが、精神科・心療内科の病名というのは内科や外科の病名と違って病態(身体の中で何が起こっているか)というより、起こっている症状そのものに名前がついているだけと考えています。

      一般の診療科で言うなら、風邪っぽい症状と言えば風邪だし、花粉症で目がかゆいと言えば病名は花粉症になるでしょう。
      しかしその風邪っぽさや、目のかゆみが薬を飲んでも良くならなかったらどうするでしょうか?

      おそらく採血したりレントゲンをとったりなどの検査をして、今度は症状だけで判断するところから何がおこっているのか探ります。
      すなわち病態びょうたいにせまるわけです。

      結果、肺炎であれば感染している細菌に合う抗生剤を使いますし、目のかゆみが花粉症ではなくウイルス性の結膜炎であれば経過をみてウイルスがいなくなるのを待つなどその病態にあわせて対応していくことができます。

      話を精神科・心療内科に戻します。
      もしうつ症状がよくならなかったらどうなるでしょう?

      最初は薬を変えて様子をみたりしますね。
      うつ症状には波がありますからその後一旦良くなったとします。
      それでも社会に復帰後、再度症状が再燃すれば休みがちになったりするでしょう。

      そこで周囲からは「甘え」と言われてしまいます。
      主治医からも「甘え」と言われてしまうと、言われた本人からすればもう救いの手がなくなってしまいます。

      そうなると他のクリニックにかかるという流れになることが多いと思います。
      そこでは「うつ病ではなく双極性障害かもしれません」と言われるかもしれません。
      そしてお薬が変わっていきます。

      これで効果がでないとなると、やはり「甘え」となってしまうのでしょうか・・・・。

      一般の診療科と違って精神科・心療内科では「病態」というものに迫ることができません。
      それは採血やレントゲンなど病態を明らかにする客観的指標(バイオマーカーといいます)がないからです。
      それでも最近は光トポグラフィー検査などがでてきましたが、まだ完璧ではありません。

      うつ病はSTAR-Dという研究において、その約30%の方が治療に反応しないことがわかっています。
      通常最初に処方される抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA)が十分な量を十分な期間内服すればほとんどのうつ病は寛解かんかいします。

      寛解しない場合、気分安定薬(リチウム、抗てんかん薬)や非定型抗精神病薬(エビリファイ、クエチアピンなど統合失調症などにも使用されるお薬)を併用し増強療法を行うことが一般的です。
      またこれに抗不安薬や睡眠薬、しかもこれらは複数処方されたりして飲んでいる側としては「こんなにお薬飲んでいて大丈夫なのかな?」「飲んでも良くなっている気がしない」と不安に思うこともあるでしょう。

      このようにうつ症状が寛解せずに慢性に経過してしまう、それでいて薬もたくさん飲んでいるという方は意外と多いのではないかと思います。

      うつ病を違った観点からとらえていきましょう。

      ※ここからは私個人の知見も入ってきますので、一般論として医学的にエビデンスが揃っているわけではありません。

      薬物治療に反応せずに、慢性の経過をとってしまう方にはこんな特徴があります。

      • ぐるぐるずっと考えてしまう
      • 過去未来の事をずっと考えてしまう。心ここにあらずの状態。周囲からもそんなに考えなくてもいいと言われ、自分でもわかっているが考えずにはいられない状態。

      • フラッシュバックしやすい
      • 過去の出来事が何かあるとすぐに浮かんで襲ってくる。

      • なかなか切り替えられない
      • 何かやり出すまでに時間がかかるが、逆にやりだすと完璧にやろうとしてしまう

      • 過敏性が高い
      • ちょっとしたことに大きく反応してしまう(出来事、音、光、びっくりしやすい)

      • 不安・緊張がでやすい
      • 不安や緊張が強く、言葉につまることがある。緊張が強く、肩こりや頭痛、汗、頻尿など体にも症状が出やすい。

      • 完璧思考になりやすい
      • こうあるべきが強く、自爆しやすい。

      うつ病と言うと、ほとんどの方が車で言うならエンジンがかからない状態を連想しやすいと思います。
      しかし、慢性の経過をしてしまう方というのはむしろエンジンは過剰ですごくパワーを持っていることが多いのです。
      つまりエンジンが空回りして自爆している感覚すらあるでしょう。

      寝ているときもエンジンは切れずにずっと頭の中で考えていますから、脳のエネルギー消費は高く燃費悪く脳も休まりません。
      結果、たくさん眠ったり横になっている時間は長くなるでしょうし、寝たとしてもおきたらいきなり体は重いわけです。

      夜にはようやくエンジンが調子よくなってきて「明日こそ仕事行く!頑張る!」となったとしても、朝になると切り替えがかからず「仕事いきたくない」感覚は強くなるでしょう。

      エンジンはかかっているわけですから周囲から見ると決してうつには見えません。
      やりだすとできることもあるため「甘え」とみなすことも多くなるはずです。
      そして決まって言われるはずです。

      「考えすぎだよ!」と・・・。

      本人からすれば考えすぎなのはわかっていて、そこからの切り替え、すなわち「まあいいか」の感覚が出なくて困っているのです。
      このように慢性のうつ病、薬の効かないうつ病はいわゆるうつ病(エンジンがかからない)と違い、逆にエンジンは過剰でむしろブレーキやハンドルなど車をコントロールする側が上手くいっていないのです。

      頭の中はとても忙しいbusyな状態で、考えることをやめられず、過敏性も高く、とても疲れやすいのです。

      それを「甘え」と言ったり、「考えすぎ」と言ってしまうのが本人にとってなんと残酷なことかと私は考えています。
      脳もひとつの臓器であり、その脳と言う臓器の異常なのです。

      文藝春秋(2017年5月26日季刊夏号)では「脳と心の正体」が特集されています。
      この中で橘玲氏は脳科学が発展した結果からわかったことは「意識は幻覚、自己は無意識」と言っています。
      橘氏の意見ではなく脳の機能からみた本質です。

      つまり私たちがマインドとして作り出している意識は幻覚であると言うわけです。
      これには様々な反論もあるでしょうが、考えすぎたり過敏に反応しているその意識を意識で制することは難しいそのことを言っています。

      慢性のうつ病が良くなるためには無意識に「まあいいか」と切り替わりあまり考えなくなることが必要ですし、過敏性はそもそも意識と関係ないのはわかりやすいでしょう。
      本人の考え方が悪いわけではないのです、いわんや甘えではもちろんないですね。

      慢性の難治性うつ病が良くなるとは「毎日が意欲的で楽しく、落ち込まない、体がいつも軽くやる気に満ち溢れている状態」をいうわけではありません。
      治るとは「ぐるぐる考えずいつのまにか切り替えができて、緊張不安はあってもそこにはまだ遊びがある状態」なのでしょう。

      では「脳という臓器」をどう治療すればいいのでしょうか?

      先にも述べましたがいわゆるうつ病(大うつ病)であればSSRIやSNRIといった抗うつ剤が効きます。
      それはエンジンがかかっていない状態に、セロトニンやノルアドレナリンを増やすことでエンジンがかかるようになるからです。

      しかし難治性の慢性のうつ病はイメージ的にはエンジンの不調ではなく、ブレーキやハンドルといった車の制御に関する部分の異常なのです。
      エンジンはむしろ空回りしています。

      抗うつ剤は一旦反応するかもしれませんが多くの場合、あまりかわらないかむしろ不安や焦燥感(じっとしていられない感覚)が強く出る人もいます。

      治療は、「まあいっか」とスルーできる感覚になること「考えすぎない」感覚になっていくことです。
      しかも無意識にです。

      カウンセリングは有効でしょうか?
      残念ながらカウンセリングのみでは考えすぎないようにさせることは難しいのではと考えています。

      現状の保険診療内での治療においてはなかなか解決策を見出すことは難しいと言わざるを得ません。
      しいて言えば認知行動療法がある程度有効な例もあるくらいでしょうか。

      ここからは保険診療を逸脱するので万人に強くすすめることはできませんが、こんな方法はあるくらいで参考程度に知っていただければと思います。
      2つ紹介します。

      1つは「マインドフルネス」です。
      最近はGoogle社が、社内で取り入れてストレス対策を行っていることでも有名ですが、この方法にはある程度のエビデンスもあるようです。

      マインドフルネスとは無にすることを言うわけで、一言で言えば「禅」です。
      医学的に解釈するなら頭の中で考えが回らないようにさせる練習をするわけです。

      そしてもう一つは経頭蓋磁気刺激治療けいずがいじきしげきちりょう(TMS)」です。
      これは2008年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が承認し、NHKスペシャルでも取り上げられ一時有名になりましたが非薬物療法の1つです。
      磁気を脳に当てて、脳の機能を調整するという方法で米国ではうつ病治療ガイドラインの中でも薬物が効かない場合の選択肢として挙げられています。

      ただし、残念なことに保険適応外治療ですので経済的な負担があります。
      うつ病が慢性に経過してしまっていて、薬物療法も効果がなく打つ手がない場合にも確かに選択肢にはなります。

      長くなってしまいましたが、現状うつ病治療で約3割で同じような経過の方々がいることをご理解いただければと思います。
      薬物療法で薬の組み合わせを変えるだけで解決できない場合も多々あり、むしろ薬漬けになって副作用なのかうつの症状なのか分からない状態は避けたいところです。

      また甘えと言われてしまうことの辛さ、自身の生きづらさそのことを周囲も医療者も理解することは重要と考えます。

  2. 私は鬱病と診断されて、6年になります。ひょっとしたらその以前からも患っていたのかもしれません。
    とにかく、会社に行くことが苦痛です。軽減勤務をしていてもです。
    なんとか頑張って1週間つづけていくことができても、翌週には、ある朝突然踏み出せなくなってしまいます。準備万端で、玄関までいくのですが、出ることができなくなります。そこでお休みをとると、後悔の念が出て、次の週は必死で連続出勤するといった繰り返しです。
    お薬はいただいています。睡眠薬は寝るために必須です。
    もう、薬だけではだめなのでしょうか。

    • コメントありがとうございます。
      Dr.Gです。

      うつ症状が慢性の経過をとっていて、行けたり行けなかったりと波があることをみてもいわゆる単純なうつ病ではなく、「非定型の特徴を伴う」もしくは「双極性障害Ⅱ型」とも診断されそうなタイプなのですね。

      診断名はともかく、この慢性の経過をとるタイプはお薬もいろいろかえてもうまく反応しなかったり、非定型抗精神病薬や気分安定薬などとあわせて多剤併用治療が行われお薬がたくさんになっていく傾向があります。

      逆に薬があってもなくても症状が変わらない人もいますので効果が上がらない場合はむやみやたらに増やすより、減らす方向で相談してみるのも手です。

      慢性の経過をとるうつは、症状は軽症であっても本人の困り感は重症です。
      周囲からも軽症にみられやすくときに「本当にうつなのか?怠けているのでは?」ととられることすらあります。

      本人は一生懸命頑張ってようやく今のパフォーマンスであることをしっかりと自覚し、決して怠けているわけではないことは自信を持っていてください。
      (車で言うならアクセル全開でようやく60㎞のスピードが維持できている。)

      そして、エンジンは前回で回っているために、もしかしたら眠っている間さえもアイドリングストップできていないかもしれません。
      こんな状態では身体は休まらず、緊張も強く身体のあちこちにも症状がでやすくなります(しかし残念ながら周囲にはその大変さは伝わりにくいのも特徴です)。

      このタイプのうつは、気持ちの切り替えができず、頭の中でぐるぐると考えてしまい心ここにあらずの状態になりがちです。

      このような難治症例にTMS(磁気刺激治療)という選択肢もありますが、残念ながらまだ保険診療にはなっていません。

      しかしようやく医療機器としてアメリカ製の機械が日本で承認されたとの報告も入ってきました。
      保険診療になるかどうかは今後1年以内にはなにかしらの動きがあるかもしれません。

  3. 初めまして。朝、仕事に行けなくて休みが多いことに悩んでこちらのサイトを見つけ、読ませていただきました。
    私は以前、うつ状態ということで休職しました。そして仕事復帰したのですが、どうしても出勤出来ない日があり、月に4〜5回欠勤しています。心療内科も最初は行けていたのですが、だんだんと外に出るのが億劫になって、通院出来なくなってしまいました。忙しい職場なのに欠勤ばかりしているのでやはり周りの目は冷たいです。家の人は「そんなの甘えだ」と言って取り合ってくれません…死にたいと強く思う時もあります。1回来なくなった患者が再度来た場合でも、先生は取り合ってくれるでしょうか…?

    • コメントありがとうございます。
      Dr.Gです。

      ご本人は一生懸命にやりたいと思っているのに身体がついてこない感覚がおありなのだと思います。

      何か始めるまでにとても面倒な感覚がおそってきたリ、物事にとりかかるまでに時間がかかることが多くないでしょうか?
      それでいてやり始めればのってくる、さっきまでの感覚はなんだったのだろうと・・・。

      おそらく会社も出社してしまえば意外と大丈夫なことが多いのではないでしょうか。
      行くまでの辛さ、人に対する緊張が強いそういった感覚なのだと思います。

      周囲は「甘え」というかもしれませんが、本人は120%の力で何とか維持してきたのについに120%の力で周囲が期待するパフォーマンスを出せなくなってしまった、そんな状態にあると思います。

      直接診察したわけではありませんが、うつ状態とのことですが「非定型の特徴を伴う」ように思います(俗にいう「新型うつ」です)。

      私は再度治療をしっかりしていくことをおすすめします。
      なかなか合う薬と出会うまで難しかったり、薬物療法とあわせて認知行動療法やカウンセリングが必要なことも多いです(一般的に非定型タイプのうつは抗うつ薬が効きずらい)。

      主治医が嫌な顔をするようなら、変えれば良いのです。
      逆に受け入れてくれるのならその先生を信じてみるのはいかがでしょうか?

  4. はじめまして。いつも憂鬱感がとれない事に悩みこのサイト辿りつきました。
    仕事中に急に体に力が入らなくなったり、集中力がなくなる事があったので心療内科に通い始めました。そこで過度のストレスという事で精神安定剤を処方してもらい鬱病の手前と診断されました。鬱病ではないとは思っていますが、薬を飲んでいても毎日憂鬱で趣味等も全然やる気が出ない状態です。会社に行くにも一度気合いを入れないといけない状態
    です。
    会社にはこの事を話し来月には退職する事になっています。
    次が決まっているので心配はないのですが
    気持ちが優れず休ませてもらってもやはり自分を責めてしまいます。
    このまま心療内科に通い続けた方がよいのでしょうか
    次の会社に行っても同じような症状が出るのか、この先どうしたら良いのかと言う不安でいっぱいです。
    このまま心療内科に通い続けた方が良いでしょうか?
    何か良い方法があれば教えて頂けませんか
    よろしくお願いします

    • コメントありがとうございます。
      Dr.Gです。

      ストレスによってうつ症状が出てしまっているのですね。
      つまり今はうつ状態に対して抗うつ薬を飲んでいるという状況でしょうか。

      おっしゃる通り、仕事を変えて環境が変われば大丈夫になったということもありますし、新しい職場になって2-3か月経って新しい人間関係が構築されていく中で再びストレスが過度になってくることも考えられます。
      これに関しては環境が変わってみなければ分からないと言わざるを得ませんが、もし対人過敏(人に対して緊張が強い・周囲の目を過度に気にしてしまう)があるようであればこれは後者になる可能性が高く注意が必要です。

      今回は退職する方向に決まっているようですので、環境が変わるのをまず見てみるしかないでしょう。
      環境が変わったばかりの初期は問題なくても人間関係が構築されはじめたあたりが要注意です。
      (多くのうつ状態の原因は人間関係である!!)

      直接診察させていただいたばかりではないのでこれはあくまで私の予想ですが、再燃のリスクは考えておいた方が良いのかもしれません。
      自分を責めているところをみると、ぐるぐるとずっと考えてしまっている思考がありそうです。
      こうでなくてはならない感覚に自爆していく感じがあるのだと思います。

      この場合、経験的に対人過敏があり、また気分の切り替えが難しいことが多いです。
      何かマイナスイベントがあると過度に反応し「まあいいか、しょうがないか」と気分の切り替えがなかなか起こってきません。
      仕事に行くまでが大変で、行ってしまえば朝の間隔は何だったのだろうということも経験されないでしょうか?

      今回のお話からは、念のため心療内科とはつながっておき、万が一の時に診断書をだしてもらえる体制があった方が気分的にも楽ではないかと思います。

      根本的な解決につながるお話ではなくお力になれず申し訳ございません。

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